「宮崎正弘の国際情勢解題」 令和三年(2021)8月14日(土曜日)

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和三年(2021)8月14日(土曜日)
通巻第7014号  
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 しびれを切らしたパキスタン。領事館から館員を減らし「カブールへ移れ」
  「ヘラートの獅子」イスマイリ・カーンをタリバンが拘束
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 パキスタンのイムラン・カーン首相は唸った。「バイデン米大統領からの電話を待っているのではない」。
 パキスタン外務省はマザリ・シャリフとヘラートに置いているパキスタン領事館の館員を減らし、カブールの大使館へ移動せよと命じた。

 パキスタンはタリバンと濃密な接触があり、ガニ政権との連立政権の提案も行ったらしいが、タリバンから拒絶されたことも明らかにしている。欧米はパキスタンが背後でタリバンを支援しているとみて、信頼していない。

 8月12日のヘラート攻防戦で、「ヘラートの獅子」とタリバンが一目置いたイスマイリ・カーンが拘束された。タリバンが正式に発表した。嘗て勇猛果敢な北部同盟の闘将として、無尽の武闘を繰り返した軍閥の首魁が、拘束されたことはカブール政権に甚大なパニックを運んだようだ。

 アフガニスタンとの国境クエッタの検問所は、7月17日に再開していたが、8月13日に再度閉鎖に踏み切った。パキスタンはアフガニスタン難民に対してIDカードと難民証明を発行しており、ヴィザ不要の措置を取っていたが、混乱を招きかねず、またスパイやテロリストの混入の可能性もあるとして国境門を閉めた。外国人ジャーナリストが逃げ込んだ場合は例外的措置をとるとした。

 あまりに迅速なタリバンの攻撃によりアフガニスタン政府軍はまともな反撃も出来ず、空爆の効果も挙げていない。米軍高官が懸念したように「飛行機をまともに飛ばせるか疑問だ」との予告は当たった。
 米国は過去二十年間に、のべ8300億ドルをアフガニスタン政府軍に供与し、訓練してきた。30万人もいるアフガニスタン政府軍は役に立たなかった。

 タリバンはアフガニスタン政府軍が残した米軍戦車、装甲車、M16、ドローンなどを次々と「ろかく」しており、さらにはヘラートとカンダヘルの刑務所を開放し、囚人を兵士として徴用しているという。

 また制圧した州の知事後者や公共施設を占拠し、陣地を構築している。政府および米軍に協力した者は銃殺されていると欧米メディアは伝えている。

 難民はすでにイラン国境に60万人と伝えられ、国際組織の救援の手は行き届いていない。

 
 ▼カブールへの戦略的要衝ガジニも陥落。カブールは目の前に

 8月12日にカブールの南西130キロにあるガジニが陥落し、タリバンの支配区となった。
これは首都カブールとカンダハルを結ぶ幹線道路の要衝にあり、米軍が一部空爆支援をしたというが、間に合わなかった。

 米国は、アフガニスタン在住の米国人は、政府救援機をたよらず、あらゆる手段で脱出せよと助言をだしている。
ドイツとオランダが同様な措置を取った。
 
英国も急きょ、600名の兵員を派遣し大使館徹底の支援を展開する。英軍は2014年以来、457名の犠牲を出したが、米に協力してきた。カナダも緊急に特殊部隊を派兵する。

 インドはアフガニスタンとの間にパキスタンが緩衝地帯のように横たわるため、多少のゆとりはあるが、懸念しているのはガニ政権下で合意し、インド企業が建設をすすめるサルマ・ダムの行方である。
インドは、このプロジェクトに3億ドルを投資している。

中国が開発していた鉱山は操業を停止し、中国人は殆どが帰国した。

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 この一年で9万人が香港を捨てて外国へ出た。人口は1・3%減った
  香港の図書館から自由、民主、法治、台湾の本が消えた
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 コロナ災禍で飛行機の欠航が多いにもかかわらず、香港から諸外国、とくに英国へ向かう便は満席状態が続いている。およそ9万人の香港人が、自由のなくなった香港を捨てた。

 空港には荷物を一杯にした若者、とくにカップル、子連れの姿が目立ち、積極的に香港市民を受け入れている英国に向かう。
 べつに英国で就職先が決まっているわけでもないが、ロンドンなどでは就労斡旋、住居支援などのボランティア団体が、到着する香港人も面倒を見ている。

 香港の図書館からは夥しい書籍が消えて、本箱はがらんどうになった。台湾関連本のみならず自由、法治、民主、人権を論じた書籍が消えたのだ。もちろんオーエルの『1984』は入手が難しくなっている。
 自主規制による処分なのか、展示禁止書籍リストが出回っているというが、言論弾圧もここまでくると陰湿である。
 
 まだ香港に留まっている外国企業も、近く撤退予定、いずれ退去などを含めて60%前後の企業は香港脱出を考えているとアンケートに答えている。 

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〔チェルノーゼム〕

チェルノーゼム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%82%BC%E3%83%A0

『黒土(こくど、くろつち、英語: Black soil)は東ヨーロッパ、北アメリカ、中国東北部など世界の各地にあり、非常に肥沃な黒色の土壌(成帯土壌)で、農業に適している。
特にウクライナからシベリア南部にかけてのポントス・カスピ海草原に分布する黒土がチェルノゼム(ロシア語: чернозём[tɕɪrnɐˈzʲɵm]、英文でchernozem)と呼ばれ、小麦の栽培地として有名で、他の地域の黒土も地質学者によりそう呼ばれるようになった。

「チェルノ」と「ゼム」は、それぞれロシア語で「黒い」を意味する語と「地、土地」などを意味する語に由来する。この用語のロシア語での発音は「チルナズィヨーム」に近く、最後の音節に強勢があるが、日本語では慣用的に「チェルノゼム」、しばしば「チェルノーゼム」と表記される。また、その肥沃さから、「土の皇帝」とも呼ばれる。

チェルノゼムは、草本などの遺骸からつくられる腐植層が降水量の低い地域(ステップ気候)のために流出を免れ、ぶ厚く蓄積している。

仮に降水がより少なく乾燥すると植物の生育ができず腐植層・窒素分の少ない栗色土となり、逆に降水が多ければ樹木が生育するが、流出のため表層の薄い腐植層と下層の酸化鉄を含む層の褐色森林土となり、冷涼ならば植物体の分解が進まず酸性化し灰白色のポドソル層や排水が悪ければ泥炭層になるが、いずれも生産性が低い土壌となる。

そしてロシア南部では下層に石灰分を含む層がある。これら降水・気温・土地条件が重なり、穀物栽培の下限に近い降水量ではあるが、土地は肥沃で施肥なく農業が行われている[1]。 』

ウクライナがEUへの農業生産物輸出量で世界第4位

北の国から猫と二人で想う事 livedoor版:ウクライナがEUへの農業生産物輸出量で世界第4位
http://blog.livedoor.jp/nappi11/archives/5278888.html

『2021年1月〜7月の期間、ウクライナから欧州連合(EU)加盟国への農産物の輸出量は、前年同期比で10%増加し、総額37億ドル(約4080億円)となった。8月1日現在、ウクライナは、EUへの無関税農産物輸出割り当てを7つの品目(蜂蜜、穀物、加工澱粉、加工トマト、ブドウ・リンゴジュース、鶏肉、卵)で完全に利用していると書かれている。

7b8dde98また、割り当てが完全に利用できていないのは、砂糖とトウモロコシだとあり、砂糖はウクライナ国内で不足が生じたため、トウモロコシは中国での大きな需要への対応によるものだと説明されている。

同報告によれば、ウクライナは、2020年のEUへの農業生産物輸出量が世界で第4位となったとのこと。1位は英国、2位はブラジル、3位は米国、5位は中国だと報告された。ウクライナはEU,NATOへは非加盟国。就労人口の5分の1が農業に従事しており、総輸出の3分の1は農産物である。 輸出先は190カ国に及び、2016年資料では、ひまわり油は世界一、とうもろこしと大麦は世界第3位、小麦は世界第6位のシェアを誇る。参照記事

2021年2月の記事では、住友商事は、ウクライナで農業資材の直販ビジネスを強化する。農業機械の本体・スペアパーツなどの販売やメンテナンスサービスを提供するサービスセンターをウクライナの首都キエフから南に車で40―50分ほどの所に設け、運営を始めた。今後3―4年をめどに3カ所程度に同センターを設置し、現地の主要農産地をカバーする体制構築を目指す。住商の農薬・農業資材ビジネスは、1970年代の日本製農薬輸出から始まった。90年代からは、現地に輸入販売会社を設けて販売を開始した。参照記事

ウクライナは、土壌の6割がその「黒い土:チェルノーゼム」だ。第2次大戦中、侵攻してきたナチスが土を貨車で運び出そうとしたという逸話が残るほどで、土の肥沃さは折り紙つきだ。黒い土は肥沃で生産性が高く、土の「皇帝」と呼ばれる。世界の小麦の多くは、この土からとれ、ウクライナの穀倉地帯は「欧州のパンかご」と呼ばれる。参照記事、、、

子供頃、黒土が広がる十勝の浦幌に居たので、長い事畑の土は黒いものだと思っていた。確かに、十勝も良質な小麦の産地である。』

政府、中国にらみ防衛費増額

政府、中国にらみ防衛費増額

中期防を前倒し改定へ
https://nordot.app/799020365727498240?c=39546741839462401

『政府は、防衛装備や部隊編成の整備目標などを定める現行の2019~23年度「中期防衛力整備計画(中期防)」を前倒しして改定する方向で調整に入った。台湾情勢の緊迫化や中国の海洋進出に備え、抑止力強化の一環として防衛費を総額で増額し、整備を急ぐ必要があると判断した。4月の日米首脳会談の共同声明に盛り込んだ「日本の防衛力強化への決意」を実行に移すことになる。複数の政府関係者が13日、明らかにした。

 中期防改定は、早ければ年内の実現を目指す。改定に向けた議論は防衛省や国家安全保障局を中心に進められ、8月上旬には菅首相や岸防衛相らが集まり、見直し方針を確認した。』

全国知事会の次期会長、平井氏の公算

全国知事会の次期会長、平井氏の公算 16日に締め切り
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081300962&g=pol

『任期満了に伴う全国知事会の会長選挙で、平井伸治鳥取県知事の他に名乗りを上げる知事が13日までにおらず、平井氏が無投票で当選する公算が大きくなった。候補者の推薦届け出は16日正午に締め切られ、次期会長は30日の全国知事会議で選任される。

前例にとらわれない対策を 新型コロナ「感染爆発」で緊急声明―全国知事会

 現会長の飯泉嘉門徳島県知事は9月2日で任期満了となるが、次期会長選への不出馬を明言。1期2年で会長職を退くのは確実な情勢だ。 』

平井伸治
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E4%BA%95%E4%BC%B8%E6%B2%BB

『来歴

東京都千代田区外神田生まれ[2]。父は弁護士[3]。開成中学校・高等学校を経て、1984年(昭和59年)、東京大学法学部第1類(私法コース)を卒業し[1][4]、自治省(現:総務省)に入省した[4]。本省勤務の他、兵庫県や福井県への出向も経験する。1995年(平成7年)9月よりアメリカ合衆国へ派遣され、1996年(平成8年)1月からカリフォルニア大学バークレー校政府制度研究所客員研究員。1999年(平成11年)、鳥取県庁へ出向。鳥取県総務部長に就任し[4]、2001年(平成13年)には全国最年少(当時)で鳥取県副知事に就任する[4]。2007年(平成19年)2月、総務省を退官する。

2007年(平成19年)4月8日、無所属(自由民主党・公明党推薦)で鳥取県知事選挙に出馬し初当選した。当選後、片山善博前知事の下で制定された鳥取県人権侵害救済推進及び手続に関する条例を見直す考えを示した。2008年(平成20年)、当時の宮城県仙台市長であった梅原克彦氏の発案による「拉致問題と戦う知事の有志の会」の結成にあたり、発起人の一人に名を連ねた。2011年(平成23年)4月、鳥取県知事に再選される。2015年(平成27年)4月、鳥取県知事3選。

2018年(平成30年)10月26日、安倍晋三内閣総理大臣が中華人民共和国の訪問に合わせて、北京市の人民大会堂で行われた第1回日中第三国市場協力フォーラムに出席、鳥取県の名産品などの紹介を全て中国語で行い、会場の出席者から多くの拍手を得た[5]。 2019年(平成31年)4月、鳥取県知事に4選された。

家族は妻、2男[6]。
年譜

鳥取県庁公式サイトより参照[6]。

1961年(昭和36年)9月17日 - 東京都千代田区外神田にて出生
1984年(昭和59年)3月 - 東京大学法学部第1類(私法コース)卒業[1]
    4月 - 自治省入省、財政局地方債課
1986年(昭和61年)7月 - 自治省自治大学校研究部
1987年(昭和62年)8月 - 同選挙部管理課
1988年(昭和63年)4月 - 同選挙部選挙課
1990年(平成2年)4月 - 福井県市町村課長
1992年(平成4年)4月 - 同財政課長
1993年(平成5年)8月 - 自治省選挙部政治資金課課長補佐
1994年(平成6年)10月 - 同選挙部政党助成室課長補佐
1995年(平成7年)9月 - 米国連邦選挙委員会
1996年(平成8年)
    1月 - カリフォルニア大学バークレー校政府制度研究所客員研究員
    4月 - 自治省財政局調整室課長補佐
1997年(平成9年)4月 - 同税務局府県税課課長補佐
1999年(平成11年)7月 - 鳥取県総務部長
2001年(平成13年)6月 - 鳥取県副知事
2005年(平成17年)4月 - 総務省選挙部政党助成室長[4]
2006年(平成18年)6月 - 自治体国際化協会ニューヨーク事務所長[4]
2007年(平成19年)4月 - 鳥取県知事選挙に出馬し、初当選
2011年(平成23年)4月 - 鳥取県知事再選
2015年(平成27年)4月 - 鳥取県知事に3選
2019年(平成31年)4月 - 鳥取県知事に4選
2020年(令和2年)7月 - 新型インフルエンザ等対策閣僚会議新型インフルエンザ等対策有識者会議新型コロナウイルス感染症対策分科会委員[7]

著書

『小さくても勝てる 「砂丘の国」のポジティブ戦略』中公新書ラクレ、2016年9月
『鳥取力 新型コロナに挑む小さな県の奮闘』中公新書ラクレ、2021年3月 』

岸防衛相が靖国参拝

岸防衛相が靖国参拝 現職は稲田氏以来
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081300681&g=pol

『  岸信夫防衛相は13日、東京・九段北の靖国神社を参拝した。「衆院議員岸信夫」と記帳し、玉串料は私費で納めたという。防衛相の参拝が明らかになるのは、2016年末の稲田朋美氏に続き2例目。同神社には第2次世界大戦のA級戦犯が合祀(ごうし)されており、中国や韓国が反発した。

終戦の日、靖国参拝見送り 菅首相

 参拝後、岸氏は記者団に「先の大戦で国のために戦って命を落とされた方々に尊崇の念を表すとともに、哀悼の誠をささげた」と表明。同時に「不戦の誓い、国民の命と平和な暮らしを守り抜く決意を新たにした」とも強調した。

 中韓両国は、日本政府要人の参拝を繰り返し批判している。これに関し、岸氏は「それぞれの国において、戦争の英霊に尊崇の念を示すことは当たり前のことだ」と反論。今回の参拝に際し、菅義偉首相や兄の安倍晋三前首相には相談しなかったという。

 西村康稔経済再生担当相も13日、同神社を参拝した。 』

揺らぐ米の経済覇権 中国台頭、新たな試練に

揺らぐ米の経済覇権 中国台頭、新たな試練に―「ニクソン・ショック」50年
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081300738&g=int

『【ワシントン時事】1971年8月、当時のニクソン米大統領が基軸通貨ドルと金の交換停止を電撃発表してから15日で50年。同年7月の中国訪問表明と共に「ニクソン・ショック」と呼ばれ、歴史の転換点となった。主要国の通貨は固定相場制から変動相場制へ移行し、グローバル金融の時代が到来。ニクソン氏が門戸を開放した中国は、今や米国の覇権に挑むまでに大国化した。半世紀を経て、国際経済秩序は新たな試練に直面している。

 「自国の利益に注意を払うべき時だ。国際的な投機からドルを守る」。ニクソン氏は米経済が脅かされていると演説で強調。第2次世界大戦後の復興を支えた「金・ドル本位制」を破棄し、輸入品に10%の課徴金を導入すると通告した。44年に確立した米国中心の国際経済枠組み「ブレトンウッズ体制」に自ら区切りを付けた形だ。

 国際収支の赤字、インフレ懸念、ドルの信認低下―。ニクソン政権の経済政策に関わった米エール大経営大学院名誉学部長のジェフリー・ガーテン氏は、当時の米国は「三重苦」に見舞われていたと振り返る。ドルと金の交換を打ち切った最大の狙いは「金のくびきを外して政策の自由度を高めること」だったという。

 戦後復興を主導していた米国を脅かしたのが日本や西ドイツ。日本は1ドル=360円に固定された有利な為替レートの恩恵を享受して高度成長を遂げた。輸出攻勢を受けた米国は約100年ぶりに貿易赤字に転落し、製造業が衰退。ベトナム戦争の泥沼化で財政赤字も拡大した。ドルが流出し、「強い米国」に陰りが見え始めていた。

 当時の局面打開の切り札が金融グローバル化と中国訪問だ。73年に主要通貨が変動相場制へ移行すると、国境を越えた資本移動が拡大。金の足かせを解かれた米国は基軸通貨ドルをばらまいて金融大国として君臨し、世界首位の経済大国の座を死守した。東西冷戦下で敵対していた中国との関係も強化し、中国の巨大市場に望みを懸けた。

 二つのニクソン・ショックから50年で世界は一変した。急激な円高で輸出主導型の日本の高度成長期が終わる一方、中国の国内総生産(GDP)は2010年に日本を抜いて世界2位に。30年ごろには米中の逆転もあり得る。危機感を抱いたトランプ前米政権は、対中政策をニクソン政権以来の「関与」から「競争」へ転換させた。

 新型コロナウイルス危機下で巨額の財政出動を続けるバイデン政権。米国は71年当時と同じ「三重苦」にあえぎ、トランプ政権による制裁関税を引き継いで保護主義に傾く姿も重なる。バイデン大統領は議会演説で「米国を築いたのはウォール街ではない。中間層と労働組合だ」と語り、金融頼みの成長戦略に限界があると認めた。だが、中国の猛追を振り切る新たな切り札は見いだせていない。』

通貨変革期、問われる協調 進む「ドル離れ」

通貨変革期、問われる協調 進む「ドル離れ」―「ニクソン・ショック」50年
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081300787&g=int

『【ワシントン時事】主要国の外国為替市場が固定相場制から変動相場制へ移る転換点となった1971年の「ニクソン・ショック」。今でも米国は金融大国の座にあるが、ドルに対する信認が揺らぐ場面が増えている。中国は「デジタル人民元」の普及でドルの覇権に挑む構え。通貨の変革期を迎え、国際協調が改めて問われている。

 ドルを中心とする基軸通貨体制を確立した「ブレトンウッズ会議」から75年余り。ドルはなお、外国為替取引で使われる通貨の約9割、国際決済の約4割を占める。
 だが、ドルの圧倒的な支配力に陰りが出ている。国際通貨基金(IMF)によると、政府や中央銀行の外貨準備に占めるドルの比率は2020年末に約59%と過去25年間で最低だった。ユーロ(約21%)や円(約6%)に分散する動きが見られ、人民元(約2%)も上昇傾向にある。

 米中対立も「ドル離れ」を加速させている。ドルを武器に金融制裁を連発する米国に対抗し、中国は外貨準備のドル比率を8割から6割に引き下げた。中国が統制を強める香港では、香港ドルを米ドルに連動させるペッグ制の廃止観測がくすぶる。
 中国は巨大経済圏構想「一帯一路」を通じてデジタル人民元の利用拡大を図る方針。その実証実験は最終段階に入り、22年2月の北京冬季五輪を前に導入を急ぐ。中国人民銀行(中銀)は「先駆者」を目指すと強調し、早期の実用化で競争の主導権を握る姿勢を鮮明にしている。

 デジタル通貨で出遅れた日米欧には危機感が漂う。麻生太郎財務相は、デジタル通貨は「透明性、法の支配、健全な経済ガバナンス」の3条件を満たすべきだと強調し、中国をけん制。米国も基本的には慎重姿勢だが、研究には着手している。

 基軸通貨にこだわる米国、デジタル通貨で覇権をうかがう中国。ニクソン政権の経済政策に関わった米エール大経営大学院名誉学部長のジェフリー・ガーテン氏は「米国の経済力が相対的に衰えた今、多国間の協調なくしてドル基軸体制の存続は難しい」と警鐘を鳴らす。』

「パレスチナ抜き」に限界

「パレスチナ抜き」に限界 米仲介の中東正常化発表から1年
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021081300690&g=int

『【エルサレム、ワシントン時事】米国のトランプ前大統領が、中東のイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化を電撃的に発表してから13日で1年。歴史的に対立してきたイスラエルとアラブ諸国の米国の仲介による正常化はその後も続いたものの、今年1月の米政権交代で勢いは失速。中東和平の要であるパレスチナ問題について解決の見通しが立たない中、アラブ側が二の足を踏んでいるのが現状だ。

 ◇役者去る

 昨年8月以降、対イスラエル関係で正常化に動いたのはUAE、バーレーン、スーダン、モロッコの4カ国。UAEとバーレーンは9月15日、米ホワイトハウスでイスラエルと共に正常化に関する調印式に臨み、トランプ氏は10月にはスーダン、12月にはモロッコが正常化で合意したと発表した。

 トランプ氏娘婿のクシュナー前大統領上級顧問やイスラエルの対外情報機関モサドのコーヘン前長官は合意に先立ち、イスラエルとアラブ諸国の間を繰り返し往来。アラブ諸国の中でも、イスラエルよりもイランに敵対意識が強い国や、対米関係の改善・発展に意欲的な国が、正常化に前向きな対応を示した。

 トランプ氏とイスラエルのネタニヤフ前首相は一連の合意を「歴史的だ」と自賛し、それぞれ自らの外交実績としてアピール。一方、イスラエルの占領下に置かれたまま、和平の動きから取り残される形となったパレスチナは、一連の合意を「大義への裏切りだ」(アッバス自治政府議長)と非難した。

 米国ではトランプ氏が昨年11月の大統領選で敗北し、今年1月にバイデン政権が発足した。イスラエルでも政局混乱の末、6月にネタニヤフ氏が退陣し、ベネット首相が就任。クシュナー氏やコーヘン氏らを含め、「役者」は去った。

 ◇ほかに優先課題

 クシュナー氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿で「オマーンやカタール、モーリタニアなどが合意に加わる寸前だった」と指摘した。これに対しバイデン政権は、イスラエルとアラブ諸国との国交正常化支持を表明する一方で、具体的な仲介の動きは見せていない。中国やロシアとの大国間競争を重視し、中東情勢ではイラン核合意の維持に向けた交渉を最優先課題と見なしていることが背景にある。

 また、国務省のプライス報道官は「(正常化合意は)イスラエル・パレスチナ和平の代替にはならない」と強調。バイデン政権は、前政権下で悪化したパレスチナとの関係改善に取り組んでおり、パレスチナを置き去りにする正常化には慎重な構えを示している。

 アラブ諸国の中で主導的な立場にあるサウジアラビアは、サルマン国王がパレスチナの立場に同情的な姿勢を取っている。極右政党出身のベネット首相はこれまでのところ新型コロナウイルス対策など内政課題を重視し、パレスチナ和平で慎重な姿勢を貫く見通しで、サウジやほかのアラブ諸国が正常化に応じるのは難しい状況だ。』

USTR、メキシコ自動車部品と労働環境改善で合意

USTR、メキシコ自動車部品と労働環境改善で合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN110GH0R10C21A8000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】米通商代表部(USTR)は10日、メキシコ北東部の自動車部品会社と労働環境の改善で合意したと発表した。2020年7月に発効した北米の新たな通商協定USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)のもとで、労働権の侵害の確認を求めた初めての米政府への訴えとなっていた。

対象となったのは、米自動車部品カードンの子会社で、メキシコ北東部タマウリパス州のトリドネックス。同社の労働者が独立的な労働組合を結成しようとしたところ、不当な扱いを受けたり、解雇されたりしたと主張していた。

トリドネックスは今回の合意で、労組結成などでの自由投票を支持することを約束した。同時に免職されるなどした、少なくとも154人の従業員に対して、合計60万ドル(約6600万円)以上を支払う。

USTRは声明で「バイデン政権は国内外で労働者の権利を守る通商政策に関与する」と指摘した。

トリドネックスのケースを巡っては、米国の大手労働団体、労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)やメキシコ・タマウリパス州の労働組合(SNITIS)などが5月、共同で米政府に訴えてた。』

パナソニック、ブラジルでテレビ生産撤退

パナソニック、ブラジルでテレビ生産撤退 拠点6割減
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF121JE0S1A810C2000000/

『パナソニックは2021年内にブラジルでのテレビ生産から撤退する。19年には8カ所あったテレビの生産拠点を6割減の3カ所まで絞り込む。パナソニックは低価格機種については中国家電大手のTCLに生産委託する方針だ。低コスト体質を確立し、テレビ事業での黒字定着を目指す。

ブラジル北部アマゾナス州の工場で、11月をめどにテレビやオーディオ機器の生産を終了する。同工場はブラジル国内向けの生産拠点で、1981年にテレビ製造を開始。21年3月期には約22万台を生産していた。

関連する従業員は130人程度いるとみられ、年内に解雇する方針。同工場では電子レンジや電子部品の生産も手掛けているが、AV機器以外の生産は継続する。

一時は日本勢が席巻したテレビ市場だが、中韓勢による激しい価格競争に敗れてシェアを失った。パナソニックは2000年代に2桁シェアを確保していたが、15年までに二大市場の米中での生産から撤退。足元のシェアは2%に満たない。

国内勢で世界と競争するのは上位機種に絞ったソニーと、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業傘下で生産コストを引き下げたシャープなどにとどまる。

パナソニックは21年3月末までに日本、ベトナム、インドでのテレビ生産を止めた。19年にメキシコでの生産も撤退しており、2年間で5カ所で生産を終了することになる。

今後は主に上位機種を手がけるマレーシアと台湾、欧州の3拠点で自社生産を続ける見通し。21年3月期の生産台数は約360万台で、今後の自社生産は主に国内向けの有機ELテレビなど上位機種のみとなる見込みだ。

低価格機種はTCLに生産を委託する方向で調整している。中期的に開発も委託する考え。テレビはパネルが製造コストに占める割合が高く、規模拡大による調達メリットが大きい。テレビ販売で世界3位のTCLに生産委託し、価格競争力がある製品を供給できる体制の構築を目指す。

パナソニックのテレビ事業は20年3月期まで2期連続で赤字だった。足元
では「巣ごもり需要」にテレビの買い替えサイクルが重なった国内の堅調に助けられ、21年3月期に3期ぶりに黒字転換した。足元でも堅調だが黒字化定着にはさらなる固定費削減が必要と判断し、生産委託とともに自社生産拠点の整理も進める。

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ハイチ大統領選、11月に延期

ハイチ大統領選、11月に延期
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130580T10C21A8000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】カリブ海の島国ハイチが大統領選挙を11月7日に実施する見通しとなった。7月に暗殺されたモイーズ大統領の後任を選ぶ。9月26日に予定されていたが、社会情勢が不安定なことから先送りを決めたとみられる。地元メディアが11日に伝えた。

1回目の投票で有効投票数の過半を確保する候補者がいない場合は、2022年1月23日に決選投票を実施する。7月20日に就任したアンリ首相はこれまで「選挙を早期に実施する環境を整える」などとの意向を示すにとどめていた。

モイーズ氏の暗殺事件を巡っては、逮捕状が出ている元最高裁判事のウェンデル・コック・テロ氏の大統領就任を、犯罪者集団がたくらんでいたとの見方が浮上した。南米コロンビアの有力紙ティエンポが、ハイチ当局による捜査資料を基に12日までに報じた。

犯罪者集団は当初、6月20日に首都ポルトープランスの空港でモイーズ氏を拘束する計画だった。モイーズ氏の予定変更で、7月7日に暗殺を決行した。』

フィリピン与党、パッキャオ議員追放も 派閥争い激化

フィリピン与党、パッキャオ議員追放も 派閥争い激化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM133XK0T10C21A8000000/

『【マニラ=志賀優一】ドゥテルテ大統領が議長を務めるフィリピンの与党PDPラバンで、党内の分裂が進んでいる。同党内では13日、国民の人気が高くボクシング界の英雄であるパッキャオ上院議員を党から追放すべきだとの声明が出た。パッキャオ氏は本来同党の党首で、来年の大統領選出馬にも意欲を持つとされている。選挙戦や候補者争いを控え党内の派閥争いが激しさを増す。

PDPラバン内で、ドゥテルテ氏に近いクシ・エネルギー相が主導する派閥側が13日、「パッキャオ氏が自身を党追放に追い込んだ」とする声明を発表した。同党に所属しながら地方政党にも籍を置いていることが党の規約に違反しており、PDPラバンから追放すべきだとしている。

パッキャオ氏は21日にボクシングの試合を控え米国に滞在しており、フィリピンに不在のなか声明が出された。パッキャオ氏側は「今に至るまで地方政党のメンバーであるドゥテルテ大統領と同じ状況だ」と批判。正式にパッキャオ氏の意見を聞いたうえで追放するかが決まる見通しだ。

パッキャオ氏は、同党のドゥテルテ氏やクシ氏との対立が鮮明だ。ドゥテルテ政権での政府の汚職や不正を指摘し、7月上旬にはパッキャオ氏が主導する形で対立するクシ氏らを同党から追放すると公表していた。

一方で対抗勢力は、本来党首のはずのパッキャオ氏はあくまで党首「代理」だと主張。クシ氏を追放する手続きも進んでいないと説明し、パッキャオ氏不在のなか7月17日にドゥテルテ氏も参加した会合でクシ氏を新しい党首に選出することを決めた。派閥により党首が異なる混乱が生じている。

派閥闘争が激しくなる背景にあるのが、2022年5月に控える大統領選だ。先だって21年10月から立候補に向けた手続きが始まる。パッキャオ氏は大統領選への出馬に意欲を示しているとされている。選挙戦では出身地の支持が得やすく、国民から人気が高いパッキャオ氏が出馬すれば出身地の南部から支持を得ることが濃厚だ。

ただドゥテルテ氏も22年の次期選挙戦で長女のサラ・ドゥテルテ南部ダバオ市長を大統領の候補に据え、自身は副大統領選に出馬する観測が出ている。フィリピンでは大統領の再選が禁じられているためだ。ドゥテルテ氏の地盤も同じく南部のため、パッキャオ氏を警戒しているとの向きもある。』

タリバンとは

タリバンとは 神学生らで発足、過激思想
きょうのことば
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM134NV0T10C21A8000000/

〔ターリバーン…。〕https://http476386114.com/2021/07/20/%e3%80%94%e3%82%bf%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%90%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%80%82%e3%80%95/

『▼タリバン アフガニスタンの反政府武装勢力にあたるイスラム原理主義組織で、アラビア語で「神学生」を意味する。1980年代に旧ソ連がアフガンを侵攻した際、多くの難民が隣国パキスタンに逃げ込んだ。難民の子供は極端なイスラム原理主義を掲げる神学校で学ぶことで過激派の思想を強めた。

89年に旧ソ連が撤退するとアフガンは内戦に陥った。混乱に乗じてパキスタン軍は神学生らに武器を与え、94年にアフガンで発足したタリバンは勢力を拡大。96年にアフガン政府軍を制圧して政権を樹立した。国際テロ組織アルカイダの指導者だったウサマ・ビンラディン容疑者を保護することで欧米諸国に明確な敵意を示すようになった。2001年9月11日に米同時テロが発生、タリバンが同容疑者の引き渡しを拒否し、米英がアフガンで空爆を始めて政権が崩壊した。

18年から駐留米軍の撤収を巡りトランプ米政権と協議を始め、20年2月に米国と和平合意に署名した。早期の停戦を議論することなどで一致したが約束は守られていない。戦闘員は約5万人強~8万人強とみられ、イスラム思想を強く反映した社会づくりをめざしている。

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米の人種多様化、分断加速も

米の人種多様化、分断加速も 20年、白人初の減少
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130IS0T10C21A8000000/

『【ワシントン=鳳山太成】米国の人種構成の多様化が一段と進んでいる。12日発表になった2020年の国勢調査結果によると、白人の人口が10年前に比べて2.6%減り、史上初めて減少した。米国の人口構成の変化は社会の分断を一層深める恐れもある。

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10年に1度の国勢調査で、白人(中南米系のヒスパニックをのぞく)は1億9170万人で、10年の調査に比べて512万人減った。全人口3億3145万人に占める比率は58%と6割を切った。

大都市ロサンゼルスを抱える西部カリフォルニア州は白人の比率が35%と約5ポイント下がり、39%のヒスパニックが初めて多数派になった。人口が増えた地域は都市部に集中しており、仕事を求めて流れこむ人たちが人種構成に変化をもたらしている。

白人が減る背景には少子高齢化がある。米ニューハンプシャー大のケネス・ジョンソン教授(人口学)は「白人は少数派(黒人やヒスパニック)に比べて高齢で、ベビーブーム世代の死亡が今後も増える。出産年齢の白人女性が減り続けるとともに、低い出生率が白人が生まれる数を減らしそうだ」と今後も同じ傾向が続くとみる。

米国で存在感が高まるヒスパニックは23%増えて6208万人と全人口の19%を占めた。全人口の増加分(2270万人)は51%がヒスパニックによるものだ。

南部テキサスや西部アリゾナなど南部国境沿いの州を中心にヒスパニックが移り住み、さらに子供を産んで増える構図だ。米疾病対策センター(CDC)によると、15~44歳の女性1000人当たりの出産数はヒスパニックが63人と白人(53人)を上回る。

多様化が進み、人種や民族でひとくくりにするのも難しくなっている。2つ以上の人種を申告した人は3385万人と10年前の4倍弱に膨らんだ。両親がインド、ジャマイカにルーツを持つハリス副大統領は黒人でありアジア系でもある。

米国は同時に人口成長の鈍化も進む。米人口の伸び率は7.4%と大恐慌期を含む1940年調査(7.3%)に次ぐ低水準にとどまった。今回の調査は新型コロナウイルスによる死者急増の影響はない。

人口構成の変化は長期的には民主党に有利といわれる。20年の米大統領選で黒人の87%、ヒスパニックの65%、アジア系の61%がバイデン大統領に投票した。共和党は各州で非白人が投票しにくくなるよう制度変更を進めている。

短期的には共和党に追い風が吹くとの見方もある。国勢調査の結果は22年の中間選挙以降に活用され、テキサスなど同党が優勢な州では人口で配分される下院議席が増える。同党に有利になるよう選挙区の区割りを決める動きも予想される。

多様化の陰で人種差別問題も根深い。新型コロナウイルス禍でアジア系への憎悪犯罪が多発した。アジア系は全体の6%を占め、伸び率では36%と最も大きい。20年の白人警官による黒人殺人事件は黒人差別への激しい抗議運動を引き起こした。

米国勢調査局は17年に、白人が40年代半ばに少数派になると予測した。米ピュー・リサーチ・センターの20年の世論調査よると、民主党支持者では人種の多様化への肯定派が否定派を34ポイント上回ったが、共和党支持者は否定派が10ポイント多かった。

少数派に転落しつつある白人の焦りが、移民排斥を唱えるトランプ前大統領を誕生させたとの指摘もある。米国社会の分断が解消に向かう兆しは乏しい。』

アフガン首都緊迫 タリバン、隣接州も制圧

アフガン首都緊迫 タリバン、隣接州も制圧
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130PZ0T10C21A8000000/

【ワシントン=中村亮】アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが13日までに、第2の都市の南部カンダハルなどを制圧した。米メディアによると8月末の米軍撤収を控え、早ければ1カ月以内に首都カブールが陥落する可能性があると米当局はみている。米英、カナダは大使館員らの退避のため軍の部隊を派遣する。

タリバンは全34州都のうち過半数の18州都を支配した。首都のあるカブール州に隣接する東部ロガール州などを含み、首都から約50キロメートルまで迫っている。

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カンダハルはタリバン発祥の地で、2001年12月に最後の拠点だった同地が陥落し当時のタリバン政権は崩壊した。カンダハル奪還でタリバン兵の士気が一段と高まる公算が大きい。

『アフガン政府軍は孤立しつつある。12日にタリバンは第3の都市である西部ヘラートと、カブールから約130キロメートル南西の東部ガズニを制圧した。カンダハルや北部クンドゥズと合わせて幹線道路が通る要衝を押さえ、物流網の掌握を狙う。

「(米軍撤収決断を)後悔していない」と10日語ったバイデン大統領だが、12日にはホワイトハウスで記者団のアフガン情勢の問いに答えず足早に去った。わずか2日で情勢は大きく悪化した。

バイデン政権は12日、在カブール米大使館の人員を削減する方針を決めた。米国務省のプライス報道官は同日の記者会見で「慎重を期した措置だ」としたが、カブール陥落のリスクが高まったと判断したのは明白だ。

米軍は約3000人をカブールの国際空港に派遣し、外交官らの国外退避を支援する。米CNNは米政府が米大使館をカブールの空港に移転することを検討していると報じた。英国は約600人の部隊を送って自国民の退避を支援する。AP通信によるとカナダも軍特殊部隊を派遣する。

オースティン米国防長官は12日、アフガンのガニ大統領と電話し「厳しい戦いに直面するなかで団結力のあるアフガン国防・治安部隊こそが平和と安全の要だ」と指摘、治安回復をアフガン政府に委ねる考えを示した。だがアフガン政府軍は敗走を続けており、事態打開の兆しはみえない。

米軍撤収への米国民の支持は高い。米議会専門紙ザ・ヒルなどが7月上旬に実施した世論調査では、アフガン撤収支持が73%に達した。米大の調査によると、米国はアフガン戦争に2兆ドル(約220兆円)以上を投じ、01年の開戦以来2300人以上の米兵が死亡した。米軍は中国を念頭にアジア太平洋へと安全保障の軸足を移している。

中東の衛星テレビ、アルジャズィーラによるとアフガン政府は攻撃停止を条件として権力の一部を譲ると提案した。ただタリバンがカブールを制圧し、軍事力で権力を掌握する可能性も排除できない。

米欧や中国、パキスタン、インドなどは12日、カタールでのアフガン情勢を巡る協議後に議長声明を発表し、武力を通じて樹立した政府を承認しないことで合意した。だがタリバンと近い関係にあるとされるロシアやイランは協議に参加していない。アフガンの混乱収拾の道筋は見えない。

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タリバン攻勢「アフガン首都の孤立狙う」 米報道官

タリバン攻勢「アフガン首都の孤立狙う」 米報道官
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1400A0U1A810C2000000/

『【ワシントン=中村亮】米国防総省のカービー報道官は13日の記者会見で、アフガニスタンで攻勢を強める反政府武装勢力タリバンの作戦をめぐり「(首都)カブールの孤立が狙いだ」と指摘した。米CNNテレビによると、在カブール米大使館では機密性の高い書類などを廃棄する方針が決まった。カブール陥落に備えているとみられる。

ホワイトハウスによるとバイデン大統領は13日、安全保障担当の高官から在カブール大使館で働く外交官の退避状況について説明を受けた。バイデン氏は12日、治安悪化を受けて大使館員の削減を指示していた。退避支援を目的に派遣を決めた約3000人の米兵の大半が週末中にカブールの国際空港に到着する見通しだ。

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カービー氏は「タリバンの進軍のスピードを懸念している」と語った。米メディアなどによると、タリバンは34州都のうち18州都を制圧した。カンダハルや北部クンドゥズと合わせて幹線道路が通る要衝を相次いで支配し、カブールへの物流を寸断する狙いとみられている。

カービー氏はアフガン政府の治安部隊がカブールを守る能力があるかどうかを問われて「それはアフガンの指導者が自らのために決める問題だ」と指摘。アフガン治安部隊に対して兵器提供や訓練を通じて十分な支援を行ってきたと強調し、治安部隊が結束して戦うべきだとの見方を示した。

クレイン大統領首席補佐官は13日、「タリバンが国土の掌握を激しく進めるなかでもアフガン撤収を決めたバイデン氏を支持する」と主張する退役軍人の声明をリツイートした。タリバンが攻勢を強めても、バイデン政権は8月末の撤収予定を堅持している。与党・民主党のクリス・マーフィー上院議員もツイッターで「任務そのものに欠陥があった」と書きこんで撤収を支持した。

野党・共和党のマルコ・ルビオ上院議員は「アフガン撤収は中国の急速な軍事力増強や中ロの軍事協力強化への対抗に向けて資源を再分配するものだ」とツイッターで指摘した。「だがそれはテロを完全に無視して良いということではない」と強調し、タリバンの支配下で国際テロ組織アルカイダが復活すると警鐘を鳴らした。

トランプ前大統領は12日の声明でアフガン情勢をめぐり「いま起きていることは受け入れられない」と指摘。「(撤収を)もっとうまくやるべきだった」としてバイデン氏を批判した。

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欧米の大使館、退避加速 カブール孤立化の懸念

欧米の大使館、退避加速 カブール孤立化の懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN140AQ0U1A810C2000000/

『【ワシントン、ブリュッセル=共同】アフガニスタン各地で攻勢を強める反政府武装勢力タリバンが首都カブール郊外まで迫り、欧米の大使館は13日、外交官の一部退避や施設の一時閉鎖に向けた動きを加速させた。タリバンが首都を包囲し首都が孤立化する懸念も深まっており、現地に大使館を置く日本も対応が迫られそうだ。

タリバンは全34州のうち首都に隣接する州を含む18州都を制圧。米国を皮切りに英国やデンマーク、ノルウェー、スペインも次々と一部退避を決めた。ドイツも大使館職員削減を表明した。

国際社会の対応も本格化している。北大西洋条約機構(NATO)は13日、ブリュッセルで緊急会合を開催。ストルテンベルグ事務総長はタリバンに対し「武力で国を奪っても国際社会から認められない」と警告した。

米国防総省のカービー報道官は13日の記者会見で、タリバンが首都を孤立させようとしているとの見方を示し、攻勢の速度に「大きな懸念を持っている」と語った。

国連のグテレス国連事務総長も治安情勢の悪化に危機感を表明し、タリバンに対し「直ちに攻撃を停止するよう求める」と強調した。国連安全保障理事会の外交筋によると、安保理がタリバンによる軍事力を通じた国家樹立を認めないと警告する議長声明を協議しているという。

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米でのアジア系への憎悪犯罪、コロナ後累計9000件

米でのアジア系への憎悪犯罪、コロナ後累計9000件
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN13C320T10C21A8000000/

『【ニューヨーク=西邨紘子】米国でアジア系を狙うヘイトクライム(憎悪犯罪)がやまない。アジア・太平洋諸島系でつくる民間団体「ストップAAPIヘイト」が13日公開した直近の被害報告まとめによると、新型コロナウイルス流行が本格化した2020年3月から21年6月までの期間に寄せられた被害報告は、累計で9000件を超えた。21年は前半6カ月で既に4533件の報告があり、20年(通年で4548件)を上回るペースで増えている。

被害報告の多くは「言葉による嫌がらせ」(63.7%)、わざとらしく避けたり、無視したりする「排斥」(16.5%)が占める。だが、より被害が深刻な「身体への暴行」も13.7%あり、21年は全体に占める割合(16.6%)が前年比で5ポイントほど増加した。

被害者は中国系が43.5%と最も多く、韓国系(16.8%)、フィリピン系(9.1%)が続く。日系の被害報告は8.1%で、4番目に多い。アジア系の高齢者女性が突然、暴力被害を受けるような動画が米メディアでも取り上げられた。

米国でのアジア系を狙った憎悪犯罪は、新型コロナの流行をきっかけに報告が急増した。3月には米南部ジョージア州アトランタでアジア系6人が死亡する銃撃事件も発生し、各地で差別解消を目指す取り組みや抗議デモが広がるきっかけとなった。5月には同問題への対策として「新型コロナウイルス憎悪犯罪法案」が成立、米連邦政府も取り組みを強化する姿勢を見せている。

ストップAAPIヘイト共同設立者のマニューシャ・クルカルニ氏は米メディアに対し、21年に報告件数が急増している理由として、アトランタでの銃撃事件の余波や被害報告先としての認知の高まりなどを挙げた。憎悪犯罪の背景にある人種差別的な考え方は「長年にわたり人々のなかに存在し、急になくなることはない」として、直近の報告件数増が憎悪意識の悪化を示すとの解釈には慎重な姿勢を見せている。

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