[FT]中ロ合同軍事演習、米の懸念あおる

[FT]中ロ合同軍事演習、米の懸念あおる
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『ロシア軍の部隊が、今週本格化している中国の定期軍事演習に初めて参加したことで、欧米のアナリストらは、米国と対立する中ロ両国が共同作戦能力を高めているのではないかと懸念を強めている。

中国の国防省系メディアは、寧夏での中ロの共同軍事演習ではロシア軍に対し、初めて中国軍の装甲車両への立ち入りが認められると報じた=ロイター

中国とロシアの国防省が出した声明によると、1万以上の部隊が参加する中国西部の寧夏回族自治区での軍事演習「西部・合同2021」は、主に早期警戒と偵察、電子戦、共同攻撃に重点を置いたものになる。

米軍のアフガニスタンからの撤収が続き、中ロ両政府がアフガニスタンの反政府武装勢力タリバンと接触した後だけに、軍事演習では中ロ両軍が任務を統合し、共同作戦を実施する方法を習得した形跡がないかどうかが注視される。

「中国が自国の軍事演習にロシア軍を参加させるのは今回が初めてだ」。米国の空軍と宇宙軍向けに専門教育をする米空軍大学の中国航空宇宙研究所のロデリック・リー研究部長はこう話す。「両国がよく実施する二国間の合同軍事演習は、実際の戦闘能力ではなく関係の構築を目指している」

ロシア軍、中国軍の装甲車両にも立ち入り

モスクワの防衛関連シンクタンク、戦略技術分析センターの上級研究員、ミハイル・バラバノフ氏は、演習への参加を決めたロシアの決断は「紛れもなく、相互交流と軍事協力の深化に向けた一歩となる」と指摘する。「両国の新戦略がすべて絡み、この協力関係は(予想より)早く深まりそうだ」

中ロ政府は両国の関係は正式な防衛同盟ではないと主張するものの、両国軍は互いの電子通信システムへのアクセス権を認め、共同部隊の運用システムを築くかもしれないとアナリストらは考えている。

「両国軍がこれは同盟ではないと言っても、私にはすんなり受け入れがたい」とリー氏も述べる。「両国軍が並んで活動するのを目にし、一部の機密情報と通信を共有し始めたら、紛争か危機のときには何らかの相互運用性があるはずだ」

中国の国防省系メディアは8日、ロシア軍の兵士が初めて中国軍の装甲車両への立ち入りを認められると報じた。

「問題は、ロシアの兵士が装甲車両に関する情報システムへのアクセス権も与えられるかどうかだ」とリー氏は話す。「ロシア側は、宇宙空間にある自国の資産や通信資産への一定のアクセス権を中国に与え始めるかもしれない。私の感触ではそれが両国の向かっている方向だ」

NATO加盟国の懸念はあおりたくない

中ロ両軍が2005年に合同演習を始めた時には長年、中央アジアでのテロの鎮圧に主眼を置いてきた上海協力機構(SCO)の年次軍事演習「平和の使命」で手を組むだけだった。

だが12年以降、ロシアと中国は定期的な海軍合同演習を実施している。18年からは、ロシアが毎年行う軍事演習に中国人民解放軍が参加するようになった。これまで3回、それぞれロシアの東部、中部、南部で行われている。

ただ人民解放軍は今年、ロシア西部で実施される大規模軍事演習への参加を見送ると見られる。

アナリストらは、中国政府が中国の軍事力に対する北大西洋条約機構(NATO)加盟国の懸念をあおるのを避けたいと考えているからだろうとみる。

米ワシントンのシンクタンク、ハドソン研究所政治軍事分析センターのリチャード・ワイツ所長は「中国は今回の寧夏での演習をロシアの軍事演習への参加の代わりにすることで、NATOの東部加盟国の国境地帯まで自国の地上部隊を展開すべきか否かという問題を巧みに回避した」と話している。

By Kathrin Hille and Henry Foy

(2021年8月10日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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