1.6兆円かけた東京五輪…世論は反転、経済効果はゼロ
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2021/08/09/2021080980004.html
『「日本だからそれでもこの程度の五輪を開催できたのではないですか。コロナ禍の中で行われた東京五輪がこれからの国際イベントの基準になるのではないかと思います」
東京五輪の閉幕式が行われた8日、新国立競技場(東京五輪のメーン会場)前で出会った30代の会社員、山口ヨシヒトさんは「困難な状況だったが、それでも五輪を開催してよかった」と語った。五輪代表選手の活躍に泣いて笑ったし、日本が準備したからこそ大きな問題なく日程を終えることができたというプライドが感じられた。新国立競技場は同日、閉会式の準備で近付くことができなかったが、遠くからでも記念撮影をしようという人たちが押し寄せた。
東京五輪開幕後、日本メディアはスタンスが反転し始めた。今年に入り、「東京五輪開催中止・再延期」を主張するメディアは一時8割に達した。しかし、日本が金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個の計58個のメダルを獲得し、日本の五輪史上で最高の成績を記録すると、「五輪をやってよかった」というムードに変わった。朝日新聞によると、大阪大の三浦麻子教授の研究チームは5月23日から7月29日まで8回にわたり、全国の成人1000人を対象に五輪関連の世論調査を実施した。その結果、5月末に72.6%に達していた「五輪反対」の意見は開幕1週間後の7月27-29日には53.5%に低下した。
選手が活躍した競技は高視聴率を記録した。3日に放送された男子サッカー準決勝「日本対スペイン」戦の平均視聴率は30.8%だった。試合中には一時44.3%まで上昇した。男子野球準決勝「韓国対日本」戦(4日)は26.2%、卓球女子団体江決勝「日本対中国」(5日)は26.3%だった。大半が無観客で行われ、自宅で観戦しようというムードが広がり、ソーシャルメディア上での応援も熱を帯びた。開幕前にソーシャルメディアでも五輪に否定的な世論が圧倒的だったのと比べ対照的だ。
■世界競争力ランキング10位は米国、中国20位、韓国23位、日本は?
東京=チェ・ウンギョン特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 』
『こうした五輪の熱気がこれから日本社会の活力になるかどうかは未知数だ。日本メディアは元々五輪による経済効果に疑問を投げ掛けてきた。2013年に東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会は開催費用を7340億円と試算したが、実際の開催費用は1兆6440億円で2倍以上に膨らんだ。過去最大規模だ。一方で経済効果は「ほぼゼロに近かった」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)と評されている。無観客による開催でチケット収入900億円が吹っ飛び、外国人観光客や路上応援が消え、内需刺激効果もなくなってしまった。
新型コロナウイルスの流行も残された課題だ。五輪期間に日本の新規感染者数は1万5645人(6日)まで増え、毎日過去最高を更新している。五輪開催地の東京だけで1日の新規感染者数は5000人を超えた。専門家は「2週間後には東京だけで1日に1万人を超える新規感染者が出るのではないか」と警告している。菅義偉首相は「五輪とコロナ流行は無関係だ」とし、「中継のおかげで家に留まる人が増えた」と主張した。しかし、与党自民党内から「今秋の衆院選が不安だ」と懸念する声が聞かれるほど今後の政局は不透明だ。多摩大ルール形成戦略研究所のブレッド・グロッサーマン副所長は「五輪代表選手が日本国民にせっかく喜びを与えたが、日本国民は政府の優先順位が国民の健康だったのか、それとも五輪という体面だったのかという疑問を抱かざるを得ない」と指摘した。
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東京=チェ・ウンギョン特派員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 』