米中、ハイチで外交戦 大統領暗殺から1カ月

米中、ハイチで外交戦 大統領暗殺から1カ月
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN04EJZ0U1A800C2000000/

 ※ 未だ、全容は解明されていない…。

 ※ しかし、ハイチが「台湾承認国」である…、ということが、何らかの影響を与えていることは、どうも確からしい…。

『【ワシントン=永沢毅、メキシコシティ=宮本英威】現職大統領の暗殺で政治の混迷が深まるハイチで、米国と中国が外交戦を繰り広げている。ハイチは台湾と外交関係を持つ15カ国の1つで、中国は新型コロナウイルスのワクチン支援をちらつかせながら台湾との断交を迫る。米国は警戒を強めながらもハイチへの関与強化には二の足を踏んでいる。

ハイチでモイーズ大統領が暗殺されてから7日で1カ月となる。元司法・公安相や元最高裁判事に事件への関与の疑惑が浮上しているが、事件の背景は依然として明らかになっていない。

ハイチの内政が混乱する中、米中は激しい外交戦を繰り広げている。台湾を支援する議員連盟に所属するトム・ティファニー氏ら2人の米連邦下院議員はブリンケン国務長官に書簡を送り、「中国は台湾と断交させ、自らと外交関係を結ぶよう圧力をかける機会を常にうかがっている」と中国の影響力拡大に警戒感を示した。

中国は台湾を国際社会で孤立させる戦略の一環で、台湾と外交関係を持つ国々への経済支援をテコに断交を働きかけてきた。中米・カリブ諸国ではパナマ、エルサルバドル、ドミニカ共和国が2017~18年にかけて相次ぎ台湾と断交している。

中国は新型コロナのワクチン供給を条件にハイチへの圧力を強めている。「ワクチン外交」を推進する中国はドミニカなどに中国製ワクチンを支援しているが、ハイチには提供していない。中米で台湾と外交関係のあるグアテマラやホンジュラスなども同じだ。

米国はこれらの国々にワクチンを供給し、後ろ盾となっている。「私たちは政治的な見返りを求めていない」。米国は中国をこう批判する。

台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)総統は外交関係のつなぎ留めに腐心している。19年にハイチを訪れ、関係維持を呼びかけた。新型コロナ対策ではマスクも寄贈している。

米国は米連邦捜査局(FBI)や国土安全保障省の職員をハイチに送り、暗殺事件の捜査を支援している。政治空白を最小限にとどめるため大統領選の早期実施を探るが、ハイチ政府から求められている米軍の派遣には応じるそぶりはみせていない。

クリントン政権で中南米担当の大統領特別補佐官やハイチ特使を務めたランド研究所のジェームズ・ドビンズ上席研究員は米国のさらなる関与には慎重な姿勢を示す。「過去の米国のハイチ支援はいずれも失敗に終わっている。ハイチは米国にとって重荷でしかない」とみる。

米国は1990年代以降で米軍をハイチに2回派遣し、民主化の定着を支援しようとしてきた。短期的には成功をおさめたが、程なくほころびがあらわになって追加対応を迫られてきた経緯がある。

中国との戦略的競争に集中したいバイデン政権は8月末の完了をめざしてアフガニスタンからの米軍撤収を急いでいる。米国の「裏庭」で起きた暗殺事件は余力に乏しい米外交の苦境を映し出す。』