アルゼンチン外相、域内国からの保護主義批判に反論

アルゼンチン外相、域内国からの保護主義批判に反論
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN102BN0Q1A610C2000000/

『発足合意から30周年を迎えた南米4カ国の関税同盟「南米南部共同市場」(メルコスル)は加盟国間の対立で機能不全に陥っている。ブラジルやウルグアイはアルゼンチンの保護主義的な姿勢が主な原因だと批判する。アルゼンチンのフェリペ・ソラ外相は日本経済新聞の書面インタビューに応じ、こうした意見に反論した。一問一答は以下の通り。

――アルゼンチンの保護主義的な姿勢にメルコスル加盟国から批判が出ています。

「批判には同意しかねる。アルゼンチンは野心的な貿易交渉課題に取り組んでいる貿易圏の一員であり、現在、36カ国と交渉を行っている。これらの交渉においてアルゼンチンはいくつもの場面で中心的な役割を果たしてきた」

「論点はアルゼンチンが保護主義的であるかどうかではない。生産面での各国・貿易圏の戦略的利益を定義することが重要だ。我々の関心はメルコスルの対外的な影響力を強化するために世界とつながり、雇用と経済活動を維持しながら海外市場への参入を果たすことだ」

――メルコスルの課題についてどのように考えていますか。

「関税同盟として機能するために議論が本格化している。加盟国の合意の下、全体的な見直しに取り組む必要がある。経済の競争力を高め、生産的発展の手段として役立つものでないといけない」

「メルコスルは30年前、経済的な非対称性が顕著な発展途上国によって設立された。一部の分野では満足のいく一致を得たが、ほかの分野では規模や競争力の面で無視できない差が残っている」

――2019年にアルゼンチンで政権交代が起きたことで、改革が遅れているとの指摘があります。

「一部の加盟国がブレーキをかけているためにメルコスルが前進していないという見方を共有することはできない。アルゼンチン政府は前政権が締結した自由貿易協定(FTA)を維持しており、交渉についても引き継いだ形で進めている」

――ウルグアイやブラジルはメルコスルに縛られずに、個別に通商協定を締結したいと望んでいます。

「この問題は、加盟国が表明する見解を超えている。共通通商政策はメルコスルの根幹をなすものだ。不確実性の高い国際情勢の中で、アルゼンチンはメルコスルの制度的な安定性を重視している」

「現在の通商交渉で期待された結果が得られていないことを無視しているわけではないが、メルコスルが一丸となって協力し続けることが必要だと考えている」』

南米関税同盟30年、機能不全あらわに 意見対立も表面化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26EQS0W1A520C2000000/

『【サンパウロ=外山尚之】ブラジルやアルゼンチンなど南米4カ国による関税同盟「南米南部共同市場」(メルコスル)が加盟国間の対立で機能不全に陥っている。欧州連合(EU)との自由貿易協定(FTA)も環境問題を巡って停滞しており、発足合意から30周年を迎えたメルコスルの存在意義が改めて問われている。

加盟国の一つ、ウルグアイのラカジェポー大統領は7月、同国がメルコスル域外の国と2国間貿易協定の交渉を始めると宣言した。メルコスルの規定では他国の合意を得ない個別交渉は禁じられており、ウルグアイは「抜け駆け」した格好だ。同大統領は「世界は我々を待ってくれない。だからこそ、前に向かっていることを伝えたい」と述べた。

ウルグアイはこれまでも個別交渉を求めており、アルゼンチンのフェルナンデス大統領は3月の首脳会合で、ウルグアイに対して「我々が重荷ならば、船から下りればよい」と言い放った。この結果、共同宣言も発表できない異例の事態となっていた。

メルコスルはブラジル・アルゼンチン・ウルグアイ・パラグアイの4カ国で構成する。1991年に発足合意に関するアスンシオン条約に署名し、95年に発足した。域内総生産(GDP)で世界有数の規模を背景に、地域の経済統合を深め、関税同盟として他国とのFTA交渉を進めていくことを目指した。

しかし、域内統合や自由貿易網の構築は遅れている。域内経済をけん引するブラジルやアルゼンチンで政権交代が起きるたびに方針が二転三転し、十分な成果を出せていない。

EUとのFTA交渉も批准の見通しは立たない。オーストリアの連立政府の一角を占める緑の党は3月、アマゾン熱帯雨林保護に消極的なブラジル政府の態度を理由に、メルコスルとEUとのFTAを拒否する意向を示した。

フランス政府も環境保護を理由に、消極的な姿勢を崩していない。総選挙を控えるドイツでも環境保護への関心が高まっており、両者のFTA交渉が再開するめどは立っていない。

メルコスルが市場開放で遅れる姿は、加盟国の国際競争力の低下という形で表面化している。スイスのビジネススクールIMDの21年世界競争力ランキングでは、世界の主要国・地域の中で、ブラジルは57位、アルゼンチンは63位と下位に低迷している。加盟国内の対立が深まるなか、メルコスルが南米経済のけん引役になる日は遠いのが実情だ。』

中国の経済的影響力維持を指示した習近平

https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20210803-00251332

『対中包囲網を標榜するバイデン政権の対中貿易額が増加する一方、習近平は政治局会議を開き中国経済に関する外部環境に警戒を発した。チャイナマネーによる引力に陰りが出ると北京冬季五輪にも影響するからだ。都内では同日、駐日中国大使を遣って「反中感情を煽るな」という講演をさせている。

◆習近平が中共中央政治局会議を招集

 例年の北戴河会議を前に、習近平は7月28日から立て続けに会議を招集しているが、7月30日には現在の経済情勢と今後の指針に関する中共中央政治局会議を開催した。

 会議ではコロナからいち早く回復した中国では、まだ回復しきれていない諸外国との交易による中国の経済成長を着実にさせてはいるものの、外部環境は複雑で厳しく、国内経済の回復は未だに不安定で不均一であることなどを指摘した。したがって今後は警戒を強め、中国独自でも成長していける堅実なものに持っていかなければならないことなどが議論された。

 同日、国務院新聞弁公室で財政部が「中国の上半期のGDP成長は12.7%」と記者発表しているものの、習近平はむしろ「身を引き締めよ」というメッセージを発していた。

 外部環境とは何を意味しているかと言うと、まずはアメリカの対中政策と実態がいつ急変するか分からないことと、中国以外の国がコロナ回復した時に中国を今現在ほどには必要としなくなるかもしれないということを指している。その変化に対応するためには、自国における生産の質を高めることと内需を強化し供給側の構造改革を進めるしかないと指示した。

 国内経済が未だ不安定で不均一であるのは、たとえば必ずしもハイテク部品を国内生産できておらず、小売業などはアリババやテンセントなど大手IT企業によって独占されていて中小及び零細企業の活動の場が狭められていることなどを指す。中小企業から最先鋭のハイテク製品が生まれる可能性を育てよという指示も含めている。

 会議はほかにももろもろの問題を討議したが、ここでは主として、現在はどのような「外部環境」にあるのかを考察してみたい。

◆激増したアメリカの今年上半期の対中貿易額

 7月13日、中華人民共和国海関(税関)総署は「2021年1月から6月までの我が国における対米輸出入状況」を発表した。それによれば2021年上半期における中国の対米輸出は2528.637億ドルで前年度同期比の42.4%増であり、輸入は879.424億ドルで前年度同期の55.8%増に達するという。

 バイデン政権はあれほど激しく対中包囲網を呼びかけ、中国経済とのディカップリングを叫びながら、何のことはない、対中貿易額は激増しているではないか。

 コロナがあったためであることは十分に考えられるので、それならトランプ政権以来の推移はどうなっているのか、他国との比較において考察してみたいと思う。

◆2016年から2021年上半期における対中貿易の推移

 そこで税関総署における過去の統計から、以下のようなデータを拾ってみた。

     表1:2016年から2021年における上半期の輸出入額

中華人民共和国海関総署のデータより筆者作成
 ここででは比較対象国・地域として「アメリカ、EU、ASEAN、日本」を選んでみた。暦年データで上半期に絞ったのは、7月13日に発表されたデータが上半期だけのものなので、比較を公平にするためだ。

 数字だけでは見にくいかもしれないので、輸出入総額だけをグラフにプロットしてみた。

図1:2016年から2021年の上半期における貿易額(輸出入総額)

中華人民共和国海関総署のデータより筆者作成
 図1から明らかなように、トランプ政権のときの対中経済制裁によって、ようやくその効果が表れ始めたのは2019年からだ。

 2020年はコロナによるダメージを受けているので、どの国も貿易額が落ちているが、2021年に入ると軒並み対中貿易が急増している。もっとも日本だけはコロナ下にあってもなお対中貿易を閉ざしておらず、2020年で激減していないのは、主要国では日本だけと言っても過言ではない。何といっても中国が最大貿易国である日本は、世界でも特異な存在である。

 それにしても、あれだけ中国とのディカップリングを叫んでいるバイデン政権は、何をやっているのか。現実と言葉の間に、あまりに大きなギャップがありはしないか。

◆ここ20年で世界の貿易相手国は中国に移っていた

 そう思って意気消沈していたところに、それ以上に大きな衝撃を与えるデータを見つけてしまった。

 イギリスの「エコノミスト」という雑誌にJoe Biden is determined that China should not displace America(ジョー・バイデンは、中国はアメリカに置き換わるべきではないと決意している)という論考が掲載されており、そこに以下のような図があるのを発見したのだ。

 それは2000年におけるアメリカ(青)あるいは中国(赤)を最大貿易相手国としてきた国・地域と、2020年における国・地域を世界地図で色分けして比較したもので、最後にIMF(国際通貨基金)が示した「貿易統計の方向性」を添えている。

 それを「図2」に示す。

「エコノミスト」の論考より転載
 図2の最後にある「% of global total」にご注目いただきたい。

 2000年では「圧倒的にアメリカ」が主たる貿易相手国である国が多いのに、20年後の2020年では、「圧倒的に中国」を主たる貿易相手国とする国が増えている。

 2010年で逆転していることに注目していただきたい。

 これこそは正に、筆者が主張し続けている「天安門事件後の対中経済封鎖を日本が率先して解除して結果」が招いたものなのである。

 このような決定をした日本政府を拙著『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』では「万死に値する」と書いたが、この事実が、IMFによって、このような「姿」で表されていることを知らなかった。

◆習近平の警告:IOCなど、世界を惹きつけておくためには「現状を崩すな!」

 習近平が政治局会議で警鐘を鳴らしているのは「この現状を崩すな!」ということである。

 金が金を呼ぶ――。

 IMFのこの図は、「二つの物体間に働く力は質量に比例する」という、中学でも習う「ニュートンの重力」法則の類似性を、ふと想起させる。

 「金の塊の大きさが大きければ大きいほど、もう一方の物体をより強く惹きつける」のだ。この「塊=チャイナマネー」の大きさを縮めてはならず、「その魅力を維持あるいは拡大させよ」というのが政治局会議で発した習近平のメッセージだと解釈することができる。

 今のところバイデン政権は「口だけ」戦略だが、いつ「実質」を伴う方向に転換していかないとも限らない。だから「外部環境」が変化しても中国の影響力を維持もしくは拡大せよというのが習近平のメッセージなのである。

 それ以前に「外部環境」が中国に不利な方向に変化しないように鋭意努力せよというのが中共中央から発せられた指示であると解釈しなければならない。

◆中共中央の指示に従い、都内のシンポジウムで駐日中国大使が講演

 それを証明するかのように、政治局会議の同日である7月30日に、中国の孔鉉佑駐日大使が都内で開催されたシンポジウムで講演をし、日本側に「積極的な対中政策」を求めた。このことは朝日新聞DIGITALでも報道されているが、孔鉉佑は日中関係について「健全で安定的な発展が両国の根本的な利益だ」とした上で、「日本には反中感情を煽る勢力がある」と指摘しているようだ。

 会議には中国政府から派遣されている御用学者であるような朱建栄(東洋学園大学教授)や極端な親中親韓で知られる鳩山由紀夫(元首相)などが出席し、どうやら「反中感情を煽る勢力」として筆者の名前も取り沙汰されたと友人が教えてくれた。

 筆者は中国革命戦において共産党軍によって食糧封鎖を受け死体の上で野宿し、家族を餓死で失っている。その経験を書いただけなのに、中国語に翻訳したドキュメンタリーを中国政府はどんなことがあっても出版させなかった。中国を信じて、何十年待ち続けたかしれない。しかし、その願いは実現されなかった。それどころか中国共産党の負の側面(客観的事実)を書いたことによって私はまるで「犯罪者」のような扱いを受けている。

 「事実を書く人間を犯罪者扱いする」社会を批判するのは良心ある者の取るべき姿勢であって、正義と良心において日夜真実を求めて闘っているだけだ。

 中国は批判されたくないのなら、中国政府のスローガンである「実事求是(事実を事実として認め、真実を求める)」を実行せよと言いたい。

 日本は政界だけでなくメディアを含めて、中共中央の掌(てのひら)の上で動いている。その現実を直視する判断眼を、心ある日本人は是非とも持っていただきたいと心から切望する。』

五輪テレビ視聴、低調

五輪テレビ視聴、低調 広告の補償交渉も―米
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021080200142&g=int

『【ニューヨーク時事】米国で東京五輪のテレビ視聴が低調だ。有名選手の欠場など複数の要因が背景にあるとみられる。米国で五輪の独占放映権を持つメディア・娯楽大手NBCユニバーサルは、想定より低い数字に気をもんでいる。


ワクチン効果、戻る米国の日常 NBC、五輪放映へ強気

 東京五輪開会式の米国の視聴者数は約1700万人と、前回のリオデジャネイロ五輪から36%減った。7月27日までの夜間の平均視聴者数も、リオ大会の同じ期間に比べ42%減となっている。

 視聴率が想定を下回る場合、テレビCM放映企業に対し、テレビ局は補償として追加広告枠を提供する。米報道によると、NBCは複数の広告主とこうした補償交渉を始めたという。NBCは先に、東京五輪の広告販売が12億5000万ドル(約1370億円)を超え、五輪史上最大になったと明らかにしていた。

 視聴率低迷には、メダル獲得が有力視されていた米体操女子シモーン・バイルス選手の欠場や、米国でも人気が高いテニスの大坂なおみ選手の敗退などが影響したとみられている。また、ここ数年の「テレビ離れ」加速や、日本との時差、無観客開催で盛り上がりに欠ける点を指摘する声もある。

 NBCのシェル最高経営責任者(CEO)は7月29日、五輪の視聴率が「恐らく事前予想より低い」と認めた。一方、インターネット経由の視聴は好調と述べ、今大会を通じて利益を上げることができるとの見方を示した。』

米、中国59社へ投資禁止

米、中国59社へ投資禁止 資本市場の分断加速―大統領令発効
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021080200464&g=int

『【ワシントン時事】バイデン米大統領が国家安全保障上の懸念を理由として、中国企業59社に対する証券投資の禁止を命じた大統領令が2日発効した。米国の個人や企業は指定先への新規投資ができなくなる。米国の投資マネーが中国の軍事開発や人権侵害に使われるのを阻止する狙いで、資本市場をめぐる米中の分断が深まりそうだ。

大国間戦争、サイバー攻撃から 米大統領、中ロの脅威強調

 トランプ前政権が導入した四十数社を対象とする禁止リストを修正した。中国軍と密接に結び付いている防衛関連企業だけでなく、人権侵害を助長する監視技術関連企業などに範囲を拡大した。

 指定企業や関連会社が発行した株式、債券への直接投資のほか、上場投資信託(ETF)などを通じた間接投資も原則禁止となる。2022年6月3日以降、売買が禁じられる。

 通信機器最大手・華為技術(ファーウェイ)や監視カメラ最大手・杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)など、多くがトランプ前政権の禁止リストから引き継がれた。

 一方、米裁判所に指定取り消しを求めて勝訴したスマートフォン大手・小米(シャオミ)や、世界有数のスパコン開発大手・曙光信息産業(スゴン)が対象から削除された。

 中国当局も、米国などで上場する国内企業の監督を厳格化している。今年上半期に過去最高ペースで推移していた中国勢の米国上場は急減速しており、ウォール街は米中の規制リスクを一段と考慮せざるを得ない状況だ。』

独艦船、インド太平洋へ出航

独艦船、インド太平洋へ出航 日豪など共同訓練、北朝鮮監視
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021080200902&g=int

『【ベルリン時事】ドイツ海軍のフリゲート艦「バイエルン」が2日、北海沿岸のウィルヘルムスハーフェンからインド太平洋に向けて出航した。来年2月末までの航行で、日本や韓国、オーストラリア、米領グアムといったインド太平洋の各地に寄港し、共同訓練などを行う。日本には11月ごろに寄港の見込みで、北朝鮮船舶が国連制裁決議に違反して洋上で物資を積み替える「瀬取り」の監視活動にも参加する。
英空母と初の共同訓練 ソマリア沖で海賊対処―海自

 フリゲート艦は、中国が領有権を主張して周辺国と対立を深める南シナ海も航行する。ただ、上海への寄港も調整しており、中国に対する過度な刺激や緊張を避ける方針。クランプカレンバウアー国防相は2日、出航を前に「価値を共有するパートナーと共に、ドイツのインド太平洋での存在感を示す」と強調した。』

[社説]米比同盟で力の空白を避けよ

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK026R10S1A800C2000000/

『フィリピンが自国内での米軍の法的地位を定めた協定を存続させると決めた。ドゥテルテ大統領が米国に破棄を通告し、宙に浮いていた協定だ。米比同盟を機能させる重要な取り決めの堅持は、南シナ海の軍事拠点化を進める中国をけん制するうえで歓迎できる。

オースティン米国防長官(左)はフィリピン訪問で重要な軍事協定の存続合意の成果をあげた=ロイター

「訪問軍地位協定(VFA)」は米軍が寄港したり、合同演習を行ったりする際の根拠になっている。相互防衛条約や防衛協力強化協定といった他の軍事協定も、VFAがあってこそ意味を持つ。

ドゥテルテ氏は、側近の元警察長官が人権侵害を理由に米国から入国ビザの発給を拒まれたことに腹を立てたとされ、昨年2月にVFA破棄を一方的に通告した。ただし実行はその後留保していた。

理由として新型コロナウイルスの感染拡大を挙げた。破棄の通告後、中国の公船が比海軍の船にレーザーを照射したり、領有権を争う南シナ海の島々に一方的に行政区を新設したりする不穏な動きが相次いだことも背景とみられた。

フィリピンは日韓やオーストラリア、タイと共にインド太平洋地域で5つある米同盟国の一角だ。VFAが失効すれば同盟が形骸化し、アジアのパワーバランスに重大な影響を及ぼしかねなかった。

破棄の撤回は、オースティン米国防長官が先週、フィリピンを訪れた際に合意した。バイデン政権の閣僚として初の東南アジア訪問で、安全保障上の懸案事項を解消したのは大きな成果だ。

中国は米比同盟の綻びに伴う「力の空白」を巧みに突き、海洋進出を加速させてきた。

1995年にミスチーフ礁を占拠したのは、在比米軍の全面撤退の3年後だった。その反省から98年にVFAを結んだが、2012年にはスカボロー礁の占拠も許してしまう。当時のオバマ政権の対応の鈍さへの不満が、ドゥテルテ氏の破棄通告の遠因でもあった。

対中国で同盟国との連携を重視するバイデン政権は、VFAの存続決定を機に、フィリピンとの安保協力の再点検が急務となろう。』

ミャンマー問題、特使決定急ぐ

ミャンマー問題、特使決定急ぐ ASEAN外相会議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM014EL0R00C21A8000000/

『【ヤンゴン=新田裕一、シンガポール=中野貴司】東南アジア諸国連合(ASEAN)は2日、オンライン形式で外相会議を開いた。特使の早期派遣を協議するなど、国軍による市民への弾圧がやまないミャンマー問題で打開を目指した。ただ、国軍が民主派との対話に応じる兆しはなく、ASEANが今後影響力を発揮できる可能性も限られる見通しだ。国軍が主導権を握る状態が続けば、ASEANの存在意義が問われることになる。

会議は当初予定の2時間を大幅に超過し、5時間に及んだ。ASEANは4月下旬に、インドネシアの首都ジャカルタでミャンマー情勢を話し合う臨時の首脳会議を開き、暴力の即時停止や特使の派遣など5項目で合意していた。インドネシアのルトノ外相によると、2日の外相会議では多くの時間をこの5項目の協議に費やし、ルトノ氏はミャンマーにASEANが提案する特使案を受け入れるよう訴えた。

ロイター通信によると、ブルネイのエルワン第2外相を特使とする案に加盟国の支持が集まった。ミャンマー側の5項目についての発言内容は明らかになっていない。

ミャンマーのミン・アウン・フライン国軍総司令官は2月のクーデターから半年の節目となる1日の演説で、ASEANの特使について「対話の用意がある」と述べ、受け入れる姿勢を示した。一方で、5項目の合意について「我々が行うべきことは既に行った」と主張した。「(ASEAN側から示された)3人の特使候補からタイのウィラサック元外務副大臣を選んだが、その後で新たな提案が示され前に進めなくなった」とも述べた。

国軍が受け入れ姿勢を見せたのを受け、ASEANは2日の外相会議で特使の決定など、これまで進展が乏しかった事態の前進を目指した。国軍側の同意も得た上で、特使を早期にミャンマーに派遣したい考えだ。複数の外交筋によると、ASEANは特使の派遣にあたり、クーデターで身柄を拘束された民主化指導者のアウン・サン・スー・チー氏との面会を求めており、国軍と民主派の対話の橋渡し役となることを目指す。

ただ、国軍が特使訪問を支配の既成事実化に利用する恐れもある。9月中旬には国連総会が開幕する予定だ。ある外交筋は「国連総会までにASEAN特使の人選を固められなければ、国軍は非難をかわせなくなる」と指摘する。逆に特使が決まれば、国際社会は一旦その成果を待つことになる。

仮に特使派遣が実現しても、短期間で成果を上げるのは難しい。シンガポール元外務次官のビラハリ・カウシカン氏は「現状では国軍がASEANを含む他国からの説得に応じる可能性は乏しく、どんな外交努力もうまくいかない」と事態打開の難しさを指摘する。

ASEANは軍事政権下の06年3月にも、当時のマレーシアのサイドハミド外相を特使としてミャンマーに派遣したことがある。03年にスー・チー氏が3度目の自宅軟禁処分を受け、欧米が軍事政権への制裁を強めていた時期だ。だがASEAN特使はスー・チー氏にも軍政トップのタン・シュエ国家平和発展評議会議長とも面会できなかった。今回も国軍が特使とスー・チー氏との面会を拒否する懸念がある。

これまで5項目が実現しなかった背景には、ASEAN加盟国間の意見の隔たりが続いてきたこともある。インドネシアやシンガポールなどがミャンマー問題の解決に積極的に関与する立場である一方で、タイやベトナムなどは慎重な姿勢だ。ASEANは内政不干渉を原則とすることもあり、5項目には一部加盟国が求めていたスー・チー氏らの解放は盛り込まれなかった。

外相会議では、中国と一部加盟国が領有権を争う南シナ海問題も議題となった。中国が軍事拠点化を進める南シナ海の現状について、インドネシアが懸念を示し、同様の懸念を示す国も出たもようだ。中国との成文化交渉を再開した紛争防止に向けた行動規範(COC)の進捗状況も確認したとみられる。

ASEANのオンライン形式の関連会議は6日まで開かれる。4日には日中韓、米国、ロシアなどが加わる東アジア首脳会議(EAS)参加国の外相会議が、6日には北朝鮮などもメンバーのASEAN地域フォーラム(ARF)閣僚会議が予定されている。一連の日程終了後の7日に議長国ブルネイのエルワン第2外相が記者会見する。』

アフガン大統領、米軍撤収を非難

アフガン大統領、米軍撤収を非難
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02DEZ0S1A800C2000000/

 ※ こういう風に、「覇権国」の「世界戦略の変更」は、全く「覇権国の都合で」決定される…。

 ※ 当事国に対する「忖度」は、一切無い…。

 ※ だから、何度も言ってるが、「覇権国が考えていること」「覇権国の頭の中」を探っておくことが、決定的に重要となる…。

 ※ それを「怠って」、思わぬ結果となったとしても、「あとの祭り」なだけだ…。

『【カブール=AFP時事】アフガニスタンのガニ大統領は2日、国会で、米軍の撤収は「突然だった」と非難した。アフガンの治安悪化に関し「現在の状況に陥ったのは(撤収の)決定が突然だったからだ」と説明。米政府には、米軍撤収が招く「重大な結果」について警告してきたと訴えた。』

〔船主(船主業)とは?〕

海運就職指南 - 船主系職種
https://tramperblog.com/2020/06/04/%E6%B5%B7%E9%81%8B%E5%B0%B1%E8%81%B7%E6%8C%87%E5%8D%97%E3%80%80%EF%BC%8D%E3%80%80%E8%88%B9%E4%B8%BB%E7%B3%BB%E8%81%B7%E7%A8%AE/#:~:text=%E8%88%B9%E4%B8%BB%E6%A5%AD%E3%81%AF%E4%B8%BB%E3%81%AB3%E3%81%A4%E3%81%AE%E6%A5%AD%E5%8B%99%E3%81%AB%E5%88%86%E8%A7%A3%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%81%A8%E8%80%83%E3%81%88%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82,%E6%96%B0%E9%80%A0%E8%88%B9%E3%82%92%E7%99%BA%E6%B3%A8%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%80%81%E6%89%80%E6%9C%89%E3%81%97%E3%81%9F%E8%88%B9%E8%88%B6%E3%82%92%E8%88%B9%E8%88%B6%E9%81%8B%E8%88%AA%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%81%AB%E8%B2%B8%E3%81%97%E5%87%BA%E3%81%97%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%81%99%E3%82%8B%E5%96%B6%E6%A5%AD%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%AE%E6%A5%AD%E5%8B%99%E3%80%81%E8%88%B9%E8%88%B6%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%A5%AD%E5%8B%99%E3%81%AB%E4%B8%BB%E3%81%AB%E5%88%86%E3%81%91%E3%82%89%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%80%82%20%E8%88%B9%E8%88%B6%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%A5%AD%E3%81%A8%E8%88%B9%E5%93%A1%E9%85%8D%E4%B9%97%E3%81%A0%E3%81%91%E3%82%92%E8%A1%8C%E3%81%86%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E3%82%82%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%AE%E3%81%A0%E3%81%8C%E3%80%81%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E7%9A%84%E3%81%AB%E8%88%B9%E4%B8%BB%E3%81%8C%E8%A1%8C%E3%81%86%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A0%E3%81%A8%E8%80%83%E3%81%88%E3%81%A6%E3%81%8F%E3%82%8C%E3%81%A6%E3%82%88%E3%81%84%E3%80%82

 ※ いわゆる、「船舶のオーナー(所有者)」のことのようだな…。

 ※ この「船主」が、「運航会社」に貸し出したり、リースしたりするんだろう…。

 ※ それで、運航会社が、船員を手配したり、運航計画策定したり、寄港地と連絡取ったりして、実際の運航にあたる…、という「業務分担」なんだろう…。

 ※ 船主は、船舶そのものの保守・管理に当たり、塗装の塗り替えの計画立てたり、船体への「付着物」を取り除いたり、次の「新規船舶の建造」計画を立てたりするんだろう…。

船主
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%88%B9%E4%B8%BB

『船主(せんしゅ、ふなぬし)とは、船舶を所有する者のことである。発音が同じ「船首」(せんしゅ)と区別するため「船主」を「ふなぬし」と読むことがある。

船主が、英語でシップオーナー(Ship owner)と呼ばれるのに対し、船の運航者はオペレーター(Operator)と呼ばれる。 「船主」という言葉を使うときは、後者の例で「オーナー」に徹し、専ら海運会社に船を貸し出す立場の者を意味することが多い。』

『概説

海運業に於いては、海運会社自身が所有(Ownership)と運航(Operation)の両方を実施する場合と、所有と運航とを分業し、海運会社は船主から船を借り、運航のみを実施する場合がある。

日本では愛媛県の今治市を中心に、船主を生業とする事業者が偏在して、日本全体の外航船舶の約30%を保有している[1]。愛媛船主(エヒメオーナー)は、ギリシャや香港の船主と並び、世界の海運界でも有名な存在である。愛媛船主は様々な船を持っており、保有船隻は約830隻、資産価値にして約2兆円とされている。 [2]市内には金融機関や保険会社、総合商社、法律事務所などが船主向けの企業が多数立地している。

海運会社自身の所有や愛媛船主であっても、便宜置籍船とされることが多く、船籍港はパナマやリベリアといった便宜置籍国となる。

船舶所有者

船員労働に関する法律における「船舶所有者」とは、船舶において労務の提供を受けるために船員を使用する人のことを指す。必ずしも船舶の実際の所有者(船主)と一致するわけではない。

「船員法#船舶所有者」および「船員保険#船舶所有者」も参照 』

オマーン沖タンカー攻撃「断固非難」

オマーン沖タンカー攻撃「断固非難」 官房長官
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA023DZ0S1A800C2000000/

加藤勝信官房長官は2日の記者会見で、中東オマーン沖で7月末に起きたイスラエル系企業が運航するタンカーへの攻撃を「断固非難する」と述べた。「船舶の自由な航行を阻害する事案だ」と指摘した。

中東地域の平和は日本の安定的な原油調達に欠かせないとも強調し「積極的な外交努力を継続したい」と話した。攻撃を受けたタンカーは日本企業が船主とされ、英国人とルーマニア人の乗組員2人が死亡した。

「メルケル後」ドイツの行方

「メルケル後」ドイツの行方 二大政党崩れ読めぬ連立
編集委員 清水 真人
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD288C50Y1A720C2000000/

『欧州の安定を左右する9月26日のドイツの連邦議会総選挙が波乱含みだ。中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と中道左派の社会民主党(SPD)の2大政党の長期低落に歯止めがかからず、そこに環境政党の緑の党が割って入る勢い。前例のない混戦で、首相を16年間務めたアンゲラ・メルケルが引退する選挙後に、どんな連立政権が誕生するかも読み切れない。

9月総選挙、緑の党が「台風の目」

7月22日、「夏の記者会見」を開いたドイツのメルケル首相=AP
「私は気候問題に多大な努力を注ぎ込んできた。それが全政治生活の根源にあった」

メルケルは7月22日、恒例の「夏の記者会見」で気候変動対策への取り組みをこう強調した。同月中旬の洪水災害によりドイツだけで約180人の死者が出た。総選挙に向けて気候変動対策や地球環境保護などがますます争点化する流れにある。

直近の複数の世論調査の政党支持率を見ると、CDU・CSUが27~30%で首位。これを緑の党が18~21%、SPDが15~17%で追う。さらに経済自由主義の自由民主党(FDP)が10~13%、排外主義で極右の「ドイツのための選択肢」(AfD)が10~11%、旧東ドイツの共産主義政党の流れをくむ左派党が6~7%と続く。

緑の党の急伸は、CDU・CSUとSPDが2大政党を形成してきたドイツ政治の地殻変動ともいえる。緑の党は1983年の総選挙で初めて議席を獲得。98~2005年にSPDのゲアハルト・シュレーダー政権で連立に加わったが、得票率10%に満たない補完勢力だった。17年の前回総選挙も8.9%で第6党だったが、今回は第2党をうかがう台風の目だ。

環境・気候変動対策への関心の高まりを背景に、19年の欧州議会選挙では各国で緑の党が躍進した。ドイツでもCDUに迫る第2党に急浮上。40歳で女性の共同党首アンナレーナ・ベーアボックを「総選挙の顔」となる首相候補に据えた今年の4月から5月にかけ、その新鮮なイメージも後押しして世論調査で一時は第1党に躍り出た。

その後、ベーアボックが追加収入を議会に適正に報告せず、著作に盗用疑惑も招くなど脇の甘さで批判を受け、勢いは減速気味。CDU・CSUは独西部のノルトライン・ウェストファーレン州首相でメルケル路線を継承するアルミン・ラシェット(60)、SPDは財務相のオラフ・ショルツ(63)とベテラン政治家を首相候補に立てる。

ドイツ政治に詳しい上智大教授の河崎健によると、従来の総選挙では2大政党の首相候補が1対1で対決する討論会を実施してきたが、緑の党が台頭した今回は「初めて3党の首相候補による討論会が試みられている」という。

大連立が招いた地盤沈下

新著発表会で話すドイツの環境保護政党「緑の党」のベーアボック共同党首=ロイター共同
ドイツの選挙制度は小選挙区と比例代表の併用制と呼ばれるが、最終的な議席配分は政党の得票率を鏡のように映す比例代表で決する。中小政党も議席を得られるので多党化しやすい仕組みだ。ただ、戦前のワイマール共和国で小党の乱立による議会の混迷がナチスの台頭を招いたとの反省から、得票率5%以上の政党に議席を与える。

この5%の壁が旧西ドイツ時代から「穏健な多党制」(イタリアの政治学者ジョヴァンニ・サルトーリ)を守ってきた。CDU・CSUとSPDが2大政党として政権を争奪。総選挙では両党が首相候補を押し立て、1対1の討論会が当然視される「政権選択選挙」のように運用されてきた。ただ、どちらも単独で過半数を制する想定はなく、選挙後は常に連立政権となってきた。

1970年代に2大政党の得票率の合計は90%を超えたが、80年代後半から長期低落。どちらかが首相を出し、2000年代前半までは小党と連立を組んできた。05年の総選挙でメルケルがCDU・CSUを第1党に復帰させ、首相に就いた時にSPDと36年ぶりに大連立政権を組んだ。メルケル政権16年のうち12年間はこの大連立で、現在も続く。

過半数を制したうえに政策の調整がつく連立の組み合わせが他になかなかない、などの事情から繰り返してきた大連立。ただ、選挙で対決した二大政党が、選挙が終わると手を組む分かりにくさは有権者の不信も招く。メルケルの中道志向でCDU・CSUから保守層が離れ、17年には右翼からAfDが5%の壁を超えて議席を確保するなど、「穏健な多党制」に分極化の兆しもある。

17年の総選挙ではCDU・CSUが得票率で32.9%、SPDが20.5%と、合計で50%超ギリギリまで地盤沈下した。SPDには党勢回復のために下野論も強く、総選挙から大連立継続の合意まで半年もかかる混迷ぶりだった。現在の支持率はCDU・CSUが30%前後、SPDが20%割れでいずれも過去最低の水準。この通りの選挙結果になれば、得票率の合計で初めて50%を割るかもしれない。

「ジャマイカ連立」か「信号連立」か

ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州の被災地訪問中、笑うラシェット州首相(中央)=AP共同
上智大の河崎は「安定ドイツ」を対外的に象徴したメルケルを「移民政策など中道寄りの路線で党派を超えて支持され、長期政権を維持した。CDUの支持率が下がったのはメルケルの責任、と言うより、そこを何とか支えてきたのがメルケル、ではないか」と評する。SPDは「党利党略を捨てて大連立に応じたのに、それを批判された。早く離脱したいのではないか」とみる。

総選挙後の連立政権について「上位2党でも過半数に達しない可能性が十分にある」と3党による交渉も予測する。ただ内紛を抱える左派党が得票率5%未満で議席を失うと、その分が他党に回り、2党で過半数に届くかもしれないという。「第1党が連立に加わらず、第2党以下による政権作りもありうる。過去に例がある」と指摘する。

現下の情勢を前提に、最も可能性があるとみるのは、第1党維持を狙うCDU・CSUと緑の党の連立、または、ここにさらにFDPが加わる組み合わせだ。シンボルカラーがCDU・CSUは黒、FDPは黄で、配色が「黒・緑・黄」のジャマイカ国旗になぞらえて「ジャマイカ連立」と呼ぶ。この場合はCDU・CSUから「ラシェット首相」が誕生する。ただ、洪水被害視察時の不用意な笑い顔が報道され、ラシェットの人気は下落している。

CDU・CSUが第1党でも連立交渉から外れ、第2党以下の緑の党、SPD、FDPで過半数形成を目指す案にも可能性がある、とも読む。これは緑の党が「ベーアボック首相」を出して政権の中軸を担う、という含みにもなる。SPDのシンボルカラーは赤なので、この組み合わせは「緑・赤・黄」の「信号連立」と呼ばれる。

緑の党がどのような形で連立交渉に臨むかが最大の注目点となりそうだ。他の選択肢を国旗の配色になぞらえると、「黒・赤・黄」の「ドイツ連立」や、「黒・赤・緑」の「ケニア連立」などもありうる。総選挙での勢力分布次第だ。

日本の衆院選は「勝者総取り」で民意を集約し、多数派を人為的に創出する小選挙区が主体で、比例代表で補完する並立制と呼ばれる。近年は小選挙区の特質が強く出て、選挙結果で政権と首相の行方は直ちに決まる。有権者が直接、政権を選択する形だ。選挙後の政党間の連立交渉に政権の行方を委ねるドイツとは対照的な仕組みだ。=敬称略 』

台湾、銃声なき攻撃が迫る

台湾、銃声なき攻撃が迫る 中国仕掛ける「かく乱戦争」
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD292LB0Z20C21A7000000/

『ウェンディ・シャーマン米国務副長官が7月25~26日、中国を訪れた。外交を担当するバイデン政権高官の訪中は初めてだ。

予想されたことだが、この訪問は米中が抜き差しならない対立に入っている現実を印象づけた。

中国の転覆を企てるな、一方的なすべての制裁を解除しろ、領土や主権に介入するな――。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は3つの要求を突きつけ、とりわけ台湾問題でこう警告した。

「(台湾独立勢力が)挑発するなら、中国は必要なあらゆる手段をとり、阻止する」

問題は、戦争の危険がどれくらいあるのかだ。デービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)は3月9日、2027年までに中国が台湾に侵攻しかねないと警告し、世界に波紋を広げた。

その後、台湾海峡での米中戦争リスクをめぐり、日米などで議論が熱を帯びている。両国の安全保障専門家らにたずねると、デービッドソン氏は脅威をやや誇張しているとみる向きと、彼の分析に賛成する意見が併存している。

米中の軍事バランスだけをみると、後者の見方もあながち的外れではない。中国の猛烈な軍拡により、アジアでの米軍優位が崩れているからだ。

インド太平洋に展開している米軍に対し、中国軍は約5倍の戦闘機があり、25年には約8倍になる。同様に、中国軍の空母は同年までに3倍、潜水艦は6倍強、戦闘艦艇も9倍にふくらむ。

全面侵攻は考えづらいとの見方

ただ「27年まで」に限るなら、中国が全面侵攻に出ることは考えづらいという見方が、どちらかといえば有力だ。大まかにいって、その根拠は次の3つだ。

■中国が武力統一するには数週間~数カ月間、台湾海峡を支配し、大量の武器や人員、物資を台湾に輸送しなければならない。まだ、この作戦を確実に成功させられる能力は中国軍にはない。

■米軍は初戦で敗れたとしても世界中から戦力を集め、中国の輸送船団や軍港、空港に反撃するだろう。台湾軍も要所の守りを固めており、中国軍が一気に台湾全土を占領するのは難しい。

■習近平(シー・ジンピン)国家主席の目標は当面、台湾の独立阻止にある。平和統一の道も、完全にはあきらめていない。

もっとも、米軍が介入しないとなれば、これらの根拠は崩れる。米政府は公式な態度を示していないが、中国が一方的に侵攻した場合、米軍がただ傍観することはないだろう。実際、米軍の台湾への関与は深まりつつある。

複数の米安保専門家によれば、米軍は近年、数回にわたって台湾に人員を派遣し、台湾軍をひそかに指導してきた。訓練や図上演習を視察し、助言を与えるケースなどもあるという。

台湾が独立に動けば話は別だが、中国としては当面、米軍の介入を招くような全面侵攻よりも、別の手段によって台湾を追い詰めようとするだろう。

こうした仮説に立つと、向こう5~6年間、警戒しなければならない危機は主に2つある。第1は、中国が台湾の離島に軍事圧力を強めるシナリオだ。

台湾には実効支配している離島が複数ある。台湾海峡の南西にある東沙諸島、南シナ海の太平島、馬祖列島などだ。このうち、守りが手薄な離島を中国軍が奪おうとするパターンだ。

島部奪取演習を行う中国軍東部戦区第73集団軍(中国中央テレビの映像から)=共同

だが、中国からみると、離島侵攻には難点も多い。台湾を揺さぶる効果はあるが、米国などは猛反発し、台湾への防衛支援を強めるに違いない。そうなれば、台湾本島の統一はさらに遠のく。

米中、乏しい連絡体制に危うさ

そこで考えられる第2のシナリオが、中国による「かく乱戦争」だ。サイバー攻撃や情報・分裂工作によって社会を混乱させ、台湾当局への市民の不満や不安をあおる。同時に経済カードを使って親中派をさらに取り込み、台湾の統治を弱体化していく路線だ。

ロシアが14年、ウクライナのクリミア併合などで使った手法で、ハイブリッド戦争とも呼ばれる。中国はすでに、この「戦争」を仕掛け始めている形跡がある。

台湾の安保当局者によると、総統府や国防部(国防省)などへのサイバー攻撃のほか、社会のかく乱を狙った偽情報の拡散が近年、深刻になっている。「総統府ホームページの写真が偽物にすり替えられたケースもある」という。

6月まで台湾国防部のナンバー3だった元幹部に中国スパイが接触し、機密情報を得ていた疑いも7月下旬、浮上した。

中国が当面、かく乱戦争で台湾を揺さぶるとしても、それだけで物理的に統一できるとは限らない。このため、中国は全面侵攻の選択肢も残し続けるに違いない。

台湾海峡をパトロールする米中の軍用機や軍艦が接触し、一気に事態が緊迫する恐れもある。01年には海南島沖の上空で、両国の軍用機が衝突する事件があった。

気がかりなのは米中両軍のパイプが細っており、緊急時に連絡を取り合える体制も乏しいことだ。20年12月、両軍幹部はオンライン対話を開くはずだったが、米側によると、中国側が姿を見せなかった。オースティン国防長官も数回、電話協議を打診したが、中国軍側は応じていないようだ。

1937年以降の日中も含め、現場の交戦が導火線となり、全面戦争になってしまった例は少なくない。その歴史が台湾海峡で再現されるようなことになれば、世界への影響は計り知れない。

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Nikkei Asia
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秋田 浩之

長年、外交・安全保障を取材してきた。東京を拠点とし、北京とワシントンの駐在経験も。北京では鄧小平氏死去、ワシントンではイラク戦争などに遭遇した。著書に「暗流 米中日外交三国志」「乱流 米中日安全保障三国志」。

台湾、銃声なき攻撃が迫る 中国仕掛ける「かく乱戦争」(2日 10:00)
UFO説、もう笑えない 安全保障脅かす恐れ(7月21日) 』

タンカー攻撃「イランの犯行」

タンカー攻撃「イランの犯行」 米英イスラエルが断定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN020640S1A800C2000000/

『【ワシントン=中村亮】ブリンケン米国務長官は1日の声明で、中東のオマーン湾で7月末に起きたイスラエル系企業運航のタンカーへの攻撃について、イランの犯行と断定した。英国とイスラエルは米国に同調した。米英などとイランの緊張が高まることで、イラン核合意の再建交渉が一段と停滞する可能性がある。

ブリンケン氏はタンカー攻撃について「極めて重要な航路での航行の自由を脅かすものだ」と指摘し、「正当化できない」とイランを非難した。攻撃があった海域は原油輸送の要衝であるホルムズ海峡に近い。ブリンケン氏は「次の措置を検討するためパートナー国と連携している」と説明し、何らかの対抗措置を講じる構えを見せた。攻撃には無人機が使われたという。

英国のラーブ外相も1日の声明で「攻撃はイランによる意図的で狙いを定めたものであり、国際法違反だ」と批判した。米メディアによると、イスラエルのベネット首相も「イランの悪党のような行動はイスラエルだけでなく、海運や国際貿易の自由という世界の利益に対して危険だ」と断じた。

イランでは5日に反米かつ保守強硬派のライシ師が次期大統領に就任する。米国とイランは4月からイラン核合意の再建に向けて欧州を仲介役として間接協議を行ってきたが最近は停滞が目立つ。タンカー攻撃をめぐり、米国とイランの対立が強まれば交渉がさらに難しくなる可能性がある。』

カナダ、下院で台湾関係強化へ法案

カナダ、下院で台湾関係強化へ法案 対中は一段悪化も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN274AB0X20C21A6000000/

『【ニューヨーク=白岩ひおな】カナダ下院が台湾との関係強化に向けた法案の審議を始め、中国へのけん制を強めている。法案は台湾の出先機関を格上げし、国際機関への台湾の参加も支持する内容だ。9月以降、法案の本格的な討議に進む見通しで、中国との一段の関係悪化につながりそうだ。

野党・保守党のマイケル・クーパー議員が提出した「カナダ・台湾関係枠組み法案」は下院での趣旨説明を6月中旬に終えている。非平和的な手段や禁輸などで「台湾の未来を決定しようとするいかなる試みも、インド太平洋地域の平和と安全への脅威でありカナダにとっての重大な懸念とみなす」と明記した。

台湾の出先機関である駐カナダ台北経済文化代表処の名称を「台湾代表部」に変更し、台湾政府高官のカナダ訪問時のビザ取得を免除する方針を盛り込んだ。世界保健機関(WHO)や国際民間航空機関(ICAO)などの国際機関への台湾の参加も支持するとした。

クーパー氏は同法案が、中国大陸と台湾が一つの国に属するとする「一つの中国」政策とは矛盾しないと主張する。カナダと台湾の交流を「より前進させるべき時だ」とし、法案を通じて経済、文化、法律などの関係を強化するための「秩序あるメカニズム」を確立するとした。

カナダは人権問題をめぐり中国との摩擦を抱える。2018年12月、カナダ当局は中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)をバンクーバーの空港で拘束した。米国は19年にイランとの違法な金融取引について英金融大手HSBCなどに虚偽の説明をした罪などで孟氏を起訴し、カナダに孟氏の身柄引き渡しを要請している。

その直後、中国は元外交官のマイケル・コブリグ氏と企業家のマイケル・スパバ氏の2人のカナダ人を拘束した。孟氏逮捕に対する報復とみられており、カナダは「恣意的な拘束」だとして解放を求めているが、中国は応じていない。

ファーウェイ幹部の米国身柄引き渡しをめぐる裁判は4日からカナダで最終審理に入る。孟氏の弁護団はHSBCから入手した新たな文書が身柄引き渡しの根拠を覆すものだと主張していたが、ブリティッシュコロンビア州上級裁判所は7月、証拠としての申請を却下した。

新疆ウイグル自治区での人権侵害や香港での民主派排除をめぐっても、中国とカナダは対立してきた。3月には米英や欧州連合(EU)とともにウイグル族への人権侵害に絡んで中国当局者らに制裁を科した。20年10月には中国の叢培武駐カナダ大使が、カナダに香港のデモ参加者を受け入れないよう警告。トルドー首相が「中国の強制的な外交は容認できない」と反発し、香港出身者への就労許可に道を開いた。

中国をめぐる一連の動きは、より強硬な対中政策を求めるカナダ国内の世論を意識したものとの見方もある。カナダは年内にも総選挙を見込む。対中強硬派として知られる保守党のエリン・オトゥール党首は、与党・自由党のトルドー首相の対中政策の甘さを指摘してきた。自由党は19年10月の総選挙で単独過半数を取れていない。台湾や香港、ウイグル問題をやり玉にあげ、国内世論にアピールする可能性もある。』

IMF、6500億ドルのSDR配分承認 8月中に発効

IMF、6500億ドルのSDR配分承認 8月中に発効
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN030HE0T00C21A8000000/

『【ワシントン=大越匡洋】国際通貨基金(IMF)は2日、主要通貨に連動する準備資産、特別引き出し権(SDR)について6500億ドル(約71兆円)相当の新規配分を総務会が承認したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大による危機が続くなか、経済への打撃が大きい低所得国などの外貨確保を支援する狙いがある。

SDRは危機時などにドルやユーロなど主要通貨と交換できる権利。IMFがお墨付きを与える国家間の仮想通貨のようなもので、出資比率に応じて各国に配分している。

低所得国はドル建ての借り入れが多いのに、危機時にはドルの調達が難しくなる。新規配分は8月23日に発効する予定。2750億ドル分は低所得国を含む新興市場・発展途上国に割り当てるようにし、外貨確保を支援する。

ゲオルギエバ専務理事は声明で「史上最大のSDRの配分であり、世界経済の強さと安定を育む」と述べた。SDRの新規配分による低所得国支援の強化は、主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)などの場で議論を進めてきた。』

IMF Members’ Quotas and Voting Power, and IMF Board of Governors
https://www.imf.org/en/About/executive-board/members-quotas

※ 最新の出資比率(IMFのHPからキャプチャした)では、日中逆転してるな…。

※ 確か、オレが知ってた話では、出資比率をどうするかで揉めて、日中同率で決着させた…、ということだったが…。

※ 最近、また事情が変わったのか…。

※ コリアは、日本の27.8%くらいだ…。まあ、GDPの比率くらいだから、そんなものだろう…。

※ さすが、米国は圧倒的だな…。日本の2.69倍くらいだ…。

※ SDRは、この出資比率に従って配分される…。

※ それが、その国のイザという時の、「信用力」の一つとなる…。

「’World’s fastest man’ raised by Italian single mother who met his US soldier father at Vicenza」

https://st2019.site/?p=17249

『男子100mで金メダルを取ったイタリアのラモント・マルセル・ジェイコブズ選手の母親はシングルマザーである。そして父親は、ヴィセンザ基地に勤務していた米兵であった。

 母親のヴィヴィアナ・マッシーニが18歳の米兵ラモント・マーセル・ジェイコブズ・ジュニアと出合った時は16歳であった。
 2人は結婚し、米本土のエルパソのフォート・ブリスに移り住んだ。

 3年後、息子が生まれた。その数週間後、父親が韓国勤務と決まった。

 母親いわく。それについて行くのが不可能であったので、生後1ヶ月足らずの息子とともにイタリアに帰ったのであると。

 現在26歳のジェイコブズは父親を知らずに育った。『ワシントン・ポスト』によれば、初めて父親と会話したのが昨年であったという。

 このようなスプリント選手がいたことを誰も知らなかったことは、賭けのオッズが8対1とか10対1であったことからも分かる、と。

 げんざい、実の父親はテキサス州ダラスにいて、レースの前にテキストメッセージで激励したという。』

〔eアクスル〕

電動車の注目技術「eアクスル」、急展開…人とくるまのテクノロジー2019
(2019年5月23日)
https://response.jp/article/2019/05/23/322634.html

※ と言うことで、こういうゴツイものだ…。

※ カットモデルやスケルトンモデルを見れば分かる通り、モーターの駆動力を伝達する機構は、「複雑なギア」の固まりだ…。

※ 到底、そこいらの「モーター屋」が製造できるようなシロモノじゃ無い…。

※ 年季の入った「自動車部品屋」だけが、製造できるようなシロモノだ…。

※ 異業種から参入とか言っているが、その参入してきた新参者は、世界中のあらゆる道路、あらゆる気候における「走行データ」を、持っているのか?

※ しかも、何年、何十年にも渡るデータを、持っているのか?

※ 「机上の空論」言ってるだけの話しじゃないのか?

『ボッシュ、コンチネンタル、ZF、マグナ、ボルグワーナー、ブルーイーネクサス、それにジヤトコなど、名だたるサプライヤーが一気に出してきた技術。それが「eアクスル」だ。

簡単に説明すると電気自動車やPHEVなどにこれまで使われてきた、モーターやインバーター、それにアクスル自体など、これまでは個別ばらばらにレイアウトされていたものを全部統合してコンパクトにまとめたもの。

この技術自体は今に始まったことではなく、数年前から個別には展示されていたという。しかし今、この技術が一気に開花して量産モデルに搭載されてデビューしようとしている。

ブルーイーネクサスというサプライヤーは聞き慣れないものだと思うが、この会社、あのデンソーとアイシン精機が、eアクスルの適合設計、販売のために2019年4月に設立した会社。つまり、それだけを目的にする会社が設立されるほど、ホットな技術と言っても過言ではない。

eアクスルは、モーターの出力次第で、これがピュアEVになりもすれば、PHEVのアシストにも使え、さらにはFWDの場合これをリアに搭載することで、電動四駆としても活用できるという汎用性の広いもの。ブルーイーネクサスの説明では、ハイブリッドにも、さらにはFCVにも活用できると書いていた。

で、このシステム、出力によってだいぶサイズが異なるし、さらにはシステムもいくつかのアプローチがある。主流となっているのは同軸上にプラネラリギアとデフ、モーターを並べる一軸式だが、高出力を求めてモーターを別の軸上で駆動する二軸式、さらには間にギアをかましてドライブシャフトとモーター間のスペースに余裕を持たせた三軸式など色々。作っているサプライヤーの話を総合すると、コンパクトさを追求するなら一軸式、パワーを求めるなら二軸式が良いようである。

ボッシュ、コンチネンタル、それにZFなどによれば、早ければ年内もしくは来年早々にも、この技術を搭載した市販ピュアEVが中国で生産されるという。勿論自動車メーカーが中国だとは限らない。話のニュアンスを勝手に解釈すれば、それは中国製以外の自動車メーカーが作るピュアEVを中国で販売するということのようである。

このおまとめ式のeアクスル、メリットとしてはスペース効率の向上や、コンパクト化と軽量化による性能の向上にある。具体的には同じバッテリー容量を搭載したクルマなら、EV走行の距離が延びるということだ。

これまでは個別に散発的な展示となっていたが、人とくるまのテクノロジー2019では7社がこれを展示。ピュアEVに限らず、電動四駆としての可能性や、シリーズハイブリッド車の性能向上を求めての使用など、現実的に使える技術として来年あたり、一気に花開きそうな気配である。 』

EV基幹装置で主導権争い 異業種参入

EV基幹装置で主導権争い 異業種参入、勢力図一変も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC315N20R30C21A5000000/

『自動車メーカーが電気自動車(EV)の心臓部の動力装置を部品会社から一括調達する動きが出てきた。動力装置は産業ピラミッドの頂点に立つ車メーカーが自ら開発・製造するというエンジン車時代の枠組みが崩れ、EV部品にシフトする既存の部品大手や新規参入企業の商機が膨らむ。EVが世界で普及期に入るなか、基幹部品を軸に業界の勢力図が変わる可能性がある。

外部調達が始まったのは、モーターやギアを一体化した動力装置「eアクスル」。EVの航続距離や走行性能に直結する。車大手はEVの動力装置でも内製を軸とし車づくりの主導権を譲らない構えだが、内製が唯一の選択肢ではなくなっている。

韓国の現代自動車グループは2023年から生産する小型EVの動力装置を米部品大手ボルグワーナーから調達する。欧州ステランティス傘下のプジョーは小型EV用に、独部品大手コンチネンタルから独立したヴィテスコ・テクノロジーズから調達している。

動力装置はEVの生産原価の5~10%を占めるとされる。外部調達で部品会社にとって新市場が生まれる。エンジン部品の供給などで従来の車を支えてきた部品会社が商機を見いだしている。

日産自動車系の変速機メーカー、ジヤトコは25年までにeアクスルの量産を始める。日産など国内外のEVメーカーに販売する。旧カルソニックカンセイがイタリア企業と経営統合したマレリは25年に年100万基の供給をめざす。

内製、既存の部品会社に続く第3勢力といえるのが、EV化を機に車ビジネスの拡大を狙う日本電産のような企業だ。EV化で先行した中国にeアクスル工場を設け、広州汽車集団や吉利汽車に供給を始めている。

動力装置の市場は拡大する見通し。英調査会社LMCオートモーティブによると20年の世界のEV販売は新車全体の3%の214万台だった。30年には2330万台と比率は24%に上がる。富士経済はeアクスルの35年の市場規模を年約1250万基と予測する。

マレリは24年までに中国とフランスに工場を設け、eアクスルを量産する
先に外部調達が進んだのは電池だ。中国の寧徳時代新能源科技(CATL)、韓国LG化学、パナソニック、韓国サムスンSDIで75%の世界シェアを占める。電池はEVの原価の3~5割を占めるとされ、EV市場での取り分は大きい。

EVには米アップルなど異業種の参入も取り沙汰される。eアクスルを使うと難易度が高い動力装置の開発負担が減り、新興勢力がEV市場に参入しやすくなる。

EVでは従来の垂直統合型の車づくりへの対抗軸として、パソコンなどのように開発と生産を別々の企業が担う水平分業型の企業連携が広がる見通し。電子機器の受託生産大手、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は車の受託生産に進出する。

水平分業の動きはeアクスルを開発する企業に従来の車メーカー以外の取引先をもたらす可能性がある。eアクスルで業界標準となる製品を生み出せれば、成長するEV市場で高いシェアを獲得できる。

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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員

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ひとこと解説 電池同様に製造ライフサイクルでの脱炭素化が競争力を左右する。
スマホ・タブレットやPCで成功したメーカーがEVに参入している。CATLはiPad向け電池で成功したTDKの子会社ATLの車載電池部隊から誕生。HDDに搭載される精密小型モーターや家電向け中型モーターで成長した日本電産は、車向けモーターにインバーターとギアを一体化させてeアクスルを開発した。スマホやPCのように水平分業ビジネスを展開するメーカーは規模の経済性を獲得するまで赤字を承知でシェア拡大を急ぐ。今後はCO2排出量が多いeアクスルの鋳造部品の脱炭素化が競争力を左右する。再エネが豊富な欧州のメーカーが地の利を活かして攻勢をかける。
2021年8月3日 7:38いいね
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