中国がフィリピンに武力攻撃するなら、米が防衛義務発動も

中国がフィリピンに武力攻撃するなら、米が防衛義務発動も
https://www.epochtimes.jp/p/2021/07/76646.html

『前米政権は南シナ海における中国の海洋権益に関する主張をほぼすべて否定する公式方針を打ち出していたが、2021年7月、現行のジョー・バイデン(Joe Biden)政権も同方針を支持する姿勢を示した。米国政府はまた、紛争の火種となっている同海域でフィリピンに対する武力攻撃が発生した場合は、米比相互防衛条約に基づく措置を米国が発動する可能性があるとして中国を牽制している。

南沙諸島(スプラトリー諸島)および周辺の岩礁や暗礁の領有権を主張する中国に対してフィリピンが国際法廷に申し立てた仲裁裁判でフィリピン側に有利な「南シナ海判決」が下されてから5年目を迎えるのを前に、アントニー・ブリンケン(Antony Blinken)米国務長官がこの厳格な声明を発表した。

中国政府は同判定を受け入れないと改めて表明している。

南シナ海判決から4年目を迎える直前に同判決への支持を表明した当時のドナルド・トランプ(Donald Trump)政権は、国際的に認められた中国海域外に当たる南シナ海水域に対する中国の領有権主張を事実上すべて非合法と見なすと公表した。

「南シナ海ほど法治に基づく海洋秩序が脅かされている地域はない」と述べたブリンケン国務長官は、中国が「東南アジアの沿岸諸国への威嚇行為や脅迫を続け、世界的に重要な航路における航行の自由を脅かしている」と非難している。

マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)前米国務長官の声明に言及したブリンケン国務長官は、「南シナ海に対する中国の主張に関して2020年7月13日に米国国務省が発表した方針を支持する」とし、「南シナ海においてフィリピン軍、フィリピンの公船や航空機に対する武力攻撃が発生した場合は、米比相互防衛条約に基づき米国がその防衛義務を果たす」と明言した。

1951年に締結された米比相互防衛条約の第4条には、いずれかの国への攻撃が発生した場合の相互防衛義務が規定されている。

ポンペオ前国務長官が上記の声明を発表する以前は、中国と近隣諸国との間で発生している領有権紛争に関して前米政権は国連の支援に基づく仲裁を通じて当事国同士が平和的に解決することを促すという立場を取っており、政策を改めて南シナ海判決を支持すると表明した後も、恒常的に水で覆われていない地表、すなわち国家が「領有権」を主張できる「陸地」には言及していない。

しかし、米国は領土問題では中立の立場を保ちながらも、南シナ海に位置する諸島、岩礁、暗礁の領有権を巡り中国と対立しているブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ベトナムを事実上支持している。

ブリンケン国務長官は声明で、「米国は(中国に対して)国際法に基づく義務を遵守し、挑発行為を停止し、そしてその規模を問わずすべての国家が相互に権利を尊重する法治に基づく海事秩序の維持に取り組む姿勢を国際社会に示すことを求める」と強調した。

常設仲裁裁判所からの呼び出しにも応じなかった中国は、南シナ海判決を「紙屑同然」として却下している。判決を無視して攻撃性を高めつつある中国の威嚇行為より、近年、海洋権益を巡ってマレーシア、フィリピン、ベトナムとの間で火花が散っている。

毎年約500兆円(約5兆米ドル)に相当する物品が貨物で通過する南シナ海の大部分の主権を主張する中国は、同海域で米軍が実施する演習や活動に対して常に抗議を申し立てている。

中国共産党は複数の岩礁を埋め立てて軍事基地を建設することで、自国の主張を強化することを目論んでいる。米国は同海域の領有権は主張していないが、交通量の多い同海域における航行の自由と領空通過権を推進するため軍艦と航空機を展開して数十年にわたり哨戒活動を実施している。

(写真:紛争海域の南シナ海で中国が実行支配する諸島付近を航行する米国海軍の軍艦) 画像提供:ロイター 』