団体・族議員、往時の力なく

団体・族議員、往時の力なく 一橋大教授 中北浩爾氏
政策決定の変容 有識者に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA121IK0S1A710C2000000/

『族議員の影響力は1960年代後半から高まった。自民党政権が長期化し、政治家が特定の政策分野の知識を蓄積した。

中北浩爾・一橋大教授

衆院の中選挙区制のもとで同党議員が同じ選挙区で競合した。農林や建設など得意分野をすみ分け、業界団体や省庁と緊密なネットワークを築いた。

96年衆院選から党候補が1選挙区1人の小選挙区制になると、地元の政策要望をオールラウンドに処理する必要性が高まった。93年以降の政権交代や連立の組み替えも相まって徐々に改革が進んだ。世界で新自由主義の流れも強まった。

その最高潮が小泉政権の構造改革だった。業界団体の固定票より無党派層の票を重視し、政官業のトライアングルを破壊した。

小泉純一郎元首相は郵政民営化が争点の2005年衆院選で劇的に勝った。こうした勝ち方は小泉氏しかできないし、常にできたわけではない、長続きしない方法だった。

小泉政権の後には揺り戻しの動きが起きた。06年に首相になった安倍晋三氏は郵政民営化の「造反組」を復党させた。浮動票より安定した組織票を重んじる流れは12年発足の第2次安倍政権以降も続いた。

第2次以降の安倍政権は農協改革などに取り組んだが、一定程度は農協と妥協した。党の支持基盤を傷つけない範囲で巧みに改革した。

業界団体の力は弱まっている。野党を支持する労働組合や公明党の支持母体の創価学会など宗教団体も同様だ。族議員もかつての力はない。党政調は首相官邸が設定したアジェンダの枠内で微修正を加えるくらいしかできない。(聞き手は根本涼)』