中国株、マネー流出加速 ITや教育の統制強化に疑心

中国株、マネー流出加速 ITや教育の統制強化に疑心
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『【上海=土居倫之】中国株からマネーが急速に流出している。中国当局の規制がIT(情報技術)プラットフォーム企業から教育産業にまで広がっているためだ。2022年に共産党大会を控える習近平(シー・ジンピン)指導部は、長期政権に向けて国民の支持を得ようと、独占的な地位を築いた大企業への統制を強める。中国株を巡る市場の警戒は続く見通しだ。

27日の中国・上海株式市場で上海総合指数は前日比2.5%安と約1年ぶりの下落率となった。前週末に中国共産党と国務院(政府)が小中学生向け学習塾の非営利団体化を柱とした規制策を公表したことが響いた。

統制の対象は教育だけではない。26日には国家市場監督管理総局など7部門が連名で、配達アプリの運営会社に対し社会保険の加入など配達員の権利を保護するよう求める指導意見を発表した。

香港市場に上場する配達アプリ大手の美団は27日、前日比17.7%安と急落した。香港の代表的な株価指数のハンセン指数は前日比4.2%下落し、下落率は約1年2カ月ぶりの大きさとなった。20年末と比べると、美団は34%安、学習塾などを運営する新東方教育科技集団は89%安だ。

マネー流出の動きは中国全体に及ぶ。中国人民元は27日に対ドルで1ドル=約6.51元と、約3カ月ぶりの元安水準に下落した。

中国企業の米国預託証券(ADR)の値動きを示す米ナスダックのゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数は26日、前週末比7.0%安と急落。2月中旬に付けた高値から半値近くまで下げた。

中国政府の相次ぐ規制強化の背景には、22年の党大会を前に権力基盤を固めたい習指導部の存在がある。習指導部は教育機会の不平等につながりかねないとして、学習塾など義務教育外の教育費の高騰を問題視していた。

最近では少子化対策として1組の夫婦に3人目の出産を認める制度改正に着手。高い教育費が少子化対策の妨げになるとの見方がある。

中国政府は上場するIT関連など大企業の統制を強める一方、雇用の大半を占める中小零細企業を保護する方針を鮮明にする。幅広い国民から支持を集めたい考えだ。

劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は27日のフォーラムで「中小企業は雇用維持の主役であり、中小企業が良くなってこそ中国経済も良くなる」としたうえで、「発展と安全の(政策的)調整は、公平な競争環境を保護することなどが目的」としてデータセキュリティーなどを理由にした巨大企業への統制強化の必要性を強調した。

ITプラットフォーム企業、教育企業に続く焦点のひとつが不動産開発会社だ。習指導部は、教育費と並ぶ国民の大きな不満である住宅費の高騰にも切り込む姿勢を示している。不動産開発会社は多額の債務を抱えているだけに、今後の規制動向次第では中国経済の下振れ要因となり得る。

海外投資家は中国当局が規制強化をどこまで広げるのかについて疑心暗鬼になっている。米バンク・オブ・アメリカは19日付のリポートで「中国の規制政策は不確実性が残っている。当面、中国株を避けて日本やオーストラリア、インドの成長株などに資金を向けるべきだ」と示した。

海外投資家の懸念の根底には中国経済の回復鈍化懸念もある。欧米が金融政策の正常化に向かう中で、中国は逆に預金準備率の引き下げに踏み切った。SMBC日興証券でシニア中国ストラテジストを務めるヨー・ジェレミー氏は「政策当局が景気の下振れリスクを警戒し、(金融政策の)タカ派的スタンスを緩和した」と分析する。

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