イスラエル、ガザを空爆

イスラエル、ガザを空爆 風船爆弾への報復か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB265VF0W1A720C2000000/

『【エルサレム=AFP時事】イスラエル軍は25日、パレスチナ自治区ガザの北部と南部を空爆した。パレスチナ治安当局筋が明らかにした。ガザからイスラエルに向けて飛ばされた発火装置付きの風船爆弾への報復とみられる。双方で死傷者は報告されていない。

空爆はガザ南部ハンユニスにあるイスラム組織ハマスの訓練施設が標的にされた。ただ、イスラエル軍は空爆についてコメントしていない。イスラエル側は風船爆弾を受けて、パレスチナの漁業水域を半減している。』

[FT]南アフリカ暴動、アパルトヘイト後で最大規模

[FT]南アフリカ暴動、アパルトヘイト後で最大規模
損失14億ドル規模の地域も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB262M70W1A720C2000000/

※ こんな「6輪装甲車」繰り出して、鎮圧しなければならない状況なんだから、大変な事態だ…。

『南アフリカ東部の都市ダーバン西郊のハマーズデイルは、同国の新たな物流拠点となるはずだった。しかし今月起きた暴動で襲撃された食肉用冷蔵倉庫の焼け跡では火がくすぶり続け、煙が立ち上っていた。

南アフリカでは略奪が横行し、軍が事態の収拾に乗り出した=ロイター
アパルトヘイト(人種隔離政策)後の民主政権下で最悪の略奪行為の後、盗まれなかった食肉は倉庫の中で腐りつつあった。

汚職疑惑を抱えるズマ前大統領が裁判所の調査に協力しなかったとして収監されたことに端を発した大規模な暴動は、長年同氏の支持基盤であるクワズール・ナタール州(KZN)で特に激しかった。軍が動員され暴動が収束するまでの一週間で、全国で330人以上が死亡した。

ハマーズデイルほど経済への影響が明白な場所はない。最大都市ヨハネスブルクとアフリカ最大の貨物港ダーバンを結ぶ幹線道路沿いに何マイルにもわたって立ち並ぶ小売業者の倉庫や工場の一部が暴徒の標的となった。

停滞する経済の再建を公約としてラマポーザ大統領が2018年に就任して以降、ハマーズデイルでも地域経済の再興に期待が高まった。「本当に前向きな勢いがあった。雇用も創出されていた」とある企業幹部は匿名を条件に話した。

しかし「南アフリカ不動産所有者協会」や「ビジネス・リーダーシップ・サウスアフリカ」などの業界団体は、同地域の将来が危機にひんしていると警告する。在庫の喪失や建造物への被害、輸出の減少など、暴動がKZNの州内総生産に与えた損害はおよそ14億ドル(約1500億円)と推定されている。昨年の南アの国内総生産(GDP)は約3000億ドルだった。

再建には数年との見方も
業界団体は一部の企業は再建に数年かかると見ている。同国経済の中心地で、やはり暴動で深刻な打撃を受けたハウテン州とKZNは南アのGDPの5割と人口のほぼ半分を占める。ダーバン港は同国の輸入品の70%を扱うと同時に、アフリカ南部への玄関口でもある。

独立系エコノミストのタビ・レオカ氏は「KZNなどまだ情勢が不安定な地域があるため、暴動がもたらした損害を算出するのは現時点では難しい。しかしKZNの損害は200億ランド(約1500億円)以上、全国では500億ランドを超えるだろう」と指摘する。「人命以外の最大の損失は雇用の喪失だ。多くの人が職場を失った」

KZNは長い間、南アの2つの側面を象徴してきた。一つはハイテク物流への投資や雇用創出、もう一つは工業団地の外に広がる衰退や穴だらけの道路だ。

トラックへの放火や略奪から始まった暴動はすぐにスーパーや倉庫、食品包装工場など食品のサプライチェーンへの襲撃に変わった。ラマポーザ大統領は企業経営者に対し、これらの投資への意図的な破壊工作が暴動の中心であり、それは「経済を崩壊させ、社会を不安定化し、民主国家を深刻に弱体化あるいは解体させようとする」計画の一部をなすものだと述べた。

また今回の暴動は、長期間の失業と食料不足がもたらした絶望が新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)でより深刻化したことも反映している。「これはズマ問題ではなく時限爆弾だった」と、ダーバンの貧民街住民の権利保護団体「アバーラリ・ベースムジョンドロ」の広報担当者タペロ・モハピ氏は語った。

同市のウムゲニ・パーク地区では、緑豊かな郊外の住宅地や倉庫が立ち並ぶ地域のすぐ外側に貧民街がある。「ロックダウン(都市封鎖)の期間中、住民は野草まで調理して食べていた」と同氏は話す。暴動が拡大するにつれ「住民は食料を盗みはじめ、『ズマなんて知らない』と言っていた」

また同氏は、一部住民は食料を盗んだが「ズマ氏の支持者は放火した」ともいう。ハマーズデイルに近いカトー・リッジにある巨大倉庫では数百人がフェンスを壊し、ドアをこじ開けて韓国サムスン電子製のテレビなどを略奪した。目撃者によるとゴム弾を使い果たした警察は傍観していたという。倉庫では片付け作業が行われており、責任者によると倉庫は移転せず「旗を掲げる」が、セキュリティーは強化される。

軍と警察が供給ルートを確保して物流は再開したが、多くの住民は十分な食料を買える収入がないままだ。21年初めには全国の失業率は32%を少し上回る水準だった。現在黒人の失業率は48%近く、若年層では74%に達している。

店舗の1割が襲撃された大手小売り
暴動で手ごろな価格の食料の入手がさらに困難になった。南アフリカ大手スーパーマーケットチェーンのショップライトは、南アで運営する店舗の約1割に当たる120店舗近くが火災や略奪で被害を受けたと明らかにした。同社は「可能な限り早期に再建し、営業を再開する努力をしている」と述べた。

暴動の前から政治や犯罪にまつわる暴力がダーバンの経済に悪影響を及ぼしていた。活動家によると、与党アフリカ民族会議(ANC)の一部メンバーと犯罪組織が手を結んで企業にみかじめ料や利益の分け前を要求し、取り分をめぐって争い、しばしば殺人にまで発展している。アバーラリの運営者もANCの汚職への抗議活動をめぐり脅迫を受けたという。

そして今、投資家が計画を再考するのではとの懸念が生じている。ANC所属のムサ・ムキゼ地方議会議員は「非常に悲しい」と漏らす。「ここは産業にとって素晴らしい地域だ」

また同氏は数千人が失業する恐れを指摘した。「(暴動は)悪い警鐘だったが、我々は投資を守るため24時間監視している。投資によって子どもたちが学校に通え、住民は食料を手に入れることができる。従業員の70%は地元住民だ」

略奪を防げなかった警察は家宅捜索を行って物資を押収している。まるで高額な押収薬物であるかのようにカメラの前に冷蔵庫を並べている。しかしウムゲニ・パークの貧民街のような場所から押収できるのは「鶏肉、引き割りトウモロコシ、コメやおむつなどだ」とモハピ氏は述べた。「冷蔵庫などない」

By Joseph Cotterill

(2021年7月25日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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アフガン、民間人死傷者2千人超

アフガン、民間人死傷者2千人超 4月の米軍撤退開始後
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB269ED0W1A720C2000000/

『【イスラマバード=共同】国連アフガニスタン支援団(UNAMA)は26日、アフガン駐留米軍が4月下旬に撤退を始めた後、5月と6月の2カ月間に戦闘などに巻き込まれ死傷した民間人が2392人に上ったとする報告書を発表した。

8月末の米軍撤退完了が迫る中、反政府武装勢力タリバンは力の空白を突いて各地で猛攻を仕掛け、政府軍と激しい戦闘が続いている。米軍によると、全土の約400地区のうちタリバンが200以上を支配下に置いている。UNAMAのデボラ・ライオンズ代表は「暴力を食い止めなければ、今年は前例のない数の民間人が死傷する」と警告した。

UNAMAが同様の統計を取り始めた2009年以降、5、6月の人的被害の規模では最悪となった。

今年上半期の死傷者は5183人(1659人死亡、3524人負傷)で、昨年同期比で47%増加した。タリバンによる死傷者は全体の39%、政府側は25%、過激派組織「イスラム国」(IS)は9%だった。ほかに交戦に巻き込まれた死傷者らがいる。

女性や子ども、医療従事者や少数派のイスラム教シーア派を信仰するハザラ人が巻き込まれる事例も相次ぎ、5月には下校中の女子生徒ら少なくとも85人が死亡、216人が負傷する爆弾テロが起きた。』

[FT]ドイツ、未接種なら行動制限も

[FT]ドイツ、未接種なら行動制限も 首相側近発言が波紋
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2723B0X20C21A7000000/

『独首相府のブラウン長官は、向こう1カ月で新型コロナウイルスの感染が大きく広がる恐れがあり、ワクチン未接種者は再び日常生活の制限を強いられるかもしれないとの考えを示した。

ドイツで新型コロナウイルスのワクチンを接種するため長い列を作る人々=ロイター

ブラウン氏は25日付の独紙ビルト・アム・ゾンタークに掲載されたインタビューで、現在の増加ペースが続けば、9月下旬までに新規感染者数が1日あたり10万人に達する可能性があると述べた。

ドイツでは5月にようやく感染者数の伸びが鈍化し、規制緩和が可能になった。独政府の感染症対策の専門機関であるロベルト・コッホ研究所によると、25日時点では人口10万人あたりの新規感染者数が13.8人と低水準にとどまっている。しかし、ここ1週間の増加率は高く、政府関係者が警戒を呼びかけている。

「週ごとの新規感染者数が60%増となった。デルタ株の感染ペースがこのまま継続した場合、極めて高水準のワクチン接種率や行動の変化を通じて対処しなければ、わずか9週間後には(10万人あたりの)新規感染者が850人に上るだろう」とブラウン氏は話した。

そうなれば、任期が16年間に及んだメルケル首相の後継者が決まる重要な9月の連邦議会選挙の時期に、感染の新たな波が重なる。

支持率低迷に苦しむ与党

メルケル氏の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)を中心とする中道右派政権は今春、高止まりする感染者数や長期的な行動規制のほか、汚職疑惑によって支持率を急激に落とした。CDUの支持率はその後いったん持ち直したものの、7月の壊滅的な洪水被害を受けて2%低下し、28%にとどまっている。

ブラウン氏は、全面的かつ厳格なロックダウン(都市封鎖)がドイツでまた必要になるとは思わないとしつつ、感染の第4波が押し寄せれば、ワクチン接種完了者に比べ、ワクチン未接種者の行動が大きく制限される可能性があると警告した。

「ワクチン未接種者は、検査を受けてもなおリスクが高すぎるため、レストラン、映画館、スタジアムなどに行けなくなるかもしれない」という。

ワクチンの接種・未接種によって規制を分けることについて、世論の反応はまだ不透明だ。

だがCDU・CSUの首相候補であるアルミン・ラシェットCDU党首は、ブラウン氏の発言を批判した。「民主主義国において、自由は特定のグループのためだけにあるのではない」と述べ、ワクチン未接種者も検査で陰性と診断される限り、接種完了者と同じように出かける権利を認められるべきだと続けた。

2回目のワクチン接種をしない人々も

ドイツではワクチン接種プログラムの出足が鈍かったものの、ここ2カ月で弾みがつき、現在の接種率は1回目で60%、2回目で48%に達している。ただ最近はまた伸び悩み、2回目の接種予定日に姿を現さない人も多い。

感染はとりわけ若者の間で広がっている。独紙ターゲスシュピーゲルの報道によると、屋内で集まれる人数の規制を緩和した北部ニーダーザクセン州では、ナイトクラブで感染して自主隔離を強いられている若者が何百人にも上る。

南西部バーデン・ビュルテンベルク州のウィンフリート・クレッチマン州首相は、今年秋に第4波に見舞われる可能性を以前から懸念しており、ワクチン接種義務化の可能性を排除しないと明言した。

クレッチマン氏は独DPA通信に対し、「(接種義務化が)必要になる変異ウイルスの登場はあり得る」と語った。感染力の高さから、はしかの予防接種が介護施設で義務付けられているのと同じだと位置づけた。

「ワクチンの効果を下げる変異ウイルスが存在すれば、直ちに困難な状況に追い込まれる」

By Erika Solomon

(2021年7月25日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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新型コロナウイルスワクチン接種率の推移【世界・国別】
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/vaccine.html?lo=4&a=1

世界のワクチン接種状況
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/world_progress/

 ※ 「累計数」出すことに、なんか意味があるのか?

 ※ 「総人口」を無視して、どーすんの?

 ※ 頭、湧いてるのか?

[FT]北アイルランドへ供給停止 医薬品2000種

[FT]北アイルランドへ供給停止 医薬品2000種 離脱余波
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB2744C0X20C21A7000000/

 ※ 事程左様に、世の中はうまくいかない…。

 ※ 「共通のルール」「グローバルな大市場」というお題目は、簡単に口にすることができる…。

 ※ しかし、現実の利害関係は、鋭く対立する…。

 ※ ましてや、「人の健康に関すること」、「下手すると、後遺障害があり得るようなこと」であれば、なおさらだ…。

『製薬会社が英国の欧州連合(EU)離脱後の煩雑な手続きと格闘するなか、グレートブリテン島で生産し、英領北アイルランドの患者に現在提供されている約2000種類の医薬品の販売が今後、取りやめとなる事態が起きた。

3日、英領北アイルランドのベルファストで北アイルランド議定書に反対する人々=ロイター

業界団体の英国後発医薬品工業協会(BGMA)は、数カ月にわたって政治的解決を求めた末に、北アイルランド市場だけのために二重の規制に従うコストと複雑さから、加盟企業は同市場への医薬品供給を打ち切る意向を英保健省に伝えたと明らかにした。

医薬品供給に深刻な混乱が及びかねない脅威が生じたのは、欧州委員会のフォンデアライエン委員長がジョンソン英首相に対し、英国のEU離脱協定に盛り込まれた北アイルランド議定書について再交渉しないと警告したのを受けてのことだ。

北アイルランドに関する貿易ルールを定めた議定書では、12月に期限が切れる猶予期間の後、同地域はEUの医薬品規制システムの一部として扱われることになっている。

認可や検査の負担

(イングランド、スコットランド、ウェールズで構成する)グレートブリテン島で生産される北アイルランド向け医薬品は、別途認可を得る必要があるうえ、安全性検査やその他の審査を受けなければならない。

BGMAのマーク・サミュエルズ代表は、その結果、追加の倉庫設備や臨床試験、技術専門家が必要になると指摘する。「こうした重複のために多くの場合、北アイルランドへの供給が長期的には引き合わなくなる可能性がある」

週を追うごとに多くの企業が医薬品販売撤退を決めていったといい、同氏は「私の知る限り、過去にこの規模の撤退が一斉に起きたことはなかった」と話した。

また、医薬品提供を取りやめた際に英保健省の担当者が代替品を特定するシステムには大きな負荷がかかるだろうとも指摘した。

サミュエルズ氏は「我々が危機を回避できるよう、この状況に対処する追加資源を(英政府が)提供してくれる」ことを期待していると語った。

欧州委員会は6月、北アイルランドでの供給不足緩和に向け、医薬品供給に関するEU規制の見直しに取り組むと表明した。委員会は向こう数カ月で、法整備の提案をまとめることになっている。

14日、ブリュッセルで記者会見を終えてマスクを着けるフォンデアライエン欧州委員長=AP
英保健省にコメントを求めたが、すぐには返答がなかった。

一方、ジョンソン氏はフォンデアライエン氏に対し、北アイルランド議定書は「持続不能」であり、「大幅な変更」が必要だと伝えた。

議定書では、グレートブリテン島から北アイルランドに入る製品がEUの基準を満たしていることを確認するために、アイリッシュ海の境界での検査が義務付けられている。

英首相官邸は、ジョンソン氏は電話でフォンデアライエン氏に対し、貿易問題を緩和するために議定書の修正で「英国と協力」するよう要請したと発表した。

英政府は7月21日、グレートブリテン島から北アイルランドへ向かう製品について大半の検査の廃止を求める報告書を発表した。

「北アイルランドの市民と企業が直面している困難に対して合理的で実際的な解決策を見いだし、ひいては英国とEUの関係を改善する多大の好機がある」(首相官邸)。

だが、フォンデアライエン氏は、通商関係のいかなる変更も、ジョンソン氏が2019年に署名した議定書の枠組みの中で実施しなければならないとの考えを明確にしている。

「再交渉はしない」

「EUは今後も、引き続き議定書の枠組みの中で創造的で柔軟な姿勢をとる」。フォンデアライエン氏はこうツイートした。「だが再交渉はしない。我々は共に北アイルランドの安定性と予測可能性を確保しなければならない」

ジョンソン氏はドイツのメルケル首相にも電話し、議定書の運用方法の大幅変更を受け入れるよう、残り数週間の首相在任期間でのEU説得を要請した。

協議に通じた複数の高官によると、欧州委員会は22日、EUの外交官に対し、もし英政府が議定書と離脱協定の条件に違反していることが明らかになれば、委員会は英国に対する法的措置を強化すると通告した。

By Sarah Neville, George Parker and Mehreen Khan

(2021年7月23日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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【関連記事】
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暗号資産、英で規制の網

暗号資産、英で規制の網 投資家保護へ広告排除も
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR130NV0T10C21A7000000/

『【ロンドン=篠崎健太】英国で暗号資産(仮想通貨)の広告や営業活動に規制をかける動きが広がってきた。新たな投資対象として人気が高まるにつれ、価格変動リスクや詐欺などの犯罪行為から個人投資家を守る必要性も増してきたからだ。金融商品としての規制や監督体制が追いついておらず、新たな金融分野での事業者と当局の攻防は激しくなっている。

バス車体の広告に排除命令

ロンドンの街中では暗号資産関連の広告を見かける機会が増えた。「ビットコインを見かけたら、今が買い時だ」――。5月下旬、ロンドンに拠点をおく交換業者ルノがこんな文言で地下鉄駅やバスの車体に展開していた広告に対し、英国の広告自主規制機関から排除命令が出た。

投資リスクを記さず消費者を誤認させかねないとの苦情を受け、広告基準評議会(ASA)が審理していた。ASAはビットコインが投資家保護を受けられる金融規制対象の商品ではない事実を明示しておらず、安易に投資できるものだと誤認させるなどと指摘した。広告ルール違反を認定し、ルノは今後の改善を約束した。

3月には「銀行預金は意味が無い」「ビットコインはデジタルゴールドだ」などと宣伝していた別の交換事業者の広告にも排除命令が出ている。ASAは暗号資産の広告に関するガイドラインを近く策定する方向だ。

犯罪行為に神経とがらす

英金融当局は消費者に対して、暗号資産の投資リスクに警告を発し続けている。株式や債券といった一般的な投資商品と違い、現状では厳しい監督を受ける金融規制の対象になっていないためだ。国境を越えて自由に流通する特性から、マネーロンダリング(資金洗浄)や犯罪行為に悪用される可能性にも神経をとがらせている。

金融行為監督機構(FCA)は1月に「資金を全て失うことを覚悟しなければならない」との声明を出し、投資詐欺などの不正にも注意するよう呼びかけた。イングランド銀行(中央銀行)のベイリー総裁は6月の講演で「暗号資産は裏付けが無く本質的な価値を持たない」と述べ、投資商品としての意義そのものに疑問を呈した。金融革新には積極的な立場ながら「公益を無視するフリーパスはあり得ない」と、適切な規制の必要性を改めて強調した。

FCAは6月、暗号資産の交換業世界大手バイナンスの英法人に対し、必要な認可や登録を得ていないとして英国での営業禁止を通知している。同社は本体のBinance.comは「別法人で直接影響しない」(広報担当者)として、英国向けサービスの提供を続けている。ただ英メディアによるとバークレイズなど複数の大手銀行が同社への送金受付を停止した。

保有者推計、英で230万人

FCAは1月に実施したアンケート調査を基に、英国で暗号資産を現在保有している人の数を約230万人と推計した。まだ英成人全体の4.4%にすぎないが、暗号資産のことを「聞いたことがある」と答えた人は全体の78%と2年前の42%から大きく高まっており、投資商品としての認知は進んでいる。

「仮想通貨は世界で普及が進み各国で規制の枠組みを明確にする必要が出ている」。バイナンスの趙長鵬・最高経営責任者(CEO)は7日、公式サイトに掲載した公開書簡でこうつづった。規制強化は「業界の成熟を示す良い兆候だ」と述べ、当局と協力していく構えをみせた。技術革新で生まれた無国籍の投資対象をどう管理していくか、手探りのルールづくりが進む。 』

〔我が国の宇宙開発利用の現状 我が国の宇宙開発利用の現状〕

(データ集)
平成22年2月23日
内閣官房宇宙開発戦略本部事務局
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/utyuu/seisaku_kaigi/dai1/siryou1_3.pdf

 ※ 日本国の宇宙開発の現状は、どうなっているのか…。

 ※ 安全保障の観点、産業振興の観点、国民生活の利便性の向上の観点…、そのプライオリティの割り振りは、どうなっているのか…。

 ※ そういう問題を知り得るためには、どういう「資料」に当たったらいいのか…。

 ※ 何か、「全体の組織図」みたいなものは、ないのか…。

 ※ そういう問題意識で、探していたら、当たったものだ…。

 ※ ちょっと古いが、参考になるんで、貼っておく…。

※「気象庁」が、国交省の管轄ということは、知らんかった…。

※ JAXAは、文科省と総務省で綱引きしたようだ…。双方から人員を出す…、ということで決着したようだ…。

※ 一応、内閣官房内の「宇宙開発戦略本部」というところが、「司令塔」だ…。本部長は、「内閣総理大臣」…。「宇宙開発担当大臣」というものも、設置されているんだな…。

内閣府特命担当大臣(宇宙政策担当)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%85%E9%96%A3%E5%BA%9C%E7%89%B9%E5%91%BD%E6%8B%85%E5%BD%93%E5%A4%A7%E8%87%A3%EF%BC%88%E5%AE%87%E5%AE%99%E6%94%BF%E7%AD%96%E6%8B%85%E5%BD%93%EF%BC%89

ISSにロシアが新施設 有人宇宙技術で米中を天秤に

ISSにロシアが新施設 有人宇宙技術で米中を天秤に
編集委員 小玉祥司
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD097Z80Z00C21A6000000/

『ロシアが打ち上げた国際宇宙ステーション(ISS)の新実験棟が29日にもISSに到着、連結される見通しになった。月基地建設で協力するなど中国との接近を強め、米国を中心とするISSからの離脱にも言及するロシア。一方で、なぜ新施設を投入するのか。旧ソ連時代の遺産を生かせる有人宇宙分野をてこに、米中を天秤(てんびん)にかけながら宇宙開発での生き残りを図る姿がうかぶ。

Nikkei Views
編集委員が日々のニュースを取り上げ、独自の切り口で分析します。

ロシアが21日に打ち上げた新実験棟「ナウカ」は全長が約13メートル、重さが約20トンで、日本の実験棟「きぼう」よりひとまわり大きい。ロシアの実験棟は初めて。ナウカはロシア語で科学を意味する。これにより、ISSにおける実験の能力はこれまでの1.5倍になる。

実験設備だけでなく、酸素製造装置など生命維持のための装置やISSの姿勢制御などに使える推進装置、欧州宇宙機関(ESA)が開発した船外作業用のロボットアームなども備える。

ISSの運用はロシア側と米国側でわけられていて、ナウカを運用するのはロシア側。接続作業や接続後の運用はロシア側の宇宙飛行士が担当する。現在、日本人宇宙飛行士の星出彰彦さんがISS船長を務めているが、全体の安全のためにロシア側と協力する程度という。

国際宇宙ステーションに加わるロシアの新実験棟「ナウカ」=ロスコスモス提供

ナウカが追加されたからといって、必ずしもISSの設備が最新鋭になるとは限らない。モジュールはロシアが最初にISSのために打ち上げた「ザーリャ」のバックアップのために造られたものを利用。打ち上げは当初、2008年ごろの予定だったが10年以上遅れた。

1998年に建設が始まったISSは老朽化も指摘されるが、「ナウカが接続したからといって、必ずしもISSの長寿命化にはつながらない」と宇宙航空研究開発機構(JAXA)モスクワ技術調整事務所の和田理男氏は指摘する。

独自の新宇宙ステーション構想

ロシアは独自の新宇宙ステーション構想を打ち出すとともに、4月に宇宙開発担当のボリソフ副首相が2025年以降のISSからの離脱に言及している。また中国とは月基地建設で協力する覚書を結び、6月にはロードマップも公表した。そうしたなかでなぜISSに新施設を投入するのだろうか。

ISSからナウカを含むロシア側の施設だけを切り離して、単独で運用することができないわけではない。構想中の新宇宙ステーションに流用することも考えられるが、基幹モジュールなどを新たに開発・投入する必要があると見られる。

冷戦時代は米国と宇宙開発のリード役を競ったロシアだが、旧ソ連の崩壊をうけてロシアもISS計画に参加。1998年に最初に打ち上げられた「ザーリャ」はロシア製だ。その後20年以上にわたってロシアは米国と協力してISSを運用してきた。

しかし、国際通貨基金(IMF)によるとロシアの現在の国内総生産(GDP)はカナダや韓国と同程度で、米国や中国とは大きな差がある。新たな宇宙開発に取り組む余力は乏しい。
過去の遺産の活用が重要に

そうした中で存在感を維持するには、有人宇宙飛行のように世界をリードしてきた過去の遺産を活用するしかない。ロシアにとって幸運だったのは米スペースシャトルが相次ぐ事故の影響などから2011年に運用を終了。ISSへ宇宙飛行士を輸送する有人ロケットはソユーズが独占する時期が続いたことだ。

国際宇宙ステーションの2025年以降の運用体制が決まっていない=NASA・ロスコスモス提供

米航空宇宙局(NASA)は、中国または中国企業との2国間協力による活動にNASAの予算を使用することを禁じた「修正ウルフ条項」があるため、ロシアに頼らざるをえなかった。しかし米スペースXの有人ロケット「クルードラゴン」が登場し、その優位性はなくなった。

宇宙強国を目指す中国は、月や火星の探査に成功し、独自宇宙ステーションの建設を開始するなど宇宙開発で急速に力をつけている。とはいえ宇宙強国の目標として「2030年にはロシアを抜き世界宇宙強国の仲間入りを果たす」としているように、まだロシアの技術的な優位を認めている。宇宙開発の先頭グループから脱落したくないロシアとしては、豊富な資金を投入する中国との協力は魅力的なだけでなく、米国へのけん制にもなる。

一方で、宇宙開発分野でロシアと米国はISS以外でも協力関係がある。米国の主力ロケットのひとつ「アトラスV」のエンジンがロシア製であることは有名だ。

ロシアも米国製機器に依存しており、国営宇宙開発企業ロスコスモスのロゴージン社長は米国がロシアの宇宙関連企業に科した制裁などが「協力を著しく困難にしている」と批判している。簡単に米国との関係を断つわけにいかないのも明らかだ。宇宙で中国との競争が激しくなっている米国にとっても、ロシアが中国と連携を強めるのは好ましいことではない。

実際、ボリソフ副首相のISS離脱発言後の6月に、ロゴージン社長がNASAのネルソン新長官と電話会談。ネルソン長官からISSの2030年までの運用延長の提案があり、ロゴージン社長は提案を支持した、とロスコスモスが発表している。ナウカの打ち上げは、そうした米国との関係維持をにらんだ動きともとれる。

ロシアは新宇宙ステーションのほか新しい大型ロケット開発の計画も進めているが、資金確保は厳しい。また宇宙の商業化が急速に進む中で、多数の超小型衛星で通信網をつくるメガコンステレーションなど最先端の動きでは後れをとっている。そうしたなかでいかに宇宙大国の地位を維持するか。有人宇宙技術を武器に、米国と中国の間でバランスをとることに腐心しているようにみえる。

編集委員が独自の切り口で分析「Nikkei Views」一覧へ 』

中国、新疆に新たな核ミサイル格納庫建設か

中国、新疆に新たな核ミサイル格納庫建設か 米報道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB278IN0X20C21A7000000/

『【ワシントン=時事】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は26日、中国が新疆ウイグル自治区に核ミサイルの地下格納庫とみられる施設110カ所を建設していると報じた。先月にも北西部甘粛省の砂漠地帯で似たような格納施設119カ所が建設されていると報じられたばかりだった。

核弾頭を搭載した弾道ミサイル用とみられる新たな格納施設は、同自治区東部の砂漠地帯で建設されていた。商業衛星写真で施設を発見した核専門家らによると、少数民族ウイグル族の収容施設があるとされるクムルから約100キロしか離れていない。

3月に建設が始まった地下格納庫は、それぞれ約3キロ距離を置いていた。極秘裏に建設を進めていた様子はなく、明らかに発見されることを想定していたとみられる。

全米科学者連盟の核専門家は、先月報じられた甘粛省の格納庫建設にも触れ「(これらは)中国核戦力の過去最大規模の拡大を示している」と指摘。ただ、中国が新たな格納庫にミサイルを実装するかどうかは不明で、おとりとして使ったり、将来の核軍縮交渉用のカードにしたりする可能性もあるという。

米国防総省によると、中国が保有する核弾頭数は「200発台前半」で、米国やロシアと比べると大幅に少ない。ただ、今後10年間で少なくとも2倍に増やす可能性が高いとみられており、米国は警戒を強めている。 』

米政権が多面外交

米政権が多面外交、閣僚相次ぎアジア訪問 対中にらむ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN271SL0X20C21A7000000/

『【ワシントン=永沢毅】バイデン米政権が「唯一の競争相手」とみなす中国をにらんだ外交を多面的に展開する。ブリンケン国務長官がインド、オースティン国防長官が東南アジアをそれぞれ訪れるほか、ロシアとの高官級軍縮対話も開く。閣僚や高官が同時並行で対中包囲網の構築に取り組む構図が鮮明になる。

オースティン氏はバイデン政権の主要閣僚として初めて東南アジアを訪問した。中国が実効支配を進める南シナ海での領有権問題を巡り、中国の圧力を受けるフィリピンやベトナムを訪れ、支援姿勢を示す。影響力を拡大する中国をけん制する狙いだ。

バイデン政権発足後、日本や韓国、欧州、中東にはバイデン大統領本人を含む高官が訪れたが、対東南アジア諸国連合(ASEAN)はブリンケン氏がオンライン外相会合を開くにとどまっていた。

ブリンケン氏の訪印は初めてで、28日にモディ首相、ジャイシャンカル外相と会う。「バイデン政権は初めからクアッドと米印関係に高い優先順位をおいている」。国務省高官はこう述べ、2国間関係とともに日本、オーストラリアを交えた枠組み「Quad(クアッド)」の協力も推進すると説明した。

クアッドは新型コロナウイルスワクチンの途上国への供給で協力体制にある。インドでの生産増強を米国が支援することなどが柱で、今回も連携を深める方策を話し合う。米国にはワクチン外交で先行する中国に対抗する狙いがある。

18日から26日まで、日本、韓国、モンゴル、中国を訪れていたシャーマン国務副長官は中東のオマーン経由でジュネーブに向かう。28日に米ロ間で核軍縮を話し合う「戦略的安定対話」の初会合に出席するためだ。ロシアのリャブコフ外務次官と協議にあたる。同対話は6月に同じジュネーブでのバイデン政権初の米ロ首脳会談で合意していた。

国務省は「将来の軍縮やリスク提言への地ならしを進める」と開催の目的を説明している。2月に5年延長で合意した米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)の後継枠組みを含む幅広い安保問題を話し合うことになる。

米国は中国を含めた軍縮対話を視野に入れる。核・ミサイルを含めて急速な軍拡を進める中国を欠いた軍縮はその脅威を増すだけに終わりかねないためだ。米国が軍縮などでロシアとの接点を探るのは、加速する中ロの接近に一定の歯止めをかけるためでもある。

「米国の一部が中国を仮想敵とみなしている」(中国の王毅国務委員兼外相)。シャーマン氏の26日の訪中であらわになったのは、容易には解消しそうにない米中対立だ。香港や新疆ウイグル自治区、サイバーなどあらゆる問題で王氏らとほぼ全面衝突する結果となった。バイデン政権が各国との関係強化に取り組むのは、対中競争が長期的な課題になるのを見据えた動きだ。

対中シフトは軍事面でも鮮明になっている。「今年の年末までに戦闘任務は終える」。バイデン氏は26日、ホワイトハウスにイラクのカディミ首相を招いてこう宣言した。イラク駐留米軍は約2500人。大半が従事しているイラク治安部隊への訓練や情報提供は継続する。

ただちに大規模な米軍の削減にはつながるわけではない。ただ、今回の宣言は8月末までのアフガニスタン撤収とあわせて中東でのテロ掃討作戦に一定のメドをつけ、中国への対応に注力するバイデン政権の方針に沿う。国務省高官はブリンケン氏の訪印についても、インドに近接するアフガンの安定に向けた協力が重要課題になると指摘する。

【関連記事】
・制裁撤回など是正要求 中国、米国務副長官に
・米、東南ア支援で巻き返し図る ASEANと外相会議
・米中外交トップが電話協議 台湾・人権・コロナ巡り応酬 』

米国防長官、中国との「安定した関係構築目指す」

米国防長官、中国との「安定した関係構築目指す」 
シンガポールで安保演説、南シナ海問題では中国批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM253QX0V20C21A7000000/

『【ワシントン=中村亮、シンガポール=中野貴司】オースティン米国防長官は27日、訪問先のシンガポールで演説し、米国として「アジアへ永続的に関与していく」と強調した。南シナ海をめぐる中国の一方的な海洋権益の主張については「根拠がない」と断じた一方「我々は対立を求めてはいない」と表明。中国との安定した関係の構築を目指す考えを示した。

オースティン氏はバイデン政権の主要閣僚として初めて東南アジアを訪れ、英国の国際戦略研究所(IISS)が主催するイベントで演説した。バイデン政権の対アジア安全保障政策に関する初めての包括的な演説となった。演説後には識者などからの質問に答えた。

同氏は航行の自由や紛争の平和的解決、法の統治などについて「こうした原則と相いれない行動をこの地域は目撃している」と語った。南シナ海の海洋権益を一方的に主張して実効支配を強める中国を批判する発言だ。

オバマ政権は南シナ海問題に迅速に対応せず、中国への強硬姿勢を打ち出したトランプ政権も中国による軍事拠点化を食い止められなかった経緯がある。バイデン政権は危機感を強めており、米軍は南シナ海の西沙(英語名パラセル)諸島などの周辺で「航行の自由」作戦を続けている。

台湾海峡問題を巡っては「誰も一方的な現状変更を見たいと思っていない」と述べ、中国を改めてけん制した。「台湾の自衛能力支援を約束する」とも強調した。バイデン政権が最近、台湾問題で強い姿勢を打ち出していることもあり、中国も最近は軍事的挑発を抑制している。25日までの過去約3カ月間(100日間)で台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した中国軍機は延べ112機にとどまり、それ以前の3カ月間と比べて半分以下に減った。

オースティン氏は中国の新疆ウイグル自治区での少数民族ウイグル族への弾圧や、中国の台湾への姿勢も批判した一方「対立を求めてはいない」とも強調。中国との「建設的で安定した関係」を模索する考えも示した。気候変動問題での中国との協力にも前向きに取り組む意向を表明した。

オースティン氏は東南アジア諸国に関係の再構築を呼びかけた。「同盟と友好のネットワークこそが他の追随を許さない米国の戦略的資産だ」と強調。「私は同盟を与えられたものだとは思わない」とも述べ、米国が積極的にアジアへ関与する姿勢を示した。

同盟関係にきしみがみられるフィリピンについては、米国のフィリピン防衛を定めた米比相互防衛条約の適用対象に南シナ海が含まれると改めて説明した。米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の沖縄県・尖閣諸島への適用にも触れ、一連の条約上の義務を果たす考えを強調した。

アジア各国に対し「必要とする能力や情報を提供するため連携していく」と語り、サイバーや宇宙領域を含む幅広い防衛協力に意欲を示した。違法な漁業や資源開発を取り締まるための能力開発も支援していくと説明した。

多様な観点からニュースを考える
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越野結花
国際問題戦略研究所(IISS) リサーチ・フェロー

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ひとこと解説 当初6月に予定していたオースティン国防長官の東南アジア訪問が今月実現。シンガポール政府の判断で、国際問題戦略研究所(IISS)が毎年開催しているシャングリㇻ対話が二年連続の中止となったことが影響した。全体としては、「強靭な国際秩序」を構築するため、同盟国や地域の友好国と強調する姿勢を何度も繰り返して強調していたことが前政権との大きな違いだ。政権があくまでも外交重視の立場であること、限られたリソースを効果的に活用する戦略として軍事から非軍事的手段を組み合わせる「統合的抑止力」の概念が強調されたことも、国防省のホワイトハウス内の位置づけを検討する上で重要。続く東南アジア訪問の成果も注視したい。

2021年7月27日 23:21いいね
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真珠湾も登場した米中ミニ「アラスカ会談」の不穏

真珠湾も登場した米中ミニ「アラスカ会談」の不穏
編集委員 中沢克二
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK251OF0V20C21A7000000/

 ※ 米中の対立は、「構造」から来ている問題なんで、一回や二回、「高官同士が会談」したところで、どうこうなる問題じゃ無い…。

 ※ オレらが、見ておかなくちゃならないことは、「対立の因って来る(きたる)構造」に変化は生じるのか、変化の「兆し」はあるのか…、ということだ…。

 ※ そういうことの「観察眼」が、国家の生き残りの死命を制する…。

『中国時間26日午前10時(日本時間同11時)前、中国のインターネットメディアが、天津で始まった中国外務次官、謝鋒と訪中した米国務副長官、シャーマンの会談について、中国側が相手にぶつけた発言だけを一方的に速報形式で報じた。

「米側の一部の人は、米中衝突や米国が直面する挑戦を誇張する際、いわゆる『真珠湾(攻撃)』や『スプートニク(ショック)』を挙げる」。米側は中国を第2次世界大戦時の日本や、冷戦時のソ連にたとえて中国という「仮想敵」をつくり出し、妖怪・悪魔のように扱うことで米国内の不満をそらし、構造的矛盾を中国のせいにしようとしている、という趣旨だ。

中国がもっとも重視する対米関係を巡る第一報が、国営通信の新華社や国営の中央テレビなどでないのは珍しい。

会談中から「強い立場」をネットで宣伝

26日、天津で開かれた米中高官会談に出席した中国の謝鋒外務次官(右)=AP
真珠湾攻撃にまで言及した外務次官発言の詳細だけを真っ先に報じたのは、外交問題を多く取り上げるミニブログの字幕付き映像ニュースである。これを上海を拠点とする比較的、新しい民営のネットニュースメディア「観察者網」などが引用して、中国の一般国民が携帯するスマートフォン向けに速報し、拡散させる。

その傍らで中国外務省は会談中から米国を批判する謝鋒の発言を絶え間なく発表した。今回の会談は冒頭以外は非公開とされたが、中国側は隠れたところで激しい宣伝戦を展開していた。ネットメディアを巻き込む、よく考えられた複雑な形式である。

観察者網は民営とされるが、7月上旬には謝鋒とは別の外務次官(筆頭格)が米中関係について語った独自の長いインタビューを掲載しており、特別な役割があるのは間違いない。そこには、いわゆる「戦狼(せんろう)外交」を含めた中国の強い姿勢を一般国民に宣伝する意図もあるようだ。

よく海外メディアに引用される環球時報、環球網も「強い姿勢」という点では似ているが、こちらは共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙の系列であり、直接、中国外務省から指示をうけているわけではない。ネット全盛の時代になり、外交・安全保障政策の国内宣伝は多様化している。

つまり天津での米中会談は、中国サイドの報道・宣伝方式だけを考えれば、3月に米アラスカで中国外交トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)と米国務長官のブリンケンが互いにテレビカメラを入れて1時間もやり合った雰囲気を大筋、踏襲している。

対米基本スタンスに変化なし

いわば出席者のレベルを副大臣級に下げたミニ「アラスカ会談」である。中国側の小道具としてはテレビがネットメディアに変わっただけだ。3月には楊潔篪が使った「米国に上から目線でものをいう資格はない。中国はその手は食わない」といった言い回しが中国内で流行語になったが、今回、謝鋒は「仮想敵」という言葉に焦点を当てた。

そして仮想敵を説明する材料として日本軍による真珠湾攻撃と、1957年10月、ソ連による人類初の人工衛星「スプートニク1号」打ち上げ成功の発表によって、米国をはじめとする西側に走った衝撃を指すスプートニク・ショックを使った。こちらは宇宙を含むハイテク技術の激しい米中覇権争いを象徴している。

中国共産党創建100年の祝賀大会の演説で、拳を振り上げる習近平国家主席(7月、北京)=新華社・共同

それにしても中国の外務次官が対米外交という重要な場の冒頭から1941年の日米開戦につながった真珠湾攻撃に言及するのは不穏である。真珠湾攻撃当時の日本と一緒にするな、という先制パンチだとしても、外交を理解する関係者なら、米中関係が置かれた深刻な状況に気が付くだろう。

中国側は、アラスカ協議から4カ月を経た今も対米外交の基本スタンスは変えていないとアピールした。外交トップの楊潔篪が今回の対米協議に出ていない以上、そもそも急転換は不可能だ。そればかりでない。重要な中国外交の全ては、国家主席の習近平(シー・ジンピン)が自ら決めているのだ。

問題は強い姿勢を貫くアピールを誰に向けてしているのかである。主要な対象は、ナショナリズム的な傾向が少しずつ強まる中国内の一般国民だ。これは国務委員兼外相の王毅(ワン・イー)が、米中協議が始まる直前に「米国が他国と対等な姿勢で付き合うことを今日まで学んでないのなら、我々は国際社会と共に米国に対し、しっかり補習の授業をする責任がある」と上から目線の強気な発言をあえてしたことからもわかる。

米中首脳会談は話題にならず

ワシントン近郊のアーリントン国立墓地でスピーチするバイデン米大統領(5月)=ロイター
米側によると、今回の一連の会談で10月の20カ国・地域(G20)首脳会議に合わせた米中首脳会談の開催は議題にのぼらなかったとされる。いわゆる目にみえる合意点がない率直に物を言い合う会談が予想できたからこそ、当初から中国側は国内宣伝に重点を置いた。
米国務省によると、シャーマンは王毅と米中関係を管理する方法を協議するなかで中国との厳しい競争に言及。一方で「衝突は望まない」と伝えたという。

王毅は米側に新疆ウイグル自治区、チベット自治区、香港、台湾の各問題で主権を侵さないよう要求するなど、3つのボトムラインを示した。3月のアラスカ会談以来、途絶えていた米中両国による直接の外交接触はようやく再開したものの、先行きは見通せない。

ちょうど80年前の真珠湾攻撃は日本の運命を変えてしまった。その原因は、米国を中心とするABCD包囲網による制裁で経済が行き詰まったからである。確かに現代の中国に対する国際的な圧力は、当時の日本への包囲網とは質が違う。しかし、真珠湾攻撃の前、日本が置かれた立場と、今の中国の類似を暗に指摘する声は、中国の「体制内」からも出ている。

天津で会談する中国の王毅国務委員兼外相(右)とシャーマン米国務副長官(26日)=ロイター

駐サンフランシスコ中国総領事を務め、外交官を養成する外交学院の共産党委員会トップを歴任した学者、袁南生は昨年、発表した論文で「四方を全て敵にするのは外交の失敗」と習近平政権による「戦狼外交」を暗に批判。真珠湾攻撃で米、英、仏、オーストラリア、中国、最後はソ連まで敵にした日本の例を挙げた。中国にいまだ強硬姿勢から転換する兆しがないのは気になる。(敬称略)』

団体・族議員、往時の力なく

団体・族議員、往時の力なく 一橋大教授 中北浩爾氏
政策決定の変容 有識者に聞く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA121IK0S1A710C2000000/

『族議員の影響力は1960年代後半から高まった。自民党政権が長期化し、政治家が特定の政策分野の知識を蓄積した。

中北浩爾・一橋大教授

衆院の中選挙区制のもとで同党議員が同じ選挙区で競合した。農林や建設など得意分野をすみ分け、業界団体や省庁と緊密なネットワークを築いた。

96年衆院選から党候補が1選挙区1人の小選挙区制になると、地元の政策要望をオールラウンドに処理する必要性が高まった。93年以降の政権交代や連立の組み替えも相まって徐々に改革が進んだ。世界で新自由主義の流れも強まった。

その最高潮が小泉政権の構造改革だった。業界団体の固定票より無党派層の票を重視し、政官業のトライアングルを破壊した。

小泉純一郎元首相は郵政民営化が争点の2005年衆院選で劇的に勝った。こうした勝ち方は小泉氏しかできないし、常にできたわけではない、長続きしない方法だった。

小泉政権の後には揺り戻しの動きが起きた。06年に首相になった安倍晋三氏は郵政民営化の「造反組」を復党させた。浮動票より安定した組織票を重んじる流れは12年発足の第2次安倍政権以降も続いた。

第2次以降の安倍政権は農協改革などに取り組んだが、一定程度は農協と妥協した。党の支持基盤を傷つけない範囲で巧みに改革した。

業界団体の力は弱まっている。野党を支持する労働組合や公明党の支持母体の創価学会など宗教団体も同様だ。族議員もかつての力はない。党政調は首相官邸が設定したアジェンダの枠内で微修正を加えるくらいしかできない。(聞き手は根本涼)』

中国株、マネー流出加速 ITや教育の統制強化に疑心

中国株、マネー流出加速 ITや教育の統制強化に疑心
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB273N60X20C21A7000000/

『【上海=土居倫之】中国株からマネーが急速に流出している。中国当局の規制がIT(情報技術)プラットフォーム企業から教育産業にまで広がっているためだ。2022年に共産党大会を控える習近平(シー・ジンピン)指導部は、長期政権に向けて国民の支持を得ようと、独占的な地位を築いた大企業への統制を強める。中国株を巡る市場の警戒は続く見通しだ。

27日の中国・上海株式市場で上海総合指数は前日比2.5%安と約1年ぶりの下落率となった。前週末に中国共産党と国務院(政府)が小中学生向け学習塾の非営利団体化を柱とした規制策を公表したことが響いた。

統制の対象は教育だけではない。26日には国家市場監督管理総局など7部門が連名で、配達アプリの運営会社に対し社会保険の加入など配達員の権利を保護するよう求める指導意見を発表した。

香港市場に上場する配達アプリ大手の美団は27日、前日比17.7%安と急落した。香港の代表的な株価指数のハンセン指数は前日比4.2%下落し、下落率は約1年2カ月ぶりの大きさとなった。20年末と比べると、美団は34%安、学習塾などを運営する新東方教育科技集団は89%安だ。

マネー流出の動きは中国全体に及ぶ。中国人民元は27日に対ドルで1ドル=約6.51元と、約3カ月ぶりの元安水準に下落した。

中国企業の米国預託証券(ADR)の値動きを示す米ナスダックのゴールデン・ドラゴン・チャイナ指数は26日、前週末比7.0%安と急落。2月中旬に付けた高値から半値近くまで下げた。

中国政府の相次ぐ規制強化の背景には、22年の党大会を前に権力基盤を固めたい習指導部の存在がある。習指導部は教育機会の不平等につながりかねないとして、学習塾など義務教育外の教育費の高騰を問題視していた。

最近では少子化対策として1組の夫婦に3人目の出産を認める制度改正に着手。高い教育費が少子化対策の妨げになるとの見方がある。

中国政府は上場するIT関連など大企業の統制を強める一方、雇用の大半を占める中小零細企業を保護する方針を鮮明にする。幅広い国民から支持を集めたい考えだ。

劉鶴(リュウ・ハァ)副首相は27日のフォーラムで「中小企業は雇用維持の主役であり、中小企業が良くなってこそ中国経済も良くなる」としたうえで、「発展と安全の(政策的)調整は、公平な競争環境を保護することなどが目的」としてデータセキュリティーなどを理由にした巨大企業への統制強化の必要性を強調した。

ITプラットフォーム企業、教育企業に続く焦点のひとつが不動産開発会社だ。習指導部は、教育費と並ぶ国民の大きな不満である住宅費の高騰にも切り込む姿勢を示している。不動産開発会社は多額の債務を抱えているだけに、今後の規制動向次第では中国経済の下振れ要因となり得る。

海外投資家は中国当局が規制強化をどこまで広げるのかについて疑心暗鬼になっている。米バンク・オブ・アメリカは19日付のリポートで「中国の規制政策は不確実性が残っている。当面、中国株を避けて日本やオーストラリア、インドの成長株などに資金を向けるべきだ」と示した。

海外投資家の懸念の根底には中国経済の回復鈍化懸念もある。欧米が金融政策の正常化に向かう中で、中国は逆に預金準備率の引き下げに踏み切った。SMBC日興証券でシニア中国ストラテジストを務めるヨー・ジェレミー氏は「政策当局が景気の下振れリスクを警戒し、(金融政策の)タカ派的スタンスを緩和した」と分析する。

【関連記事】中国の教育銘柄が総崩れ、規制強化で半値以下に 』

雇用保険料引き上げ、22年度にも

雇用保険料引き上げ、22年度にも 雇調金増大で財源不足
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA216MN0R20C21A7000000/

 ※ 『雇用保険は仕事を失った人が生活に困らないようにする失業者など向けと、雇用安定・能力開発の2つの事業に大別される。企業などからの保険料収入を財源にし、好景気の際の積立金も使って給付する仕組みだ。

ただ、コロナを受けて雇用安定の事業の一部である雇調金の給付が急増した。企業が労働者に支払う休業手当を助成するもので、コロナを受けて支給要件緩和や助成拡充の特例を設けた。2020年3月以降の支給決定額は4兆円超になった。』

 まあ、そうやって、人々が「首になって、生活が困窮する」のを、防止したわけだ…。
※ 『ただ、コロナを受けて雇用安定の事業の一部である雇調金の給付が急増した。企業が労働者に支払う休業手当を助成するもので、コロナを受けて支給要件緩和や助成拡充の特例を設けた。2020年3月以降の支給決定額は4兆円超になった。

財源が不足し国の一般会計から約1兆1千億円を繰り入れ、失業者向け事業の積立金からも約1兆7千億円を借りた。この積立金はコロナ前の19年度に約4兆5千億円あったが21年度に約1700億円に減る見通しだ』

 と言うことで、本来の制度だけでは足りず、『国の一般会計から約1兆1千億円を繰り入れ、失業者向け事業の積立金からも約1兆7千億円を借りた。』と言うことだ…。
 前にも語ったが、「一般会計」で「国の予算を使う」と言うことは、「他者の拠出した税金」をも使うということだ…。
 世の中、「他人に雇用されている人」ばかりじゃない…。自分で事業やっている人、農林水産業やっている人なんかが、あまたいる…。そういう人々と、「他人に雇用されている人」の利害は、鋭く対立する…。

 ※ 『企業が負担する雇用安定・能力開発の料率は現在は賃金総額の0.3%。本来の0.35%を目安に上げる。』
 と言うことで、「厚生年金」の制度もそうだが、「雇用されている人」が絡む場合、「雇用している人≒企業(株式会社なんかの法人)」の場合が多いので、「費用」は被用者と企業で折半…、という制度設計にしていることが多い…。
 なので、企業側の「料率を引き上げる」と、それだけ企業の「利益は減る」から、「研究開発費」や、「設備投資」「経営陣に支払う報酬」「株主への配当」なんかも、それだけ「減額」への圧力となる…。
 ここでも、利害が鋭く対立する…。

 ※ 『失業者向け事業の料率は労使折半で本来1.2%だが、現在は0.6%にしている。保険料収入は0.1%の引き上げで年2千億円増え、1.2%の場合の労使の負担は1兆円規模で増す。月収30万円の人だと保険料は900円から1800円に増える計算になる。』
 「失業者向け事業」とは、「失業中の人」に対して、「パソコン使えるように、セミナーやったり、講習に参加させたりする」と言った類いの事業のことだろう…。
 そういう「事業」も、「労使折半」で「財源を積み立てておいて」、実施してたわけだ…。

 ※ 『雇用保険の対象にならないフリーランスの働き手の経済危機時の対応をどうするかなど、日本社会で働き方が変わる中、雇用のセーフティーネットを巡る課題は多い。

財源を巡っても、雇用安定・能力開発の財源は企業のみが負担しており、経団連などは国の一般会計の負担拡充を求めてきた。英国やドイツは失業給付を労使の保険料収入でまかなう。欧州では雇用支援の多くを国費で支える国もある。

日本政府も国費投入などで21年度は雇調金で約1兆2千億円分を確保するが、4月からの約4カ月で支給額は8千億円を超えた。この規模の支出が続くと21年度末までの財源が足りず、緊急措置として一般会計からの追加投入を視野に入れる。』
 と言うことで、日本の「雇用構造」自体が、「正社員」中心の安定的・固定的なものから、流動化・複線化しつつある状況で、どういう「制度設計」にしていくのか、課題は山積…、ということだ…。

 この問題は、「どうやって、そういう流動的な・複線的な収入を、(国側が)捕捉して行くのか」という問題でもある…。

 マイナンバー、マイナカードなんてものも、そういう問題に繋がってくる…。

『厚生労働省は雇用保険の保険料率を引き上げる検討に入る。新型コロナウイルス感染拡大で雇用調整助成金の給付が増え、財源が逼迫しているためだ。国費投入のほか、企業や働く人の負担も増える。フリーランスの働き手の拡大など、働き方が多様化する中で財源の確保策とともに、雇用の安全網をどういう中身にしていくかも課題となっている。

雇用保険は仕事を失った人が生活に困らないようにする失業者など向けと、雇用安定・能力開発の2つの事業に大別される。企業などからの保険料収入を財源にし、好景気の際の積立金も使って給付する仕組みだ。

ただ、コロナを受けて雇用安定の事業の一部である雇調金の給付が急増した。企業が労働者に支払う休業手当を助成するもので、コロナを受けて支給要件緩和や助成拡充の特例を設けた。2020年3月以降の支給決定額は4兆円超になった。

財源が不足し国の一般会計から約1兆1千億円を繰り入れ、失業者向け事業の積立金からも約1兆7千億円を借りた。この積立金はコロナ前の19年度に約4兆5千億円あったが21年度に約1700億円に減る見通しだ。

積立金に余裕があったため16年度以降、保険料率を下げているが、健全化に向けて22年度にも引き上げる。企業が負担する雇用安定・能力開発の料率は現在は賃金総額の0.3%。本来の0.35%を目安に上げる。ワクチン接種でコロナが落ち着けば年間給付を賄える可能性があるという。

失業者向け事業の料率は労使折半で本来1.2%だが、現在は0.6%にしている。保険料収入は0.1%の引き上げで年2千億円増え、1.2%の場合の労使の負担は1兆円規模で増す。月収30万円の人だと保険料は900円から1800円に増える計算になる。

上げ幅は給付の対象者数や経済状況を勘案して決める。負担増になるだけに雇用保険全体の役割の見直しも課題となる。

コロナ下で雇調金は雇用維持に一定の効果が出ているが、休業手当を補う内容のため、人手があまる業界に働き手がとどまりかねない。長引けば労働市場の調整機能がゆがむ面もある。人手が必要な成長分野への移動が起きるよう学び直しの機会を増やす必要がある。
雇用保険の対象にならないフリーランスの働き手の経済危機時の対応をどうするかなど、日本社会で働き方が変わる中、雇用のセーフティーネットを巡る課題は多い。

財源を巡っても、雇用安定・能力開発の財源は企業のみが負担しており、経団連などは国の一般会計の負担拡充を求めてきた。英国やドイツは失業給付を労使の保険料収入でまかなう。欧州では雇用支援の多くを国費で支える国もある。

日本政府も国費投入などで21年度は雇調金で約1兆2千億円分を確保するが、4月からの約4カ月で支給額は8千億円を超えた。この規模の支出が続くと21年度末までの財源が足りず、緊急措置として一般会計からの追加投入を視野に入れる。

料率見直しは労使代表者と有識者らでつくる労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で秋にも具体的な議論に着手する。22年の通常国会にも雇用保険法改正案を提出する。

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