洋上風力でグリーン水素製造

洋上風力でグリーン水素製造 北海道電力などが最大拠点
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『北海道電力や再生可能エネルギー開発のグリーンパワーインベストメント(GPI、東京・港)などは洋上風力で作った電力による水素製造に乗り出す。2023年度にも北海道で洋上風力を稼働させ水素を製造し、企業に販売する。再生エネ由来の電気で作った水素は「グリーン水素」と呼ばれ、脱炭素の切り札と期待されている。海外に比べて高い製造コストの低減が課題となる。

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政府は2050年までに温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると宣言。その切り札として水素活用が見込まれており、政府の「グリーン成長戦略」では水素の導入量を30年に最大300万トン、50年に2000万トン程度にすることを目指している。水素の輸入に頼らない自前での開発が必要になっている。

今回の拠点は洋上風力の電力による水素の製造拠点として国内最大で、世界的にも珍しい。日本は海に囲まれ、洋上風力の設置余地が大きい。水素を貯蔵・輸送しやすい強みを生かすことで、北海道で製造した水素を海上輸送により各地に供給しやすくする。

事業には北海道電、GPI、エア・ウォーター、日鉄エンジニアリングが参加する。洋上風力は石狩市の港湾に設け、出力は11万キロワット。水素は石狩市内の拠点で水を電気分解して作る。年間製造量は最大約550トンと、水素自動車10万台強を満タンにできる規模となる。

石狩市では他の洋上風力によるグリーン水素プロジェクトも計画されており、実現すれば現地の水素製造量は2500トンに達する見通しだ。

製造した水素は北海道内で使うほか、海運会社や国土交通省と連携して各地に海上輸送し、供給網を構築することを目指す。供給先は神戸港や日本海側の港などを想定している。各地で燃料電池により発電し、データセンターや港湾の荷役機械、冷蔵倉庫などに電気を送る。

水素は一般に天然ガスから作ることが多く、製造過程で二酸化炭素(CO2)が発生する。これに対しグリーン水素は製造過程でCO2が出ず、脱炭素につながると期待されている。

欧州ではグリーン水素が将来の水素社会の主力になるとして、欧州連合(EU)域内で30年までにグリーン水素で年1000万トンの生産能力を導入する方針を打ち出している。

課題は海外に比べて割高なグリーン水素の製造コストだ。ブルームバーグNEFによれば、グリーン水素1キログラムあたりの製造コストは日本が6~9ドル程度。米国の2~4ドル程度、ドイツの3~6ドル程度を大幅に上回る。水素を大量輸送するための技術開発、大型製造装置の導入などを進める必要がある。

今回使う洋上風力は、他の再生エネより発電コストが高い。普及に伴い費用は低下が期待されるが、経済産業省によれば30年時点でも1キロワット時あたり26円台前半と、太陽光(8円台前半~11円台後半)や陸上風力(9円台後半~17円台前半)を上回る。

政府は国内の水素価格を30年に1N立方メートル(ノルマルリューベ=標準状態での気体の体積)あたり30円と、現在の3分の1以下にしたい考えだ。北海道電などはこの価格帯を見据えてコスト低減に取り組む。海上輸送を通じた水素の販売拡大や国の補助金活用などにより、コストを吸収したい考え。再生エネ由来の電気で作った利点を生かし、企業の需要を開拓する。

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