コロナ禍で学ばなくなった

コロナ禍で学ばなくなった テレワークの意外な副作用
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC1373K0T10C21A7000000/

 ※ 別に「コロナ禍」のせいでは、無いだろう…。

 ※ 「学問する」「学ぶ」ということの本質は、「独学」だと思っている…。

 ※ そういうことを「実現できる能力」が無いことが、「露わになった」だけの話しだろう…。

 ※ 未だに、「対面で」「他人に、分からないことを「どうすればいいですか」とすぐ質問すること」が学びの重要な要素だと考えていることの方が、驚きだ…。

 ※ 世の中に、知りたいことが何でも書いてある「虎の巻」「教科書」、なんてものは無い…。

 ※ 分からないことを「質問すれば」、親切に教えてくれる「賢者」、なんてものは存在しない…。

 ※ 「分からないこと」「知りたいこと」は、自分で一つ一つ、コツコツ調べて、「この世の真実」に一歩づつ近づいて行くんだ…。

『新型コロナウイルスの感染拡大によりテレワークは広がったが、日本人の学ぶ時間は減っている――。こんな実態が7月5日、明らかになった。リクルートワークス研究所が2016年1月から毎年実施する「全国就業実態パネル調査(JPSED)」で分かった。

同研究所は同調査で全国15歳以上の男女約5万人を対象に、調査前年1年間の個人の就業状態や所得、仕事の状態などについて、同一の個人を追跡調査している。加えて、同研究所同調査を基に「Works Index」という加工統計を作成している。

Works Indexは「就業の安定」「生計の自立」「ワークライフバランス」「学習・訓練」「ディーセントワーク」の5項目で数値を算出し、合成したものだ。ディーセントワークとは仕事量や負荷が適切で、差別やハラスメントのない職場であるといった健全性が保たれていることを意味する。
働き方、総合的には前進したが…

17年1月のJPSEDに基づく「Works Index 2016」から21年1月のJPSEDに基づく「Works Index 2020」まで、5年間の変遷をたどると「『学習・訓練』を除く4つの指標で水準が上昇し、総合的にみると、日本の労働者の働き方は前進したといえる」(リクルートワークス研究所の孫亜文研究員・アナリスト)。

背景について孫研究員は「新型コロナ感染拡大以外にも、政府や企業が働き方改革に本格的に取り組んできたことや、セクハラ撲滅を掲げる#MeToo運動などの影響が大きい」と分析する。
「学習・訓練」は2年連続で上昇していたが、2020年に低下した(出所:リクルートワークス研究所)

「学習・訓練」は17年に31.3ポイントだったが、18年に32.5ポイント、19年に33.1ポイントと2年連続で上昇した。しかし20年には17年水準を下回る31.0ポイントまで下がった。

20年は、働き方改革により労働時間の短縮や休暇取得の増加が進んでいたことに加え、新型コロナ感染拡大により一部業種で休業や短時間勤務が求められて労働時間はさらに短くなった。

JPSEDではコロナ禍でテレワークが幅広い業種や職種で進んだことも明らかになっており、通勤にかけていた時間が浮いた人も少なくない。にもかかわらず、学習・訓練が20年に低下したのはなぜか。

学習・訓練の指標を細かく分析すると、20年はOJT(職場内訓練)の機会が19年と比べて1.9ポイント低下していた。OJTの種類には「(上司による)計画的な指導」「必要に応じた指導」など複数あるが、その中でも「(上司や先輩などから指導を受けてはいないが、他の人の仕事ぶりを)観察する(ことで新しい知識や技術を身に付ける)」の減り方が最も大きかった。
20年はOJTの中でも「他の人の仕事ぶりを観察する」が減った(出所:リクルートワークス研究所)

また調査ではコロナ禍で対面研修が延期されたり中止になったりしたためでOff-JT(職場外訓練)の機会も大きく減ったことが分かった。

コロナ禍にテレワークが広がり、オフィスへの出勤が制限されたことで、OJTの在り方は変化した。学ぶ側は周りにいる人を観察したり、分からないことを「どうすればいいですか」とすぐ質問して学んだりすることが難しくなり、教える側も相手の表情などを見て内容やレベルを調整しながら指導することがしにくくなった。

新たなOJTをどう進めればいいのか。孫研究員は「今後は上司が仕事の進捗などについてより積極的に部下に尋ね、相談しやすい環境をつくることが求められる。テレワークによって企業が提供する学びの在り方だけではなく、マネジメントの在り方も変わる」とする。

「自ら学んでいる」も減少

学習・訓練の指標のうち「自ら学んでいる(自己啓発)」も19年の27.0ポイントから20年には26.1ポイントまで減った。この背景として、孫研究員は2つの回答の関連性に注目しているという。具体的には、「仕事の難易度が下がった」という回答が増えていることと、「単調ではなく、様々な仕事を担当した」が減っていることとの関連性だ。
20年は「仕事の難易度が下がった」という回答が増え、「単調ではなく様々な仕事を担当した」という回答が減った(出所:リクルートワークス研究所)

この2つの回答からは、テレワークに移行しても従来と同じように業務を進める必要があったため、通常よりも業務の幅を狭めるケースが多かった可能性があるという。

オフィスに出勤しないために雑談や偶発的な出会いが減り、新しいアイデアや新しいプロジェクトなどが生まれにくくなっていることも、仕事が単調になっていると感じる人が増えた一因に考えられる。

18年にリクルートワークス研究所が実施した調査分析によると、自己学習をする労働者は全体の33.1%。7割程度の人が仕事のために自分の意志で学んでおらず、学ばない人の半数は「学ばないことに理由はない」という結果だった。

さらに同調査では、時間ができたからといって学ぶようになるわけではないことや、自発的に学ぶようになるには企業が学ぶ機会を提供するとともに、個人にとって難易度の高い仕事を担当させることが欠かせないことも分かった。

社会全体の人的資本を高めるためには、個人の自発的な学びを定着させる仕掛けが欠かせない。そのためには「企業は難易度の高い仕事を提供し、学ぶ意欲をかきたてることが必要。加えて、学んだことを役立てられる場を設けて評価し、継続的に学ぶ意識や習慣を身に付けてもらうことが大切だ」と孫研究員は語る。

テレワークが新常態となりつつある今、学びに関するこうした課題を克服し、学びを継続するための新たな仕組みづくりが求められる。

(日経クロステック/日経コンピュータ 外薗祐理子)

[日経クロステック2021年7月12日付の記事を再構成]

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多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

村上臣のアバター
村上臣
リンクトイン日本代表
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分析・考察

テレワークの副作用として、業務の幅を狭めるケースが多かったこと、仕事が単調になっていること、そしてOJTの機会が減っていることなどから学びの機会が減ったというのは興味深いです。難易度の高い仕事にチャレンジすることが学ぶ意欲をかきたてることに繋がるとのことですが、テレワークでどう実現するかはまだまだ課題がありそうです。
一方でe-learningによる自主的な学習は増加しています。LinkedInの提供するLinkedInラーニングの利用は、コロナ前後の比較で3倍弱の視聴時間となっており、テレワークで空いた時間を有効活用している様がデータでも見て取れます。
2021年7月27日 11:43

武田佳奈のアバター
武田佳奈
野村総合研究所未来創発センター 上級コンサルタント
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別の視点

記事にあるリクルートワークス研究所の調査で分かったという「時間ができたからといって学ぶようになるわけではない」という結果に注目したい。以前、週休3日制の記事に対し、週休3日制導入目的の一つとして学び直しによる人材力の底上げが挙げられているが、時間を付与するだけのインセンティブでは限界があるのではないかと指摘した。もともと能力向上意欲の高い人は現状でも研さんに取り組んでいる人が少なくなく、そこまでではないが関心はある人や関心がない人にも行動を起こさせられるかが課題になる。コロナを機とした働き方の変化が全てを解決するわけではないことも忘れてはいけないと思う。
2021年7月27日 15:10
細谷雄一のアバター
細谷雄一
慶應義塾大学法学部 教授
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分析・考察

こういった記事は有り難いです。なんとなく、そうなのかな、と思いながらも自分ではそれを調べたり確認する機会がないので、こちらの記事を読みあらためて、学習時間の低下という現実を直視しています。自分にもあてはまるかもしれません。やはり、以前から言われている、雑談などが仕事の効率を上げるという指摘が的確なことの証左かもしれません。「オフィスに出勤しないために雑談や偶発的な出会いが減り、新しいアイデアや新しいプロジェクトなどが生まれにくくなっていることも、仕事が単調になっていると感じる人が増えた一因に考えられる。」ポストコロナに向けての、重要な示唆が含まれているように感じました。
2021年7月27日 12:32

大湾秀雄のアバター
大湾秀雄
早稲田大学 教授
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ひとこと解説

これまでは、新入社員の教育訓練機会が減っていることが長期的にこの年次の稼得能力にどのような影響を与えるかという点に関心を持っていましたが、より広い年次でOffJTのみならず自己研鑽も減っているというのは、深刻な問題であると捉えるべきです。2つの問題があります。まず、在宅勤務でより権限移譲を進め自律的な働き方を広げる必要があるにも拘わらず、それが進んでいないという点です。2つ目に、自律的なキャリア形成機会を与え、本人が自律的に必要な知識や技能を身につけることが求められてきているのに、そのサポートや意識改革が進んでいないという点です。現状の会社主導の人材育成の行き詰まりを示すデータだと思います。
2021年7月27日 11:59

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

なかなか興味深い統計資料。人が学ぶという過程に人との接触や対話があり、それはオンラインではなかなか実現しないものというのがここからも明らかになる。大学が対面授業なしに教育をきちんと続けられるかという問いにもつながる問題。
2021年7月27日 10:58

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落日の中国企業

落日の中国企業:米証券市場から締め出され資金源枯渇
グローバル化にも失敗し、窒息し始めるイノベーション
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/66214

 ※ ちょっと長いので、一部を抜粋して、紹介する…。

『今、激しさを増している米中の対立は証券市場に拡大している。

 現在繰り広げられている米中の対立の根底には、覇権国・米国と新興国・中国の覇権争いがあると筆者は見ている。

 米国の著名な政治学者グレアム・アリソン氏の歴史的検証によれば米中対立は75%の確率で武力衝突に至ると見られている。

(詳細は拙稿「歴史検証が弾き出した米中戦争勃発確率75%」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/61554(2020.8.5)を参照されたい)』

『米中の武力衝突を回避するには、中国の軍事力増強の基礎である中国の経済力を弱体化し、未然に米国の覇権に挑戦する中国の意欲をそぐことが最善の方法であると筆者は考えている。

 米国の為政者もそのように考えているのであろう。米中覇権争いは、これまでのところ、武力衝突ではなく、経済分野において、貿易戦争、5G戦争、半導体戦争として繰り広げられてきた。』

『そして、今回は米国の証券市場が戦場となった。米国は、米国の証券市場から中国企業を締め出そうとしている。その理由は3つある。』

『1つ目は、米国の投資家の保護である。

 米国市場に上場した中国企業の不正会計疑惑が相次いでいることを受け米当局は新たな規制を導入し、中国企業に対する監視を強める方針を決めた。そして、「外国企業説明責任法」を制定した。』

『2つ目は、米国の証券市場から調達した資金が、中国軍の能力向上に使用されることを阻止するためである。

 そして、中国人民解放軍と関係があると認定した中国企業に対する米国人による証券投資を禁じる行政命令を発出した。』

『3つ目は、米国の証券市場から調達した資金が、人権侵害に使用される監視技術の向上に使用されることを阻止するためである。

 そして、人権侵害に使用される監視技術に関連する中国企業に対する米国人による証券投資を禁じる行政命令を発出した。』

『他方、中国は、米国市場からの中国企業の排除措置への対抗措置として、米国などに上場する中国企業を誘致するための新たな証券取引所の設立構想を立ち上げた。

 また、中国は、中国人民の個人情報ビッグデータを国家主権に関わるものとみている。

 このため、中国は、中国企業を通じて「国家の安全」に関わるデータが流出することを防止するため、大量の個人情報データをもつハイテク企業やインターネットプラットフォーム企業の海外証券市場への上場を厳しく監督しようとしている。』

『米国証券市場へ上場している中国を含む外国企業は、「外国企業説明責任法」を順守するか、米国から撤退するかの二者択一を迫られるであろう。これらの中国企業の動向が注目される。』

『以下、初めに、中国企業による不正会計の実態について述べ、次に米国の中国企業を自国の証券市場から締め出すための措置ついて述べる。

 次に、中国政府の対抗措置および海外市場への上場を予定する自国企業に対する監督強化措置について、最後に、海外上場をめざす中国企業の将来について述べる。』

『1. 中国企業による不正会計の実態

 米国市場に上場した中国企業の不正会計疑惑が相次いでいる。

 2020年6月末、スターバックスの向こうを張って急成長を遂げた「ラッキンコーヒー(瑞幸珈琲)」が米ナスダック市場での上場廃止に追い込まれた。

 2019年第2四半期から第4四半期にかけ、22億元(約339億円)の売り上げを水増ししていたのが原因である。

 同社がナスダックに上場したのは2019年5月で、一時は時価総額が約127億ドル(約1兆3260億円)にも達したが、1年しかもたなかった。

 また、2020年11月にはライブ配信大手「歓聚集団(JOYY)」や電気自動車(EV)メーカー「カンディテクノロジーズ(康迪車業)」で新たな疑惑が浮上した。』

『だが、中国企業による不正会計は今に始まったことではない。

 米国の証券取引所では2011年から2012年にかけて、50社以上の中国企業が不正会計などの不祥事で取引停止や上場廃止になり、その後も、毎年のように不正会計で上場廃止になる中国企業が相次いでいる。

 株が上場廃止になって無価値になり、多大な損害をこうむった米国の投資家からは、「米証券取引委員会(SEC:Securities and Exchange Commission)は何をやっているんだ」という怒りの声が上がった。

 こうした状況に対応するため米証券取引委員会(SEC)は、2018年に米国に上場している中国企業に注意するよう投資家に呼びかけた。

 そして、2020年12月18日、ドナルド・トランプ大統領(当時)は、「外国企業説明責任法」に署名した。』

『2.中国企業を締め出すための措置

 以下、米国の主要な措置を時系列に沿って述べる。』

『①2020年11月12日、トランプ大統領(当時)は、中国人民解放軍と関係があると認定した中国企業31社に対する米国人による証券投資を禁じる行政命令13959 号「中華人民共和国の特定の企業に資金を提供する証券投資からの脅威に対処するための行政命令13959号(Executive Order 13959 of November 12, 2020 Addressing the Threat From Securities Investments That Finance Communist Chinese Military Companies)」
に署名した。

 その内容は、国防長官が国防権限法の規定に基づいて「中国軍関連企業(Communist Chinese military company)」であると認定した企業が発行する上場証券やその関連デリバティブ商品について、2021年1月11日以降、米国民による取引や保有を禁じるというものである。また、既に保有している証券などは同年11月11日までに売却することが求められている。

 ロバート・オブライエン国家安全保障担当大統領補佐官(当時)は、今回の行政命令の趣旨について「米国の投資家が意図せずに、中国人民解放軍と中国の諜報機関の能力向上に向けられる資本を提供することを防ぐ」ためと説明した。

 米国民による証券投資を禁ずる対象企業31社には、華為技術(ファーウェイ)や杭州海康威視数字技術(コウシュウ・ハイクビジョン・デジタル・テクノロジー)のほか、多くの国有企業が含まれている。

 また、2020年12月3日、米国防総省は対象企業を拡大し、4企業を追加した。

②2020年12月18日、トランプ大統領(当時)は、上下両院が可決した「外国企業説明責任法」に署名した。

 同法は、米国の証券取引所に上場する外国企業に関して、外国政府の支配・管理下にないことの立証義務を課すとともに、米公開会社会計監督委員会(PCAOB:Public Company Accounting Oversight Board)が監査を実施できない状態が3年連続で続いた場合、当該企業の証券の取引を禁ずるというものである。

③2021年1月6日、ニューヨーク証券取引所は、中国軍関連企業への投資を禁じた行政命令13959に基づき、中国電信(チャイナ・テレコム)、中国移動(チャイナ・モバイル)、中国聯(香港)(チャイナ・ユニコム(ホンコン))の3社の米国預託証券(ADR)(注)が1月11日以降取引停止となり、上場廃止手続きが進められることになると発表した。

(注)ADRとは、「American Depositary Receipt」の略称で、もともと米国の投資家が米国以外の外国企業に自国通貨(ドル建て)で投資できるように作られたものである。外国企業の株式を預託機関である銀行または信託銀行に預け、これを担保に現地企業の所有権を示すDR(Depositary Receipt)という有価証券を発行し、通常の米国株式と同じように米国市場で売買できるようにしたものである。

④2021年1月13日、トランプ米大統領(当時)は、2020年11月に発出した「行政命令13959号」を修正する「行政命令13974号」に署名した。

 行政命令13974号では、米投資家は2021年1月11日までに、中国軍が所有もしくは支配していると米国防総省が指定した企業の証券をすべて売却することが義務づけられた。

 2020年11月に発出した行政命令13959では、同日(1月11日)までに該当企業の証券購入を停止するよう求める内容にとどまっていたが、今回これを「すべて売却する」と強化された。

⑤2021年3月25日、米証券取引委員会(SEC)は、「外国企業説明責任法」に基づき、米国の監査基準を満たさない外国企業を米市場から締め出す規制の導入を開始したことを明らかにした。

 米証券取引委員会(SEC)の規制では、企業は外国政府の事業体に所有・支配されていないと証明することが必要になるほか、監査や政府の影響に関する情報開示が義務づけられる。

 米証券取引委員会(SEC)は、規制の適用対象となる外国企業を特定するプロセスについてパブリックコメントを募っている。

⑥2021年5月30日、米公開会社会計監査委員会(PCAOB:Public Company Accounting Oversight Board)は、「外国企業説明責任法」における「完全な調査・検査が行えない(海外登記の)会計監査法人」の認定の細則を発表し、パブリックコメントを募っている。

 米証券取引委員会(SEC))と米公開会社会計監査委員会(PCAOB)は2020年12月18日に成立した「外国企業説明責任法」に従って、細則を策定することになっている。

⑦2021年6月3日、ジョー・バイデン米大統領は、防衛および監視技術分野に関連すると見なされる中国企業に対する米国人による証券投資を禁じる行政命令14032号(E.O. 14032:addressing the Threat From Securities Investments That Finance Communist Chinese Military Companies)に署名した。

 ちなみに、同行政命令のタイトルは、トランプ前大統領が発出した行政命令13959号と同じタイトルである。

 今回の行政命令14032号では、2020年11月にトランプ前大統領が導入した措置に関して、対象企業の範囲を拡大し、59社の中国企業を投資禁止対象に指定した。

 同命令により、2021年8月2日以降、米国人は証券などを通じた指定企業への投資が禁止されることに加えて、既に保有している証券などは2022年6月3日までに売却することが求められる。

 バイデン大統領は同命令で、人権侵害に利用され得るとして、対象企業の範囲に監視技術分野も加えるとともに、対象企業を指定する権限を財務長官に移管した。

 これまでに、国防総省が作成した対象企業には35(31+4=35)社が指定されていたが、これに代わり、財務省は59社を対象企業に指定した。

 ちなみに、行政命令13959 号に基づき国防総省が対象企業に指定した企業は、新たな対象企業リストにも掲載されている。』

『3.中国政府の対抗措置と監督強化措置

 以下、中国の主要な対抗措置などを時系列に沿って述べる。』

『①2021年3月31日、ロイター通信は、「国務院(内閣)は証券監督管理委員会に対し、新たな証券取引所を設立し香港や米国などに上場する中国企業を誘致する証券取引所の構想について調査を指示した」と報じた。

②2021年6月10日に開催された全人代常務委員会で「データ安全法(データセキュリティ法)」が可決され、9月1日から施行される。

 データ安全法では、データの収集や加工などの行為が「国家安全、公共の利益、個人や組織の合法的利益に危害を及ぼしてはならない」と規定している。

 さらに、国家安全機関の法に基づくデータの調査には、協力する義務があるとも定めている。

 また、2017年には、データの国外持ち出しを制限する「インターネット安全法」が施行されている。個人情報の国外持ち出し制限を含む「個人情報保護法」も全人代常務委員会で審議中である。

③2021年7月3日、中国・国家インターネット情報弁公室(CAC)は、ホームページで滴滴出行(ディディチューシン)(以下DiDi(ディディ)とする)に対するネットワークセキュリティ調査を実施することを明らかにした。

 そして、翌4日、検査・確認の結果、DiDi(ディディ)のアプリは、違法に個人情報を収集・使用しており、重大な問題があると発表した。

 さらに、サイバーセキュリティー法の関連規定に基づき、アプリストアに対し、DiDi(ディディ)のアプリを削除するよう通知した。

 その上で、DiDi(ディディ)に対して、ユーザーの個人情報の安全を確保するため、法律にのっとり、指摘された問題を改善するよう求めた。

 また、中国共産党の機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」は社説で、「巨大インターネット企業に、国家よりも詳細な中国人の個人情報データベースを掌握させることも、それを許可なく利用できる権利を与えることも決してすべきではない」と主張した。

 さらに、「特にDiDi(ディディ)のように、米国で上場し、主要株主の第1位、第2位を外国企業が占めるような企業に対しては、国は、情報安全についての管理監督をより厳格にすべきだ」と指摘した。

④2021年7月6日、中国共産党と政府は、連名で出した文書で、中国企業の海外上場に関する規定を改正するとした。

 これを受け、6日の米ニューヨーク株式市場で、中国のIT企業の株価が軒並み値下がりした。

⑤2021年7月10日、中国のインターネット規制当局は、海外に上場を予定する中国企業について、個人情報登録ユーザー数が100万人超の場合は当局が審査すると発表した。』

『4.海外上場を目指す中国企業の将来

 米中対立が激しさを増す中でも、米国で上場する中国企業は増加傾向が続いている。

 調査会社ディールロジックによると、中国企業は2021年1~6月に36社が米国市場に上場し、統計上比較できる1995年以降で最多だった2010年の39社に迫る勢いになっている。

 米中の市場問題に詳しい米ハーバード大フェローのタマル・グロスワルド・オザリー氏は「上場廃止になる恐れがあっても、中国企業にとっては早く資金を調達できる利点が大きいのだろう。米上場で世界的に知名度を高められる点も魅力なのではないか」と分析している。(出典:読売2021.07.08)。

 今、中国企業は「外国企業説明責任法」を順守するか、米国から撤退するかの二者択一を迫られている。』

『おわりに

習近平氏が共産党総書記になってから中国社会は大きく変化した。

「依法治国」(法によって国を治める)を掲げる習近平政権のもとで様々な法規が施行されてきた。

 これらの法規は、社会の安定を保持するためのルールであるというより、中国共産党のよき統治のための道具である。

 その上、中国は、国際法より国内法を優先している。さらに厄介なことに、中国は国際法違反を全く意に介していないことである。

 中国の傍若無人ぶりは目に余る(詳細は拙稿「国際法を無視する中国の傍若無人、その根拠と対策」https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64312(2021.3.3)を参照されたい)。』

『習近平国家主席の下で、再び国家統制色を強めていく中でも、中国経済がイノベーションに支えられた高い成長ペースをこの先も維持できるのか、不確実性が増してきている。
 中国が、米国の米国証券市場からの中国企業の排除措置に対抗して、新設する国内証券市場のグローバル化に失敗すれば、中国の民間企業は資金調達ができず、結果、中国のイノベーションは窒息死するであろう。それは米国の思惑どおりである。』

「無観客」の中で謎の中国応援団

<東京五輪>「無観客」の中で謎の中国応援団…ぎっしり座って「加油」叫ぶ
https://japanese.joins.com/JArticle/281199

『新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため東京五輪の競技の大部分が無観客で行われる中で、一部競技に数十人規模の応援団が出没し議論が起きている。

東京スポーツやスポニチアネックスなど27日の日本メディアによると、前日に東京体育館で行われた卓球混合ダブルス決勝日本対中国戦には「謎の中国応援団」が現れた。この日の競技では日本の水谷隼・伊藤美誠組が中国の許キン・劉詩ブン組を破り、金メダルを獲得した。

観客席には競技が始まる前から「CHINA」と書かれた服を着て、中国国旗を持った20人ほどが集まった。彼らは競技中に大声で「加油(がんばれ)」と叫び、中国側が点を取るたびに大きな声で歓呼した。

現地メディアは中国選手団関係者と推測し、一部は記者室を出入りしていた人もいると報道した。

◇日本人選手出場競技でも激しい応援戦

これだけではない。他の競技でも各国選手団関係者らが観覧席を代わりに埋めて応援する事例が見られている。特に一部はマスクも着用せずに激しく大声を張り上げるなど、新型コロナウイルス予防に向けた防疫指針が守られていない。

25日に東京アクアティクスセンターで開かれた女子個人メドレー400メートル決勝では観覧席で日章旗を持ち赤いTシャツを着た数十人が団体で応援を繰り広げた。この競技では日本人選手の大橋悠依が金メダルを取得した。

大橋が競技に出場すると応援道具を叩いたり口笛を吹いたりするなど応援する声がNHKの中継放送を通じてそのまま電波に乗った。翌日の競泳の競技の際も東京アクアティクスセンターの観覧席は各国選手団関係者などでぎっしり埋まった。

日本武道館で開かれた柔道の競技も同様だった。男子柔道に出場した阿部一二三と女子柔道に出た阿部詩のきょうだいが出場した競技でそれぞれ技ありを奪うと観覧席では拍手と叫び声が続いた。

各国の選手団関係者と記者らが大会に必要という名目で入場したが、競技が進行中の状況では事実上観客に変わり応援戦を広げることになる。一部は観覧席から距離を置かずに並んで座ったりもした。

◇感染者増えているのに…IOCはマスク規定緩和

五輪防疫規則を盛り込んだプレーブックには競技場内では距離確保とマスク着用を強調しているが、現場では徹底的に守られていない雰囲気だ。

こうした中、国際オリンピック委員会(IOC)はメダルを取った選手が表彰台で記念写真撮影のため30秒間マスクをはずせるよう規定を緩和したりもした。

一方、五輪競技関係者の新型コロナウイルス感染者は増え続けている。東京五輪・パラリンピック組織委員会は26日基準で大会と関係ある人のうち新型コロナウイルス陽性判定を受けた人が16人増えたと明らかにした。プレーブックを適用し始めた1日以降に陽性判定を受けた関係者は累積148人になった。

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中国の水害取材のドイツ記者が市民に取り囲まれる

中国の水害取材のドイツ記者が市民に取り囲まれる…「中国に泥を塗るな」
https://japanese.joins.com/JArticle/281208

『中国の水害現場で取材していたドイツ人記者が群衆に取り囲まれる事件が発生した。

ドイツ公営放送ドイチェ・ベレのマティアス・ベーリンガー記者は24日、水害が発生した中国河南省鄭州市内で撮影していたところ怒った群衆に取り囲まれた。彼は自身のツイッターに11件のツイートを上げ当時の緊迫した状況を説明した。

彼はLAタイムズのアリス・スー特派員とともに被害が大きかったショッピングセンター周辺で取材をしていたところ、「2人の女性が近づき、1人は私にだれかと尋ねながら話しかけ、もう1人はそんな私の姿を撮影し意図を疑わせた」と伝えた。

続けて「その後大部分が中年に見える概ね10人の男が駆けつけ、自分たちの身分を明らかにすることもせず私に撮影は違法だと話した。私が聞き取れないふりをして現場を離れようとするとすぐに1人が道を防ぎ、そこで私も彼らの姿を撮り始めた」と付け加えた。

彼は「彼らは私にロビン・ブラントの写真を見せ、『あなたか?』で尋ね、私を押し退けて『悪い奴』『中国に泥を塗るな』で大声を出した。1人は私の携帯電話を奪ったりもした」と書いた。

ロビン・ブラントは英BBC放送の中国特派員だ。2月に英国が中国共産党の統制下で運営されているとしながら中国CGTNの放送免許を取り消し、中国は英BBCワールドニュースが意図的に中国にダメージを与えたとして自国内での放映を禁止した。

ベーリンガー記者は「結局初めに話しかけた女性が群衆を落ち着かせ、私がブラントではないということを知り群衆も静かになった。一部は私に謝った」としながら「中国国営メディアと国粋主義者の間ではBBCニュースに反対するキャンペーンが広がっている」と話した。

続けて「ウェイボーには私に行動を取れと要求する書き込みがあった。もし本当に彼(ブラント)だったらどんなことが起きたかわからない。現在の中国のメディア環境は非常に恐ろしい」と付け加えた。』

米やブラジルなど21カ国、キューバ政府に非難声明

米やブラジルなど21カ国、キューバ政府に非難声明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26CXT0W1A720C2000000/

『【ニューヨーク=外山尚之】米国務省は26日、ブラジルやイスラエル、韓国など20カ国とともにキューバ政府に対する非難声明を発表した。11日にキューバで発生した反政府抗議活動の参加者を逮捕したことに対する措置で、外圧を強める狙いだ。

共同の非難声明には中南米ではコロンビアやエクアドルなど親米の国が参加。欧州からはクロアチアやポーランドなどが名を連ねた。市民の抗議デモを認めないキューバ政府に対し、「すべてのキューバ人に対する、情報の自由な流通を含む、普遍的な権利と自由を尊重することを呼びかける」としている。

バイデン米政権は22日にキューバ国防相や内務省の特殊部隊に経済制裁を科すと発表したばかり。政権交代で対キューバ政策が緩和されるとの見通しもあったが、これまでのところ、トランプ前政権の強硬姿勢を継承している。

【関連記事】キューバで異例の抗議デモ 大統領は火消し』

韓国・北朝鮮、通信回線を復旧

韓国・北朝鮮、通信回線を復旧 首脳が親書交わし合意
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM272980X20C21A7000000/

『【ソウル=恩地洋介】韓国大統領府は27日、断絶していた南北間の通信回線が復活したと発表した。今年4月以降、文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記が親書を複数回やりとりして合意した。両首脳は南北関係を改善させる考えで一致したという。

通信回線は27日午前10時に復旧した。南北間の公式的な連絡ルートは、北朝鮮が2020年6月に開城(ケソン)の南北共同連絡事務所を爆破して以来途絶えていた。韓国大統領府は「南北関係の改善と発展に肯定的に作用することを期待する」と表明した。

北朝鮮の朝鮮中央通信も同日、通信回線の復旧を報じ「挫折と沈滞状態にある南北関係が1日も早く回復することを切に望む」と伝えた。南北首脳が親書を交わし「相互信頼を回復し、和解を図る大きな一歩を踏み出すことで合意した」とも報じた。』

ミャンマー国軍、総選挙の無効宣言

ミャンマー国軍、総選挙の無効宣言 「NLDに不正」と指摘
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2700O0X20C21A7000000/

『【バンコク=時事】ミャンマーのクーデターで権力を握った国軍が任命した選挙管理委員会は26日夜、アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝した昨年11月の総選挙について、大規模な不正があったとして無効にすると発表した。選挙の不正を理由に国軍が強行したクーデターを正当化する狙いがある。

総選挙ではNLDが改選議席の83%を獲得し、国軍系の連邦団結発展党(USDP)に圧勝した。USDPは「二重投票者がいた」などと訴え、総選挙のやり直しを求めたが、認められず、国軍は今年2月1日、クーデターに踏み切った。

選管は調査で1130万件以上の不正が判明したと主張。「総選挙は自由かつ公正ではなかった。(与党だった)NLDは権限を使って他党候補の選挙運動を制限し、不当に権力を得ようとした」と強調した。

国軍は「調査結果」の公表を踏まえ、NLDを解党に追い込んだ上で、総選挙を改めて実施する考えとみられる。』

〔ASEANの人口…。〕

ASEANの人口ランキング
https://ecodb.net/ranking/group/XG/imf_lp.html

※ 東南アジア、ASEANと聞くと、なんか「人がウジャウジャ…。」というイメージがある…。

※ しかし、データ見ると、1億以上(1億くらい)なのは、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国だけだ…。

※ タイが、7千万…。ミャンマーが、5千300万…、と言ったところが、「比較的、人口大国」だ…。

※ こうして見ると、やはり日本国は、相当な「大国」だな…。

ベトナム鉄鋼ホアファット、東南ア首位に

ベトナム鉄鋼ホアファット、東南ア首位に 台湾系抜く
さらに4000億円で高炉新設 能力7割増へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM157IB0V10C21A7000000/

『【ハノイ=大西智也】ベトナム鉄鋼大手ホアファット・グループが粗鋼生産規模で東南アジア最大手の地位を固める。今春に台湾系でJFEスチールも出資するフォルモサ・ハティン・スチール(FHS、ベトナム)を抜き東南アで首位に浮上した。約4000億円を投じる高炉の新設でさらなる増産体制を敷く。中国に頼らず鉄鋼製品の母材を国内でほぼ自給できる体制を整える。

「ベトナムでは鉄鋼需要は引き続き根強い。我々はこの投資に自信がある」。チャン・ディン・ロン会長は中部クアンガイ省で予定する高炉新設の大規模プロジェクトへの意気込みを強調した。

1992年に建設機械商社として創業し、96年に鉄鋼事業に参入した。2021年1月までに同省にある一貫製鉄所で4基の高炉を立ち上げ、21年1~3月期の粗鋼生産量は約200万トンだった。四半期ベースで初めてライバルのFHS(約160万トン)を上回った。

22年初めに建設を始める新たな高炉設備では年間560万トンの粗鋼を生産する。このうち家電や機械、建材といった幅広い製品の母材である熱延コイルは約460万トン、棒鋼やスチールワイヤは約100万トンを見込む。

これにより、24年のホアファットの粗鋼生産能力は現在の7割増の約1400万トンになる見通しだ。世界鉄鋼協会によると、日本勢の20年の粗鋼生産量は日本製鉄が世界5位で4100万トン、JFEスチールが同14位で2400万トンだった。

ホアファットが大幅な増産に動き出すのは、世界の粗鋼生産の6割弱を占める中国が輸出の抑制を続けているためだ。中国は環境規制を背景に、粗鋼生産量に比例して二酸化炭素(CO2)を排出する高炉の操業条件を厳格化している。

数年前までは、中国国内で供給過剰になった鋼材が輸出に回り、それが東アジアの市況をかく乱してきた。足元では東アジアの鉄鋼市場が様変わりしたことで、ホアファットが思い切って増産できる環境になっている。

世界的な景気の回復傾向に加え、中国の輸出減少などの影響でベトナム国内の鉄鋼業界には追い風が吹いている。実際、建材として使用される鉄筋価格は1年前と比べて4~5割上昇した。

ホアファットの21年1~6月期の建設用鋼材の販売量は前年同期比22%増の約180万トンだった。数量に比例し業績も好調で、21年12月期の売上高は前期比31%増の120兆ドン(約5600億円)、最終利益は18兆ドンと33%増える見通しだ。

ベトナムは東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国で最大の鉄鋼生産国・消費国だ。20年の粗鋼生産量は約1950万トンと前年比11%増加し、過去5年で3倍強になった。FHSが中部のハティン省で17年から高炉一貫製鉄所を稼働し、地場系のホアファットと鉄鋼生産量を競い合い、国全体の生産量を増やした。

政府が「長年、悲願としていた」(鉄鋼商社)のは鉄鋼製品の母材である熱延コイルの自給化だ。ベトナムは年間約1200万トンの熱延コイルの国内需要がある。FHSに続いて、ホアファットも20年秋から熱延コイルの生産を始めたものの、ベトナム国内全体ではなお需要の5割前後を輸入に頼ってきた。

主要な輸入国は中国で、中国政府の政策や大手鉄鋼メーカーの動きに翻弄されてきた。ホアファットの高炉の増設が完了すれば計算上、ベトナムは熱延コイルをほぼ自給できるようになる。

ベトナムのグエン・ホン・ディエン商工相は5月に開いた鉄鋼業界との懇談で「鉄鋼業は基幹産業だ。工業化において特に重要な役割を果たしている」と強調し、業界発展に向けて積極的に支援する姿勢を示していた。

ベトナムは南シナ海問題などで隣国の中国と外交面で緊張関係にあり、安全保障の面からも主要品目で自国産化を急いでいる。縫製業では新型コロナウイルスの感染が中国で広がった20年春、原材料である生地調達が停滞し、大幅な減産に追い込まれた。政府は生地の自国生産の拡大に向けて、税制優遇などを通じて支援を強化している。

足元では最大の懸案であるコロナワクチンでも、ベトナム資本であるナノジェン製薬バイオテクノロジーが最終となる第3段階の臨床試験(治験)に入っている。

ベトナムではワクチンを1回以上接種した国民の割合は人口約1億人の4%程度にとどまるが、中国からのワクチン調達は現時点で50万回分にとどめている。』

習氏、3期目人事案を調整か

習氏、3期目人事案を調整か 北戴河会議が焦点に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM234SR0T20C21A7000000/

『【北京=羽田野主】中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は、3期目をにらんで人事案の調整を進める見通しだ。2022年秋に開く5年に1度の共産党大会に向け、長老らの意見を聞く夏の北戴河会議の開催が当面の焦点となる。

北戴河会議は例年、8月上旬ごろに北京に近い河北省の避暑地である北戴河に現役指導部と一線を退いた長老らが非公式に集まり、党の重要人事や政策を話し合う会議だ。日程や会議の内容は公開されない。建国の父、毛沢東時代に始まったとされる。

記者が23日に現地を訪れると、すでに厳戒態勢が敷かれていた。「カバンの中身をみせろ。その小さいケースは何だ」。北戴河の高速道路の出口で警察の車両検査を受け、リュックはもちろん、筆箱の中身まで小型のビデオで撮られた。

「検問を違法に突破した疑いがある。直ちに下車しなさい!」。北戴河に入るとすぐ別の警察が走り寄ってきて、車のキーを取り上げられた。

誤解が解けたあとも、北戴河を離れるまで黒白2台のワゴン車に尾行された。食堂で食事中は私服の警察官らしき2人組が近くのテーブルに座ってにらみをきかせてきた。警備の厳戒ぶりからみて党関係者が集まるのは間違いなさそうだ。

習氏に対して、一部の長老は不満を抱いているとの見方がある。習氏が長老らをなだめるためにも現地に赴く可能性はある。ある党関係者は「長老の呼び出しに備えて8月のスケジュールを空けている閣僚もいる」と明かす。

北戴河の高速降り口は警察の検問を受けるために渋滞していた

一方で、権力基盤を固める習氏は長老らのいる北戴河には行かないシナリオもささやかれている。20年夏は共産党幹部が北戴河に出入りする情報が中国メディアで一切伝えられない「異変」が起きた。習氏にとってご意見番の長老は本来なら遠ざけたい存在だ。昨年は新型コロナウイルスの流行もあり、開催を見送ったとの観測も飛び交った。

今年も8月になっても北戴河を巡る情報が伝わらなければ、習氏は現地には行っていない可能性もでてくる。習氏への権力集中が進み、長老たちの意見に影響されずに人事や政策決定ができるように変わってきているとみることもできそうだ。

最高指導部の人事を占ううえで注目されるのは、党大会の時点で67歳以下なら「上=入る」、68歳以上は「下=出る」という「七上八下」と呼ばれる不文律の扱いだ。習氏はすでに68歳で、暗黙のルールに従うなら来年秋に引退を迫られることになる。中国近現代史に詳しい北京の著名な大学の教授は「習氏は自身を例外にするつもりだ」とみる。

観光客が訪れる北戴河の海辺。党幹部らの専用ビーチも近くにある。

党内からは「七上八下は江沢民(ジアン・ズォーミン)元総書記時代につくられた内規で、絶対視するものではない」との意見がでている。

21年7月1日の党創立100年の記念式典に習氏との溝が指摘されてきた江氏が姿を見せなかったことで、影響力のさらなる低下を指摘する声もある。例外をつくりたい習氏には追い風になりそうだ。

李克強(リー・クォーチャン)首相の後任人事も焦点となる。李氏は憲法の規定で23年3月で首相職を退く。首相は副首相から選ぶのが慣例で、習氏は李氏の後継候補として年内にも側近を副首相に就けようとしているとの観測がでている。

習氏が浙江省トップを務めたときからの側近の陳敏爾・重慶市共産党委員会書記や李強・上海市党委員会書記、李希・広東省党委員会書記らの名前が挙がる。

首相候補とみられてきた胡春華(フー・チュンホア)副首相は習氏と距離があるとの見方が絶えない。胡氏は李克強首相や胡錦濤(フー・ジンタオ)前総書記らと同じ党の青年組織、共産主義青年団(共青団)の流れをくむ。党内では行政手腕を評価する声も多い。「胡氏外し」を巡り、党内でせめぎあいが起きているとの見方もある。

主要な人事案のほか、対米政策や台湾問題などについて話し合われる可能性がある。』

中国、英国をけん制

中国、英国をけん制 原発計画から除外と報道で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB269CO0W1A720C2000000/

『【北京=共同】中国外務省の趙立堅副報道局長は26日の記者会見で、英政府が全ての原子力発電所の新設計画から中国国有企業の関与を排除することを検討しているとの報道について「開放的で公平、差別のないビジネス環境を提供すべきだ」と述べ、英側をけん制した。

趙氏は、中英両国は重要な貿易パートナーだと強調。「実務的な協力こそが双方の利益となる」と訴えた。

英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)電子版は、英政府が国内の数カ所で進む原発新設計画から、中国国有原発大手の中国広核集団(CGN)の関与を排除することを検討していると報道。両国関係悪化が背景にあると指摘した。』

台風8号 今夜遅くからあす未明 東北に接近・上陸の見込み

台風8号 今夜遅くからあす未明 東北に接近・上陸の見込み
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210727/k10013161961000.html

『関東の東にある台風8号はこのあと進路を北寄りに変えて今夜遅くから28日未明に東北に接近し、上陸する見込みです。東北や関東甲信ではしだいに風や雨が強まっていて、28日にかけて台風の中心から離れた場所でも大雨になるおそれがあり、土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に警戒し強風や高波に十分注意が必要です。

気象庁によりますと、台風8号は27日午前9時には千葉県銚子市の東南東190キロの海上にあり、ほとんど停滞しています。

中心の気圧は990ヘクトパスカル、最大風速は20メートル、最大瞬間風速は30メートルで、暴風域はありませんが中心の北東側600キロ以内と南西側390キロ以内では風速15メートル以上の強い風が吹いています。

関東甲信や東北南部など広い範囲が強風域に入っていて、銚子市では午前6時15分ごろに23.3メートルの最大瞬間風速を観測しました。

また、この時間は東北や関東を中心に断続的に発達した雨雲がかかっています。

台風はこの後、次第に北寄りに進路を変えて27日日中は関東の東の海上を北上する見込みで、今夜遅くから28日未明に東北に接近し、その後、上陸する見込みです。

東北と関東甲信、北陸などでは大気の状態が非常に不安定になり、28日にかけて雷を伴った非常に激しい雨が降るおそれがあります。

台風の中心や北側の地域に湿った空気が流れ込みやすく、特に東北では雨量が増えるおそれがあります。

28日朝までの24時間に降る雨の量は、いずれも多いところで東北太平洋側で200ミリ、東北日本海側で150ミリ、関東北部と伊豆諸島、新潟県で100ミリ、関東南部と甲信で80ミリ、北陸で60ミリと予想されています。

その後、29日朝までの24時間に降る雨の量は東北や北陸、新潟県で50ミリから100ミリと予想され、大雨になるおそれがあります。

関東は27日、東北の太平洋側は28日にかけて海上を中心に風が強く、最大風速は20メートル、最大瞬間風速は30メートルと予想され、東北の海上では大しけとなる見込みです。

気象庁は土砂災害や低い土地の浸水、川の増水に警戒するとともに強風や高波、落雷、竜巻などの突風に十分注意するよう呼びかけています。

今回は、台風の中心から離れていても大雨になるおそれがあります。

自宅の周囲にどんな危険があるのか、風や雨が強まる前の日中の明るいうちにハザードマップなどで確認し、早めに安全を確保する対策を検討するようにしてください。』

台湾周辺の中国軍機侵入、過去3カ月で半減

台湾周辺の中国軍機侵入、過去3カ月で半減
米中協議にらみ挑発回避か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM262290W1A720C2000000/

『【台北=中村裕】中国軍機による台湾への威嚇行為が大幅に減っている。日本経済新聞の調べによると、過去約3カ月間(100日間)で、台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入した中国軍機は延べ112機にとどまり、それ以前の3カ月間と比べて半分以下に減った。足元では中国が米国への過度な刺激を控えるようになっていると専門家らは分析する。

台湾の国防部(国防省)の発表からまとめた日本経済新聞の独自集計によると、中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入した数は、4月16日の日米首脳会談を境に大きく減少した。会談後に出た共同声明では、52年ぶりに「台湾海峡の平和」が明記され、米国による台湾問題への関与の意思が明示された。そのため中国の反発も予想されたが、これまで抑制的な傾向が続いている。

これは同会談前の100日間と、会談後の100日間の侵入データを比較すると明らかだ。年明けの1月7日から4月16日までの100日間でみると、中国軍機が台湾の防空識別圏に侵入した日は、70日を数えた。10日間のうち7日間侵入するハイペースで、侵入した軍機も延べ248機を数えた。

一方、4月17日から直近の7月25日までの過去100日間でみると、中国軍機が侵入した日数は30%減の49日と大きく減少した。軍機の延べ数も55%減の112機と大幅に減った。

台湾問題で強気の姿勢を打ち出してきた中国の最近の行動変化の背景には複数の要因があると専門家らはみる。米中情勢に詳しい台湾の専門家の王智盛・中華亜太菁英交流協会秘書長は「バイデン政権発足から半年間、米中は探り合いの状態が続いたが、いまだどのように付き合えばいいのか模索している段階だ」と指摘する。そのため中国は、米国に対して最も刺激となる台湾への威嚇は控えるようになったと分析する。

さらに来年2月の北京での冬季五輪まで残りわずかとなり、22年秋には5年に1度の党大会を控える。「習近平(シー・ジンピン)氏の3期目続投問題が党大会の焦点だ。中国は今後も強気なことを口では言うだろうが、習氏が再任されるまでは、実際の行動は控えめになるだろう」と分析する。

台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の蘇紫雲所長も、中国軍機の侵入減少は、明らかに日米共同声明が影響していると指摘する。これ以上の台湾への威嚇は「米国への過度な刺激になるため、行動を抑制している」と分析する。「南シナ海での米国など各国による活動も、中国へのけん制に大きな役割を果たしている」とも語る。

中国国防省も指摘するように、今年に入って米軍による南シナ海での活動は切れ目無く続いている。直近の7月12日も米駆逐艦「ベンフォールド」が西沙(英語名パラセル)諸島の近海を航行し、中国が猛反発した。2月にはフランスの攻撃型原子力潜水艦も南シナ海を航行している。

英国も20日、新空母「クイーン・エリザベス」率いる打撃群が9月に日本に寄港すると発表した。南シナ海を通過する可能性がある。ドイツも今夏、フリゲート艦をアジアに派遣し南シナ海を航行させるとみられる。

こうした圧力に、中国政府は連日、沿岸部で軍事演習を続け、力を誇示している。だが両岸問題に詳しい台湾の専門家は「演習の狙いは、中国が弱腰と見られないように、主に国民向けにアピールするためのものだ」と指摘する。

台湾周辺や南シナ海を巡る今後の注目点の一つは、米国が計画するミサイル配備だ。中国の後手に回っていた米の配備の進捗次第では、周辺地域での軍事力のバランスは今後、大きく変化するためだ。

米国は既に準備を進めている。19年にまずロシアとの中距離核戦力(INF)破棄条約から離脱した。同条約では、射程500~5500キロメートルの地上配備型のミサイル廃棄と開発が禁じられた。そのため南シナ海などで加速した中国の海洋進出も抑止できなかった面がある。

条約の縛りも取れ、米国防総省はようやく5月、2022会計年度(21年10月~22年9月)の国防予算案で、インド太平洋地域での中国への抑止力を強化する基金「太平洋抑止イニシアチブ」(PDI)に51億ドル(約5600億円)を計上した。

射程500キロ以上の地上発射型中距離ミサイルを、沖縄から台湾、フィリピンを結ぶ第1列島線に沿って配備し、中国に間近で圧力をかける狙いだ。周辺国と調整を急ぎたい意向で、配備が仮に実現すれば、大きな抑止力になる。

米国は台湾に対しても昨秋から武器売却を急いできた。ミサイルなど合計5千億円に達し、トランプ前大統領は在任中、台湾に少なくとも11回の武器売却を決定した。

一方、中国は南シナ海など周辺に米軍を寄せ付けないようにするため、ミサイル開発を急いできた。米領グアム島も射程に入れ、グアムキラーと呼ばれる「DF26」(射程3千~5千キロメートル)など、中距離弾道ミサイルを既に大量に配備済みだ。』

米軍、年内にイラク戦闘任務を終了へ

米軍、年内にイラク戦闘任務を終了へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26DJM0W1A720C2000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は26日、ホワイトハウスでイラクのカディミ首相と会談した。バイデン氏は会談でイラク駐留米軍の戦闘任務が2021年中に終了すると明らかにした。イラク治安部隊に対する訓練や情報提供に力を入れ、テロとの戦いには関与を続けると強調した。

イラクでは米軍駐留に反対する世論が強まっており、バイデン氏は戦闘任務の終了でカディミ氏に配慮した。米軍は2020年1月、当時のトランプ大統領の指示を受けてイランの司令官をイラクで殺害。米国とイランの戦闘に巻き込まれるとの懸念がイラクで広がった。イラク議会は米軍撤収を求める決議を採択し、米国とイラクの関係が悪化していた。

イラク駐留米軍は21年1月までに約2500人に減った。任務の重点はすでにイラク治安部隊への訓練や情報提供に移っており、戦闘任務終了が大規模な部隊削減にはつながらないとみられる。

米国のオバマ元政権は14年、過激派組織「イスラム国」(IS)の台頭を受けてイラク駐留を再開した。バイデン氏は「地域の安定に向けてISとの戦いは重要で、我々の対テロ作戦は続く」と説明した。』

米実質金利、一時過去最低マイナス1.12%

米実質金利、一時過去最低マイナス1.12% 株価下支え
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26DDE0W1A720C2000000/

『【ニューヨーク=後藤達也】26日の米金融市場で、名目金利から予想インフレ率を引いた実質金利が過去最低を更新した。足元ではインフレ圧力が高まる一方、米国債の利回りは投資家のカネ余りを背景に低下(価格は上昇)しているからだ。低い実質金利は株価も下支えしている。

物価連動国債の取引から算出する米国の10年債の実質金利は26日、一時マイナス1.12%まで低下し、1月などにつけたマイナス1.11%を初めて下回った。2~3月には景気急回復や米金融緩和の修正観測を背景にマイナス0.5%台まで上昇していた。

景気回復が一服するとの見方から米国債が買われやすく、米10年債の名目金利は1.27%と3月につけた今年の最高水準から0.5%近く下がった。今後10年間の予想インフレ率は2.4%前後で高止まりしており、実質金利のマイナス幅が広がった。

実質金利が下がれば、企業や家計は借金してでも設備投資や住宅購入をした方がいいと判断しやすくなる。株式や金など別の金融資産におカネが流れやすくなる効果もある。米株式市場ではダウ工業株30種平均が26日に史上最高値を更新するなど緩やかな株高が続いている。』

〔ソフトバンクグループの株価の推移…。〕

<東証>ソフトバンクGが連日の年初来安値 中国テック企業投資に不透明感
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGXZASFL27H7V_X20C21A7000000&scode=9984&ba=1

『(9時45分、コード9984)ソフトバンクグループ(SBG)が続落している。前日比166円(2.3%)安の6940円まで下落した。連日で年初来安値を更新しており、2020年11月以来、約8カ月ぶりに7000円の節目を割り込んだ。中国当局がネット大手などテック企業への監視や規制を強めている。傘下の投資ファンドを通じて多くの中国企業に投資しており、収益への影響を懸念した売りが止まっていない。松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは「中国に対しては投資家がカントリーリスクを意識し始めており、傘下ファンドが中国企業に投資するSBGの戦略への不安が強くなっている」とみていた。

信用取引の買い残を売り残で割った信用倍率は16日時点で13.40倍。15.24倍だった6月中旬より下がったものの、5倍以下だった4月以前に比べるとなお高水準だ。「下げ局面では自社株買いなどの株主還元策を期待した買いが入りやすい」(松井証券の窪田氏)というが、足元では需給環境の悪化が重荷となっている。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕』

〔毛沢東思想…。〕

毛沢東思想
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AF%9B%E6%B2%A2%E6%9D%B1%E6%80%9D%E6%83%B3

『毛沢東思想(もうたくとうしそう、中国語: 毛泽东思想、拼音: Máo Zédōng Sīxiǎng)は、毛沢東を中心とする中華人民共和国の共産主義者が創立した政治思想[1]。1982年制定の現中華人民共和国憲法に堅持すべき対象として記載。

毛沢東思想の内容は、時期によってかなり大きな変化がみられる。毛沢東思想が一般的なマルクス主義、マルクス・レーニン主義と区別して扱われる場合は、文化大革命期の毛沢東思想を指すことが多い。この時期の毛沢東思想の主要概念には、人民戦争理論、3つの世界論などがある。1945年以降の中国共産党規約では「マルクス・レーニン主義の中国における運用と発展」とされ、「マルクス・レーニン主義」などと並ぶ「行動指針」と位置づけられた[1][2]。特に1950年代から1960年代の中ソ対立や文化大革命の時期に強調された。文革期中国共産党特有の理論を、外国では広く毛沢東主義、マオイズム(英語: Maoism)と呼んだ。その信奉者は毛沢東主義者およびマオイストと呼ばれた。しかし中国国内では紅衛兵・造反派の一部を除いて、中国共産党は文革期を含めて一貫して毛沢東思想であり、毛沢東主義と呼んだことはない。』

『概要

半民半兵のゲリラ戦争、解放区(根拠地)の建設、核武装、有事を想定して政策を行うなど、長期戦略に基づく軍事力の増強を最優先課題とする。政治思想というより、軍事理論とされる場合も多い。

中国共産党は1945年4月23日から6月11日にかけて開催された第7回党大会において、党規約に「中国共産党はマルクス・レーニン主義の理念と中国革命の実践を統一した思想、毛沢東思想を自らの全ての指針とする」との記述を加えた。ここでいう毛沢東思想とは、理念としてはカール・マルクスとウラジーミル・レーニンが確立した共産主義を指針としながら、それを古代中国の新石器革命から農耕社会であった中国の実情に適応させた、農民中心の革命方式を指しているとされている。

毛沢東の思想は、毛沢東が若い頃から親しんだ農耕社会の観察や経験から導き出された中国発展のためのアイディアを含んでおり、その大綱として大公無私(個人の利益より公共の福祉を優先する)、大衆路線(農村大衆の意見に政治的指針を求めそれを理解させて共に行動する)、実事求是(現実から学んで理論を立てる)などがある。この他、社会と協調できる個人主義、大人数の協力、農村から蜂起して都市を囲いこんでいくゲリラ戦術理論(人民戦争理論)、世界各国が各自の特性に応じた革命を行うことによって第三次世界大戦を防ぐことができるとする「中間地帯論」なども毛沢東思想に含められる場合がある。

毛沢東の農民重視の姿勢には、本来のマルクス主義の唯物史観による「社会主義革命は発達した資本主義社会で発生する」との理論に対して、ロシア革命時のロシア以上に資本主義が未発達で農業中心社会であった中国の実情に対して、マルクス・レーニン主義を適用する必要性があった。また農村社会にも特有の一揆的な暴力の肯定、知識階級に対する反エリート主義(反知性主義)などが挙げられる。またソビエト連邦型との相違には、新民主主義論による人民民主主義や、3つの世界論による世界認識と外交政策などがある。

毛沢東思想は毛沢東の著作、発言、実践などの総称であり、必ずしも体系的に理論化され矛盾なく整理されたものではない。簡易な参照には毛主席語録も使用された。

毛沢東思想は、1950年代以降の社会主義政策推進、1957年からの反右派闘争、1960年代以降に激化した中ソ対立、更に1966年に発動された文化大革命などで特に強調され、毛沢東の個人崇拝や、政敵の打倒、国外の各国共産主義勢力への干渉にも広く使用された。』

『毛沢東死後の中国での評価

毛沢東の死後、その思想をめぐる評価は微妙に揺れ動いた。毛沢東のもとで中国は経済的には貧しい農業国のまま停滞しながらも第三世界では初の核武装に成功して軍事的に五大国となり、国際連合から台湾を追放してイギリス・フランス・日本・アメリカ合衆国など西側諸国との外交関係も築いて国際社会では無視できない地位を手にした。毛沢東は香港とマカオを除く中国大陸に覇を唱えるも、武力で制覇した覇道的で覇権主義的なその手法は後に西側から批判された。

毛沢東の死後、その後継者を自称した華国鋒の唱えた「二つのすべて(两个凡是)」は、毛沢東自身が唱えた「実事求是」を持ち出して対抗した鄧小平により批判され、華国鋒が失権すると、鄧小平は彼自身の解釈に基づく「実事求是」を中国共産党の指導方針として実権を掌握した。鄧小平は改革開放で経済発展を進め、台湾と対話を試み、毛沢東がチベット侵攻と新疆侵攻で編入したチベットやウイグルとは対照的に、香港とマカオを一国二制度に基づく高度な自治を認めた上で平和裏に編入することで当事国と合意した。

1981年6月の第11期6中全会で採択された『建国以来の党の若干の歴史問題についての決議』(歴史決議)では、毛沢東思想を「毛沢東同志を主要な代表とする中国の共産主義者が、マルクス・レーニン主義の基本的原理に基づき、中国革命の実践経験を理論的に総括してつくりあげた、中国の実情に適した科学的な指導思想」と定義している。その一方で、この決議は、毛沢東が文化大革命で提起した論点は「毛沢東思想の軌道から明らかに逸脱したもので、毛沢東思想と完全に区別しなければならない」とし、毛沢東思想を毛沢東個人の思想とは区別している。この決議では、「実事求是」「大衆路線」「独立自主」が毛沢東思想の真髄とされている。また、この決議と前後して、周恩来、劉少奇、朱徳ら、毛沢東と同時期の他の指導者たちの思想も、毛沢東思想の一部と解釈されるようになってきている。鄧小平は「マルクス・レーニン主義、毛沢東思想の堅持」を含む「四つの基本原則」を繰り返し強調した。彼が堅持されるべきと考えた毛沢東思想は、こうした新たな解釈に基づくものである。

なお、毛沢東以降の指導者たちの考えは、「鄧小平理論」、江沢民の「3つの代表」論、胡錦涛の「科学発展観」と、世代ごとに別のものとしてまとめられている。』

中国共産党、毛沢東主義者らを拘束

中国共産党、毛沢東主義者らを拘束
https://www.epochtimes.jp/p/2021/07/76519.html

『複数の報道によると、中国共産党建党100周年に先立ち、中国では統一と忠誠を強調する宣伝活動の障害と見なされる主義者や活動家等の一勢検挙が実施された。

中華人民共和国を建国した初代最高指導者である毛沢東(Mao Zedong)の思想を支持する毛沢東主義者さえもこの罠に嵌ることになった。

2021年7月に建党100周年を迎える前、香港、チベット自治区、新疆ウイグル自治区だけでなく、全国規模で反対意見の弾圧に取り組んだ中国共産党の政策の一環として多数の毛沢東主義者が拘束された。

吴祚来(Wu Zuolai)学者はラジオ・フリー・アジア(RFA)に対して、「中国共産党は毛沢東主義者、人権活動家、民主主義活動家を取り締まっている。こうした主義者や活動家等の存在による中国共産党政権の不安定化が発生する可能性が高いためである」とし、「中国共産党にとっては政権の安定が何よりも大切である。その種類に関わらず、何らかの社会運動が多少なりとも勢いを増すと、中国政権はこれを混乱と見なす」と説明している。

アナリスト等の見解では、中国共産党にとって建党100周年は、1966年から10年間にわたり毛沢東が主導した「文化大革命」という名の政治闘争や奪権運動を含め、中国共産党が中国国民に対して行った残虐行為の記録を塗りつぶして歴史を捏造する絶好の機会であった。 6月下旬、英国のブリストル大学で歴史学科の教授を務めるロバート・ビッカーズ(Robert Bickers)博士はロイター通信に対して、「[中国共産党が]人々の記憶から消し去らなければならない史実は山ほどある」とし、「誇ることができると中国共産党が考えた歴史のみが強調されるように、同政権は建党100周年記念大会に向けて多大な努力を払ってきた」と述べている。

ニューヨーク・タイムズ紙の報道によると、世界大国に成長した中国発展の功績を頑なに訴える中国共産党の意図に反して、今日の経済減速、住宅コストの上昇、労働条件の悪化、所得格差の拡大を起因として中国では「毛沢東思想への回帰現象」が発生している。

これは特に現状に不満を抱く十代の若者や青年層で顕著である。同紙は7月上旬に、「社会的不平等の拡大に直面している現代中国では企業家階級を搾取的と見なす若者が増加しており、こうした若年層の怒りを正当化しているのが毛沢東思想である」と報じている。
これに敏感に反応した中国共産党政権は、ソーシャルメディアプラットフォームで毛沢東主義に関連する投稿記事を検閲した。

ラジオ・フリー・アジアが伝えたところでは、中国共産党はまた、文化大革命55周年に当たる2021年5月に開催される予定であった毛沢東思想の信奉者や組織の集会も禁じた。

社会の一党独裁を否定し抑圧される傾向にある革命的諸党派による連合独裁思想を謳う毛沢東主義は、中国共産党の一党支配には障害となり得る。

台湾の国営通信社「中央通訊社(CNA)」の報道内容を引用したラジオ・フリー・アジアの記事によると、ここ数週間の間に毛沢東主義者であることを理由に拘束された者の中には、大学をすでに引退している77歳の馬厚芝(Ma Houzhi)元教授が含まれる。中国毛沢東主義共産党を設立したことで10年の実刑判決を受けた馬元教授は、2019年に出所したばかりであった。中国共産党は新政党の結成を禁止している。

馬元教授は中国共産党について、「中国政権は社会における不満増大と貧富の差の拡大だけでなく、実質的に未来のない若年層が増加している現実を非常によく認識している」とし、「実際に経済的不平等に関する膨大な量のデータを有しており、これが社会不安の勃発に繋がる可能性があること十分に承知している。そのため一層厳格に取り締まるのである」と説明している。

毛沢東同様に、中国共産党中央委員会総書記などを兼務する習近平(Xi Jinping)中国主席も個人崇拝を推進することで党指導者としての地位を固めようとした。建党100周年記念大会の宣伝活動では、他のどの中国最高指導者よりも多くの毛沢東と習主席の写真や映像が明らかに目立つように展示された。

カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校の宋永毅(Song Yongyi)教授の説明によると、「偉大な指導者」毛沢東が没してから約45年を経た今日、中国共産党政権の観念よりも毛沢東思想のほうが中国国民にとって魅力的に映る可能性がある。

これは毛沢東主義の信念のほうが透明性が高いためである。 宋教授はラジオ・フリー・アジアに対して、そのため「習主席が毛沢東主義者を犠牲にする可能性は十分に高い」と述べている。

(Indo-Pacific Defence Forum)』

人工降雨で気象制御、新興国動く

人工降雨で気象制御、新興国動く 摩擦や環境影響に懸念
国際ルールなく
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS29DPY0Z20C21A6000000/

『一部の新興国が人為的に雨を降らせる技術などを使った「気象制御」に乗り出している。中国は2025年までに国土の約6割で人工降雨技術を活用する計画を立案し、エチオピアも乾燥地帯での農業開発に活用する。干ばつの減少や農業生産の拡大につなげる狙いだが、国際ルールは未整備で、地球環境への影響や国家間の水資源争奪を懸念する指摘が多い。

UAE、猛暑を抑制

「いい雨だ」――。アラブ首長国連邦(UAE)の国立気象局は18日、北東部の都市で激しい雨が降る映像を公開した。英インデペンデント紙などはUAEが50度近くの猛暑を抑えるために人工的に雨を降らせたと報じた。現地メディアによると、一部都市では車の運転が困難になるほどの大雨に見舞われたという。

人工降雨は気象制御の一種で、航空機で化学物質を雲にまいて雨を降らせる。第2次世界大戦直後に米国で技術開発が進んだとされる。世界気象機関(WMO)の17年の調査によると、世界で50カ国以上が挑戦している。ドローンなどの技術革新により、その取り組みが近年加速している。

中国、国土の6割で

中国は21年1月、同国初の気象制御ドローン「甘霖-I」の試験飛行に成功した。「恵みの雨」という意味で、従来の有人航空機に比べ、より低いコストで効率的に運用できるのが強みという。

このドローン開発は、中国が20年末に発表した大規模な気象制御計画の一環だ。計画では25年までに国土の約6割、日本の面積の約15倍に相当する550万平方キロメートルで人工的に雨や雪を降らせる能力の獲得を目指すという。史上最大級の気象制御プロジェクトとなるもようだ。当局者は「35年までに中国の気象制御は世界的に進んだレベルに到達する」と自信をみせる。

エチオピア、農業に活用

国営のエチオピア通信社によるとエチオピアも4月、人工降雨技術の実証実験を行った。農業生産を増やすことが目的で、アビー首相は「乾燥地帯の生産性を上げたい」と期待する。タイは専門部署「王立人工降雨局」が関連技術の活用に力を入れていて、関連予算を過去5年間で約3割増やした。22年までに国内に7カ所の降雨センターを設け、37年までに干ばつの影響が出る地域の98%で水不足を解消することを目指す。メキシコでは山火事消火に使われた実績もある。

新興国で気象制御への関心が高まる背景には、干ばつなど異常気象が原因の経済損失が膨らんでいることがある。農業生産が落ちれば、飢饉(ききん)や食糧価格の高騰にもつながる。一国の社会を不安定化させる要因にもなりうる。

国連食糧農業機関(FAO)が3月に発表した報告書によれば、自然災害の年間発生率は足元で1970~80年代の3倍以上に増加した。過去10年間の自然災害による経済損失は年平均約1700億ドル(約18兆8700億円)に及ぶ。2000年代から気象災害が大幅に増え、農業への打撃は特にアジアやアフリカ、南米の新興国に集中している。

(バンコク=岸本まりみ、鈴木淳)

見えぬ効果・副作用 中国の計画に反発相次ぐ

人工降雨などの気象制御は、地球温暖化対策として技術開発が進むが、地球環境や生態系への影響は十分には解明されていない。使い方を誤れば、地球環境を破壊しかねず、倫理上の課題を指摘する声は大きい。

スウェーデン宇宙公社は3月末、米ハーバード大による「ソーラー・ジオエンジニアリング(太陽気候工学)」の実験を実施しないと発表した。高度20キロメートルの成層圏にエアロゾル(微粒子)を散布して膜をつくり、地表に届く太陽光を弱めて温暖化を抑制することを目指す実験の一環で、スウェーデン北部の宇宙基地から実験用の気球を打ち上げる予定だった。

環境団体や先住民団体から強い批判が出たことが背景にある。先住民団体のサーミ評議会は2月、「(実験は)壊滅的な結果を招くリスクがある」として実験に強く反対していた。

気象制御の効果や副作用は未知の部分が多い。比較的研究の歴史が長い人工降雨でも、意図した効果を得ることは難しい。中国のSNS(交流サイト)によると、2018年に中国山東省青島で豪雨が続いた。直前に行われた上海協力機構首脳会議の際に、化学物質で雲を消す「消雨弾」を大量に打ったことが、その後の天気に影響したとの指摘もある。

国際ルールも未整備だ。気候工学に関しては国際機関や政府などが技術を公共財として規制する「オックスフォード原則」が提唱されているが、国際的な監督組織や規制づくりは遅れている。

国家間の摩擦を生む可能性もある。中国が大規模気象制御計画を発表すると、インドなどの現地メディアで「大きな脅威」「国際的な紛争につながる」と反発の声が相次いだ。18年にはイランの軍事組織幹部が「雨雲を盗んでいる」と人工降雨に取り組むイスラエルを非難した。

米ピュー・リサーチ・センターが4月に米国で実施した調査では、気候工学や人工降雨に関して、7割超の回答者が懸念を表明した。気象制御の実施には市民への十分な説明など、透明性の確保も欠かせない。

【関連記事】[FT]頻発する気候モデルの想定超える異常気象

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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長

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別の視点 技術の進歩は受け入れるべきだ。月に人が行き、山を削って土地を埋め立てる。人間の欲望と技術進展が合致して成し遂げた人間界の“成果”だが、原始人から見ればそれも自然に対する冒涜であったはず。こうした欲望は今も続く。不治の病を止めたい、自然災害のリスクを減らし損失も最小化したい、など。これらが遺伝子組み換えや気象制御で可能だとすれば、これまでの技術の進歩がよくてこれらがだめな理由はないのではないか。しかし、だ。神の領域に人間はどこまで立ち入ってよいのかはよく考えねばならない。四季の喪失からの文化的発展の阻害から、公害や副作用、国際的軋轢まで、問題は大き過ぎる程大きい。
2021年7月27日 9:18いいね
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員

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分析・考察 気候制御は、世界の農業開発の最重要課題である干ばつ対策への大きな効果が期待されると思います。アフガニスタンで命を賭して中村哲医師が作り上げてきたものも、乾いた大地に水を通す灌漑施設でした。一方で、囲み記事で指摘されるように、独善的な気候制御は他国に副作用をもたらし、新たな紛争をもたらすリスクもあるようです。今後、気候制御の技術の進展のなかで、国際ルールと協力体制の整備が喫緊に必要となる分野だと思います。
2021年7月27日 8:17いいね
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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授

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別の視点 人間活動はこれまで意図せず大気に影響を与えてきたが、気象制御は能動的に意図する方向に大気に影響を与えようとするもの。しかし、大気は循環し、バランスを取ろうとするので、一か所で変化が起きれば、それは他の場所での変化を引き起こす可能性が高い。こうした変化がバタフライ効果でどんどん大きくなっていけば、取り返しのつかないことになる。現状ではリスクの大きな事業であり、短期的な利益のために長期的な損失を生み出す可能性があることに十分留意する必要がある。
2021年7月27日 11:14いいね
2 』

テスラ、4~6月最高益更新

テスラ、4~6月最高益更新 中国EV販売がけん引
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26DF10W1A720C2000000/

『【シリコンバレー=白石武志】米電気自動車(EV)メーカーのテスラが26日発表した2021年4~6月期決算は売上高が前年同期比2倍の119億5800万ドル(約1兆3200億円)、最終利益は11倍の11億4200万ドルだった。中国で現地生産車の販売を伸ばし、売上高と最終利益はそろって四半期ベースで過去最高を更新した。

テスラの4~6月のEV世界販売台数は2.2倍の20万1304台となり、四半期ベースで初めて20万台の大台を突破した。21年に中国・上海市の工場から出荷を始めた新型車「モデルY」の販売が好調だった。売上高と利益水準がそろって事前の市場予想を上回ったことから、26日の米国市場の時間外取引でテスラ株は終値を上回って取引されている。

同社は地域別の販売台数を明らかにしていないが、調査会社のマークラインズによると期中の中国におけるテスラ車の販売台数は3.1倍の約9万2000台だった。同じ期間に2.7倍の約6万8000台だった米国内の販売台数を大きく上回り、テスラにとって中国が最大のEV市場となった。

21年1~3月期までは他の自動車メーカーへの温暖化ガス排出枠(クレジット)の売却収入が業績を下支えしており、最終損益からクレジット収入を差し引くと赤字となる計算だった。4~6月期決算では3億5400万ドルのクレジット売却収入を除いても最終利益は黒字の水準を保ち、EV販売で稼ぐ収益体質が備わりつつある。

【関連記事】
・テスラ悩ます中国依存のジレンマ EV販売、米中が逆転
・テスラ、4~6月のEV販売20万台超え 「モデル3」好調

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深尾三四郎
伊藤忠総研 上席主任研究員

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ひとこと解説 利益率が大幅改善しクレジット売却益に頼らなくても黒字が出せる収益体質が定着。
Q2(3か月)連結営業利益率は11.0%、クレジット売却益を除いても8.0%(前年同期間は5.4%、▲1.6%)。上海ギガファクトリーでの新型モデルYの量産開始とそれによる売上倍増が収益率の大幅改善に貢献。同期間のグローバル在庫日数はわずか9日(前年同期17日)。需給逼迫感が強くアグレッシブな値付けもマージン改善に効いた可能性あり。半導体不足の影響は今のところ軽微に抑えられている。保有ビットコインの評価損は小さかった。年後半にはベルリンとテキサス州オースティンの新工場が稼働開始予定で世界シェアは上昇基調が続く見通し。
2021年7月27日 7:19 (2021年7月27日 7:21更新)
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2 』