日本電産、鴻海とEVで合弁

日本電産、鴻海とEVで合弁 「車」核に売上高4兆円へ
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『日本電産は21日、台湾の鴻海科技集団と合弁会社の設立に向け検討に入ったと発表した。鴻海が参入を計画する電気自動車(EV)向け駆動モーターを開発・生産する。EV事業に一段とシフトすることで、2026年3月期に売上高を4兆円に引き上げる。既存の自動車メーカーだけでなく、EVの低価格化を進める異業種との協業も深め主力のモーターの出荷増につなげる。

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「EV向けモーターは成長の最大の柱だ」。関潤社長兼最高経営責任者(CEO)は同日開いた決算説明会で強調した。鴻海科技は、部材メーカーなど1200社が参加する鴻海グループのEV生産・開発プロジェクトを主導する。

日本電産は既に同プロジェクトに参加。今回の合弁で米アップル向けにEV供給が取り沙汰される鴻海との関係を一段と強化する。量産時に鴻海向けモーターで高シェアを狙う。日本電産は30年にEV用駆動モーターの生産台数を1千万台とする目標を掲げるだけに、低価格を武器にEVで量的拡大を急ぐ異業種取り込みは欠かせない。

鴻海以外の新興メーカーの取り込みも急ぐ。15日にはSGホールディングス傘下の佐川急便が国内配送で採用予定の広西汽車集団が生産する小型EVトラックに、日本電産製の駆動モーターとインバーターが採用されたと発表した。中国で日本電産製の駆動モーターが先行して普及しており、新たに吉利汽車系のEV車種への採用も明らかになった。

駆動モーターを含めた車載事業は、以前から目標とする30年の連結売上高10兆円に向けた重点事業となる。同日、発表した中期経営計画では、26年3月期に目指す連結売上高4兆円のうち車載事業だけで1兆円超を見込む。駆動モーターはこのうち3千億円程度を占める見通しだ。

課題もある。EVは部品の点数が少なくエンジン車より簡単に組み立てができるとされるが、車体枠や車輪駆動などの部位では部品同士の緻密な調整や加工といった「すり合わせ」の高い技術がなお要求される。乗り心地や安全性など品質を同時に達成できなければ、鴻海でも期待したほど供給が伸びない懸念もある。

さらに欧州などの大手自動車部品メーカーとの競争激化も予想される。中国や台湾などでも関連サプライヤーの育成が進みモーターでも新規参入が相次ぐ可能性がある。EVと同様に価格競争が想定以上に激しくなるリスクがある。

このため永守重信会長や関社長は25年をEV市場が急速に拡大する「分水嶺」と位置づけ、先行の優位性を生かす。積極投資で量産体制を整え、市場の爆発的な拡大に合わせて受注を一気に獲得する戦略を描く。かつてパソコン普及でハードディスクドライブ(HDD)用モーターの需要を獲得し、永守会長は今日の経営基盤を築いた。同様の成長シナリオを関CEOはEV駆動モーターで実現することが求められている。

純利益67%増 4~6月期 巣ごもりで家電向けモーター好調 
日本電産が21日発表した2021年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比67%増の334億円だった。巣ごもり需要で伸びる家電向けのモーターやコンプレッサーが好調だったほか、コスト削減も寄与した。拡大する米国や中国の経済にも支えられ、国内主要製造企業の堅調な業績動向が明らかになった。

売上高は33%増の4474億円だった。四半期ベースで過去最高となった。車載向け事業は世界の自動車メーカーの工場稼働率が前年同期から回復したことを受け、売上高は72%増の977億円となった。半導体供給不足の影響もあったが、電気自動車(EV)用の駆動モーターでも採用車種が増えている。

世界的な「脱炭素」の流れが追い風となり、家電・商業・産業用の省エネモーターなどは49%増の1864億円となった。欧州や米国市場では搬送用ロボットなどの機器装置の需要も堅調だ。

部品の内製化や生産ラインの統合など収益改善活動も進んだ。営業利益は445億円と60%増え、売上高営業利益率は10%と2㌽弱改善した。

22年3月期通期の業績予想は据え置いた。売上高は前期比5%増の1兆7000億円、純利益は15%増の1400億円を見込む。 』