米国防長官、中国の海洋進出批判へ

米国防長官、中国の海洋進出批判へ 東南アジア歴訪
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『【ワシントン=中村亮、マニラ=志賀優一】オースティン米国防長官は23日にワシントンを出発し、シンガポールとベトナム、フィリピンを歴訪する。南シナ海での中国の海洋進出を批判し、対中国政策で各国との協調を目指す。バイデン政権がようやく東南アジアへの関与を強め始めた。

オースティン氏は19日、ツイッターで「強力な同盟やパートナーシップはインド太平洋でルールに基づく秩序を支えるカギとなる」と指摘し、東南アジア歴訪の意義を力説した。バイデン政権の主要閣僚が東南アジアを訪れるのは初めて。シンガポールでは英国の国際戦略研究所(IISS)が主催するイベントに参加する。

バイデン政権は東南アジアへの関与で後手に回ってきた。ブリンケン国務長官は国際会議への出席もあり政権発足から月1回のペースで欧州を訪問したが、東南アジアはゼロ。オースティン氏は6月にシンガポール訪問を計画したが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて見送った。

就任半年となるバイデン大統領が多くの東南アジアの首脳らと対話したのは、16日にオンラインで開いたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の非公式首脳会議が初めてだった。

今回の歴訪の焦点は南シナ海での権益拡大を狙う中国への対応だ。国連海洋法条約に基づくオランダ・ハーグの仲裁裁判所は2016年、中国の南シナ海での領有権の主張を否定する判決を下したが、中国はその後も南シナ海の軍事拠点化を進めている。

米軍は南シナ海で航行の自由作戦を繰り返し行ったり、空母を派遣したりして中国に対抗してきたが、中国の行動に変化は乏しい。

中国は海洋進出と並行して、通商や新型コロナのワクチン供給などを通じ東南アジア各国との関係を深めようとしている。歴訪を通じ、米国は東南アジア地域で低下した地位回復を狙う。

特に、同盟関係にあるフィリピンとは、同国で米軍の活動を認める「訪問軍地位協定(VFA)」の存続について交渉が続く。両国間の軍事同盟に実効性を持たせるだけでなく、南シナ海において米国が存在感を示すためにも重要な協定だ。両国の対立は中国を利することになるだけに、どこまで協調を確認できるかが重要になる。』