リトアニアが中国との「17+1」離脱

リトアニアが中国との「17+1」離脱 ほかの中東欧諸国にも呼びかけ
https://newsphere.jp/world-report/20210604-2/

『中国は、中東欧16ヶ国にギリシャを加えた中国中東欧首脳会議(17+1)を主導している。中東欧諸国との協力や投資を踏み切り板として、EUへの影響力を高めるのが狙いだといわれている。一方参加国は、2012年発足当時の世界的な金融危機とユーロ圏の危機を受けて、中国からの投資が殺到することを期待した。しかし発足から9年を経て一部の参加国からメリットが疑問視され始め、離脱する国も出ている。
 
◆輸出期待外れだった、リトアニア大使告白

「17+1」を脱退したのはリトアニアだ。ガブリエリュス・ランズベルギス外相は、同国の離脱により「17+1」はもはや存在しないとし、ほかのEU諸国にも脱退を呼び掛けている。同氏は、EU27ヶ国は結束して、分裂している「16+1」から「27+1」の枠組みに移行するべきという考えだ。(政治誌ポリティコ)

 リトアニアの駐中国大使、Diana Mickeviciene氏は、脱退は「純粋な計算」によるものだとする。「17+1」に参加したのは、中国市場へのアクセスを改善するためだったが、残念ながらそうはならなかった。リトアニアの中国への輸出はわずかに伸びてはいるものの、中国からの輸入がはるかに速く伸びており、貿易収支はマイナスのままだとしている。(サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙、SCMP)

 同氏は、中国との貿易において、リトアニアはより努力する必要があるが、同時に開放性、透明性も必要だと指摘。この状況は、EU貿易圏を通じて交渉を行うことで改善が期待できるという考えを示した。また、「17+1」では、EU加盟国と非EU加盟国との差異が利害の不一致を作り出しており、リトアニアにとっては対応が難しすぎると説明している。』

『◆距離を取る参加国 中国は引き留めに必死

 中国の中東欧における大戦略に関心が薄れている兆候は、今年2月の「17+1」のオンライン首脳会議にも現れた。リトアニアをはじめ、エストニア、ラトビア、ブルガリア、ルーマニア、スロベニアが、首脳ではなく下位レベルの当局者を出席させていた。

 中国とEUの関係も微妙だ。新疆ウイグル問題に対するEUの対中制裁に不満を持つ中国が、EU議員に報復制裁を科したことで、EUは中国との投資協定の承認手続きを凍結する決議を採択した。

 中国は関係悪化の責任はEUにあるとしているが危機感を感じているようだ。ポリティコによれば、「17+1」のEU非加盟国であるアルバニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、北マケドニア、モンテネグロ、セルビアに新型コロナワクチンやマスクの無償提供を行い、熱心に取り込みを行っているという。

 東欧や中央アジアなどのニュースを伝えるbne IntelliNewsによれば、習近平主席は中国への融資返済で行き詰まっているモンテネグロに、返済の猶予期間延長に関する交渉の用意があると伝えた。モンテネグロは「一帯一路」構想のもと、中国から融資を受けて高速道路を建設。しかし1キロ当たりの建設費が欧州で最も高いと推定される身の丈に合わないプロジェクトとなり、コロナ禍の影響も受けて7月に予定されている返済ができないといわれている。

◆路線変更か? 習主席に焦り

 EUとの関係がこじれるなか、中国の王毅外相はセルビアとポーランドの外相との会談後、「中国は中東欧諸国との協力を通じて、『勢力圏』を確立することを目的としているわけではない」と述べた。関係は経済と貿易にフォーカスした現実的なものだと説明したという。(SCMP)

 欧州だけでなく、中国は現在、ウイグル、香港での人権問題や、新型コロナウイルスの起源をめぐる疑惑などで世界的に評判を落としている。これを懸念したのか、習近平主席が共産党幹部に対し、「信頼できる、愛すべき、尊敬できる中国」というイメージを示すことが大切だと語ったと新華社が報じた(BBC)。中国の孤立を認める珍しい発言だったということで、さすがの習氏も軌道修正の必要性を認識し始めたようだ。』