引退表明、与野党で相次ぐ 衆院選「10減」も念頭に

引退表明、与野党で相次ぐ 衆院選「10減」も念頭に
議長・閣僚経験者や中選挙区組
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA08EE70Y1A700C2000000/

『秋までにある衆院選を前に、与野党で引退・不出馬表明が相次ぐ。1990年代前半より前に初当選した議員も目立つ。現行の小選挙区制導入から四半世紀となり、中選挙区時代を知る議員が減ることになる。衆院選で10県の選挙区が減る「10増10減」に備えた動きも垣間見える。

自民党竹下派会長の竹下亘元総務会長(島根2区)は8日、体調不良を理由に次期衆院選に出馬しないと明かした。

「兄の登(元首相)からバトンを受け継いで21年間、全身全霊をもって走り続けた」と文書に記した。2018年から登氏が創設した派閥のトップを務めてきた。同派事務総長の山口泰明・党選挙対策委員長が記者会見を開き、代読した。

その山口氏も6日、次の衆院選は埼玉10区から立候補しないと明言した。選挙を仕切る現職の選対委員長が衆院選に出ないのは異例。山口氏の秘書である次男が後継候補として同選挙区から出る見通しだ。

閣僚経験者では衆院議長も歴任した伊吹文明元財務相(京都1区)や、塩崎恭久元厚生労働相(愛媛1区)、宮腰光寛元沖縄・北方相(富山2区)らが政界を退く。

野党でも立憲民主党は赤松広隆衆院副議長(愛知5区)が不出馬を決め、県議が後を継ぐ。立民が強い北海道でも荒井聡元国家戦略相(北海道3区)や佐々木隆博氏(北海道6区)が今期限りで後進に道を譲る。

比例東京ブロックで立候補予定だった国民民主党の山尾志桜里氏、社民党で唯一の衆院議員の照屋寛徳氏も出馬しないと決断した。

衆院議員の任期は10月21日で満了する。9月の衆院解散が濃厚となり、準備の見通しが立てやすくなった点も引退宣言が続く背景にある。予期しないタイミングでの解散だと余裕がなく、代替わりを進めづらい。

自民、公明両党は12年、14年、17年の過去3回の衆院選で、いずれも全体の3分の2超の議席を得た。今回は新型コロナウイルス対策への国民の不満が根強く「厳しい選挙になる」との共通認識がある。

4月の衆参両院の3つの補欠選挙・再選挙でひとつも議席を得られなかった。7月4日投開票の都議選は33議席と過去2番目に少なかった。

自民党は比例代表候補に「73歳定年制」を適用する。長崎1区で前回は比例復活だった冨岡勉元文部科学副大臣は73歳で、引退理由を「比例復活がなくなり、世代交代や政治家の若返りも必要だ」と説明した。

三重2区で前回比例復活の川崎二郎元厚労相(73)も10日に次期衆院選に出ないと明かした。

自民党候補同士が競合した中選挙区時代を経験する議員も少なくなる。1980年初当選の川崎氏や83年に政界入りした伊吹氏、93年組の塩崎氏、横浜市長選に立候補するため議員辞職した小此木八郎前防災相らが該当する。

立民の赤松氏は90年に初めて当選し、55年体制下の旧社会党で書記長を務めた。その後、旧民主党で政権交代を果たしたリベラル派の重鎮だ。

次々回の衆院選にも各都道府県に配分する小選挙区の数が15都県で「10増10減」になるのも影響する。2020年国勢調査をもとに「1票の格差」の是正のため、22年以降に選挙区の区割りが変更される。

現行制度下で小選挙区は14年衆院選の「0増5減」、17年衆院選の「0増6減」などと変わってきた。「10増10減」は最も大きな変化になる。

特に定数が減る宮城、広島、山口、愛媛、長崎などで候補者の絞り込みが難しくなる。

その前に次の衆院選で意中の後継候補を擁立するなど制度変更に備える議員心理が働きやすい。塩崎氏の愛媛1区は同氏の長男が継ぐ方向だ。

自民党岸田派の林芳正参院議員は衆院山口3区へのくら替え出馬を表明した。同選挙区の現職は二階派の河村建夫元官房長官だ。岸田派議員は「山口の定数が4から3に減る前の今回の衆院選がラストチャンスだ」と解説する。』