米外交トップ、月1回ペースで訪欧

米外交トップ、月1回ペースで訪欧 同盟再建へ奔走
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『米中の覇権争いが強まる中、バイデン米政権が欧州との関係修復に奔走している。米外交政策の責任者であるブリンケン国務長官は新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、1月の政権発足から月1回ペースで欧州を訪れている。

「米国が戻ってきたことを明確にする。民主主義国は最も困難な問題に立ち向かう」

バイデン大統領は6月上旬、初の外遊先となった英国で、欧州各国との関係再構築を図ると訴えた。その後に訪れたベルギーでは、欧州連合(EU)と7年ぶりに正式な首脳会議も実施した。

米国はトランプ前政権で傷ついた同盟国との関係再構築を進めている。ブリンケン氏は主要7カ国(G7)など欧州開催となった国際会議への出席もあるとはいえ、すでに6回も訪欧している。

オースティン国防長官を含め、欧州や日本を含む同盟国などとの関係強化が対中外交の軸となっている。

米国の主要閣僚は東南アジアを訪れていない。中東やアフリカも手薄になっている。

一方、中国の外交責任者は今年に入って一度も欧州主要国を訪れておらず、米国の隙を突くような外交を展開している。

王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は2021年の最初の訪問先にナイジェリアなどアフリカ5カ国を選んだ。アフリカは広域経済圏「一帯一路」の開拓先であり、国際世論の多数派工作に向けた主戦場でもある。

3月には米国の関与が薄まったことによる「力の空白」を突く形で、中東も訪問した。目玉はイランで、経済や安全保障を巡る25年間の協定を結んだ。

中国外交担当トップの楊潔?(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は5月にロシアを訪問した。

習近平(シー・ジンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領は6月にテレビ電話で協議し、ロシアが「一つの中国」を認める内容などを含んだ善隣友好協力条約の延長に正式合意した。楊氏の訪ロは、この下準備だったとみられている。

米アンカレジで会談した中国の楊潔?共産党政治局員(左)とブリンケン米国務長官(3月)=AP・共同

ブリンケン氏、楊氏らは3月、米アンカレジでバイデン政権で初の米中高官協議を開いた。6月下旬にイタリアで開かれた20カ国・地域(G20)外相会議にあわせて、米中外相が接触するとの見方も浮上したが、中国が外相を派遣しなかったこともあり、実現しなかった。

バイデン政権が発足して約半年がたつが、米中高官らの直接的な話し合いは大幅に減っている。対立の緩和は、一段と難しくなっている。(ワシントン=中村亮、北京=羽田野主、グラフィックス 藤沢愛)』