米独首脳、関係修復を演出 ガス・中国、懸念は棚上げ

米独首脳、関係修復を演出 ガス・中国、懸念は棚上げ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN164YQ0W1A710C2000000/

『【ワシントン=中村亮】バイデン米大統領は15日の首脳会談で、今秋に退任するドイツのメルケル首相を厚遇し、米独同盟の修復を演出した。ドイツとロシアのガス計画をめぐる懸念は払拭できず、中国への姿勢でも微妙な温度差が残った。

「あなたはずっと大西洋同盟の熱烈な擁護者だ」。ホワイトハウスでの共同記者会見。バイデン氏は独首相として16年間も米欧同盟を支えたメルケル氏をたたえた。

メルケル氏はバイデン氏が初めてホワイトハウスに招いた欧州首脳だ。新型コロナウイルスの感染防止を優先して控えてきた夕食会を開き、手厚くもてなした。

政策でもドイツに配慮した。ドイツの軍事支出拡大を公の場では求めなかった。トランプ氏はドイツが軍事支出を増やさなければ防衛義務を負わない構えを見せた。バイデン政権は4月、トランプ政権が決めた在独米軍の削減計画も撤回した。

ドイツとロシアを結ぶガスパイプライン計画(ノルドストリーム2)では問題を先送りした。ドイツがエネルギーでロシアに依存すれば、欧州でのロシアの影響力が強まるとウクライナや東欧は懸念する。

米ホワイトハウスはドイツとエネルギー協力を強化し「エネルギーが威圧の道具として使われないようにする」と説明したが、具体策は示さなかった。

米政府高官によると、バイデン氏は今夏にウクライナのゼレンスキー大統領をホワイトハウスに招く予定だ。ノルドストリーム2をめぐる懸念に対処できなければ、対ロシアで最前線に立つウクライナとの溝が広がる可能性がある。

対中国では表向きは協調した。米独首脳が15日発表したワシントン宣言は「我々の関係の土台は民主的な原則や価値観、統治機構への責務だ」と指摘し、強権的な中国に対抗する意図を示した。メルケル氏は記者会見で「人権が保障されていない国には同意できないことをはっきりと示す」とも語った。

メルケル氏は中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席や李克強(リー・クォーチャン)首相との会談でも度々、人権への懸念を口にしたとされる。だが、米国が難色を示した欧州連合(EU)と中国の投資協定を推進するなど、あくまでも中国との経済関係を優先してきた。

15日の会見でも踏み込んだ対中批判は慎重に避けた。貿易を犠牲にしてでも人権を重視するバイデン米政権とは微妙な溝が残った。 』