中ロ、アフガン治安悪化を懸念 投資拡大で復興支援

中ロ、アフガン治安悪化を懸念 投資拡大で復興支援
過激派の流入阻止
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR112I80R10C21A7000000/

『【タシケント=石川陽平、北京=羽田野主】反政府武装勢力タリバンの攻勢が続くアフガニスタンの治安悪化に、中国やロシアなど周辺国が懸念を深めている。15、16日に開いた国際会議では、地域統合と投資拡大によるアフガンの復興支援を話し合った。イスラム過激派の自国への流入を阻止する狙いがあるとみられる。

「アフガニスタンは中央アジアと南アジアの相互関係で極めて重要な輪の一つだ」。15、16日にウズベキスタンの首都タシケントで初めて開いた「中央・南アジア国際会議」。議長国ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領はこう語り、アフガンの和平と復興を地域全体で支える考えを示した。

復興支援の一つの柱は投資拡大だ。中国の王毅(ワン・イー)国務委員兼外相は「中国は道路やパイプライン網の発展を支持し、壁をなくしていきたい」と語り、アフガンでのインフラ整備に貢献する姿勢をみせた。会議に出席したアフガンのガニ大統領は「ともに発展するために地域のハブになりたい」と語った。

中央・南アジア国際会議に参加するアフガニスタンのガニ大統領(15日、タシケント)=ロイター
14日には中ロと中央アジア諸国などでつくる上海協力機構(SCO)がタジキスタンの首都ドゥシャンベで外相会議を開き、アフガンのアトマル外相も参加した。共同声明はアフガン情勢について「暴力やテロ攻撃」を批判して「政治対話と包括的な和平プロセス」を始めるよう促した。

アフガンではタリバンが政府軍への攻勢で国土の半分以上を支配下に置いた。中ロは米国と敵対するタリバンともパイプがあり、連携する。

タリバンの政治部門代表団は8日、モスクワを訪れ、ロシア外務省高官と協議した。王氏は6月に「タリバンの政治本流への復帰を歓迎する」と語った。中ロや中央アジア諸国はタリバンが現政権や他の地域勢力と協力して新政権を樹立することを容認するとみられる。

中ロなど周辺国が支援を急ぐのは、アフガン情勢が地域全体の治安に悪影響を及ぼし始めたからだ。「アフガンの危機はテロと麻薬の脅威を激化させた。隣国が不安定になるリスクが高まっている」(ロシアのラブロフ外相)

とくに警戒するのは難民や過激派の流入だ。4~5日には1000人以上のアフガン政府軍が敗走し、タジキスタンなどに越境した。14日にはパキスタンで中国人技術者らを乗せたバスが爆発し、少なくとも13人が死亡した。

アフガンではタリバンのほか、過激派組織「イスラム国」(IS)や国際テロ組織アルカイダが活動し、米軍撤収とともに再び勢力を強めかねない。とくに中国はテロ組織に指定する「東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)」がタリバンと結託してアフガンで活動を広げ、新疆ウイグル自治区に侵入する事態を懸念する。

米国は2001年の米同時テロを受けてアフガン攻撃に踏み切り、タリバン政権を崩壊させた。20年に及ぶ軍事作戦で2000人を超す米兵が死亡し、8月末までの米軍撤収を発表した。バイデン米大統領は「アフガン和平定着へ地域の国々がきわめて重要な役割を果たす」とも話し、周辺国に役割分担を求めた。

中ロは早急な米軍撤収を「地域情勢を困難にする」(スルツキー・ロシア下院国際問題委員長)、「責任を逃れようとする試み」(中国の王外相)などと厳しく批判している。米国の責任を問うとともに、米国に代わってアフガン復興を支援することで、周辺地域での米国の影響力を低下させる思惑もある。

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