[FT]中国株・債券の海外保有、8000億ドル超す

[FT]中国株・債券の海外保有、8000億ドル超す
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『海外投資家による中国株式・債券の保有高がこの1年で約40%増加し、8000億ドル(約88兆円)を超えた。中国と国際社会の関係悪化にもかかわらず、投資家は過去最速のペースで買い進めた。

国際社会との関係悪化にも関わらず、中国の株や債券には海外から資金が流れ込んでいる(上海の金融街)=ロイター
企業の会計監査から、米政府がジェノサイド(民族大量虐殺)とする中国政府による新疆ウイグル自治区での人権侵害に至るまで、様々な問題で米中間の緊張が高まっているが、世界の投資家は中国市場に殺到している。

中国政府が自国企業による米資本市場への上場に対する規制を強化しているさなかでもある。中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)のデータ保護に関する調査もその一つで、同社が44億ドル規模のニューヨーク上場を果たした数日後に調査開始が発表された。
米ブルームバーグのデータに基づくフィナンシャル・タイムズ(FT)紙の集計によると、香港と上海、深圳の証券取引所の相互取引を通じて、海外投資家はこの1年間に中国株を353億ドル買い越している。前年と比べ約49%の増加だ。

仏クレディ・アグリコルのデータによると、海外投資家は過去1年間に中国国債も750億ドル以上購入している。前年比50%の増加だ。

国際指数入りで資金流入加速
海外投資家の中国株・国債購入は前年同期比で過去最速ペースで増加している。対中投資熱は中国のコロナ禍からの素早い回復にあおられている面があるが、経済成長の減速に対する懸念も出てきている。

中国の投資銀行、華興資本(チャイナ・ルネサンス)のトレーダーであるアンディ・メイナード氏は「地政学的に言われていることとは裏腹に、資産運用の観点からは中国市場に目を向けざるをえない」と話す。

近年、中国市場への資金流入は急増している。理由の一つは、数兆ドル規模の資産運用で目安にされる株・債券の国際指数に人民元資産が加えられたことだ。

最新の動きでは英指数算出会社FTSEラッセルが3月、自社の国際債券指数に中国国債を組み入れる計画であることを認めた。野村グループの予測では、これにより1300億ドル以上が中国に流れ込むことになる。

クレディ・アグリコルと海外投資家が中国本土の債券を売買するのに利用する香港の「債券通(ボンドコネクト)」のデータを基にしたFTの集計では、年初からの買い越しで海外投資家の中国債券保有高は3兆7000億元(約63兆円)に達している。

14日現在、香港経由の相互取引制度(他の外国投資プログラムは除く)による海外投資家の中国株保有高は1兆4000億元強だ。

こうした制度を通じた海外投資家の中国株・債券保有高は約8060億ドルで、1年前の約5700億ドルから増えている。

米国債より高い利回り
高値になったテクノロジー株から離れる年初以降の世界的な流れも、中国本土の市場の追い風になっている。中国株は工業などテック業種以外への投資がしやすいとアナリストらは言う。

「テック株人気が冷め、人々は他の業種を求めている。そうした業種のほとんどで粒がそろっているのが中国株だ」と香港の調査会社ギャブカル・ドラゴノミクスのアナリスト、トーマス・ガトリー氏は説明する。

米国で上場した中国企業が国内で規制当局の締め付けを受けていることも、海外投資家の間で本土上場の中国株人気につながっているとアナリストらは指摘する。ニューヨーク上場の滴滴は先週、中国当局が同社のサイバーセキュリティーに関する調査に乗り出したことを受けて株価が急落した。

債券市場では中国国債は米国債より収益の魅力が高いとバンク・オブ・シンガポールの主席エコノミスト、マンスール・モヒウディン氏は指摘する。「(1.5ポイント差と)中国債と米国債は利回りにはっきりした差がある」と同氏は話した。

中国債券市場への資金流入は人民元の上昇も伴っている。対ドルでは5月に3年ぶりの高値を付けた。

「今後も金利差が(人民元を)支え続けると見込んでいる」とモヒウディン氏は言う。それが2021年後半も中国株・債券への資金流入を後押しするという。

中国の中央銀行が9日に市中銀行の預金準備率の引き下げを決めたことも、週明けに海外投資家のさらなる中国債券買いを促した。市中銀行から強制的に預かるお金の比率を下げることにより、約1兆元の流動性が供給される見込みで、これまで続いてきた金融引き締め政策に終止符が打たれると見られる。

だが同時に、預金準備率の引き下げは中国政府が成長の減速を懸念していることを示すとも受け止められた。物価上昇の兆しが表れる中での引き下げだった。

クレディ・アグリコルでアジア新興市場取引を統括するパトリック・ウー氏は、預金準備率の引き下げはこのところ中国債の買いを抑えていた多くの海外投資家を驚かせたと話す。

「人々は中国債に対してとても弱気になり、投資比率が過小になっていた」といい、預金準備率の引き下げを受けて香港経由の中国債券買いが急増したとウー氏は指摘した。

By Hudson Lockett

(2021年7月14日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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