米の薬物中毒死、20年は過去最高9.3万人 コロナ禍急増

米の薬物中毒死、20年は過去最高9.3万人 コロナ禍急増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN14EMZ0U1A710C2000000/

【ニューヨーク=野村優子】米国で薬物中毒死が急増している。米疾病対策センター(CDC)は14日、2020年の薬物過剰摂取による死者は推計で前年比29%増の9万3331人となり、過去最高を記録したと発表した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的感染拡大)が長期化するなか、医療用麻薬「オピオイド」などを中心に薬物の乱用が増えた。

年間の伸び率としても、過去最高となった。米国で薬物中毒死は18年に初めて減少するなど一時は改善もみられたが、コロナ禍で社会的孤立や不安感が高まったことが薬物使用につながったとみられる。米国の新型コロナによる死者は20年に約37万5千人だったが、薬物中毒死はその4分の1の規模に上る。確定値は数カ月以内に公表される見通し。

薬物中毒死の大半となる75%を占めたのが、オピオイド系鎮痛剤の過剰摂取によるものだった。オピオイドの一種であるヘロインやフェンタニルも含め、死者は前年比37%増の6万9710人となった。州別の薬物中毒死では、東部バーモント州が58%増と全米最大の伸び率となったほか、ケンタッキー州やサウスカロライナ州などで5割超の増加となるなど、南部での上昇が目立った。

バイデン政権は13日、米国家薬物管理政策局(ONDCP)の局長にラフル・グプタ博士を指名している。同氏はオピオイド中毒が深刻だったウェストバージニア州の保健当局で乱用問題への対応を主導していた。

オピオイド系鎮痛剤は米国で1990年代に利用可能となった。当初は依存症のリスクが低いとされていたが、乱用による中毒患者が急増して社会問題となった。CDCによると99年から2018年までに45万人がオピオイド中毒で死亡した。販売や流通手法に問題があったとして製薬会社などの責任を問う声も高まり、訴訟が相次いだ。