キューバで大規模反政府デモ

キューバで大規模反政府デモ 米は平和的な抗議支持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12DA70S1A710C2000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】カリブ海の島国キューバで政府への反発が強まっている。11日には社会主義国では異例となる大規模なデモが国内各地で発生した。日用品の不足や新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷への不満の高まりが背景にある。キューバ政府は米国による扇動を主張する一方で、米政府は12日に抗議活動を支持する意向を示した。

「行列や物不足にはうんざりだ」「自由を求める」。首都ハバナなど各地で街頭に繰り出したキューバ市民は11日、手を振り上げ、拍手をしながら現状への不満を吐き出した。

ネットへの接続環境が乏しい中でも、交流サイト(SNS)を通じた情報拡散で各地に抗議活動が広がった。治安部隊や政府支持者との間での衝突も報じられている。

欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は12日、デモが「1994年以来の規模」との見方を示した。冷戦下で後ろ盾だったソ連が91年に崩壊した後の厳しい経済状況で、94年8月には「マレコナソ」と呼ばれる大規模抗議が発生した。その後に多くの移民が米国に流出した。

キューバ市民が不満を高めている背景には日常的な物不足がある。配給のみでは十分な生活物資を確保できず、スーパーでは入店するための数時間の行列や欠品が当たり前で、生活環境は厳しさが増している。2種類あった通貨を1月に統一したことに伴い、インフレも加速している。

新型コロナの状況も追い打ちをかける。11日に発表となった新規感染者数は6923人と過去最多となった。自国産のワクチン接種を進めているが、感染抑制は十分ではない。

主要産業である観光の落ち込みでドルの収入が減った人も多く、不満の蓄積や生活環境の悪化につながった。外国からの訪問者数は2020年に108万5920人と、19年の4分の1の水準まで落ち込んだ。

ディアスカネル大統領は12日、米国の経済封鎖が物不足の原因であると主張した。同氏は11日には「キューバ系米国人のマフィアが交流サイトで影響を与えている」とも指摘し、キューバ政府はネットへの接続を制限する措置をとったもようだ。

バイデン米大統領は抗議活動を支持する意向を示した(12日、ホワイトハウス)=ロイター
一方、米国のバイデン米大統領は12日、キューバの人々が「平和的に抗議活動に参加し、自らの将来を自由に決めるという基本的かつ普遍的な権利の行使は尊重されなければならない」との声明を公表した。

EUのボレル氏も同日に「キューバの人々は平和的な意見表明の権利がある。政府に人々の不満に耳を傾けるよう呼びかけたい」と述べた。

トランプ前政権からバイデン政権への移行で、キューバ政府内には米国による経済制裁の緩和を期待する見方もあった。ただ現状では主要な政策変更は行われていない。

キューバ政府は20年の実質経済成長率がマイナス11%だっと明らかにしている。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)はキューバの21年の成長率が2.2%にとどまると見通す。中南米平均の5.2%を下回り、新型コロナ禍からの回復状況は厳しい。』