ラオスの小規模社会集団における人口動態・再生産・生業変化の相互関係の解明

ラオスの小規模社会集団における人口動態・再生産・生業変化の相互関係の解明
http://www.geog.lit.nagoya-u.ac.jp/prelic/prelic1.html

 ※ ラオスとか、あまりよく知らない国だ…。

 ※ ちょっと、調べた…。

 ※ 学術的な研究は、結構なされているようだ…。

 ※ 大学や、シンクタンクの論文が、多くヒットした…。

 ※ その一つを、紹介しておく…。

※ この図は、上記の論文中にあったものでは無いが、検索中に見つけて、参考になるんでキャプチャした…。国家体制を、「民主主義vs.独裁」「資本主義vs.社会主義」という軸で斬ったものだ…。

※ ラオスは、まあ、「小型の中国」と言ったところか…。

※ ミャンマーは、一時「民主化した」と喧伝されて、米・日寄りの国家体制になったハズだった…。

※ 今また、「軍政」が復活して、先祖返りしたという話しになるのか…。

※ タイも、「軍事政権」に戻ったな…。

※ シンガポールは、資本主義ではあるが、「開発独裁」に近い国…。

※ ロシアは、マルクスレーニン主義的な「社会主義国」では無くなったが、「警察力」「情報機関」を駆使しての「監視・統制国家」…。

※ サウジアラビアは、イスラムの「ワッハーブ主義」による「非民主主義国」…。やっと、最近、女子が車を運転することを認めたな…。

※ スウェーデンは、「社会民主主義」国家だったのか…。

※ この「対立軸」、けっこう使えるな…。

※ 北朝鮮が欄外なのは、ここはまた「主体思想・主体主義」を標榜するんで、「キム王朝」とも称される、ちょっと異色の国家体制だからだろう…。

『終了したプロジェクト(Prelic 1)について
課題名
ラオスの小規模社会集団における人口動態・再生産・生業変化の相互関係の解明 (Prelic 1)

研究費種目
日本学術振興会 科学研究費補助金 基盤研究(A)(海外学術)
期間
2013年4月1日〜2017年3月31日

研究の背景

ボズラップによる農業発展段階論と現実世界

人口変動、再生産、生業変化の相互関係の把握は、グローバル化時代の人類の生存基盤を考える上で極めて重要な研究です。しかし、生存基盤に関わる人口と食料といった問題に関しては、人口の増加に伴って人びとは農業集約化を進展させるとしたBoserup(1965)による農業発展段階論しか示されていません。実際、人類は農業集約化を進展させ、過去40年間で穀物生産を倍増することに成功しました。そして、計算上は世界の全人口に十分な食料が行き渡ることになっています。ところが、現実には8.7億もの人びとが栄養失調の状態にあります。これは、国家スケールでの統計を用いて人口変動と食料供給の関係を論じても、それは机上の空論に過ぎないことを表していると言えます。

Boserup, E. 1965. The Conditions of Agricultural Growth: The Economics of Agrarian Change under Population Pressure. Chicago: Aldine. [ボズラップ, E. (安沢 秀一, 安沢 みね 共訳) 1991.『人口圧と農業―農業成長の諸条件』ミネルヴァ書房.]

小規模な社会集団を分析する重要性

実際の人びとの営みは、小規模な社会集団を基本単位として繰り広げられています。しかも、近年はグローバル化に伴う情報化や近代化が一層進んでおり、家族計画が浸透し、公衆衛生も改善されており、食料生産だけが人口を規定する要因になっていません。したがって、人口と経済・社会・文化・疾病・衛生との関係、およびそれらが人口動態に及ぼす研究が求められています。しかし、先進国のような住民登録制度が整い、国勢調査が実施されている国々を対象とした研究成果は蓄積されているのですが、各種統計の整備が遅れている新興国や途上国を対象とした研究はほとんど実施されていません。現在、世界人口の多くが新興国・途上国で占められており、それらの国々の小規模社会集団の動態把握が人口を扱う様々な学問分野の関心を引いています。

これまでの問題点

ところが、統計未整備国の集落において個人単位の完全なデータを取得するには、多くの労力と時間が必要とされるため、これまでは生業変化の断片的な情報から人口変動の要因を推測することしかできませんでした。本研究プロジェクトのメンバーによるタイとラオスの集落を対象に実施したサンプル調査では、出生率低下の原因は、家族計画と医療・公衆衛生の普及のみならず、若年層の出稼ぎによる晩婚化も関係していることが示唆されました。また、ラオス南部の集落で実施した本研究プロジェクトの事前調査では、出稼ぎが進展した要因には、分割相続によって農地が細分化され、一人あたりの経営耕地面積が縮小していることも関係していることが分かりました。すなわち、人口と生業変化だけではなく、世帯の再生産も含めて、各要因は相互に関係しあっており、各要因間の相互関係の分析が小規模社会集団の動態把握には欠かせないのです。

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プロジェクト準備

そこで、これまで小規模社会集団の生業変化、人口動態、ライフコースなどの解明を実施しているメンバーが集まって何度か研究会を開催し、さらにラオスでの事前調査を実施して、本研究を着手する準備を行ってきました。ラオスは、移行経済の最中で急速に貨幣の重要性が高まっており、現金獲得のために生業構造を変化させている社会集団がある一方で、未だに完全な自給自足的な生業を営む社会集団も多くみられます。同じ国民国家の枠組みで異なる生業構造を有する社会集団を対比させながら、人口、再生産、生業変化を論じることができるラオスは本研究プロジェクトで最も適した地域であると言えます。

研究目的

そこで本研究では、ラオスにおいて、自給的な天水田を営む地域および焼畑を営む地域の2つを対象に、人口動態・再生産・生業に関する各要因間の相互関係(右図)を分析し、どのような変数が小規模社会集団の動態に影響しているのか解明することを目的としました。この目的を達成するため、ラオス側のカウンターパート機関と共に対象とする小規模社会集団の全構成員を対象に、個人単位での出生・死亡・婚姻・移動・教育・夫婦間の性交渉・収入・支出などのデータ、さらに農地一筆単位の土地所有データを過去に遡って取得しました。ラオスは、過去にベトナム戦争による動乱と社会主義化、そして移行経済などの重要なイベントが含まれており、政治・経済・社会の変化に伴い、人びとがどのような対応をしてきたのか、人間と社会の関係の総合的な解明が可能となります。

研究の意義

本研究は個人レベルでのデータ分析を通し、ライフコースや土地の獲得戦略、経済的な地位、都市・農村間の移動と出生力との「具体的な因果関係を検証する」こと、そして小規模社会集団の動態に影響する変数を解明する点に特徴があります。個人レベルのデータは、それより上の集団レベルのデータに容易に接合することができ、幅広い応用も期待されます。

ラオスのような後発開発途上国では、いままさに工業化や情報化が始まろうとしていますが、これまでは近代的な経済社会との関連を強く意識されずに研究が行われてきました。ラオスの小規模社会集団のような伝統的社会を対象に近代的な経済社会の枠組みをいかに組み込んで分析をするかが問われており、今回の研究には大きな意義があります。さらに、新興国・途上国では、各種統計の精度を検討したりするなど、統計に取り組んでいる自国の研究者が非常に少ないのが現状です。今回、現地の研究者や政府機関の実務家と共同で作業することで、統計から理解できること、現地で実態を調査しないと理解できないことなどを議論し、ラオスの統計の精度向上や統計利用技術向上などにつなげられることにも意義を見いだすことができます。

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研究方法

「生業班」、「人口変動班」、「再生産班」の3つの班を構成して、ラオスの2つの小規模社会集団を対象に、生業、人口変動、再生産に関わると考えられる様々なデータを取得するための現地調査を4年間実施しました。さらに、各要因は相互に重なり合っており、調査項目に関しても重複するため、全メンバーが研究の進捗や問題点などを報告し、情報を共有するための共同研究会を年2回程度開催することで情報の共有化を図りました。

対象地域

ラオス中南部(右図)のサワンナケート県ソンコン郡で自給的な天水田を営む「調査地1」およびセポン郡で自給的な焼畑を営む「調査地2」を選定しました。生業形態の違いから両地域を比較することも試みました。

「調査地1」は、自給的な天水田を主業とするラーオ族で、タイへの出稼ぎが多くみられます。ラオス中南部の中心都市であるサワンナケート市街地からおよそ1時間の距離ですが、サワンナケートへの通勤者はいません。「調査地1」からは、バンコクに多くの出稼ぎに出ていることから、バンコク周辺でも調査を行いました。

「調査地2」は、自給的な焼畑を営むモン・クメール語派の少数民族のマンコン族の集落です。タイへの出稼ぎは見られず、現在でも自給自足的な焼畑耕作で食料を自給し、林産物採取などで現金収入を得ています。

研究成果

成果は、人文地理学会、日本地理学会、日本人口学会、International Geographical Union (IGU)などで、研究成果を公表いたしました。これまでのプロジェクトの年度報告書と成果に関して、ご関心を持って頂いた方は、日本学術振興会『KAKEN』にアクセスしてください。

【日本学術振興会】 【日本地理学会】 【人文地理学会】 【日本人口学会】

Copyright© 2014 Population dynamics, reproduction and livelihood changes in small-scale communities of Laos (Prelic)』

ラオス、中国が2兆円高速整備 深まる依存

ラオス、中国が2兆円高速整備 深まる依存
年間歳出の約4倍 債務のわなに懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS06C8W0W1A700C2000000/

『【バンコク=岸本まりみ】東南アジアの小国ラオスで、中国政府の支援による高速道路の建設計画が加速している。中国の広域経済圏構想「一帯一路」の下、中国の経済支援や投融資で大半がまかなわれる。膨らむ対中債務の返済に窮すれば「債務のワナ」に陥るとの懸念も高まるが、新型コロナ禍で経済が冷え込む中、ラオスは景気回復のために中国主導の大型開発に頼るしかないのが実情だ。

ラオスの首都ビエンチャンの郊外。ときに牛が歩く姿が目撃されるのどかな地方に近代的な道が延びる。ビエンチャンと中部の観光地バンビエンをつなぐ約110キロメートルで2020年末に開通した高速道路だ。一帯一路の一環として進む全長約440キロメートルの「中国ラオス高速道路」の最初の開通区間で、ラオスにとっては初の高速道路だ。

これまで3時間以上かかっていた同区間の移動時間は開通で2時間以下に短縮された。利用したラオス人男性(35)は「便利で安全だ。高速料金がかかっても時間とガソリンの節約になるし、悪路を走るよりいい」と喜ぶ。

中国主導の高速開発計画は中国ラオス高速道路だけではない。中国国営新華社通信やラオス国営メディアによると、ビエンチャンと南部パクセーを結ぶ高速道や、中国国境沿いのボーテンからタイ国境のボケオを結ぶ高速道の計画も浮上する。

報道された計画の建設費を単純集計すると、ラオス全土で進む中国主導の高速建設計画の総建設費は180億ドル(約2兆円)規模になる。ラオスの20年度歳出の4倍超、国内総生産(GDP)に匹敵する。

最初に開通したビエンチャン―バンビエン区間は、中国企業が95%を出資して建設した。高速道路を建設した中国企業が通行料収入などを50年にわたって得た後、ラオス側に譲り渡す「建設・運営・譲渡(BOT)」方式だ。ラオス政府の出資は5%にとどまるが、財政赤字の続く小国にとって負担は小さくない。

すでにラオスの対中債務は膨らみ続けている。世界銀行によると、ラオスの2国間の公的債務残高の75%は中国からの借り入れが占める。公的債務残高はGDP比で60%を超えており、返済には黄信号がともる。格付け会社フィッチ・レーティングスはラオスの外貨準備高が債務返済に不十分とし、20年9月にラオスの格付けを「Bマイナス」から「トリプルC」に引き下げた。

返済が滞れば、重要インフラの権利を中国側に握られる「債務のわな」に陥る可能性もある。18年には米シンクタンク、世界開発センターが対中債務が特に過大な8カ国の一つにラオスを挙げた。中国の影響力が増せば、南シナ海問題などで中国寄りの立場をとらざるを得なくなり、中国と対立する日米や東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との摩擦を生みかねない。

それでも、ラオスには中国に頼らざるを得ない事情がある。3月に発足したラオスの新内閣は後発発展途上国からの脱却を急ぎ、25年までの社会経済開発計画で年4%以上の経済成長を目標に掲げる。ただ、新型コロナ禍で経済は冷え込む。成長エンジンの一つと位置づけていた観光産業が沈む中、中国主導の大型開発プロジェクトに頼る以外に経済回復の方策は乏しい。

一党支配の社会主義国ラオスではいまのところ目立った反政府運動は発生していないが、経済面での不満が高まれば、市民の批判の矛先が政府に向かう可能性もある。』

「中国共産党員になりたい」ジャッキー・チェン氏

「中国共産党員になりたい」ジャッキー・チェン氏
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB12BOY0S1A710C2000000/

『【北京=時事】中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報英語版は12日、香港の映画俳優ジャッキー・チェン氏(67)が共産党に入党したいとの意向を表明したと伝えた。チェン氏は香港国家安全維持法に支持を表明するなど親中派で知られるが、党の広告塔の役割も担った格好だ。

チェン氏は8日、副主席を務める中国映画家協会が北京市で開いた座談会に出席し、「共産党は本当に偉大だ。党が約束したことはわずか数十年で実現する。私も党員になりたい」と語った。座談会のテーマは、習近平総書記(国家主席)が7月1日の党創立100周年式典で行った「重要講話」の学習だった。

この発言について同紙は、天津市の南開大学の専門家の話を引用し、「香港のエリートたちの共産党に対する見方が、より客観的、理性的になっている」と評価した。ただ、中国のインターネット上では、過去の女性スキャンダルなどから「チェン氏が入党審査を通るはずはない」と冷めた見方も出ている。

【関連記事】香港映画、苦境にあえぐ 空洞化進み表現の自由も危機 』

「核抑止を極めて重視」 防衛相、米戦略軍司令官と会談

「核抑止を極めて重視」 防衛相、米戦略軍司令官と会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA127V00S1A710C2000000/

『岸信夫防衛相は12日、防衛省で来日中のリチャード米戦略軍司令官と会談した。中国の軍備強化を念頭に「さらに強固な日米同盟が不可欠だ。とりわけ核抑止やミサイル防衛作戦は極めて重視している」と伝えた。

米戦略軍は米国の核兵器の運用を担う。リチャード氏は2019年11月の就任後、初めての外国訪問で日本を訪れた。

岸氏は会談の冒頭で「米国が核を含むあらゆる軍事力を使い、日本の平和と安全にコミットしていることに感謝している」と述べた。「米戦略軍と連携して同盟の抑止力と対処力をさらに強化したい」と話した。

リチャード氏は「拡大抑止の提供に我々は日々真剣に取り組んでいる」と語った。拡大抑止とは同盟国への攻撃を自国への攻撃とみなし、核戦力による反撃で報復する意思を示して第三国に攻撃を思いとどまらせる考え方を指す。

菅義偉首相とバイデン米大統領による4月の首脳会談の共同声明も「拡大抑止を強化する」と記した。

リチャード氏は4月の上院軍事委員会の公聴会で中国の核兵器開発が進展していると指摘し、米軍が保有する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の近代化が急務だと訴えた。

茂木敏充外相も同日、リチャード氏と外務省で会談した。「日米同盟の重要性はかつてなく高まっている」と話し、日米で安保政策の擦り合わせを進める方針を示した。』

7月の米穀物需給 トウモロコシ生産見通しを引き上げ

7月の米穀物需給 トウモロコシ生産見通しを引き上げ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12CWS0S1A710C2000000/

『【シカゴ=野毛洋子】米農務省は12日発表の7月の穀物需給で、米国のトウモロコシの生産見通しを前月比445万㌧増の3億8521万㌧に引き上げた。作付面積の増加を見込んだ。期末(2022年8月末)在庫は前月比190万㌧増の3637万㌧を見込んだ。いずれもロイター通信が集計したアナリスト予想平均を上回った。

小麦は干ばつによる春小麦の減産が響き、生産量は前月比414万㌧減の4752万㌧を見込んだ。期末在庫は286万㌧減の1809万㌧と推定した。いずれもアナリスト予想平均を下回った。

大豆については生産及び期末在庫ともに前月から据え置いた。市場には「今回は小麦以外に目立った修正がない。農務省は天候を見定めて8月、9月分で大幅に修正する可能性がある」(米穀物アナリスト)との声が聞かれた。』

キューバで大規模反政府デモ

キューバで大規模反政府デモ 米は平和的な抗議支持
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12DA70S1A710C2000000/

『【メキシコシティ=宮本英威】カリブ海の島国キューバで政府への反発が強まっている。11日には社会主義国では異例となる大規模なデモが国内各地で発生した。日用品の不足や新型コロナウイルスの感染拡大による経済低迷への不満の高まりが背景にある。キューバ政府は米国による扇動を主張する一方で、米政府は12日に抗議活動を支持する意向を示した。

「行列や物不足にはうんざりだ」「自由を求める」。首都ハバナなど各地で街頭に繰り出したキューバ市民は11日、手を振り上げ、拍手をしながら現状への不満を吐き出した。

ネットへの接続環境が乏しい中でも、交流サイト(SNS)を通じた情報拡散で各地に抗議活動が広がった。治安部隊や政府支持者との間での衝突も報じられている。

欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は12日、デモが「1994年以来の規模」との見方を示した。冷戦下で後ろ盾だったソ連が91年に崩壊した後の厳しい経済状況で、94年8月には「マレコナソ」と呼ばれる大規模抗議が発生した。その後に多くの移民が米国に流出した。

キューバ市民が不満を高めている背景には日常的な物不足がある。配給のみでは十分な生活物資を確保できず、スーパーでは入店するための数時間の行列や欠品が当たり前で、生活環境は厳しさが増している。2種類あった通貨を1月に統一したことに伴い、インフレも加速している。

新型コロナの状況も追い打ちをかける。11日に発表となった新規感染者数は6923人と過去最多となった。自国産のワクチン接種を進めているが、感染抑制は十分ではない。

主要産業である観光の落ち込みでドルの収入が減った人も多く、不満の蓄積や生活環境の悪化につながった。外国からの訪問者数は2020年に108万5920人と、19年の4分の1の水準まで落ち込んだ。

ディアスカネル大統領は12日、米国の経済封鎖が物不足の原因であると主張した。同氏は11日には「キューバ系米国人のマフィアが交流サイトで影響を与えている」とも指摘し、キューバ政府はネットへの接続を制限する措置をとったもようだ。

バイデン米大統領は抗議活動を支持する意向を示した(12日、ホワイトハウス)=ロイター
一方、米国のバイデン米大統領は12日、キューバの人々が「平和的に抗議活動に参加し、自らの将来を自由に決めるという基本的かつ普遍的な権利の行使は尊重されなければならない」との声明を公表した。

EUのボレル氏も同日に「キューバの人々は平和的な意見表明の権利がある。政府に人々の不満に耳を傾けるよう呼びかけたい」と述べた。

トランプ前政権からバイデン政権への移行で、キューバ政府内には米国による経済制裁の緩和を期待する見方もあった。ただ現状では主要な政策変更は行われていない。

キューバ政府は20年の実質経済成長率がマイナス11%だっと明らかにしている。国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)はキューバの21年の成長率が2.2%にとどまると見通す。中南米平均の5.2%を下回り、新型コロナ禍からの回復状況は厳しい。』

米ファイザー、追加接種の必要性訴え

米ファイザー、追加接種の必要性訴え 保健当局と会談へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN12D410S1A710C2000000/

『【ニューヨーク=野村優子】米製薬大手ファイザーは12日、新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種の必要性をめぐり、米保健当局と会談を行うことを明らかにした。追加接種のワクチンについては、必要性を訴えるファイザー側に対して、米当局などは不必要との見解を示していた。

会談は、米東部時間12日夕(日本時間13日朝)にも行われる。米紙ワシントン・ポストによると、米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ大統領首席医療顧問のほか、米疾病対策センター(CDC)のワレンスキー所長や米食品医薬品局(FDA)のウッドコック局長代行が出席する見通しだ。

ファイザーは8日、ワクチン接種を終えた人の免疫をさらに高めるため、3回目の追加接種のワクチンについて8月にもFDAに承認申請を行う見通しを発表していた。感染力の強いインド型(デルタ型)をはじめとする変異ウイルスの感染拡大のほか、時間の経過とともにワクチンの有効性が薄れるとの研究が出ているためだ。

【関連記事】
・イスラエル、ワクチン3回目の接種開始 免疫力低い成人に
・3回目接種で免疫強化、2社が許可申請へ 英など検討

イスラエル保健省はデルタ型の広がりを受け、ファイザー製ワクチンの有効性が94%から64%に下がったとの研究結果を公表している。ファイザーはこの研究に触れた上で、「有効性を維持するためには、2回目の接種完了から6~12カ月以内に3回目を接種する必要がある」と指摘していた。

しかし、ファイザーの発表を受けてFDAとCDCは同8日、「ワクチンを完全に接種した人は現時点で追加接種を必要としない」との共同声明を出した。追加接種については「科学的に必要性が示された場合の準備をしている」とし、現時点では必要性が高くないとの認識だ。

ファウチ氏は11日、新規入院患者の9割がワクチン未接種者であることを踏まえ「人々に今、追加接種を促す必要はない」と米メディアに述べた。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長も12日、記者会見で「今の優先事項は、まだワクチン接種していない人の接種を進めることだ」と述べている。』

アフガン駐留米軍、トップ指揮権移譲

アフガン駐留米軍、トップ指揮権移譲 撤退へ作業進む
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1303T0T10C21A7000000/

『【カブール=共同】アフガニスタン駐留米軍トップのミラー司令官は12日、首都カブールで開かれた式典で、アフガンの作戦指揮権を、中東全体を管轄する米中央軍のマッケンジー司令官に移した。AP通信が伝えた。米メディアは指揮権移譲について、米軍撤退までに残された数少ない手続きの一つとしている。4月下旬に始まった撤退作業は90%以上終わっている。

バイデン米政権が8月末までの駐留米軍撤退完了に向けた動きを進める中、反政府武装勢力タリバンはアフガン政府に対する攻撃を強め、支配地域を拡大している。マッケンジー氏は中央軍が司令部を置く米南部フロリダ州タンパから指揮を執り、アフガン政府軍を支援する空爆を実施するかどうか判断する権限も引き継ぐが、実行するかどうかは不透明だ。

米シンクタンク「民主主義防衛財団」によると、タリバンは全土の半数を超える地区を支配下に置いている。人口が密集する州都への攻撃も続け、治安への懸念が高まっている。

ミラー氏は2018年9月から司令官を務めた。トランプ前米政権が昨年2月、米軍の完全撤退でタリバンと和平合意し、米軍は今年7月、カブール北方にあるアフガン最大の拠点だったバグラム空軍基地をアフガン政府に引き渡した。

米軍撤退後は、約650人規模の部隊が米大使館の警備のためカブールに残るとみられる。 』

Google、日本で金融本格参入へ

Google、日本で金融本格参入へ 国内スマホ決済買収
【イブニングスクープ】
2021年7月8日 18:00 (2021年7月9日 7:07更新) [有料会員限定]

『米グーグルが日本で金融事業に本格参入することが8日までにわかった。国内のスマートフォン決済会社を200億円超で買収し、インドや米国に続き日本でも2022年をめどに自社グループで送金・決済サービスを始めるもようだ。巨大IT(情報技術)企業の参入で金融と異業種の合従連衡が一段と加速する。

グーグルが買収するのはスタートアップ企業のpring(プリン、東京・港)。17年に決済代行のメタップスや、みずほ銀行などが共同出資して設立した資金移動業者だ。複数の関係者によると、グーグルがみずほ銀行などプリンの既存株主から全株式を200億~300億円で取得する方向で最終調整に入った。

日本は先進国のなかでもキャッシュレス決済の普及が遅れており、開拓の余地が大きいと判断したようだ。米国のITプラットフォーマーは膨大な顧客基盤やデータを生かし、金融に事業領域を広げている。グーグルの参入で日本でもデジタル金融を巡り既存の金融機関やネット企業との競争が激しくなる。

グーグルの広報担当者は日本経済新聞の問い合わせに対し「噂や臆測にはコメントしない」と回答した。

プリンは銀行口座をひも付けて入金し、QRコード決済ができるアプリを手がける。登録者は数十万人程度とみられるが、チャット感覚で送金もできる使い勝手の良さが若年層を中心に支持を集める。残高は手数料なしで銀行口座に戻したり、セブン銀行のATMから出金したりできる。提携する銀行はメガバンク3行を含む50行を超える。

国内のスマホ決済事業者としては珍しく法人サービスも展開する。日本瓦斯(ニチガス)など約400社が社員の経費精算や個人事業主への報酬払いなどに採用している。グーグルとは法人向けの展開も視野に入れているようだ。

グーグルは主力のネット広告やクラウド事業に続き、金融を新たな収益の柱に据える。15年に始めたスマホ決済「グーグルペイ(旧アンドロイドペイ)」は40カ国・地域で展開し、月間利用者数は1億5000万人を超える。米国では20年11月にアプリを刷新し、21年に米銀大手シティグループなど11の金融機関と組み、銀行口座サービスを始めると発表した。
グーグルは日本でもグーグルペイを展開しているが、他社のクレジットカードや電子マネーを登録したうえで決済するサービスにとどまる。スマホ上で複数の支払い手段を管理する財布のような仕組みで、単体での決済手段はない。グーグルはプリンの買収によって独自の送金・決済機能を備えることで利用者を増やす考えだ。

グーグルペイの国内利用者数は非公表だが、日本での存在感は小さい。消費者庁の20年12月調査によると、使用頻度の高いキャッシュレス決済のうち、グーグルペイを含むその他スマホ決済は6%と、クレジットカード(82%)や電子マネー(52%)、QRコード決済(42%)を大きく下回る。

日本ではZホールディングス系の「PayPay(ペイペイ)」や、楽天グループの「楽天ペイ」などネット企業がスマホ決済と共通ポイントを組み合わせて、電子商取引(EC)や携帯通信サービスなどの経済圏への囲い込みを強めている。金融サービスは国ごとに規制や慣習が異なるため、グーグルは現地企業と組み展開を図る。

国内のキャッシュレス決済は、19年10月の消費増税にあわせた政府のポイント還元事業も背景に広がっている。中でもQRコード決済が急拡大しているものの、クレジットカードを含む20年のキャッシュレス決済比率は3割に満たない。7~9割に上る韓国や中国を大きく下回る。

先行する米国では巨大IT企業の金融事業への参入が相次いでいる。アップルはゴールドマン・サックスと組み、クレジットカード事業に参入した。世界で30億人規模が使うフェイスブックなどはデジタル通貨「ディエム(旧リブラ)」の発行を目指す。グーグルも日本での決済事業を皮切りに金融サービスを広げる可能性が高い。』

激動の金融業界 銀行も証券もお金そのものも変わる

激動の金融業界 銀行も証券もお金そのものも変わる
教えて山本さん!BizTechの基礎講座
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC096040Z00C21A7000000/

『日本の金融業界が劇的に変化しつつあります。その象徴といえるのが、米グーグルが日本で金融事業に本格参入するというニュースです。国内のスマートフォン決済会社を200億円超で買収し、2022年をめどに送金・決済サービスを始めると報道されています。

日本の大手銀行は、ネットでの振込手数料を10月以降に引き下げる予定です。その背景には、金融業界における新興企業の台頭や異業種からの参入があります。例えば、PayPayの登録ユーザー数は21年6月に4000万人を突破しています。入金規模は違いますが、メガバンクの個人口座数を抜きつつあります。

PayPayでは、ユーザーがスマホを使って無料で素早く送金できます。こうした強力な新規参入者に対抗するには、既存顧客を従来よりも効率的なサービスに誘導する必要があります。そこで預金通帳の発行などコストがかかるサービスには新たに手数料を設定し、代わりにネットの手数料を下げているのです。

証券と銀行の境目はなくなっていく

なぜ新規参入者は、既存大手よりも優れたサービスを実現できるのでしょうか。その理由はビジネスモデルとテクノロジーの進化にあります。

PayPayは、様々な機能を内蔵する「スーパーアプリ」を目指しています。実際にPayPayのアプリは、ウーバーイーツやショッピングなどの様々な機能を既に備えています。PayPayにとっては、決済で利益が出なくても、そうした備え付けの機能で利益が出ればよいのです。また送金コストも、クラウドなどの新しいテクノロジーを活用すれば、既存の勘定系システムよりも大幅に安くできます。

私はデジタルトランスフォーメーション(DX)を「お寺の改修」によく例えます。伝統あるお寺を残したままつぎはぎで改修しようとすると、ベテランの宮大工を確保したり特定の建築資材を用意したりする必要があるため、近代的な建物に建て替えるのに比べて大幅にコストや手間がかかります。文化的な遺産であればそうしたコストにも意味がありますが、ビジネスの競争では大きなハンディになります。

金融機関の勘定系システムは、インターネットが登場する前の1960年ごろに生まれました。そこから互換性を保ちつつ何度か大きな改修を受けています。一方、クラウドなどの新しいテクノロジーを利用してゼロからシステムを開発すれば、より高機能な機能を安価に実現できる可能性があります。

こうした背景から、日本の金融機関の競争力を上げようとする動きが出ています。その一つが、全国の金融機関をオンラインで相互接続する「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」を運営する全国銀行資金決済ネットワーク(全銀​ネット)が銀行間の送金にかかる手数料を40年ぶりに引き下げたことです。これにより一般利用者が支払う銀行の振込手数料が下がる可能性が出てきました。

国際送金の仕組みも進化しています。インターネットの登場よりも前に作られたシステムでは、海外への送金に数日かかったり数千円の送金手数料を取られたりすることもありました。

一方、英フィンテック企業のワイズ(旧トランスファーワイズ)は、格安の手数料で送金サービスを提供しています。7月にロンドン証券取引所に上場し、時価総額は約1兆2100億円に達しました。また、米フェイスブックが提供するメッセンジャーは、米国など複数の国では送金にも使えます。ユーザーが国境を意識することなく簡単に送金できるのです。

7月には米大手証券会社ゴールドマン・サックス傘下の米銀行が日本で銀行業免許を取得しました。ゴールドマン・サックスは米アップルと組み、米国で「アップルカード」という独自のクレジットカードを提供するなど、個人向け金融サービスに力を入れています。
同社のデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)は「既存のシステムを持ってないがゆえに、最新テクノロジーの活用で優位に立てる」と述べています。経済学でいうところの「後発性の利益」にも近い発想を持っているのです。こうした方向性は、システム部門だけでなく経営陣がテクノロジーをよく理解して決めるしかありません。

売買手数料無料の流れを作った米スマホ証券のロビンフッドは、うまくいかなかったもののかつては預金サービスの提供を目指していました。7月1日にはナスダック上場を申請し、時価総額は4兆円規模とされています。

日本では、銀行と証券の情報共有を制限する、いわゆる「ファイアウオール規制」が1993年に設定されました。米国での最近の動きを受け、金融庁がこの規制について改めて検討する動きになっています。

米小売り大手のウォルマートやアップルも金融事業を近年拡大しています。彼らは金融そのもので収益を上げなくても他の事業で収益を上げればいいため、手数料などを安くできます。

いずれは通貨もデジタルに

そもそも私たちはなぜ銀行口座を持っているのでしょうか。

多くの人にとっては、給与の振込先が必要だからでしょう。法律により、賃金は現金もしくは振り込みで渡すよう指定されています。しかし、法律が改正されれば、PayPayなどに直接入金できるようになるかもしれません。既に公共料金は最近は多様な支払い方法に対応しており、銀行振込である必要はなくなっています。

今後、大きな波になると思われるのがデジタル通貨です。中国は人民元をデジタル化する「デジタル人民元」の実験を繰り返しており、22年の北京冬季五輪の開催に合わせて準備しています。日本や欧州の中央銀行も、中央銀行が発行するデジタル通貨「CBDC(Central Bank Digital Currency)」の検討を始めています。フェイスブックは「ディエム(旧リブラ)」というデジタル通貨の開発を主導しています。

これまで物理的な通貨の取り扱いには、ATM網の整備や警備付きの現金輸送など、多くのコストがかかっていました。また、現金がどこで使われているかはすぐには把握できないため、詳細なデータに基づく経済対策はできませんでした。

通貨をデジタル化すれば、リアルタイムに近いデータに基づいて詳細な経済政策を打てるようになります。決済サービスなどの効率や使い勝手も向上するでしょう。これは、電子メールやメッセンジャーアプリが紙のファクスをほぼ不要にしたのと似ています。

24年には新しいデザインの日本円の紙幣が発行されます。その先には、まるで空気のようにデジタル通貨が使われる未来が待っているでしょう。

こうした世界を他国に先駆けて実現するには、これまでの投資を意味する「サンクコスト(埋没費用)」に惑わされてはなりません。現状のテクノロジーの延長で考えるのではなく、最新テクノロジーを理解して最適な仕組みを一から作っていく必要があります。

山本康正(やまもと・やすまさ)
京都大学大学院特任准教授
東京大学修士号取得後、米ニューヨークの金融機関に就職。ハーバード大学大学院で理学修士号を取得。卒業後グーグルに入社し、フィンテックや人工知能(AI)などで日本企業のデジタル活用を推進。著書に『次のテクノロジーで世界はどう変わるのか』(講談社現代新書)、『2025年を制覇する破壊的企業』(SB新書)がある。
【関連記事】Google、日本で金融本格参入へ 国内スマホ決済買収』

崩れる富の分配 消えた500億ドル

崩れる富の分配 消えた500億ドル
デジタルのジレンマ(1)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN252YL0V20C21A5000000/

 ※ 現生人類(ホモサピエンス)と他の「動物」、覇を競った他の人類(ネアンデルタール人なんか)を分けた、最大の「特質」は、「道具(ツール)を作り出す能力」と「他者とのコミュニケーション能力」だった…、という話しを聞いたことがある…。

 ※ ツールを作り出しただけでなく、その作り方のポイントなんかを、他者と「共有すること」が可能だったんで、「種」全体として、パワーアップすることが可能だったという説だ…。

 ※ 今の「デジタル社会」は、この「ツールを作り出すこと」と、「他者と共有すること」という2つの「特質」を、「コンピューター」と「インターネット」によって、極限までブーストしているもの…、とも評価できるだろう…。

 ※ いつの世でも、「ツール」を真っ先に作り出した者が、「先行者利益」を獲得し、「強者」「富者」となることは、必定だ…。

 ※ しかし、ヒトは、「たった一人で、孤立して」生きているのでは、無い…。

 ※ 「社会」の中で、「他者と協力・協調して」生きている…。

 ※ 「強者」「富者」となったはいいが、それが他者の生存すら脅かしたり、他者の「幸福」の妨げとなったりした場合は、「排除」の社会的なベクトルが生じる…。

 ※ おまけに、ヒトには「妬み(ねたみ)」「嫉み(そねみ)」「恨み(うらみ)」などという「負の感情」が、抜きがたく備わっているからな…。

 ※ そこのバランスが問題だ…。

『デジタル経済への逆風が強まっている。IT(情報技術)の巨人への規制論が世界で広がるのは、その膨張が富の偏在や社会の分断を生み、民主主義すら揺さぶりかねないからだ。デジタル経済は私たちの生活を豊かにしているのか。検証する。

バイデン米大統領の地元としても知られる東部デラウェア州ウィルミントン市。住宅地に面した広大な土地にショベルカーやトラックが行き交う。米アマゾン・ドット・コムが今秋に開く物流拠点の工事が進む。

2009年までは米ゼネラル・モーターズ(GM)が主力ブランド「シボレー」などを組み立てていた。「一度止まった経済が再び動き出した」。近くの酒屋で働くティーさんは喜ぶが、こうも付け加える。「働く人はGMのときより少ないかもしれない」。

GMの雇用が最大5000人だったのに対しアマゾンの新規雇用は1000人にとどまる見通しだ。
GMの工場跡地でアマゾンの倉庫の建設が進むが‥(デラウェア州ウィルミントン)
デジタル技術はネットを介した情報発信や検索、買い物などを通して生活を便利にし影響力を強める。しかし米商務省経済分析局(BEA)の統計を使って20世紀をけん引した自動車と比較すると、経済に与えるインパクトは大きく異なる。

分配率20ポイント低く
1960年からの20年で米自動車産業が生み出す年間の名目GDP(国内総生産)は3.3倍に拡大し、米全体に占める割合は70年代の石油危機まで2%前後を占めた。

一方、IT(情報技術)サービスは00年ごろから成長が始まったものの名目GDPは米国全体の0.5%前後で推移。直近の19年も約2700億ドルで全体の1.2%にすぎない。アプリを使った無料サービスなどは広がるが、富を生み出し分配する波及効果は自動車など既存産業に及ばない。

生み出した付加価値を給与などにまわす割合の「労働分配率」は、自動車は70年代に最大で70%を超えた。ITサービスは19年時点で約33%と全産業平均より約21ポイント低い。もし他の産業並みの分配率を維持していたら労働者への配分は年570億ドル(約6.3兆円)ほど多かった計算になる。

国への還元も少ない。日本経済新聞の分析ではグーグルの親会社のアルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾンの米IT4社の税負担率は18~20年の3年平均で15.4%。世界平均より9.7ポイント低い水準にとどまる。

縮む波及効果
関連産業への波及効果も限られる。車の生産が伸びれば部品や素材から物流、小売りまで恩恵が広がる一方、ネットを介して瞬時に消費者に届くデジタルは異なる。

総務省の産業連関表によると日本では自動車の需要が1増えると他産業で1.7の生産を誘発する効果がある。情報サービスは0.6にとどまり規模の拡大による経済の押し上げ効果が小さい。

「デジタル化はコスト削減が中心でなかなか(売上高など)トップラインにプラスにならない」(国際大学の山口真一准教授)との指摘もある。

波及が乏しいだけでなく既存産業を苦境に追い込む場面も増える。国際レコード産業連盟(IFPI)によると音楽はデジタル配信が20年に146億ドルまで伸びて市場が拡大する一方、CDなどモノの販売は20年で約8割にあたる188億ドルが失われた。電通インターナショナルによると、デジタル広告は20年に約2500億ドルと10年で約5倍に増える一方、新聞・雑誌の広告は約500億ドルと半減した。

「米国だけで200万人が開発者などとして参加する生態系へ成長した」。5月21日、反トラスト法(独占禁止法)を巡る訴訟で米アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はアプリ配信サービスの経済貢献を訴えた。だが果実は等しくは行き渡らない。IT企業が拠点を構える米シリコンバレーで幹線道路沿いに路上生活者のキャンピングカーが並ぶ光景は象徴的だ。

IT大手も格差拡大を気にする。アマゾンは最低賃金を時給15ドルに引き上げた。とはいえ物流拠点で働く社員の年収は3万ドルほど。米インディードによるとデータ分析に携わる社員の年収は約16万ドルに達する。一部の高度人材に需要と報酬が集中しやすい。

衰退する中間層
IT企業の多くは従業員にストックオプション(新株予約権)を付与し、株価の上昇で報いる手段を提供する。自社株買いに資金を投じる必要性に迫られ、働き手への賃金の配分は減る。早大の岩村充名誉教授は「過度な株主優遇は持つものと持たざるものの格差をひろげ、中間層の衰退を招く」と指摘する。

グーグル共同創業者のラリー・ペイジ氏の祖父はGMの工場労働者だった。父は大学教授になり、ペイジ氏は起業で大成功を収めた。中間層の縮小傾向が強まればこうした「アメリカンドリーム」も消えてしまう。

格差の拡大や固定、分配のゆがみを放置すればIT大手も批判は免れない。成長のけん引役が成長の足を引っ張るジレンマからどう脱するか。次世代にひずみを残さない工夫がデジタル経済に問われている。

(西岡貴司、中西豊紀、奥平和行、白石武志、鳳山太成、松本裕子、真鍋和也、長尾里穂、綱嶋亨、高橋元気、大島有美子、白岩ひおな、黄田和宏、市川真樹が担当します)

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中国、フィリピン直接投資12倍 南シナ海実効支配進む

中国、フィリピン直接投資12倍 南シナ海実効支配進む
仲裁判決5年、全面敗訴も経済力で懐柔
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB06CE00W1A700C2000000/

『オランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の南シナ海に関する領有権の主張を否定する判決を下してから12日で5年がたった。中国は判決後も南シナ海の軍事拠点の整備を進め、経済支援をテコに関係国の抵抗を封じようとしている。米国は危機感を強めるが対応の遅れも目立っており、中国の実効支配の既成事実化を食い止められていない。

【関連記事】
・中国、止まらない東南アへの投資攻勢 米に経済力で対抗
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・南シナ海問題、中国をけん制 ASEAN国防相会議

ブリンケン米国務長官は判決から5年を機に出した11日夜の声明で「中国に国際法の義務を順守し、挑発行動を停止するよう求める」と強調した。ただ、中国外務省の趙立堅副報道局長は12日の記者会見で、判決について「違法かつ無効で、1枚の紙くずだ。中国は受け入れない」と従来の見解をくり返した。

中国は判決後も軍事拠点化を着々と進めている。南沙(英語名スプラトリー)諸島の岩礁に7つの人工島を建設。地理的な重要性から周辺のファイアリークロス(中国名・永暑)礁、スビ礁、ミスチーフ礁を「ビッグスリー」と呼び、対空砲などを設置できる砲台やミサイルシェルター、大型港湾、滑走路を整備してきた。

2018年には南沙諸島で対艦巡航ミサイルや地対空ミサイルを配備したと伝えられた。レーダー妨害装置を設置し、哨戒機や早期警戒機をローテーション展開する。西沙(英語名パラセル)諸島のウッディ島では戦略爆撃機H6Kの発着訓練を始めた。

21年3月にはフィリピンが排他的経済水域(EEZ)内と主張する南沙諸島のサンゴ礁で、民兵が乗っているとされる中国船が停泊を始めた。5月末には中国軍機がボルネオ島沖の領空に進出し、マレーシア空軍が戦闘機を緊急発進(スクランブル)する事態も起きた。

行政や民間の関連施設の建設も進んでいる。18年に南沙諸島の3つの人工島で気象観測所の運用を始めた。ウッディ島では映画館や図書館を新設した。当局は島で野菜栽培を振興しており、多くの民間人が生活していると強調する。日本政府関係者は「軍事と民間の施設を混在させ、有事の際に米軍が攻撃しにくくしている」と指摘する。

軍事演習も活発に実施し、5月には初の国産空母「山東」が訓練に参加した。米軍が周辺海域に近づくのを阻む「接近阻止・領域拒否」能力を高めるため、南シナ海に空母キラーと呼ばれる「DF21」や米領グアム島も射程に入れる「DF26」など弾道ミサイルを大量に配備。20年まで2年連続で発射実験をした。

そもそも仲裁判決に拘束力はなく、効力を担保するには米軍の関与が不可欠だった。ただ当時のオバマ政権は「判決は(関係国を)法的に拘束する」(ケリー国務長官)と中国に受け入れを求めつつ、対中関係を重視し中立的な姿勢をみせた。15年に始めた南シナ海での「航行の自由」作戦も中国に対して抑制的に運用した。

トランプ政権下の20年7月にようやく東南アジア各国を積極的に支持する方針に転じ、軍事拠点の建設に関わった中国企業に初めて経済制裁を科した。ただ、米国の安全保障専門家の間で「判決が出たときにこうした対応をしておくべきだった」との見方は多い。

CSISが公表したファイアリークロス礁の衛星写真(2020年3月)=CSISのサイトより
中国と領有権を争う東南アジア各国も中国の経済支援を無視できず強い対応が取れない。フィリピンのロクシン外相は「判決を弱体化したり歴史や記憶から消し去ったりする試みは断固として排除する」と語るが、ドゥテルテ大統領の発言には中国への配慮が目立つ。
中国は経済力を背景に懐柔策を続ける。米CNNによると、ドゥテルテ氏は19年8月に習近平(シー・ジンピン)国家主席と会談した際、習氏から判決を無視するなら中国が南シナ海でのガス田共同開発の権益の6割を譲渡するという提案を受けたと明かした。

フィリピンへの投資はドゥテルテ政権下で急拡大した。16~20年の中国による直接投資額は合計で5億6700万㌦(約624億円)となり、前政権下の10~15年に比べて12倍に増えた。ベトナムも20年に認可された中国からの投資総額は5年前の約2.8倍の20億6900万㌦に達した。中国は新型コロナウイルスの感染拡大で苦境にある東南アジア各国にワクチンを供給し、影響力を拡大させようとしている。

バイデン米政権は南シナ海での「航行の自由」作戦を継続し、同盟国や友好国との関係を立て直して対処する方針だ。とはいえ国務長官や国防長官らがまだ地域を訪れておらず、東南アジアに対する外交は心もとない。米国の関与不足への関係国の不満も根強い。ドゥテルテ氏は5月、周辺海域での中国船停泊になすすべもない現状を受け「(判決は)ただの紙切れだ。捨ててやる」といら立ちをあらわにした。(マニラ=志賀優一、北京=羽田野主、ワシントン=永沢毅)

▼国際仲裁裁判所の南シナ海問題の判決 中国と南シナ海の領有権を争うフィリピンは13年に国連海洋法条約に基づき、仲裁裁判所に提訴した。仲裁裁判所は中国が南シナ海で独自に設定する「九段線」と呼ばれる境界線内の主権や管轄権の法的根拠を否定。中国が主張する歴史的な権利を一方的で国際法違反だと断定し、中国が全面敗訴する内容となった。 』

50点で構わない、今すぐ部長に突撃だ 迷宮脱出への近道

50点で構わない、今すぐ部長に突撃だ 迷宮脱出への近道
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOKC236V70T20C21A6000000/

『ベストセラー「入社1年目の教科書」の著者、岩瀬大輔さんに聞く「部長の倒し方」。2回目のテーマは、部長の信頼を得る仕事の3原則です。
前回、入社1年目の仕事ぶりで社会人のキャリアが決まるというお話をしました。最初の仕事をきっちりやり遂げれば、働く上で重要な「信頼」を手に入れられます。信頼があれば、多くの仕事が割り振られ、成長するチャンスを得られます。

それでは、部長から信頼されるためにはどう働けばいいのでしょうか。まずは、3つの原則を心がけてください。

①頼まれごとは必ずやりきる

②50点で構わない。早く出せ

③つまらない仕事などない

いずれも、入社1年目でしっかり身につけたい基本中の基本です。1つずつ説明します。

まず、「頼まれごとは必ずやりきる」。これが、部長から信頼を勝ち取る近道です。部下を持つと痛感しますが、頼まれごとをやりきれない部下に仕事は任せられません。

部長はささいな指示でも覚えている
「あの仕事どうなった?」と催促されるのもよくありません。また、催促されないから大丈夫と高をくくってはダメです。上司はささいな事柄でも指示した仕事を覚えています。
頼まれたことをやるなんて当たり前だと思われるかもしれませんが、できない人が意外に多い。優秀な人が集まっているはずのコンサルタント業界でも、頼まれたことをやりきれない新人が1~2割いるものです。

2つ目の「50点で構わない。早く出せ」。何日もかけて100点を目指すよりも、1日で50点に仕上げて上司の判断を仰ぐ方がゴールへの近道になります。中間地点で指示を仰げば、仕事の方向性を間違えることもないでしょう。

「嫌われないか」などと気にするな
前回も言いましたが、仕事は総力戦です。わからないこと、できないことは上司の力を借りればいいのです。ましてや、新入社員は何を聞いても良い特権を持っています。そして、的確なアドバイスをするのは上司の仕事です。

「部長に嫌われないか」などと気にする必要はありません。1秒でも早く、正しいアウトプットを出す。これが仕事の目的です。

最後は「つまらない仕事などない」。仕事とは本来、嫌なことや面倒なことの繰り返しです。それでも、すべての仕事は気の持ちようで楽しくできるもの。単調な作業でも、自分なりの工夫で作業効率を高めたり、新しい提案をしたりすればモチベーションが上がります。どこかに楽しい仕事が転がっていないかを探すよりも、目の前の仕事をどうすれば楽しめるかを考えましょう。

岩瀬さんは現在は香港を拠点に活動している

では、どうすれば自分なりの工夫ができるのでしょうか。重要なことは、部長から仕事を頼まれた時に必ず「納期」と「目的」を確認することです。「いつまでに必要ですか?」(納期)の一言で、仕事に優先順位をつけられます。「何のために必要ですか」(目的)の一言で、アウトプットの方向性が見えてきます。

小さな仕事は大きな仕事の一部
いきなりの質問が失礼で気が引ける人がいるかもしれません。その場合は、最初に「わかりました」と引き受ける意志を部長に示しましょう。その上で「部長、2点確認してもよろしいでしょうか」と続けるのです。

具体例を示しましょう。例えば、部長から資料のコピーを頼まれた時。高齢の役員に配るためとわかれば、文字が見えやすいように拡大しても良いでしょう。取引先に渡すためなら、カラーでコピーし、クリアファイルに挟んで手渡せば上司に喜ばれます。漫然とコピーを取るよりも、自分なりの工夫を凝らした方が仕事が楽しいと思いませんか?

上司からの頼まれ仕事は、いつも大きな仕事の一部。大きな仕事を細分化した一部分があなたに割り振られています。頼まれた仕事の背景にある大きな仕事を知り、意識しながら働く心がけが、正しいアウトプットにつながります。

次回は、会議で部長の壁を越えるための「根回し」についてお伝えします。』