五輪、1都3県の無観客決定 福島や宮城などは有観客に

五輪、1都3県の無観客決定 福島や宮城などは有観客に
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『23日に開幕する東京五輪の観客規模を巡り、大会組織委員会や東京都、国際オリンピック委員会(IOC)などは8日夜、5者協議を開催し、都内の全会場を無観客とすることを決めた。組織委はその後、関係自治体との連絡協議会を開催し、神奈川、埼玉、千葉の3県の競技会場も無観客が決定した。

ほかに競技会場がある福島、宮城、静岡の3県は観客を入れ、定員の「50%以内で最大1万人」とする。茨城県は子どもたちに低価格で観戦機会を提供するための「学校連携観戦チケット」のみ有効とする。北海道は対応を検討する。

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大会運営に携わるIOC関係者らは入場を認める。パラリンピックの観客については、五輪閉会後に速やかに判断する。

新型コロナウイルスの感染拡大で1年延期された五輪は、開催都市・東京などで開閉会式や競技が無観客で開催されるという極めて異例の事態となる。政府が8日に東京への緊急事態宣言を再び発令したことで、これまで各会場で定員の「50%以内で最大1万人」としていた観客上限の大幅な見直しを余儀なくされた。

菅義偉首相は8日夜の記者会見で、東京五輪について「人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを東京から発信したい」と強調した。

小池百合子都知事は「感染拡大の防止の観点から無観客とすることとなった。断腸の思いだが、ぜひ家族で、自宅で安全安心に大会を見てほしい」と述べた。

5者協議には組織委の橋本聖子会長のほか、小池氏、丸川珠代五輪相、IOCのバッハ会長、国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長が参加した。橋本氏は5者協議後の記者会見で「観戦を楽しみにしていたチケット購入者には大変残念な知らせで誠に申し訳ない。感染防止を図るにはやむを得ない措置だった」などと述べた。バッハ氏は8日に来日した。

大会の観客については、海外からの受け入れを3月に断念。6月21日の5者協議で東京などの「まん延防止等重点措置」の解除を前提に、五輪の観客上限を最大1万人などといったん決めた。一方で緊急事態宣言の発令や重点措置延長の場合は無観客も含め検討するとしていた。

観客上限を超えた販売済みチケットは再抽選で減らし、6日に結果を公表する予定だった。しかし都内などでは感染が再び拡大し、状況を見極めるため公表を10日に延期、開閉会式や夜間競技は無観客とする案などを検討していた。

首相「改善で宣言前倒し解除」 ワクチン接種7月末に4割

記者会見で東京都への緊急事態宣言再発令などについて説明する菅首相(8日、首相官邸)

菅義偉首相は8日夜、首相官邸で記者会見を開いた。12日から東京都で新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言を発令すると決めた理由を説明した。沖縄県への宣言と埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県で適用する「まん延防止等重点措置」は延長する。いずれも8月22日までになる。

「再度感染拡大、絶対に避ける」
首相は「東京の感染拡大は全国に広がりうる。夏休み、お盆の中で多くの人が地方に移動するのが予想される」と述べた。「ワクチン接種が進み、新型コロナとの闘いにも区切りが見えてきた中で、ここで再度東京を起点に感染拡大を起こすことは絶対に避けなければならない」と強調した。

「先手で予防、状況改善なら前倒し解除」
「先手、先手で予防的措置を講ずることとし、緊急事態宣言を発出する判断をした」と説明。ワクチンの効果や病床逼迫の改善状況により「前倒しで解除することも判断する」と表明した。

「3週間で再び宣言、申し訳ない思い」
「前回の宣言を解除してから3週間で再び宣言にいたり、国民に様々な負担をかけることは大変申し訳ない思いだ」と陳謝。「昨年来、一進一退の感染対策が進み、国民にはそのたびにご迷惑をおかけしてきた」と指摘した。
「未知の敵との闘いは私にとっても心が休まるときはない。しかしワクチンによって変異ウイルスであっても発症や重症化を大きく抑えることができる。治療薬の開発も進んでいる」と話した。

「飲食店の見回り拡大、実効性高める」
酒類提供の規制が感染対策として効果をあげてきたと主張。「各都府県による飲酒店への見回りを拡大し、対策の実効性を高めていく」と明言した。

「簡易審査で協力金、事前支払いも可能に」
一方で飲食店にとって「酒の提供(禁止)が死活問題になっていると聞く」と言明。飲食店への協力金を簡易な審査で支給できるようにし、事前支払いも可能にすると強調した。
「飲食店への協力金の支給の遅れにより営業時間の短縮などに協力しない店舗が増えているとの指摘もある」と話した。

経済対策「臨機応変に対応」
首相は政府が夏に骨格をまとめる経済対策について「経済の状況を見ながら臨機応変に対応する。経済対策は常に頭の中に入れながら取り組んでいる」と語った。ワクチン接種が進めば経済に好影響が出るとの認識を示し「新型コロナが日常の生活に影響することに十分に目配りしながら強い経済をつくれる国にしたい」と訴えた。

「ワクチン、7月末に1度でも接種した人4割に」
ワクチン接種は「今のペースで進めば今月末に希望する高齢者への2回接種は完了し、1度でも接種した人は全国民の4割に達する見通しだ」と説いた。
首相は「1週間の接種回数は900万回を超えている。本格的な接種が始まってから2カ月余りで累計の回数は5400万回を超え、すでに高齢者の72%、全国民の27%が1回の接種を終えている」と明言した。

「9月までに全国民接種分を確保」
ファイザーとモデルナのワクチンを合計して「9月までに全ての国民に接種が可能となる2億2000万回分が確保されている」と言及した。
「全国の自治体で6月までに9千万回のファイザー社のワクチンが人口に応じて配分されている。うち4千万回分が在庫になっていると見込まれる」と明かした。7~9月の配分量と合わせ「1日120万回程度で接種を続けていくことが可能だ」と唱えた。

「自治体への配分、早期に提示」
自治体へのファイザー製ワクチンの配分が一部で不足しているとの指摘には「8月から(接種が)早く進んだところに傾斜配分し、混乱が無いようにしたい」と述べた。「接種の進む市町村に多く配分できるよう見直し、配分量をできるだけ早期に示すことで接種が円滑に進むように努めていく」と説明した。

企業・大学の接種「先週までに200万回」
モデルナ社のワクチンがこれまで2400万回分確保され、9月までに3600万回分が追加されると言及した。企業や大学での接種は先週までに200万回の接種を実施したと強調した。

「五輪通じ世界の心ひとつに」
「世界で40億人がテレビを通じて視聴するといわれる五輪・パラリンピックには世界中の心をひとつにする力がある」と力説した。「困難に直面する今だからこそ世界がひとつになり、人類の努力と英知で難局を乗り越えていけると東京から発信したい」と語った。

「多くの制約がありこれまでの大会と異なるが、だからこそ安心・安全な大会を成功させたい。未来を生きる子どもたちに夢と希望を与える歴史に残る大会にしたい」と話した。

五輪観客上限「5者協議で方向性」
東京五輪を巡る東京都以外の地域の観客数について、都や大会組織委員会、国際オリンピック委員会(IOC)などの5者協議で方向性が出るとの見方を示した。緊急事態宣言下やまん延防止等重点措置でもスポーツ観戦などの観客には上限を定めるルールを決めており「そういうルールのなかで決めていく」と指摘した。

衆院選前の内閣改造「全体考えて」
首相は衆院選前に内閣改造に踏み切る考えがあるかどうか問われ「党内に色々な声があることは承知をしている。コロナ対策を最優先に取り組んでいきたい」と答えた。9月末の自身の自民党総裁任期、秋までにある衆院選が迫るなかで「政策として様々なことを巡らせながら、全体を考えながら取り組んでいきたい」と表明した。

韓国大統領来日なら「外交上丁寧に対応」
日韓関係について「非常に厳しい状況だ」と語った。その上で文在寅(ムン・ジェイン)大統領が来日する場合は「外交上丁寧に対応するのは当然だ」と強調した。

尾身氏「7~8月はコロナ対策の山場」
政府分科会の尾身茂会長は「7、8月の1、2カ月は1年半以上のコロナ対策で最も重要な山場のひとつだ」と指摘した。ワクチンは高齢者中心に効果が出ているとの認識を示した上で、比較的若い年齢層の重症化が増えていると明らかにした。』