キヤノン、工場従業員にDX教育 成長職種へ配置転換

キヤノン、工場従業員にDX教育 成長職種へ配置転換
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC079NS0X00C21A6000000/

『事業構造改革に向けて社員にデジタル関連などの再教育をする企業が増えてきた。キヤノンは工場従業員を含む1500人にクラウドや人工知能(AI)の研修を実施する。医療関連への配置転換などを通じ成長につなげる。三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)はグループ従業員5万人にデジタル教育を進める。デジタル技術の進化に対応した「リスキリング(学び直し)」に世界各国が取り組むなか、政策の後押しも課題になる。』

『キヤノンは就業時間を使い、半年程度の専門教育をする。プログラム言語やセキュリティーなど、デジタル知識のレベルごとに14系統の190講座を用意した。必要に応じ統計や解析、代数などの基礎知識も学べるようにして、幅広い人材の職種転換を後押しする。

講師は社内の技術者のほか、クラウド技術などは米マイクロソフトなど外部からも招く。
まず1500人を対象とする。2021年春の新卒採用数の4.6倍に相当する。』

『取り組みは既に一部で始めている。プリンター開発をしていた20代の社員は3月から新たに医療機器部門で働き始めた。コンピューター断層撮影装置(CT)など医療機器の検査精度を高めるため、機械学習と画像認識を組み合わせる商品開発をしており、先輩社員についてソフトウエア開発を担当している。』

『今後は生産職向けの研修も増やす。医療機器にクラウド技術を組み合わせ、遠隔地の専門医が脳卒中患者のCT画像を解析するといった「スマート医療」を進める人材などの育成を目指す。

主力だった事務機やデジタルカメラは市場が縮小している。医療機器などメディカル事業の売上高を2025年12月期に6000億円と5年で約4割増やすなど、事業の入れ替えを急ぎたい考えだ。御手洗冨士夫会長兼社長最高経営責任者(CEO)は「教育を通じて縮小部門から戦略部門に人材を振り向け、競争力を高めたい」と話す。』

『SMFGは三井住友銀行などの従業員5万人を対象に「デジタル変革プログラム」を始めた。eラーニングなどを通じ、デジタルツールの活用法や取引先のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する手法などを身につけてもらう。

銀行は店舗を拠点にした対面サービスの見直しを迫られている。送金や決済はスマートフォンでも可能になり、企業向け融資ではクラウドファンディングなどの新手法も広がっているためだ。既存のノウハウだけでは競争力を維持できない。』

『電機や金融に限らず、AIやデジタル領域に代表される成長分野は慢性的な人材不足に陥っている。欧米では転職やキャリアアップのための再教育を政府が積極的に後押しする。

日本政府も支援を拡充しているが、まだ遅れており、企業は主体的に内部での再教育に踏み切る。ただ、中堅・中小企業にできることは限られる。講師の育成なども含め、学び直しを支援する公的な仕組みの拡充が必要だ。』