[FT]中国ネット右翼炎上、矛先は中国人に

[FT]中国ネット右翼炎上、矛先は中国人に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM044AK0U1A700C2000000/

 ※「ネット空間」が殺伐として来ているのは、日本国だけの話しじゃ無いようだ…。

 ※ シロクマ先生が言っていた、「機械のようで、意思疎通が困難…。」と言うのは、こういうことをも、指しているのかもしれんな…。

 ※ もはや、「人と人のコミュニケーション空間」じゃ、無くなったんだろう…。

『去年の夏、友人のバオさんは、中国最大のSNS(交流サイト)「微博(ウェイボ)」が自分のようなフェミニストやリベラル派にとっては「使いものにならなくなっている」と言っていた。意見の相違が簡単に個人的な対立になってしまうほど、参加者たちが感情的になっているという話だった。彼女の友人に批判が殺到したとき、「私たちはみんな草の葉(一般ユーザー)だ。互いに攻撃し合うことに何の意味があるのか」とバオさんが投稿すると、次の批判の矛先はバオさん自身に向けられた。』

『私たちは当時、それは新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)のせいだと考えていた。世界中で人々が自宅にこもり、退屈し、不安にさいなまれていた。そんな人たちにとっては、気晴らしのひとつだった。だがそれから1年たった今、中国のネットではナショナリズム感情が一段と高まっている。以前は、中国政府を批判する米国の政治家などよそ者がたたかれたが、今ではブロガーの攻撃の矛先は内輪の中国人に向けられている。

ウェイボのインフルエンサーらは最近、中国共産党系の英字紙グローバル・タイムズの複数の記者を「裏切り者」と攻撃した。(同紙の記者の一部が、政府がウェイボのアカウントでインドの新型コロナの死者数を嘲笑したことを批判した)。人気の科学ブログ「Science Squirrels Club(科学リスの会)」は6月、投稿の一節で、旧日本軍による中国人捕虜への実験に関する通説に疑問を投じた後、ウェイボアカウントの閉鎖を余儀なくされた。

様変わりする環境
何が変わったのだろうか。ユーザーか、ウェイボか、中国政府か。答えは、「全てに変化があった」だ。

中国政府が厳しいロックダウン(都市封鎖)などの措置で新型コロナをほぼ抑え込んで以来、国民の間ではナショナリズム感情が高まっている。米国やインド、オーストラリアなどとの関係が緊迫するなかで、敵になりやすい相手も増えている。

SNSが必ずしも現実の世界を反映していないのは、中国に限ったことではない。米ツイッターでの文化戦争(保守とリベラルの対立)を通じてしか米国を知らない中国人は、米国は崩壊寸前だと思うだろう。同様に、外国から中国のSNSを見ていると中国にリベラルな人はもういないと思うかもしれない。だが、実際はそうではない。バオさんのような人たちがSNSを使わなくなっただけだ。彼女がSNSをやめる前、自分をひどく侮辱してきた人物と交わしたやり取りは興味深い。バオさんが「私たちの考え方は異なるが、私はあなたを攻撃しない」と書き込んだのに対して、「それがリベラルとナショナリストの違いだ」と返してきたのだ。

ウェイボにも変化があった。バオさんがウェイボを始めた10年前と比べると、インフルエンサーのエコシステム(生態系)は一変した。当時はネットでの政治談議はまだ比較的自由だった。

習近平(シー・ジンピン)国家主席が2012年に中国共産党の総書記に就任すると、ウェイボでの発言の自由は制限されるようになった。政治的発言ばかりか有名人のゴシップも取り締まられるようになったのだ。インフルエンサーたちは、フォロワーと注目を維持する必要があり、やっかいな政治の話に触れずにホットな話題を提供するという芸当を強いられる。そんな人たちにとって、ナショナリズムはおおむね安全な領域だ。

インフルエンサーは他の国と同様に、商品を宣伝して生活費を稼ぐことが多い。洗濯機を宣伝する投稿のそばで、日本や台湾と領有権を争う尖閣諸島の所有者に関する論議を投稿している人は珍しくない。著名知識人を「日本に媚びを売っている」と非難する一方で、日本製品を推奨するスポンサー付き書き込みを投稿するインフルエンサーもいる。

最後の要素は中国政府の強硬姿勢だ。これがネットの世界にナショナリズムが高まる土壌を提供している。あるSNS関係者は「ナショナリズムとフェミニズムの話題に関しては、私たちは両手を縛られていて(自由に発言できない)」と打ち明ける。

中国のネット規制当局である国家インターネット情報弁公室は愛国的な発言を後押しする姿勢だ。だが、熱心な愛国主義と過激なナショナリズムの境界線は微妙で、管理するのは難しい。ある関係者は「プラットフォーム側がインフルエンサーを静かに誘導することはできない。やり取りが漏れると、大問題になりかねないためだ」と話す。しかも、一旦炎上すると、投稿を削除しても、論争はすぐに再燃する。

バオさんは「草の葉」が攻撃しあえば、得をするのは政府だと考えている。市民の関心が政府への批判からそらされるためだ。それも一理ある。だが、政府と企業が検閲しようとも、中国の新たな「ネット右翼」を押さえ込むのは簡単ではない。彼らが中国政府の思惑通りに動くとは限らないのだから。』