菅官邸の中枢に陣取る財務官僚たち

菅官邸の中枢に陣取る財務官僚たち|森功
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『2020年9月の政権発足時、首相の菅義偉は事務所の若い新田章文を政務担当筆頭秘書官にし、事務の担当も官房長官時代からの持ちあがりばかり。事務秘書官たちは参事官(課長級)で年次が若く、古巣の出身官庁の意に反してまで政策を引っ張っていく力がない。本来が初めから財務省の寺岡光博を政務秘書官に任命すればよかった。だが、そうできない事情があった。寺岡自身、この年の7月に財務省主計局総務課から内閣官房審議官に就任したばかりで、2カ月早々で異動させるのを憚った。それは遠慮というより、自ら指示を出して政策を引っ張れば秘書官たちでも務まるという驕りがあったのだろう。

 すでに7月におこなわれる霞が関の定期人事の時点で、菅はポスト安倍晋三を睨んでいた。そこでまずは、自らに近い官僚たちで官邸を固めようとする。このときの人事では財務省出身の古谷一之に替え、藤井健志を官房副長官補に起用。古谷、藤井はともに財務省の税務畑を歩み、事務次官の目もあったが、国税庁長官となり、第二次安倍政権で官邸入りしたかっこうだ。

 安倍政権時代の財務官僚といえば、政務秘書官の今井尚哉に従って経産省寄りの政策を進めてきた現事務次官の太田充や菅に近いとされた現主計局長の矢野康治が目立った。太田と矢野との確執も垣間見られたが、財務省内では古谷、藤井の存在はやや埋もれた感があった。

 だが、菅が政権をうかがうようになると、菅に近い財務官僚と見られている古谷と藤井が官邸内でも存在感を増していく。(※ 無料は、ここまで)』