中国の高齢化が日本のビジネスチャンスになるとは言い切れない複雑な事情

中国の高齢化が日本のビジネスチャンスになるとは言い切れない複雑な事情
王 青:日中福祉プランニング代表
https://diamond.jp/articles/-/275582?page=3

 ※ 高齢化=介護の問題…、だ…。

 ※ これが、「老いていくアジア」全ての国に共通の問題となる…。逃れられる国は、無い…。

 ※ 日本国は、「高齢化のトップランナー」だから、その課題に「最も早く直面した」…。

 ※ 他国は、初めは「高みの見物」だったろうが、既に、「尻に火が付いた」状態になっている…。

 ※ 誰も、助けてはくれない…。全て、自力で解決していかなければならない…。

『5月11日に、10年ごとに実施されている中国の第7回国勢調査の結果が、中国国家統計局により発表された。それによると、60歳以上の高齢者が2.6億人となり、総人口の18.7%を占めている。65歳以上の人口は10年前と比べて6割増えて1.9億人となり、全体に占める割合は13.5%だった。一方、2020年の新生児数は1200万人となり、3年連続で減少。出生率は1952年の統計開始以来、最低の1.3である。少子高齢化が加速していることが明らかとなった。』

『しかし、このような「熱狂ぶり」とは裏腹に、厳しい数値もある。昨秋、中国国内の行政部門の一つである民政部は、介護施設の現状を公表した。これによると、現在、中国国内の介護施設の総数は約4.2万カ所、429万床。これに対して、214.6万人が入居しているという。全国の平均入居率は50%。

 また、北京大学人口研究所の調査によると、北京にある介護施設のうち約半数は、入居率が50%に届いておらず、入居率100%の施設はわずか49カ所だという。そのほか、黒字の施設の割合が4%、深刻な赤字の施設は30.7%と、3割超に上ることも分かった。』

『この事例は、まさに今の中国の介護を象徴したものといえる。具体的には、以下の三つの深刻な問題が映し出されている。

 まずは、介護にかかる「金」の問題だ。

 中国は、日本の介護保険のような社会保障制度が完備されていないため、施設への入居費など、介護にかかる費用は全額自己負担となっている。最も人口が多い中間層を例にとっても、高齢者本人の年金だけでは足りず、家族の援助が不可欠だ。そのため、できるかぎり入居費を抑えたいので、多床室を選ぶ。結果、最低限の衣食住の環境で、自由も少なく、いわば「生きているだけ」の生活を強いられていることが少なくないのだ。一方で、施設の運営側は赤字にならないように、備品購入費や人件費など、最大限コストを抑えようとする。』

『第二の問題は、介護施設の需要と供給のアンバランスである。

 空室率が高い施設の多くは、富裕層向けもしくは不動産投機が目的であるものだ。高級路線の施設は、五つ星ホテルと間違えられるような、豪華な玄関があり、部屋にも高級家具が置かれている。ただ、そこで悠々自適に老後を送ることができるのは、一握りの富裕層と一部の「上級国民」だけだ。

 一方で、料金がリーズナブルで、立地などの条件も良く、中間層が利用しやすい施設は数が不足している。ゆえに、全体で見ると約5割もの高い空室率であるにもかかわらず、多くの高齢者が入りたい施設はなかなか見つからないという現状がある。』

『最後に、「介護人材の著しい不足」だ。現在、中国の介護人材は約1000万人不足しているといわれている。中国の介護施設では、1人のスタッフが8~12人の入居者を見て、1日12時間働き、休日は週1日というところも多い。

 現場で働くスタッフの特徴は、これまで「三高三低」と称される。つまり、「リスクが高い、労働強度が高い、離職率が高い。一方で、社会的地位が低い、給料が低い、学歴が低い」。ここ数年、スタッフの年齢が年々“高く”なったことで、今は「三低四高」といわれている。

 最新の調査では、50歳以上のスタッフが全体の70%を占めていて、学歴が高卒以上の人は12%である。現場では、人材のほとんどが「4050」といわれる40代~50代の地方からの出稼ぎの女性たちだ。近年、政府も民間も若者に介護業に就職してもらうため、さまざま奨励金制度や無料の研修などの施策を講じているが、介護の仕事は若者に不人気であることに変わりはない。』