中国、止まらない東南アへの投資攻勢

中国、止まらない東南アへの投資攻勢 米に経済力で対抗
マレーシアで太陽光発電に1兆円 ラオスで5千億円道路事業
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM259CL0V20C21A6000000/

『【ジャカルタ=地曳航也、北京=羽田野主】中国が東南アジア諸国連合(ASEAN)各国への大規模投資などの経済協力を相次ぎ打ち出している。米国主導の国際的な対中包囲網を経済力をてこに切り崩す狙いだ。南シナ海の領有権問題で対立する域内の国々を懐柔する思惑も透ける。

マレーシア貿易産業省は6月24日、中国の太陽光発電製品大手のライセンエネルギーが422億リンギ(約1兆1130億円)を投じ、マレーシアに高効率の太陽光発電モジュールの製造拠点を建設すると発表した。

中国は同23日、中国の広域経済圏構想「一帯一路」で連携するアジアなどの各国の関係閣僚とオンラインで会合を開き、新型コロナウイルスのワクチンや脱炭素などでの協力を打ち出していた。同社の投資も中国当局の意向を受けた決定と受け止められている。

中国は6月7日にはASEAN各国外相を重慶に招待し、約1年4カ月ぶりとなる対面による外相会議を実現していた。その際、王毅(ワン・イー)国務委員兼外相はインドネシアのルフット海事・投資担当調整相と会談し、同国へのインフラ支援やインドネシア製品の中国への輸入を増やすことで一致した。

カンボジアとは同22日、担当閣僚間で同国の交通網発展に向けた協力を加速することで合意した。中国がインフラ開発の技術を供与するため、大学教授ら専門家を派遣する。ラオスでは中国企業が主導する高速道路の建設事業が進んでいる。中国国営の新華社によるとラオス政府は同7日、約580キロメートルに及ぶ建設ルートと建設費(約5700億円)について承認した。

南シナ海問題などで中国との対立が目立つベトナムも投資対象から外していない。ベトナムの地元メディアによると、1~4月の中国のベトナムへの新規投資は計61件で、総額約1200億円に達した。

こうした動きは、米国が同盟国と構築しようとしている対中包囲網への対抗策と位置づけられる。日米欧などの主要7カ国は6月中旬の首脳会議(G7サミット)で一帯一路に対抗するため途上国のインフラ構築を支援する枠組みの創設で合意した。中国が一帯一路のオンライン会合を開いたのはその直後だ。米国がASEANに近づこうとする動きがあれば、間髪入れずに支援の手を差しのべ、切り崩そうとしている。

中国の影響力拡大に危機感を強める米国も同25日、マラッカ海峡のリアウ諸島でインドネシアと共同の海上安保の訓練センターの起工式を開き、ソン・キム駐インドネシア大使が式典に出席した。ただ、中国に比べると米国の取り組みは出遅れ感が否めない。

中国は南シナ海問題を巡ってASEANの国々と摩擦を抱える。5月末、中国軍の輸送機がマレーシア領空に接近し、マレーシア空軍が緊急発進(スクランブル)した。南沙(英語名スプラトリー)諸島周辺には中国漁船が停泊を続け、フィリピン政府が立ち退きを求めている。この時期の大規模な経済協力には、関係各国を懐柔し、南シナ海の自国の勢力拡大を既成事実化する戦略も透ける。』