「やや強い雨」蓄積、熱海土石流の原因か

「やや強い雨」蓄積、熱海土石流の原因か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE0414M0U1A700C2000000/

『静岡県熱海市では土石流発生までの3日間、「やや強い雨」が断続的に降り続いた。長引く降雨が蓄積され、地盤の緩みにつながった可能性が高いが、自治体や住民の危機意識が高まることはなかった。全国には土砂災害警戒区域が約66万カ所ある。5日にかけて日本海側中心に大雨となる可能性があり、強い警戒が求められる。』

『山口大の山本晴彦教授(環境防災学)は熱海に降った雨について「短時間に激しい雨が降るのではなく、ダラダラと長く降った点が特徴。今回のような降り方は避難の判断が難しい」と語る。市は土石流発生前に避難指示を出しておらず、斉藤栄市長は3日「(発生前の)2日の段階で降水量がピークを越えると見込んでいた」と釈明した。

梅雨前線の影響で熱海市では1~3日にかけて雨脚が強まった。だが2日までの降水量は1時間あたり10ミリ以上20ミリ未満にとどまり、気象庁が警戒を呼びかける際に使う雨の表現で最も低い「やや強い雨」に分類される状況が続いた。

土石流が起きた3日午前10時には1時間あたり27ミリに上昇したが、より強い「激しい雨」(30ミリ以上50ミリ未満)や最も警戒度が高い「猛烈な雨」(80ミリ以上)には達しなかった。

近年大規模災害をもたらす集中豪雨は、同じ地域に大雨が降り続く「線状降水帯」が原因となることが多い。2020年7月豪雨では熊本県球磨村で1時間あたり30~70ミリ超の雨が観測され「滝のような雨」が降った。だが京都大防災研究所の矢守克也教授(防災心理学)は「災害に至る雨の降り方は多様で集中豪雨だけではない」と指摘する。

土石流が起きた地域は斜面の開発が進み、住宅や別荘が立ち並ぶ一方で、周辺の土地は火山灰や溶岩で構成され、水を含みやすく崩れやすいとされてきた。土砂災害警戒区域に指定されており、市はハザードマップなどで危険を周知していた。

気象庁によると、5日以降も日本列島に前線が停滞し、日本海側を中心に大雨となる可能性がある。矢守教授は、災害リスクのある地域では「降り始めからの雨量を確認するなどの備えが大切だ」と話している。』