中国・習氏「外部の圧迫許さぬ」

中国・習氏「外部の圧迫許さぬ」 強権堅持、人民軍増強
共産党100年
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM014CU0R00C21A7000000/

『【北京=羽田野主】中国共産党は1日、創立100年を迎えた。党を率いる習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は北京市内での演説で、対外的な強権路線を堅持し、人民解放軍を増強する方針も打ち出した。縮まらない貧富の格差に不安をのぞかせ、国内が不安定になる芽を摘む考えも示した。

「中国をいじめ、圧迫する外部勢力を許さない。14億人の中国人民の血と肉で築いた鋼鉄の長城にぶつかり、血を流す」「先生ヅラした説教は決して受け入れない」。演説で会場が沸いたのは、習氏が外国を批判したときだ。対中包囲網に動く日米欧が念頭にあるとみられる。

中国は他国を挑発する「戦狼(せんろう)外交」で日米欧との溝を深めるが、習氏は何度も外国をやり玉に挙げた。愛知県立大学の鈴木隆准教授は「新型コロナウイルスを抑えた国内の高評価と、海外の中国批判のギャップに習指導部もいらだっている」と分析する。
強硬路線を支えるのは軍事力だ。「強国には軍を強くしなければならず、軍が強くなってこそ国は安定する」と訴えた。「強軍」には6回も言及し、胡錦濤(フー・ジンタオ)前総書記による10年前の演説の1回から大幅に増えた。

焦点は緊張が高まる台湾だ。習氏は「台湾の完全統一は党の歴史的任務だ」と主張し、バイデン米政権を念頭に「台湾独立のたくらみを断固粉砕する」と語った。香港の統制強化も「社会安定の大局を守る」と正当化した。

習氏は共産党の統治の「成果」も並べた。生活に少しゆとりのある「小康社会」を実現したと宣言し、経済規模で世界2位になったことも挙げた。一党支配を正当化する狙いとみられ、習氏は「歴史と人民が共産党を選んだ」と語った。

強気が目立つ演説で、習氏が懸念を示したのは国内の格差だ。中国は不動産の高騰で格差が広がる。習氏は「社会の正義や公正さを維持する」「発展が不均衡である問題や人民にとって切実な問題を解決する」と述べた。

農民や労働者を基盤にしていた共産党はいまや「エリート集団」だ。習氏が「党はいかなる利益集団も代表したことはない」と言及したのは、格差への不満の矛先が党に向かう事態を懸念しているとみられる。

共産党は建国100年の49年までに「社会主義現代化強国」を実現する目標を掲げる。経済、軍事、文化などあらゆる面で米国に追いつくことをめざす。演説の最後で「第2の目標に向けてまい進する」と長期政権への意欲をにじませた。

演説の場所は慣例の人民大会堂ではなく、天安門の楼上。建国の父、毛沢東氏が1949年10月1日に建国を宣言した特別な場所だ。習氏が長期政権へ自らの権威づけを狙った、との見方がある。

習氏は来年秋に就任から2期10年を迎える。過去2代の最高指導者は総書記ポストを譲ったが、習氏は3期目を視野に入れる。党最高指導部の人事を決める来年秋の党大会では、習氏が続投するかどうかが最大の焦点となる。』