「革命党」の本質変わらず

「革命党」の本質変わらず 中国共産党史研究の京大・石川教授
https://www.jiji.com/jc/article?k=2021062900764&g=int

『7月に創立100年を迎える中国共産党は、徹底した情報統制など、「革命党」として結成した当時の属性を今も変わらず維持している。14億の人口を抱える経済大国のかじ取りを担う政権党となった今、問われている役割とは何か。党史に詳しい京都大人文科学研究所の石川禎浩教授(中国近現代史)に聞いた。

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 ―中国共産党の本質的属性とは。
 最近露骨になってきた隠蔽(いんぺい)体質、情報統制、独裁志向は随分前からある。結党当初の1920年代は党内民主主義もあったが、情報や討論を一部の人にしか許さない体質は30年代から強まり、毛沢東が最終的に権力を握る40年代に完成し今日に至っている。

 ―毛の存在が大きかったのか。
 それもあるが、当時の党運営のモデルはスターリン型のソ連共産党。ソ連のやる通りにやるのが正しいという固定観念が強かった。

 ―属性の一つに党員を区分・序列化する等級制度がある。
 共産党自体が格差構造だ。まず党員と非党員の間に「革命を指導していく前衛党の私たち」と「導かれ協力していく民衆」という大きな格差がある。党内の格差もあり、昔は幹部の等級で食料が異なったが、最近は得られる情報のレベルに差が生じている。この格差構造が党運営のカギであり、共産党らしさの源泉とも言える。

 ―そうした属性による弊害は。
 当然ある。革命党であれば、情報が漏れれば即座に党の壊滅につながるため、組織防衛の意味で必要だったろう。しかし、公党に変わり政権も握った以上、果たさなければならない責務がある。情報公開はその一つだ。

 ―党はなぜ変わらないのか。
 他に賢い政党や政治勢力はなく自分たちが正しい、優れているというDNAが引き継がれているのだろう。

 ―今後変わる余地は。
 ないとは言えない。新型コロナウイルスが抑制できなくなっていたら共産党の土台を揺るがす事態になったかもしれない。中国の対外的な野心が壁にぶつかったとき、方向転換を迫られる可能性もある。ただ、これは具体的に言えばどこかで戦争になるということで、非常に危険だ。

 ―現代の共産党トップ、中国の指導者に求められることは。
 西洋型の国の運営、政治スタイルとは異なる中国モデルを、東洋文明の可能性を含めて提示したいという意向があるのなら、よく考えてアピールしなければならない。革命家の孫文は戦前の日本に対し「西洋流の覇道文化の番犬になるのか、東洋の王道文化の守り手になるのか、よく考えてほしい」と訴えた。日本は結局、覇道の道を進み戦争をしてしまった。今はその問いが中国自身に向けられているのではないか。

 ◇石川禎浩氏の略歴
 京都大人文科学研究所教授。専門は中国近現代史、中国共産党史。1963年山形県生まれ、京大大学院文学研究科修士課程修了。博士(文学)。2013年から現職。新著に「中国共産党、その百年」(筑摩選書、2021年)など。』