よみがえる「自力更生」 中国孤立の動き、世界の懸念に

よみがえる「自力更生」 中国孤立の動き、世界の懸念に
分岐点の中国 共産党100年㊥
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM25AQK0V20C21A6000000/

『中国が韓国の半導体企業に触手を伸ばしている。3月末、中国系投資ファンドのワイズロードキャピタルは韓国中堅のマグナチップ半導体と年内の買収で合意した。

14億ドル(約1500億円)の買収額は割高とささやかれる。北京の外資系金融機関の幹部は「中国政府系ファンドが後ろ盾になっている。彼らは金に糸目をつけない」と明かす。

米国との対立が激しくなるなか、中国の半導体関連企業は比較的関係が良好な韓国企業に照準を定める。「買収候補リストを作成してほしい」。この金融機関には相談が相次ぐ。』

『中国が海外の半導体企業の買収を急ぐのは、米国の制裁で最先端の半導体技術を導入するのが難しくなっているからだ。

中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は必要な半導体を調達できず、スマートフォンの生産が大きく落ち込んだ。「在庫がないのが当たり前になった」(広東省広州市の販売店)といい、同社の世界出荷台数は1年で首位から6位以下に転落した。』

『「自力更生」は建国の父である毛沢東が掲げた中国共産党のスローガンで、他国の力に頼らず、自らの努力で困難な状況を克服することを意味する。1950年代後半に旧ソ連が中国への技術支援を打ち切った際にさかんに唱えられた。

1978年に鄧小平氏が外国の資本と技術を大胆に導入する改革開放にかじを切ってからは、ほとんど使われてこなかった。習氏が先端技術の自主開発を念頭にこの言葉をよみがえらせたのは、米国がハイテク分野の輸出規制を仕掛けてきた2018年以降だ。』

『それ以前にも手は打っていた。15年に「中国製造2025」を打ち出し、25年に半導体の自給率を70%に引き上げる目標を掲げた。

しかし、半導体の自給率はまだ2割に満たないとされる。米国半導体工業会(SIA)によると、中国の消費量(2019年)は世界全体の24%と米国並みなのに、研究開発と製造過程で中国が生み出す付加価値は世界の9%にとどまる。』

『貿易に端を発した米国と中国の対立軸はいま、「民主主義と専制主義」というイデオロギーへと移った。一党支配にこだわる中国はますます、世界に背を向けるようになった。
ただ、中国は既に「世界の工場」としてグローバルな供給網に組み込まれ、米アップルなどの欧米企業ではむしろ中国依存が進む。中国の孤立化は同国だけでなく、西側諸国にも技術革新を阻むリスクをはらむ。』