海洋覇権目指す中国 「民族的屈辱」が原点

海洋覇権目指す中国 「民族的屈辱」が原点―共産党創立100年
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『【北京時事】中国共産党は7月、1921年の創立から100年を迎える。かつて山中で敵から逃げ回っていた共産党が率いる中国は世界第2位の経済大国となったが、歴史観は「民族の屈辱」に根差している。「屈辱」に復讐(ふくしゅう)するかのように、中国は既存の秩序を揺るがし、海洋覇権を確立する動きを活発化させている。

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 ◇毛沢東の夢

 「中国は外国軍の侵略に何度も見舞われ、海洋権益は深い屈辱を受けた」。49年4月の中国海軍設立を記念する「中国人民解放軍海軍誕生地記念館」(江蘇省泰州市)は、清朝が英国に敗北したアヘン戦争(1840~42年)から展示が始まる。
 共産党最高指導者だった毛沢東は内陸でゲリラ戦を展開した末、1949年10月に中華人民共和国を成立させた。一方で海洋への思い入れも強かった。毛は建国間もない時期に「100年以上にわたり侵略のほとんどは海からだった。必ず強大な海軍をつくらなければいけない」と指示した。

 発足当初の中国海軍は国民党や日本軍から接収した艦艇や装備が目立った。「強大な海軍」には莫大(ばくだい)な資金が必要だが、毛は「大躍進」政策や文化大革命で中国経済を混乱に陥れた。予算が限られる中、毛は核兵器開発を優先。建国後も長期間、沿岸を警備する程度の力しかなかった。

 海軍増強が本格化したのは毛の死後。70年代後半に実権を握ったトウ小平による改革開放政策で経済発展の道が切り開かれてからだ。それでも「屈辱」は続いた。共産党政権は96年、台湾での初の直接総統選を前に周辺海域にミサイルを撃ち込み威嚇した。しかし、米国が2隻の空母を派遣すると自制を余儀なくされた。当時の中国には米軍の空母に対抗する手段はなかった。

 ◇習氏の「新時代」

 2012年に共産党総書記となった習近平氏は「中華民族の偉大な復興」を掲げる。柱の一つが「世界一流の海軍」の実現。習氏はアヘン戦争以来の苦難を克服し、中国人が強くなる「新時代」に入ったと宣言した。

 中国海軍の艦艇数はいまや約360隻と推定され世界一。空母や強襲揚陸艦のように兵力を海外に展開できる大型艦の建造が急ピッチで進む。毛が夢見た「強大な海軍」は約70年でほぼ達成したかに見える。

 一方、実力を蓄えた中国が南シナ海や東シナ海で進める力ずくの現状変更は周辺国に大きな脅威をもたらしている。現在、中国の海外基地はアフリカのジブチだけだが、軍事情報会社ジェーンズによると、中国が軍事拠点化する可能性のある港はアジアやアフリカを中心に18カ所に上る。

 これらの動きは中国では「『民族の屈辱』を晴らす共産党の大きな業績」(党関係者)と見なされている。強硬路線を維持したまま、習氏は来秋の党大会後も政権を担う構えだ。』