米、中国IT利用を許可制に 企業に規制、450万社に影響

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『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権は米国内の民間企業に対し、中国製IT(情報技術)機器やサービスの利用を規制する。5月中旬にも、政府の許可を事前に取るよう求める制度を導入し、政府の判断で利用を禁じる。企業を通じて中国政府に機密情報が漏洩するのを防ぐ。日本企業の米国法人も対象で、企業は難しい対応を迫られる。

米国はこれまでも中国を対象としたハイテク規制を打ち出しているが、新たな規制では3つの点で…

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米国はこれまでも中国を対象としたハイテク規制を打ち出しているが、新たな規制では3つの点でこれまでよりも影響が広がる。

1つ目は規制対象企業の拡大だ。これまで米政府の規制対象は通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)や中興通訊(ZTE)、監視カメラ大手の杭州海康威視数字技術(ハイクビジョン)など5社で、政府調達の禁止対象になっていた。

今回は米商務省が「外国の敵対者」として挙げる中国とロシア、北朝鮮、イラン、ベネズエラ、キューバの6カ国の企業が対象になった。主な標的は中国企業だ。

新規則では具体的な企業名には触れていないが、こうした国々に本拠を置いたり、政府の影響下にあると判断されたりすれば、その企業が提供するIT機器やサービスの利用が規制される。

2つ目に影響が広がるのは、米国内で事業を展開する民間企業だ。トランプ前政権と議会は2020年8月から、連邦政府と取引のある米国企業に中国5社の製品を使うのを禁じた。新たな規制は政府取引の有無にかかわらず、米国内で活動する企業に対して中国製品の使用を制限する。

日本企業の米国法人も規制対象だ。商務省によると、米企業の総数約600万社のうち、外国製のIT機器・サービスを一定の規模で導入している企業は最大450万社に上る。

米国内で事業を行う企業は、使用している機器やサービスの提供元、利用内容などを当局に申請し、許可を得る必要がある。詳しい手続きは明らかではないが、企業には自発的な申請が求められ、規制に抵触しないか当局が調査を実施する方針だ。「過度もしくは許容できないリスク」があると判断されれば利用が禁止される。

企業には反論したりリスクの軽減策を示したりする権利がある。しかし、政府が決めた利用禁止の最終決定やリスク軽減策に従わない企業は民事・刑事罰の対象となる。

商務省は3月中旬と4月13日、規制の執行に向けた事前調査のため、複数の中国企業に米国での事業情報を提供するよう命じた。

3つ目に影響が大きいのが、対象となる品目数の拡大だ。今回は通信網や重要なインフラに使う機器、ソフトウエアなどにも対象を広げた。例示されたものとしては個人情報を扱うサービスのほか、監視カメラやセンサー、ドローン(無人機)といった監視システムも含めた。人工知能(AI)や量子コンピューターなどの新興技術も対象だ。

例えば、社内ネットワークに中国製ルーターなどの通信機器を設けたり、工場内に中国製の監視カメラを取り付けたりすれば、「待った」がかかる事態があり得る。顧客情報を扱う目的で中国企業のクラウドサービスを使うのを止めるよう求められる可能性もある。

新たな規制に産業界では懸念が広がる。商務省は企業が規則や自社の導入機器などを把握したり、対応計画をつくったりするのに、米国全体で年100億ドル(約1兆900億円)規模のコストがかかると試算している。米経済団体は「法令順守コストがかさみ事業活動が不透明になる」として、規制延期を働きかけていた。新規制でどこまで情報流出が防げるかも明確ではない。

日系企業の米国法人の担当者は「規則がどう運用されるか注視する」と話す。現地の弁護士事務所やコンサルティング会社などに相談する企業も多い。専門家は「各企業は中国製品・ソフトの利用実態など、中国リスクの度合いを算定すべきだ」(米法律事務所)と指摘する。

新規制は前政権が19年に実施を表明し、詳細を詰めてきた。禁止の根拠とするのが「国際緊急経済権限法(IEEPA)」だ。国防や経済への特殊な脅威が生じた際に、民間の経済取引を制限できる。

バイデン政権は中国を最大の競争相手と位置づける。レモンド商務長官はファーウェイなどを「安全保障上の脅威」と呼び、中国政府のスパイ活動への警戒を強める。米中のハイテク対立が日本を含むグローバル企業を揺さぶる構図が続く。

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