戦争に大義名分など必要はない。 : 机上空間

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『国家間の戦争は、人命を大量に失わせる大事なので、起きるには、それなりの大義をかけた葛藤が存在すると思われガチです。しかし、実際の戦争を調べてみると、そうでも無い事が普通にあります。正確に言うと、国民は大義を信じ込まされているのですが、それはメディアによって誘導されたものである事が普通にあるという事です。

新聞王で知られるウィリアム・ランドルフ・ハーストは、映画「市民ケーン」の主人公のモデルとされた事でも有名な、アメリカのメディア王です。初期に買収した、ニューヨーク・モーニング・ジャーナル紙の発行部数を巡って、ピューリッツァー賞に名を戴いて有名なジョーゼフ・ピューリッツァーが率いるニューヨーク・ワールド紙と競争を繰り広げました。

この時、ハーストやピューリッツァーが用いた手法は、ルール無用の大衆扇動で部数を伸ばすというものです。当時、キューバはスペインの植民地であり、アメリカの喉元に突き刺さったトゲとして、当時から目障りな存在でした。米国民の潜在意識として、ここを自国に取り込みたいという願望がありました。

さらには、アジア方面の植民地獲得競争で遅れていたアメリカは、足がかりとしての本拠地を求めていました。スペインは、フィリピンを植民地として確保していたので、これを手に入れる事は国策として、重要でした。

こうした事情を背景にして、二人のメディア界の盟主は、捏造を含む扇情的な記事で、スペインによる架空のキューバ人虐待事件を掲載し、国民の反スペイン感情を煽りました。つまり、この後で、アメリカとスペインの間に起きる米西戦争は、2大新聞社の部数争いが原因で引き起こされたのです。この捏造記事には、スペイン人警官によるアメリカ人女性を裸にして辱めながら取り調べをした等という、どこぞの週刊誌のような捏造も含まれていました。

そして、アメリカ政府も、反スペイン感情が市民の間で広がるほうが都合が良かったので、特に記事の信憑性を問いただすような事はせず、放置しておきました。結果として起きた米西戦争は、アメリカの勝利に終わり、アメリカの後ろ盾でキューバが独立。フィリピンはアメリカの植民地となり、プエルトリコも自治領としてアメリカ傘下になりました。グァム島も、この時に取得し、太平洋進出の重要な拠点になります。

米西戦争は、1898年に起きた戦争なので、「メディア・リテラシーの無い昔だから、起きたのだろう」と考えガチです。しかし、近年でも同じような事は起きています。言うまでもない、イラク戦争です。イラクの独裁者であるフセイン統治の是非は置いておいて、イラク戦争の原因と言われた、大量破壊兵器も、911テロへの関与も、現在では、まったく根拠の無い濡れ衣であった事が正式に判明しています。

こちらに関わってきたのが、やはり現代のメディア王であるルパード・マードックです。オーストラリア人のマードックは、地元オーストラリアの全国紙「ジ・オーストラリアン」を買収したのを皮切りに、イギリスの大衆紙「ザ・サン」、高級紙「タイムズ」を買収し、サッチャー政権時代にイギリスの世論を操作できる立場を手に入れます。フォークランド紛争の時には、サッチャー養護で論陣を張り、国威発揚を煽って、戦争突入を後押ししました。

その後を継いだブレア首相の誕生にも一枚噛んでいて、保守党のサッチャーの後継として、労働党から立候補していたブレア氏は、マードックと密談して支持をとりつけ(後に判明した事実)、彼が所有するメディアを総動員してブレア支持の論陣を張って、ブレア首相誕生に大きく尽力しました。この事があり、後にイラク戦争が起きた時、イギリスの積極的な参戦を招いたと言われています。

イギリスの次にアメリカにターゲットを定めたマードックは、FaceBookの前にSNSで最大手だったMySpaceを買収。ウォール・ストリート・ジャーナルを発行する、ダウ・ジョーンズを傘下に収め、映画会社のFoxを買収。ブッシュ政権の時に、強烈に支持を表明したFox Newsを設立します。43代大統領であった父親のジョージ・ブッシュがイラクのクェート侵攻に際して、イラクと戦争になりましたが、停戦して独裁者のフセインは生き延びました。この決着をつけたかったブッシュJrは、戦争の根拠を捏造して、イギリスと共同でイラクとの戦争に入ります。

この時に、ブッシュ大統領支持で、大論陣を張ったのが、Fox Newsで、911に対する正義の戦争と位置付けて、愛国心を煽って、好戦的な世論を形成しました。この戦争報道で、Fox Newsは、視聴率を上げて、とうとうCNNを抜いて、当時アメリカ最大視聴率を誇るメディアになりました。

こうしたブッシュ政権との癒着で、Fox Newsからは、報道官やメディア関係の補佐官として、多くの職員が政権の要職に参加しています。メディアと政治の蜜月関係が招いたのが、ブッシュJr政権下のイラク戦争です。

つまり、戦争が起きると、基本的にメディアは儲かるのです。なので、戦争をしたがっている下地があれば、メディア王と呼ばれる人間は、敏感に反応して、時の政権に癒着します。その根拠になる事は、捏造でも構わないし、いったん戦争が起きてしまえば、広く国民全員が連座で責任を負う事になります。つまり、結果に対して、強く責任を追求される事もありません。戦争が経済活動と言われるのは、こういう面があるからです。

マードックが率いるニューズ・コーポレションは、世界規模のメディアとして、アフリカ以外では、その傘下のメディアに触れずに生活を送ることが不可能と言われる程に広がりました。実は、日本のテレビ朝日も、ソフトバンクと組んで買収しようとして失敗しています。つまり、日本のメディアも影響下に置こうとしていたわけです。

まさに世界を収めた感のあるマードック帝国ですが、2011年にイギリスの子会社である「ニュース・オブ・ザ・ワールド」が引き起こした盗聴事件がきっかけで、大きく躓きます。イギリス王室にまで及んだ盗聴活動で、マードックは公聴会へ呼び出され、初めて公の場で責任を追求されました。

民族紛争や宗教、経済利権、領土を原因にした理由のある戦争もありますが、一部の人間の都合で、原因を捏造されて引き起こされる戦争も、時代に関係無く存在します。その時に、必ず噛んでくるのが、メディアです。』