中国、台湾周辺で軍事行動強める 米欧日の連携に反発

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『【北京=羽田野主、台北=中村裕】台湾問題に関して中国の習近平(シー・ジンピン)指導部が米欧日などに反発姿勢を強めている。各国が連携して台湾への関与をみせる動きにいらだち、台湾周辺で軍事行動をくり返すなど、台湾や南シナ海を含む「核心的利益」で譲らぬ姿勢を誇示している。7月の共産党創立100年を控え、応酬がエスカレートするとの見方もある。

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「米国は台湾問題が高度に敏感であることを十分に認識し、一線を越える火遊びのような間違った危険なやり方をやめるべきだ」。中国外務省の趙立堅副報道局長は8日の記者会見でこう発言した。

趙副報道局長が批判したのは、積極化する米国の軍事的な関与だ。米海軍第7艦隊…

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米海軍第7艦隊(神奈川県横須賀市)は7日、ミサイル駆逐艦「ジョン・S・マケイン」が、中国大陸と台湾を隔てる台湾海峡を同日通過したと発表した。声明で「米軍は国際法が許す限り、どこでも飛行、航行、展開を続ける」と主張した。

もっとも、当の中国による軍事的な威嚇も際立っている。中国軍は4月5日ごろ、空母「遼寧」を中心とする軍事訓練を台湾周辺で実施した。7日には戦闘機など15機が台湾の防空識別圏(ADIZ)に侵入し、一部は台湾の東側海域まで飛行した。中国共産党系メディアの環球時報は7日付の紙面で「台湾を完全に包囲できる能力を示した」との見方を伝えた。

足元で中国の動きが活発になっているのは、4月中旬に予定する日米首脳会談への警戒がある。日米両政府が、共同声明で台湾海峡の安定が重要との認識を盛り込む方向で調整が進んでいるためだ。中国メディアの関係者も「王毅(ワン・イー)国務委員兼外相が5日に茂木敏充外相に電話をかけたのは、菅義偉首相の訪米前に台湾問題でクギを刺す狙いがあった」と話す。

台湾以外でも、南シナ海には4日に米海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」が入り、同時期にはインド東方のベンガル湾で日米豪印と仏の海軍による海上共同訓練「ラ・ペルーズ」が始まった。広域で進む中国の海洋進出へのけん制に対し、中国としては矛先を向けやすい対台湾への威嚇で反発を示している可能性がある。

台湾国防部のシンクタンクである国防安全研究院の蘇紫雲所長は「7月の共産党創立100年を前にし、まだ序の口レベルの行動だ」と指摘する。「欧米などによってさらにインド太平洋地域に変化が起きれば、中国は台湾への威嚇をさらにヒートアップさせる」とみる。

習指導部にとっては、2022年の北京冬季五輪と共産党大会を前に国際社会の猛反発を招く軍事行動はとりにくい。当面は、台湾の領空近くでの軍事訓練など、いわゆる「グレーゾーン作戦」による圧力で、台湾の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権を抑え込む戦術とみられる。マクマスター元米大統領補佐官は3月、「22年以降が台湾にとって最大の危機を迎える時期になる」と警鐘を鳴らしている。

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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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ひとこと解説

3月に米インド太平洋軍の司令官が「6年以内に中国が台湾を侵攻する可能性がある」と話し、先の日米2プラス2の共同声明にも「台湾海峡の平和と安定の重要性」が盛りこまれました。中国の強硬姿勢の裏側でバイデン米政権の危機感と積極姿勢がめだちます。

日米安保条約の目的にある「極東の平和維持」には台湾も含まれるのが日本政府見解で、万一の有事には在日米軍が使われるでしょう。そのとき米国は日本に何を求めるのか。

脅威が生じたときは随時日本と協議することになっていますが、台湾周辺での緊張拡大は日本にとって人ごとではなく、いざとなったときに慌てないための準備が必要になります。
2021年4月9日 8:00