マクロン氏、仏エリート養成校ENAを廃止 22年にも

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『【パリ=白石透冴】フランスのマクロン大統領は8日、仏エリート養成校の最高峰である国立行政学院(ENA)を廃止すると発表した。一握りの秀才が国を動かしているとの批判をかわすため、2019年に方針を発表していた。代わりにより開かれた養成校「公共サービス機関」をつくるという。仏メディアによると、廃止は22年。

マクロン氏は省庁幹部らとのビデオ会議で「官僚を教育する方法を大胆に変えなければいけない。より幅広い社会層が入学できるような選抜にしたい」などと語った。ENAは年間約80人を受け入れているが、裕福な層からの入学者ばかりだとの指摘があった。新設の養成校は官僚を目指す学生全員が教育を受けられる機関にすると説明した。カステックス首相が数日中に詳細を示すという。

ストラスブールの国立行政学院(ENA)=ロイター

現在はENA卒業後20代半ばで官庁の重要な管理職に就く場合があるが、今後は最初の数年現場を経験させるとも語った。

1945年設立のENAはマクロン氏を含む直近の大統領の半数、首相の4割が学んでおり、エリート主導の仏政財界を象徴している。18年に始まった反政権デモ「黄色いベスト」が発生した一因になっており、デモを鎮めようとマクロン氏が廃止を発表した経緯がある。

22年に次回大統領選があるが、新型コロナウイルス対応への批判などからマクロン氏の支持率は低迷している。ENA廃止は一般国民に近い大統領とアピールするためとの見方がある。

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察 これまでフランスのエリート批判は何度も繰り返されてきて、そのたびにENAの廃止といった話題が出てきていた。今回も同じパターンを繰り返しているように思う。

フランスの政治経済行政の仕組みから考えると、エリート主義的な選抜抜きにシステムは回らないようにできているため、社会システム全体を改革しなければおそらく意味はない。

仮にENAだけなくしたとしてもポリテクニーク(理工科大学校)やノルマル(高等師範学校)などのグランゼコールは残るわけで、エリート主義がなくなるわけでもない。

2021年4月9日 9:44いいね
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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 研究理事
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ひとこと解説 22年次期大統領選挙に関する世論調査では、前回17年に決選投票を争ったルペン氏の支持率がマクロン大統領を上回っています。

ルペン氏は右派、左派両方の有権者の支持を得るため、自らを「グローバリスト」と戦う「愛国主義者」と位置づけ、グローバル化から国境と市民を守るとして、社会的保守主義層の幅広い支持を得ようとしています。

前回大統領選挙でのマクロン対ルペンの対決は「エリート対非エリート」、「都市対地方」という様相も呈しました。前回は主力候補のスキャンダルもあり地滑り的勝利を収めたマクロン大統領の支持層は都市、高学歴層が中心。22年の勝利には、地方、非エリート層に支持を広げることが欠かせません。

2021年4月9日 8:12 (2021年4月9日 8:50更新)
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