トルコ・ロシア、中央アジアで勢力争い 地域機構構想も

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『【モスクワ=石川陽平】トルコとロシアが旧ソ連・中央アジアを巡って勢力争いを繰り広げている。トルコは民族的に近い中央アジア諸国との協力の枠組みを、正式な地域機構に格上げすると表明。これに対して「旧宗主国」のロシアは旧ソ連諸国の外相会議で協調を演出し、影響力の保持に懸命だ。中央アジアは天然資源も豊富で、中国や米国も関心を寄せる。

「世界が直面している諸問題は、チュルク評議会のような協力組織をより重要な…

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「世界が直面している諸問題は、チュルク評議会のような協力組織をより重要なものに変えている」。トルコのエルドアン大統領は3月31日、オンラインで開いたチュルク評議会(トルコのほか、アゼルバイジャンと中央アジアのカザフスタン、ウズベキスタン、キルギスの旧ソ連4カ国)の首脳会議でこう強調した。

チュルク評議会は「チュルク語系諸国協力会議」とも呼ばれ、民族・文化・歴史的に近いチュルク語系5カ国が作る緩やかな協力の枠組みだ。2009年の発足で、トルコが主導する。エルドアン氏は今回の首脳会議で、評議会を国際的機構に衣替えする方針を示し、今夏に開く次回サミットで決定すると表明した。

トルコは20年秋にアゼルバイジャン軍を支援してアルメニアに対する勝利を導いたナゴルノカラバフ紛争で求心力を高めた。エルドアン氏はこの機を逃さず、旧ソ連・中央アジアのチュルク語系諸国に外交攻勢をかけた。ソ連崩壊で独立30周年の中央アジア諸国も、国家基盤の強化のためトルコの経済・政治的支援を期待する。

トルコはカスピ海地域に豊富に埋蔵される石油や天然ガスにも注目する。アゼルバイジャンとトルクメニスタンはソ連崩壊後、カスピ海海底にある石油・ガス田の帰属を巡って争ってきたが、21年1月に共同開発することで歴史的な合意に達した。トルコは直ちに共同開発への参加と自国のパイプラインを通じた輸出を提案し、エネルギー輸送のハブになる考えだ。

トルコは中央アジアのトルクメニスタンにもチュルク評議会への加盟も強く働きかけている。「永世中立国」の同国をまずは「オブザーバー」などの資格で取り込む狙いだ。地域で影響力拡大を目指すトルコの動きは「新オスマン主義」とも呼ばれ、「経済低迷への国内の不満をそらす」(独立国家共同体研究所のアンドレイ・グロージン氏)との思惑もあるとみられる。

一方、ロシアは「裏庭」とみなす中央アジアで北大西洋条約機構(NATO)加盟国でもあるトルコが影響力を拡大することに神経をとがらしている。

2日にはモスクワでロシア主導で旧ソ連9カ国がつくる地域協力機構、独立国家共同体(CIS)の外相会議を開いた。ウクライナやモルドバなど旧ソ連圏でロシア離れが広がる中、強権的な国が多い中央アジアで「勢力圏」の後退を食い止める考えだ。

トルコが触手を伸ばすトルクメニスタンのつなぎ留めにもロシアは動く。3月31日にモスクワで2国間経済協力委員会を開き、21~23年の経済協力プログラムを協議した。

トルクメニスタンは天然ガスを豊富に埋蔵し、パイプラインで中国に輸出している。国家収入の大半をガスの対中輸出でまかない、中国依存が強い。ロシアのラブロフ外相は、バイデン米政権が中央アジア5カ国との協力の枠組み「C5+1」を活性化させようとしているとも指摘している。