不二越、ベアリングをタイに集約 電動化が迫る生産再編

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『自動車用ベアリング(軸受け)大手の不二越は汎用品の生産を国内などからタイに集約する。自動車の電動化でエンジン需要が減り、エンジンに使う軸受け市場も縮む。拠点集約でコストを下げ、工作機械など車以外の顧客を開拓する。デンソーなどもエンジン関連事業の見直しに動いており、電動化にあわせた部品会社の生産再編が広がっている。

形や大きさなどの仕様が決まっている汎用品の生産をタイに移す。約100億円を投じ、タイ中部のラヨーン…

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約100億円を投じ、タイ中部のラヨーン県にある既存工場の近くに新工場を設ける。2022年2月に稼働させ、日本の富山事業所(富山市)や台湾の拠点から生産を移す。全社のベアリングの生産量のうちタイが占める比率を22年末までに4割と倍増させる。日本などの残る拠点は顧客の仕様にあわせた特注品をおもに手がける。

生産移管に伴い富山事業所の人員は契約社員の満期などにあわせ、200人ほど減る見通し。同社の有価証券報告書によると20年11月末の同事業所の従業員は臨時雇用者を含め約2200人だった。今後は耐久性や強度が高い特殊品の生産に集中する。

不二越が生産体制を再編する背景には、自動車業界の急速な電動化がある。英調査会社のLMCオートモーティブは、世界の自動車販売台数に占めるエンジン車の割合が20年の89%から30年には54%に低下すると予想する。

軸受けは機械の部品を滑らかに回転させる役割を持ち、自動車では主にエンジンや変速機の周辺で使う。エンジン車1台あたり100~150個程度使われており、電気自動車(EV)に切り替わると約3割減るとされている。

不二越の20年11月期の連結売上高2010億円のうち、軸受けは32%を占める。軸受けの6割は自動車用で、残りは工作機械など産業機械向けだ。生産集約などにより製造原価を2割以上引き下げ、産業機械向けの顧客を開拓。産業機械向けの比率を6割に引き上げる。中国製よりもなお割高とみられるが、信頼性などを踏まえれば優位性はあるとみる。

軸受け国内最大手の日本精工もEVなどで使う小型モーターや風力発電機向けを成長分野と位置づける。風力発電向けの大型製品は中国工場に今後3年間に最大50億円を投じて増産し、現地の発電設備会社に供給する。

電動化の影響は軸受けにとどまらない。動力源が複雑な部品機構を含む「エンジン+変速機」から「電池+モーター」に代わると、自動車の部品点数は約3万点から約2万点に減るとの調査もある。エンジンがなくなれば、燃料噴射装置やピストンの動きを支えるピストンリング、排ガス部品などが不要となる。

これに合わせ軸受け以外の部品会社も事業の見直しに動いている。デンソーは自動車向けの燃料ポンプ事業をグループ会社の愛三工業に移管する。電動化対応にあわせ、既存事業での重複を解消して生産や開発を効率化する。

独大手のコンチネンタルもガソリンやディーゼルなど旧来型のエンジン開発を30年までにやめる計画を表明済み。19年には電動化をにらみ、エンジンやモーターなどの動力機構を手がけるパワートレイン部門を分社化した。

もっとも電動化はモーターや電池などで新たな需要も生む。PwCの19年の調査では、40年の自動車部品市場のうちエンジンとトランスミッションが占める比率は19%と17年と比べ5ポイント下がる。一方、モーターや電池などの電動化部品は30年の9%から40年には13%へと高まる見通し。

日本電産はEV用駆動モーターを将来の主力事業と位置づけ、中国だけでなく欧州のセルビアでも約2000億円を投じる新工場の建設を計画する。EV用電池の主力であるリチウムイオン電池では、三菱ケミカルは主要4部材のひとつである電解液の生産能力を約5割引き上げる。旭化成も4部材のうち、セパレーターの増産に約300億円を投じる。

各国政府は脱ガソリン車政策を相次ぎ打ち出している。英国は20年秋に、ガソリン車とディーゼル車の新車販売を30年までに禁止すると発表。これまでからさらに5年早めた。中国も35年をめどに新車販売のすべてをEVやハイブリッド車(HV)などの環境対応車とする方針だ。東京都も30年までに都内で販売する新車すべてをEVやHVなどの電動車に切り替えることを目指す。

(柘植康文)