福島沖の洋上風力発電 撤去、消える復興の夢

福島沖の洋上風力発電 撤去、消える復興の夢
海と水辺の散歩
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 ※ 全く世の中、あちら立てれば、こちら立たずだ…。

 ※ せっかく、漁業権と折り合いつけて、「浮体式洋上発電事業」を試みても、「600億円の国費」投じて、データ取っただけか…。

 ※ そういうムダが、次の展開につながればいいんだが…。

『東日本大震災から10年、この間おこなわれた「復興事業」のひとつに、福島沖洋上風力発電実証事業がある。目的は、世界初の複数基による浮体式洋上風力発電システムの安全性・信頼性・経済性を明らかにすること、福島沖での実証と事業化により風力発電関連産業の集積を期待することなど。

楢葉町沖合20キロメートルには3基の浮体式洋上風力発電施設と1基の変電機が設置された。ところが昨年12月、政府は不採算を理由に、設…

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ところが昨年12月、政府は不採算を理由に、設置した施設を21年度に全て撤去することを決めた。

洋上風力には、陸上と比べて風況が安定的、土地利用規制などの制約を受けずに複数の発電施設の設置も可能、騒音や鳥類の衝突などの環境問題の緩和などの利点がある。

福島沖に置かれたような、沖合で、チェーンなどで海底に連結する浮体式には、塩害対策や遠隔監視といった海上ゆえに必要な技術の開発、海底に基礎やケーブルなどを設置するためにかかる費用の削減、海面利用者である漁業者との調整など、実用化にはさまざま課題はあるものの、脱炭素社会を図る手段として、世界的に期待が高まっている。

震災での原発事故を経て、福島県は「原子力に依存しない、安全・安心で持続的な発展可能な社会づくり」にかじを切った。2011年夏、県は風力発電事業要望書を政府に提出し、同年の第3次補正予算で「福島復興・浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業委託費」(経済産業省)に125億円が措置された。

県は、自然エネルギー産業による地域の雇用創出とエネルギー生産に、製造業がさかんで小名浜港を擁するいわき市は「ものづくりの街」の復活に、大いに期待を寄せた。漁場で実施される事業に反対していた漁業者たちも、漁業との共存共栄をはかるという関係者の説得に、これを受け入れた。

では、肝心の技術開発はどうなったのか。事業は大手の重電・海洋・造船・素材メーカー、商社など10社、1大学からなるコンソーシアム(共同事業体)が請け負った。コンソーシアムのパンフレットには「東日本大震災の被害からの復興に向けて,再生可能エネルギーを中心とした新たな産業の集積・雇用の創出を行い、福島が風車産業の一大集積地となることを目指しています」とある。

だが、早くから機器の不具合や稼働率の低さが報じられていた。特に世界最大級の風車(7メガワット機)については、経産省が委託した専門家委員会が18年に「商用運転の実現は困難であり、早急に発電を停止し、撤去の準備を進めるべきだ」と提言した。残った2基も、実用化に向けて引き継ごうとする事業者はいなかった。

投じられた国費は約600億円。データは取れたというものの、県や自治体が切望した自然エネルギーも地元の雇用も産業も生み出すことなく、洋上風力は福島の海から姿を消そうとしている。洋上風力による復興という福島の大いなる夢を深い失望に変えて、事業にかかわった方々は今、どのような思いをお持ちなのだろうか。復興の文脈における事業の検証を望みたい。

(東京海洋大学教授 川辺みどり)