[FT]中国の干渉で高まる「台湾有事」のリスク

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『中国は過去1週間、台湾周辺で有事に向けた態勢を強めた。足元では中国の台湾侵攻が現実になるかもしれないとの懸念が高まっており、これを確実にあおる動きだ。

3月29日には台湾と日本の防空識別圏(ADIZ)でそれぞれ、侵入が確認された。台湾と日本が同時にADIZへの侵入を同時に発表したのは、今回が初めてだ。

台湾は中国軍の10機がADIZに侵入したと発表した。複数の戦闘機と対潜哨戒機1機を含む。日本は台…

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日本は台湾のすぐ東側にあたるADIZの一部に対潜哨戒機1機が入ったと報告した。

その前の3月26日、爆撃機や戦闘機を含む中国軍の20機が台湾のADIZに入った。これは台湾にとって過去最大規模の侵入だった。

米国と一部の同盟国が巻き込まれる
こうした一連の侵入事案は、中国が自国の領土だと主張する台湾を巡り、有事となるリスクが高まるなか、米国が対応を始めたタイミングで起きた。米高官らは、中国が台湾を支配下に置こうとしているのではないかと危惧する。そうなれば、ほぼ確実に米国と一部の同盟国が巻き込まれる。

29日の侵入の前には、太平洋の島国パラオの大統領とともに駐パラオ米大使が台湾に到着していた。パラオは、中国ではなく台湾と外交関係を持つ15カ国のうちの一つだ。米国は長く、台湾への大使派遣を自制してきたが、今回の駐パラオ米大使の台湾訪問は珍しく大胆な動きだった。

26日の(中国軍機の台湾ADIZへの侵入という)作戦は、米国と台湾が沿岸警備協力での合意を発表した後に実施された。

一部の専門家は中国軍の行動を漸進的な態勢強化とみなしたが、(大方は)今回の作戦に新たな行動パターンがあったとの見方で一致している。

台湾海峡とバシー海峡が交差する地点に中国軍
中国人民解放軍(中国軍)は2020年夏以降、台湾のADIZ南西部にあたる台湾海峡とバシー海峡(の延長線)が交差する地点へ、継続して部隊を派遣してきた。ここは中国軍が西太平洋にある公の海域や空域で活動するために欠かせない重要な回廊だ。

台湾を巡り紛争が勃発すれば、このあたりが潜水艦を使った戦闘で重要な地域になる。毎日のように起きる侵入の多くに対潜哨戒機が参加しているのも納得できる。(この付近で)侵入(した中国軍機)はADIZに入った後、すぐに引き返す直線的な短い飛行パターンが普通だったが、対潜哨戒機はこの1週間、台湾の最南端を越えて西太平洋まで飛び、そこから帰投していた。

「最近の一連の侵入は、軍事作戦というよりは、政治的なメッセージの発信が目的だった」と、台湾の李喜明・元参謀総長は指摘する。「台湾周辺の飛行は、彼ら(中国)にとってそれほど重要でない。私が現役(の軍人)だったころは、(中国軍は)H6爆撃機を旋回飛行させていた」と証言する。

李氏は「今回は準備の時間が足りなかったのだと思う。米国への『決意』を示すため西太平洋まで飛んだが、完全に一周しなかったのはそのためだ」とも推測した。

事態は深刻に
しかし、一部のアナリストは直近の動きを事態の深刻化だとみなしている。

「(中国軍の)Y8早期警戒機とY9情報収集機はかつて、このような飛行をしたことがなかった」。台湾国防部系のシンクタンク、国防安全研究院のアナリスト、蘇紫雲氏は、これらの対潜哨戒機の動きを分析した。「中国軍が継続的な作戦の範囲を台湾の南西部から南東部へ広げるにつれ、こうした軍用機をもっと目にするはずだ」

日本のADIZへの(中国軍機の)侵入も過去のパターンと異なっていた。日本政府の発表によると、哨戒機と偵察機が1機ずつ、台湾の東海岸沖を北向きに飛び、その後、方向を変えて宮古海峡上空を通り、ADIZから離れた。

沖縄と台湾の間の宮古諸島では近年、中国の空軍機が頻繁に確認されてきた。宮古海峡は(台湾南方の)バシー海峡と同様、中国軍が太平洋の公海へ至る途上にある空と海の主要回廊の一つだからだ。過去1年間で日本が報告した中国軍機の5回の侵入のうち4回がこの地域で起きた。

中国軍機は以前、宮古列島の南東へ飛び、そこから引き返すだけの比較的短い飛行任務を負うだけだった。だが、29日の中国軍機は台湾の東海岸の近くまで、過去に例がないほど接近した。東海岸の花蓮市の山腹にはミサイル攻撃や空爆から軍用機を守る最大級の強化シェルターが設けられている。

李氏は「台湾のADIZの南西部における継続的な作戦で、人民解放軍はすでに現状変更を果たし、『これは中国の裏庭だ』と主張した。中国軍はこの地域を、年間の演習計画に含めた」と解説する。

台湾の軍事戦略に通じた人々は、仮に人民解放軍が継続的な軍事プレゼンスを台湾の東の空域まで広げたら、もっと明確に台湾の安全保障が損なわれると考えている。

By Kathrin Hille

(2021年4月1日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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