[FT]インド、先進国の脱炭素目標を痛烈に批判

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『インドは気候変動対策について話し合う国際会議の場で、先進国は温暖化ガスの排出を実質マイナスにする「ネットネガティブ」を目指すべきだと発言した。欧州連合(EU)や中国など、温暖化ガスを大量に排出する国・地域が掲げる削減目標も批判し、11月の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を控えて各国間の脱炭素をめぐる交渉が激しくなっている様子をうかがわせた。

先進国の目標は「絵空事」
インドの…

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インドのシン電力相兼新・再生可能エネルギー相は世界の主要排出国が気候変動対策について話し合うオンライン会議に出席し、2050~60年の温暖化ガス排出削減目標は「絵空事」にすぎないと突き上げた。インドのような途上国には、排出量を実質ゼロにする削減目標を強制すべきではないとも述べた。

3月にニューデリーで行われた気候変動対策を訴えるデモでメッセージを掲げる参加者=ロイター

この会議は国際エネルギー機関(IEA)とCOP26が主催した。米国のジョン・ケリー大統領特使(気候変動問題担当)や中国国家エネルギー局の章建華局長、欧州委員会のフランス・ティメルマンス上級副委員長(気候変動担当)が出席するなか、シン氏は演説で主要国の脱炭素目標を厳しく非難した。

「2060年は遠い先だ。温暖化ガスの排出が現在のペースで続けば、60年になるころには地球は滅びているだろう」とシン氏は発言。そのうえで「これから5年間、あなた方はどんな行動をとるのか……いつになったら自国の排出量を世界平均あるいはそれ以下に削減するのか」と詰め寄った。

外交圧力にさらされるインド

総排出量の削減目標を設定していないインドは、11月に英グラスゴーで開催されるCOP26を控えて外交圧力にさらされている。

インドが代わりに掲げている目標は、国内総生産(GDP)当たりの排出量削減だ。30年までにGDP比の排出量を05年の水準から33%減らすとしているが、この目標を達成しても必ずしも総量が減るわけではない。

6月に英コーンウォールで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)では気候変動対策が主な議題となる見通しで、インドのモディ首相も出席する。

ネットネガティブとは、大気中に排出する温暖化ガスを削減し、吸収・回収分と相殺して排出量を実質マイナスにすることを指す。現時点でネットネガティブを実現している国は、森林に覆われ水力発電を幅広く利用しているブータンだけだ。

ティメルマンス氏はシン氏の発言に対し、電力が必要な途上国はすぐにでも再生可能エネルギーに移行できると反論した。

「国民の健康と経済状況を目標水準に引き上げるために、何もカーボンフットプリント(温暖化ガス排出量)を大幅に増やす必要などない。もっといい方法が他にある」とティメルマンス氏はIEAとCOP26のオンライン会議で述べた。

4月には米バイデン大統領が主催する気候変動サミットが開催される予定で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領も招待されている。サミットを1カ月後に控え、ケリー氏は警鐘を鳴らした。

「母なる地球が悲鳴」と米大統領特使

「(脱炭素は)イデオロギーではない。政治的な目標でもない。1カ国だけ、2、3カ国だけが力を入れているプロジェクトでもない。科学者たちが何年も求め続けてきた現実であり、母なる地球も悲鳴を上げている。その叫びは来る日も来る日も繰り返し我々に脱炭素を迫っている」。ケリー氏はオンライン会議で述べた。

米中欧は今世紀半ばまでに温暖化ガス排出量を実質ゼロ近辺に削減することが重要だという点で大枠合意しているが、インドは今も距離を置く。

ニューデリーを拠点とするコンサルティング会社クライメート・トレンズのディレクター、アーティ・コスラ氏は「インドは『様子見』の状態だ。新たに対策を打ち出す前に、世界の主要排出国の動向を見極めたいと考えている」と指摘した。

インドの温暖化ガス総排出量は現時点では米国の半分以下にとどまるが、年々高まるエネルギー需要を背景に、今後は世界で排出量の増加を助長する主因になるとみられる。

シン氏はこう訴えた。「先進国が一堂に会して話し合うべき重要なテーマは、温暖化ガス排出実質ゼロを目指すカーボンニュートラルではなく、排出量を超える温暖化ガスを大気中から回収・吸収することだ。ネットネガティブこそ協議すべきである」

By Leslie Hook

(2021年3月31日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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