50年排出ゼロ宣言、自治体急増 総人口1億人超え

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『温暖化ガスの排出を2050年までに実質ゼロとする目標を宣言した自治体が増えている。19年9月には4自治体だけだったが3月上旬には300を超え、総人口は1億人を上回った。長野県や横浜市など積極的に取り組む地域もある。ただ自治体ごとに取り組みには濃淡があり、今後は具体性が問われる。

菅義偉首相は20年10月26日に政府として「50年ゼロ」を宣言したが、一足早く地方で進んでいる。19年9月時点で宣言した…

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19年9月時点で宣言したのは東京都、横浜市など4自治体だけだったが、首相の宣言時には166自治体に増えていた。

「ゼロカーボン宣言をした自治体の人口カバー率は日本が世界最大ではないか」。21年2月、小泉進次郎環境相は米バイデン政権で気候変動対策を担うジョン・ケリー大統領特使とのオンライン会談で、旗振り役として取り組んだ成果を強調した。

先行するのは長野県だ。20年4月に「気候危機突破方針」を発表し、再生可能エネルギーの生産量を3倍以上にする工程表を作った。全ての建物に50年までに太陽光パネルを設置することを例として挙げる。河川や農業用水などを使う小水力発電も導入できる場所に全て設置するとした。

21年度予算で10億円規模の「ゼロカーボン基金」を新設した。太陽光や小水力、バイオマス発電の立ち上げ資金の貸し付けをする。ゼロカーボンに役立つ技術開発をする企業への補助金にもあてる。県立大学の電力を100%再生エネに切り替えた。県によると国公立大学では全国初となる。

京都市は3月、国内の自治体として初めて、英国やカナダ政府が主導する「脱石炭連盟」に加入した。石炭火力の廃止やクリーンなエネルギーへの転換を求める組織で約35カ国、約35自治体などが加盟している。

横浜市は青森県や岩手県など東北の13市町村と再生可能エネルギーを融通する連携を進めている。東北地方で生み出した電気を横浜市内に供給する予定だ。電気代の一部を東北地方の地域活性化に使う。

エネルギー消費量が大きい大都市は、域内の省エネや再生エネ導入だけで50年ゼロを達成することが難しい。温暖化ガスの排出量を上回る削減効果を実現する「カーボンマイナス」を達成した自治体との協力が重要だ。横浜市らの連携は先行例と注目されている。

東京都や横浜市など大都市の自治体は宣言によって再生エネを調達しやすいことをアピールし、企業誘致など投資を呼び込む狙いだ。過疎の進む自治体は、経済の域内循環や雇用創出、災害に強い街づくりにつなげる。企業からは工場やオフィスに再生エネを求める声が大きくなっている。

政府は自治体の取り組みを後押しする。地球温暖化対策推進法改正案(温対法)では、自治体に再生エネ導入の目標設定を義務づける。20年末から始めた国・地方脱炭素実現会議で6月にも、地域の脱炭素の工程表を作るなど具体的な取り組みを急ぐ。

現状では、大多数の自治体は宣言しただけで具体策はこれからだ。早稲田大学の大塚直教授は「宣言によって自治体はスタートラインに立った。温対法に基づいて再生エネの導入計画を作り実行するといった具体的な取り組みが必要だ」と話す。

世界でも、自治体が気候変動対策で主要な役割をしている。米カリフォルニア州は独自にガソリン車を35年までに禁止する。同州バークリーでは新築住宅や商業施設で天然ガスを禁止するなど独自の取り組みを進めている。日本も自治体や企業の本気度が問われる。(気候変動エディター 塙和也、岩井淳哉)