中国特許構想へ募る疑念

中国特許構想へ募る疑念
FTグローバル・チャイナ・エディター ジェームズ・キング
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ188JC0Y1A310C2000000/

『中国は革新的な技術や製品を生み出すために特許を確保するという野心を持っている。世界をリードする目標を掲げる一方、西側諸国のアナリストたちはネットワーク化された世界の中で、中国のテクノロジーに信頼が置けるか疑問を抱く。

中国国家知識産権局の葛樹氏はこのほど、人口1万人当たりの「価値が高く革新的な」特許件数を2025年に12件に引き上げる目標を明らかにした。15年は3.9件、20年は6.3件だった。…

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15年は3.9件、20年は6.3件だった。

新華社通信によると、葛氏は「我が国のイノベーションを生み出す能力が大幅に向上し、米国や日本との差が縮まることを意味する」と話した。世界知的所有権機関(WIPO)への国際特許出願件数は、20年に中国企業が首位となった。

特許件数よりも印象的だったのは、出願件数が前年に比べ16.1%伸びたことだ。主要国の中で最も高い成長率だった。1999年以降、中国企業がWIPOに登録した特許出願件数は200倍以上に増加している。

同様の傾向は欧州でも明らかだ。欧州特許庁(EPO)によると、中国企業が取得した特許は2020年に10%増加した。

中国はかつて「四大発明」と呼ばれた火薬、製紙、印刷、羅針盤を世に送り出した。長い時を経て、世界のイノベーションで再び主導権を握ろうとしている。

一方で、データプライバシーやサイバーセキュリティーに対する疑念が深まり、中国の革新的な技術が西側諸国で採用される妨げとなっている。近年、中国が国際機関から取得した特許の大半は、ユーザーのデータを収集するネットワーク技術に関するもので、中国の将来性にダメージを与える可能性がある。

豪戦略政策研究所(ASPI)のダニエル・ケーブ氏は「データのプライバシー保護に信頼があるテクノロジーや提供企業とそうでない企業との間で、世界が二分される可能性がある」と話す。

この点で中国は特に不利だ。中国の国内法では国の要求があれば企業にデータ引き渡しを義務付ける。例えば「国家情報法」では「いかなる組織または市民は法律に基づき国の情報活動を支援、援助、協力しなければならない」と定めている。

中国は個人情報保護法の制定を計画するが、まだはっきりしていない。アナリストたちは「中国政府の安全保障機関が個人情報にアクセスしたければ、法案可決後も問題なくアクセスできるだろう」と述べている。

こうした姿勢はアジアの国や企業にとって特に大きな課題だ。アジアの大手ハイテク企業の大半は中国に進出し、急成長する中国市場で製品やサービスを販売している。

知的財産や資本市場、販売網などで中国が他国とのつながりを切り離すことは不可能かもしれない。この10年間は、厄介な分離もあるが、互いに疑問を抱きながらも協力できる部分は協力するなどの繰り返しになる可能性が高い。

ジェームズ・キング氏
James Kynge 中国を中心にアジア情勢を25年以上にわたり取材するFTのグローバル・チャイナ・エディター。2016年に英財団が選ぶ金融分野のジャーナリスト・オブ・ザ・イヤーに。06年出版の「China Shakes the World」は19カ国語に翻訳された。香港駐在。

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