インド中間層、新型コロナで4割減 首相支持率に陰り

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『【ニューデリー=キラン・シャルマ、ムンバイ=花田亮輔】新型コロナウイルスの感染拡大がインド市民の雇用や収入を直撃している。米調査会社ピュー・リサーチ・センターの推計では、中間層は2020年に3200万人減り、貧困層は2倍に増えた。高い支持率を維持してきたモディ首相の人気にも陰りが見える。外資が有望視していたインドの個人消費にも打撃となる。

ニューデリーに住むディーパック・クマールさん(29)は20…

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ニューデリーに住むディーパック・クマールさん(29)は20年、職を失い、今は歩道でフライドポテトを売り、1日200~250ルピー(約300~380円)を稼ぐ。以前はホテル専属の電気技師として月1万5000ルピーの給料を得て、パーティー向け食事手配の副業でも月8000~1万ルピー稼いでいた。だが「ホテルは閉鎖され、パーティーも開かれなくなった」。

美容室で働いていた妻も仕事を失い、約30万ルピーあった貯金は底をついた。

クマールさんのように生活苦に陥る人々が急増するきっかけとなったのは、20年3月に実施した全土規模の厳戒なロックダウン(都市封鎖)だ。公共交通機関が止まり、企業は事業を中断した。国内総生産(GDP)は20年4~6月期に前年同期比で約24%減り、過去最悪の落ち込みとなった。直近の同年10~12月期は前年同期比でプラス成長を回復したが、0・4%増にとどまり、かつての高成長は跡形もない。

インド準備銀行(中央銀行)は7日に金融政策決定会合を開く。景気刺激のためには利下げが求められるが、物価上昇を警戒して5会合連続で政策金利を年4%で据え置くとみる専門家は多い。準備銀は消費者物価指数(CPI)上昇率の中期目標を「2~6%」と定めるが、2月の速報値は5.03%で、1月の4.06%から上昇傾向だ。

ピュー・リサーチ・センターによると、1日の収入が2ドル以下の貧困層は20年だけで7500万人増え、世界全体の貧困層の増加数の6割近くを占めた。貧困層は11年から19年にかけて3億4000万人から7800万人に減った。20年には5900万人に減少するはずだったが、新型コロナで逆に1億3400万人へ増えた。

消費の中心となる中間層(1日の収入が10・01~20ドル)は11~19年に2900万人から8700万人に増えた。しかし、20年にはその4割にあたる3200万人が中間層から脱落した。

インドでは10億人以上が低所得層(同2.01~10ドル)にとどまっているという。

ほぼ同じ人口を抱える中国では新型コロナを早期に抑え込んだ。ピュー・リサーチ・センターは、20年に中国で減った中所得層は約1000万人にとどまった。

インディア・レーティングス・アンド・リサーチのエコノミスト、スニル・クマール・シンハ氏は「新型コロナの打撃が最も大きな業種は、インド経済の56~57%を占めるサービス業だ」と指摘する。製造業の規模が大きい中国では多くの人が仕事を続けることができ、新型コロナの打撃が限定的だったと説明する。

インドで生活苦に陥る庶民が増え、モディ氏の支持率にも響き始めた。現地メディアの1月の世論調査によると、回答者の74%が首相の業績を「良い」または「優れている」と評価した。これは20年8月時点の78%からわずかに低下した。