[FT]中国が途上国向け融資に課す「秘密条項」

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『世界が途上国の債務救済に向けて動くなか、中国は低所得国に融資する際、他の債権国に隠れてより有利な条項を設定していることが米大学の研究機関の調査で明らかになった。世界的な動きの足を引っ張りかねないと懸念されている。

3月31日に公表されたリポートによると、中国が途上国と結んだ契約条項は著しく厳格で、中国への優先返済を求める一方で、他の債権国との債務再編を禁じている。

この調査は米ウィリアム・アンド・…

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この調査は米ウィリアム・アンド・メアリー大学の研究機関AidDataのアナリストらが米シンクタンクのグローバル開発センター(CGD)、ドイツのシンクタンク、キール世界経済研究所、米ピーターソン国際経済研究所とともに執筆した。

調査対象となったのは中国輸出入銀行、中国国家開発銀行などが24の途上国と結んだ100件の融資契約。近年デフォルト(債務不履行)状態に陥ったアルゼンチン、エクアドル、ベネズエラのほか、サハラ以南のアフリカ諸国が含まれている。

広範な守秘義務盛り込む
100件のうち、2014年以降に締結された38件の融資についてはいずれも守秘義務が広範に及んでおり、他の債権国が債務国の財務実態を把握しづらくなっている。このために「債権国、債務国の国民はどちらも自国の政府に対して、実態が不明な隠れ融資の責任を負わせられない」状況になっていると調査執筆者は警鐘を鳴らしている。

債務国の国内・対外政策に影響を及ぼしている契約もいくつかある。例えば、他の債権国との契約が不履行となった場合、「中華人民共和国の金融機関」にも不利益が及んだとみなして即時全額返済を求められるクロスデフォルト条項、債務国が中国との外交関係を解消した場合に即時返済を義務付ける条項がそうした契約に盛り込まれている。

この調査は国際通貨基金(IMF)や世界銀行などの主要国際機関が途上国債務の危機的状況を警告する重大な局面で発表された。

中国は最近の途上国の債務再編問題で相応の役割を果たしていないとして批判を浴びてきた。20年11月にデフォルトに陥ったザンビアは利払い削減を求めていたが、一部の債権者がその分を中国への債務返済に回すのではないかとの懸念し、ザンビアの要請に応じなかった。

最貧国ばかりが犠牲に
 リポートの筆頭執筆者アンナ・ゲルパーン氏は「債権者が互いに主導権を握ろうと画策するなか、財政難で身動きの取れない最貧国ばかりが犠牲になっている」と指摘した。同氏は米ジョージタウン大学法学部教授で、ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローも務めている。

 調査対象となった100件の融資契約は00年から20年にかけて締結され、総額は366億ドル(約4兆500億円)に上る。そのうち30件では債務国に債務返済の担保として特別銀行口座の保有を義務付けており、通常の場合「貸し手が認める」銀行口座が必要になる。

 「そうした規定はノンリコース(非遡及)型のプロジェクトファイナンスでは一般的かもしれないが、国に対する開発融資で全額請求権が認められる場合は考えられない。釈然としない規定だ」とゲルパーン氏は述べた。

 調査対象となった4分の3近くの契約には、リポートで「パリクラブ対象外」と呼ばれる条項が盛り込まれていた。これは、先進国で構成するパリクラブ(主要債権国会議)のメンバーが債務削減に応じた場合も、その対象にならないことを債務国に明確に認めさせる条項だ。

G20との合意履行が焦点に
 中国はパリクラブには加盟していないが、昨年、20カ国・地域(G20)首脳会議が途上国の債務削減に向けて提唱した2つの枠組みづくりで合意した。この枠組みはパリクラブ、IMF、世界銀行と連携して進め、途上国の債務削減条件はすべての債権国で平等に扱うなどパリクラブの協定を適用する。

 CGDのシニアフェロー、スコット・モリス氏は今回の調査結果について、中国がG20と合意した内容と「明らかに食い違っている」と指摘した。一方、IMFの元筆頭副専務理事で、現在はCGDの理事を務めるジョン・リプスキー 氏は中国が公約を実行するかどうか今後数カ月以内にわかるとの考えを示し「公約通りに契約を履行することがその証明になる」と述べた。

 このリポートは、AidDataの研究員が複数年にわたって各国の債務管理システムや政府登記、官報、議会ウェブサイトから対外融資契約の電子コピーを入手し分析した。

By Jonathan Wheatley

(2021年4月1日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/

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