米、対中圧力の手緩めず 人権報告書 ウイグル「民族虐殺」を指弾

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『【ワシントン=永沢毅】米国務省は30日に公表した世界各国の人権状況に関する2020年版の報告書で、中国・新疆ウイグル自治区や香港などでの人権弾圧を非難した。中国との体制間競争の根幹をなす人権問題でバイデン政権が圧力を強めている。

報告書はバイデン政権では初めての公表となった。約200カ国・地域を対象にしている。中国に関しては100万人以上のウイグル族が恣意的に投獄されたり、200万人以上が「再教育」施設に通わされたりしていると指摘。不妊手術の強制が横行し、信教の自由も制限されているとして、国際法上の犯罪である「ジェノサイド(民族大量虐殺)」が続いていると非難した。

香港では、反政府活動を取り締まる香港国家安全維持法の施行に触れて「中国共産党は国際的な誓約に反し、政治的自由と自治を組織的に破壊してきた」と断じた。米国の大学で中国人留学生が監視対象になっている恐れ、自己検閲している例まであげた。

ウイグルでの弾圧をジェノサイドと認定したのはポンペオ前国務長官だった。ブリンケン国務長官は就任前に認定を踏襲する意向を示していたが、国務省の公式の文書に明記したことでバイデン政権の正式な見解となった。

「バイデン大統領は人権問題を外交政策の中心に戻すと約束した。私たちはあらゆる手段を駆使し、人権を侵害する者の責任を問う」。ブリンケン氏は30日の記者会見でこう力説した。今回の報告書をその手段の一つに位置づけた。

バイデン政権は3月下旬、ウイグルの人権問題で欧州連合(EU)や英国、カナダなどと対中制裁で足並みをそろえた。人権問題はトランプ前政権で傷ついた米欧同盟の再構築の足がかりにもなる。

もっとも、人権問題では米国自身も深刻な黒人差別を抱えており、白人警官による黒人暴行死事件の裁判は、主要メディアが生中継するほど全米の注目を集めている。米アラスカ州での米中外交トップの協議では、中国側が「米国がより良く対処するよう望む」とこの問題をあげつらう場面があった。

「欠点に立ち向かう能力と意思が民主主義と独裁政治の違いだ」。ブリンケン氏は会見でこう訴え、中国共産党の統治体制の問題点を指摘した。

バイデン政権の人権重視の姿勢は他の強権色の強い国家の糾合を招くリスクもある。国軍によるクーデターがおきたミャンマーには米欧が軍幹部らへの制裁を科したが、対中接近の可能性がかねて懸念されている。イランは中国と25カ年に及ぶ経済・安全保障を巡る協定を結び、反米共闘の姿勢を鮮明にした。

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