米人権報告書、中国のウイグル族弾圧「虐殺」と非難

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN30DFQ0Q1A330C2000000/

『【ワシントン=芦塚智子】米国務省は30日、バイデン政権で初となる世界各国の人権状況に関する2020年版の年次報告書を発表した。中国による新疆ウイグル自治区でのウイグル族の弾圧を国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と「人道に対する罪」と非難した。香港に関しても中国政府が「国際的な誓約に反して政治的自由と自治を組織的に破壊してきた」と批判した。

ブリンケン国務長官は記者会見で、中国やロシアなどによる人権侵害について「ルールに基づく国際秩序への攻撃にあたる」と指摘。同盟国や友好国と連携して声を上げていくことが重要だと強調した。

ブリンケン氏は20年版の報告書には含まれていないミャンマー国軍によるデモ弾圧にも言及し「最も強い言葉で非難する」と述べた。また新型コロナウイルスの感染拡大が独裁政権による人権抑圧に利用され、差別や虐待の対象となっている人々に特に深刻な影響を与えているとも指摘した。

報告書は、中国による新疆ウイグル自治区での「犯罪」は継続しており、100万人以上の市民に対する無作為の拘束や拷問、中絶の強制といった弾圧が行われているとした。ウイグル族への弾圧はトランプ前政権が「国際法上のジェノサイドにあたる」と認定し、バイデン政権も認識を踏襲している。

北朝鮮に関しては、政府による非合法の殺害や拷問など「重大な人権問題」の事例を列挙した。報告書は約200カ国・地域を対象にしている。

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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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分析・考察 20年版を19年版と比べると、バイデン政権の各国政府による人権侵害を非難する姿勢がトランプ前政権よりもはるかに厳格であることが分かります。19年版は前政権に合う信仰の自由や財産権の侵害を優先しましたが、ブリンケン氏は会見で人権問題の中にヒエラルキーはないと明言しました。

同氏は会見で、中国封じ込めを否定し、人権など基本的権利とルールに基づく国際秩序を守るのがバイデン政権であるとも強調しました。人権問題を中国との交渉の材料には使わないということであり、3月18日の米中外相会談でのブリンケン氏の激しい中国批判と発言の本質は同じでしょう。バイデン政権の対中強硬姿勢はやはり前政権以上です。

2021年3月31日 11:33 (2021年3月31日 11:34更新)
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峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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分析・考察 米国の人権外交の輪が広がりつつあります。記事にあるウイグル問題の「ジェノサイド」認定にカナダとオランダの議会が追随しました。対中制裁にもEU、英国、カナダが同調しています。日本政府は「日本には人権侵害のみを理由に制裁する規定がない」と説明していますが、G7で具体的な法整備がない唯一の国である日本に対し、バイデン政権が来月9日で調整中の日米首脳会談や6月のG7サミットなどで何らかの対応を迫る可能性があります。

2021年3月31日 9:05いいね
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