トルコ中銀新総裁、引き締めを明言 リラ安で自説転換

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『【イスタンブール=木寺もも子】20日に就任したトルコ中央銀行のカブジュオール総裁は30日、インフレ抑制のため金融引き締め策を維持する考えを明言した。通貨のリラ売りが進んだことで、利下げをすればインフレ率が下がるとする就任前の自説を180度転換した形だ。ただ、市場では懐疑的な見方が強く、リラの反発は限定的だ。

カブジュオール氏は30日に開いた年次の中銀理事会で「インフレ率の低下が達成されるまで引き締めを維持する」と発言した。金融政策を「独立して」実施し、足元で15%台のインフレ率に対して、その影響を除いた実質金利をプラスに保つとも述べた。

同氏は20日、エルドアン大統領によって更迭されたアーバル前総裁に代わって就任した。就任の直前までテレビや新聞で「高金利はインフレを引き起こす」などと主張し、アーバル氏の引き締め策を批判していた。経済学の一般的な説とは逆だが、エルドアン氏が掲げる説とは一致する。

カブジュオール氏が自説を曲げたのは、為替市場でリラ安が止まらないためだ。利上げで通貨の安定やインフレ抑制を図ったアーバル氏が解任されたことで早期の利下げ観測が広がり、リラは総裁交代以前と比べ、対ドルで1割超安い。さらに30日にはエルドアン氏が未明の官報で副総裁の解任を発表したことを受け、前日比で一時3%下落していた。

ただ「口先介入」に対する為替市場の反応は弱かった。リラは30日の発言後、やや反発したものの、前日の水準には戻らなかった。アーバル氏を解任したエルドアン氏が、カブジュオール氏に引き締めを許すかどうかが不透明なためだ。みずほ銀行欧州資金部の本多秀俊シニア為替ストラテジストは「中銀総裁が言説をころころ変える人物だという印象も与えてしまった」と指摘する。

トルコ中銀の金融政策は、エルドアン氏の介入を受けて二転三転している。同氏は景気を冷やす高金利嫌いを公言し、2019年7月に就任したウイサル元総裁は低金利を維持しながら、ドル売りリラ買いの為替介入で通貨を安定させようとしてきた。それでもリラ安は止まらず外貨準備が枯渇したことで、20年11月にウイサル氏は更迭され、アーバル氏が就任した。

アーバル氏は就任からの4カ月半で政策金利を計8.75%引き上げ、リラは同氏の就任前に記録した史上最安値から2割近く回復した。ただ、利上げはエルドアン氏の怒りを買い、3月の金融政策決定会合の直後の20日に更迭された。中銀総裁は過去2年弱の間、大統領令でいずれも任期中に3度交代している。

アーバル氏の退場とカブジュオール氏の就任以後、トルコの代表的株価指数であるBIST100も9%下落した。カブジュオール氏が30日に述べた見解はアーバル氏のものとほぼ一致するが、アーバル体制で再構築しつつあった市場の信認を取り戻すのは困難になっている。

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