ロシア、対欧輸出に暗雲 脱炭素 資源大国揺さぶる 環境税で年6500億円損失も ガス管建設への米反対も鮮明に

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 ※ こういう記事を読むと、「脱炭素」というものが、決して「温暖化対策」というだけの話しでは無く、「国家戦略」に基づいた「敵対陣営の封じ込め」策でもあることがよく分かる…。

 ※ そして、さらには、「敵対陣営」だけに向けられているものでは無く、「特定国の経済活動」を弱めようとするものでもあることにも、注意しておいた方がいい…。

 ※ おそらく、日本国も標的になっているはずだ…。

 ※ そういう中を、搔いくぐって、日本国の「国家戦略」を、策定・実行していく必要がある…。

『【モスクワ=石川陽平】資源大国ロシアの経済を支える対欧州輸出に暗雲が垂れこめてきた。バイデン米政権は欧州向け天然ガスパイプライン計画への反対の姿勢を鮮明にした。欧州連合(EU)が温暖化対策の不十分な国からの輸入品に対して導入する事実上の関税による損失は60億ドル(約6500億円)に達するとの試算もある。米国との対立激化と脱炭素化の潮流がガスや石油に依存するロシア経済を揺さぶっている。

「もし、これ…

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「もし、これ(ガスパイプラインの建設作業)が続くなら、制裁を科すかどうか決定を下す」。ブリンケン米国務長官は24日の記者会見で、ロシア産天然ガスを欧州に輸出するノルドストリーム2の完工を阻止する強い意思を強調した。前日のマース独外相との会談でも、建設に参加する欧州企業への制裁について警告したという。

バルト海海底を通ってドイツ北東部に至るノルドストリーム2は輸送能力が年550億立方メートルで、ロシア政府系のガスプロムが年内の完工をめざしている。事業にはドイツなど欧州企業も多数参加する。9割以上が建設済みだが、トランプ前米政権に続いてバイデン政権も強硬に反対し、事業の行方は一段と不透明になってきた。

バイデン政権はノルドストリーム2の阻止で「敵対国」とみなすロシアの勢力封じ込めを狙う。ロシアはほぼ同じルートで稼働済みのノルドストリームと合わせて、ガスプロムの対欧(トルコを含む)ガス輸出量の約半分を担えるようになるとの目算が外れ、欧州への資源輸出戦略の修正を迫られる可能性がある。

さらに、パイプライン以上に対欧輸出の打撃になりそうな問題が、EUが加速する「脱炭素化」だ。EUは23年までに規制が緩い国からの輸入品に対して生産時に出した二酸化炭素(CO2)の量に応じて関税や排出枠の購入義務を課す「国境炭素調整」を導入する方針だ。EU向けが輸出総額の4割を占めるロシア経済には痛手となる。

特に輸出総額の4分の3を占める石油など化石燃料と素材産業への悪影響が懸念される。有力紙・独立新聞は、EUの「国境炭素調整」導入による企業の損失額が年30億~60億ドルになる可能性があるとの試算を伝えた。危機感を募らせるロシアは官民ともに温暖化対策の強化を急ぎ始めた。

政府は2月中旬、「温暖化ガス排出規制法案」を基本承認した。CO2の排出量が多い企業に排出量の算出と報告を義務付け、排出削減への投資を促進するための法的基盤も定める。国内での本格的な排出枠取引にもようやく道を開く内容だ。

クリーンな次世代エネルギーとして注目される水素の輸出にも乗り出す。エネルギー省幹部は日本経済新聞に対し、2035年に年200万トンを生産し、欧州やアジアに輸出する目標を明らかにした。原子力会社ロスアトムなど各社が開発に着手し、対日輸出も検討している。

民間ではアルミニウム世界大手のルサールが、50年に事業活動から排出されるCO2を実質的にゼロにする「カーボンニュートラル」を実現する目標を明らかにした。水力発電の利用を広げ、製造工程で炭素を使わない新たな技術も年内に開発する。鉄鋼大手のセベルスターリは30年までの排出削減計画の策定に着手した。

温暖化対策は石油や天然ガス企業にも広がる。石油大手ルクオイル幹部は50年までに「カーボンニュートラル」を達成する長期目標の策定に着手した。ガスプロムも30年までのCO2排出管理の工程表を策定したとしている。

ただ、EUの「国境炭素調整」は、脱炭素化がロシア経済に与える脅威の始まりにすぎないとの見方が出ている。

化石燃料の利用を減らす動きは環境保護に積極的なバイデン政権が誕生した米国や中国、日本などアジア各国でも加速してきた。将来、連邦予算の約4割を担う化石燃料部門の利益が減少すれば、資源の富に頼ってきたプーチン政権の統治モデルは揺らぎかねない。

プーチン氏は世界での化石燃料の利用停止について「これから30~50年は非現実的だ」と指摘するが、政権は警戒を強めている。ノワク副首相は20年12月、石油ガスの利用減少は避けられず「いまある資源の現金化(生産・販売の拡大)にもっと注意を向けるべきだ」と述べ、開発を急ぐよう焦りをにじませた。